ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ブッカー・T. ジョーンズ

2010-02-10 20:33:30 | ルーツ・ロック
BOOKER T. / POTATO HOLE

先日のグラミー賞で『Best Pop Instrumental Album』部門に輝いたブッカー・T. ジョーンズの「Potato Hole」。ご存知スタックスのハウス・バンド、ブッカー・T&ザ・MG’Sのオルガン奏者です。約20年振りという久々のソロ・アルバムですし、キャリアと年齢を考えれば、枯れたブルース・アルバムとか、ゲスト・シンガーを多数呼んで往年のソウル・カヴァー集のような横綱相撲が予想されますが、これが若きサザン・ロック・バンド、ドライヴ・バイ・トラッカーズを従えての全曲インストによる意欲作。しかも全10曲中7曲がブッカー・T. のオリジナル。カヴァーの中にはアウトキャストの「Hey Ya」があったり。

ギラついたギター・サウンドとどこか人懐っこいブッカー・T.のオルガンが妙に合うんですよね。パターソン・フッドを中心としたドライヴ・バイ・トラッカーズの3人のギタリストに加え、今作にはほとんどの曲で二ール・ヤングがギターを弾いてるそうです。「Native New Yorker」や「Warped Sister」では分厚いギター・リフとオルガンの絡みが相当に気持ちいい。どんなにギターが歪んでいようがブッカー・T. はマイ・ペース。そこがこのアルバムの肝なのです。アーシーな緩さから滲み出るソウルは昔と変わりません。

もちろん「She Breaks」や「Nan」、「Reunion Time」のような柔らかい曲もちゃんとありまして、こういった曲でのサザン・フィーリング豊かなブッカー・T. のオルガンはまた格別。最後を締める「Space City」は最高に染みます。まさにブッカー・T. の健在振りを知らしめたアルバムですね。


さて、そんなブッカー・T. は現在来日中であります。私は残念ながら行けませんでしたが、連日ブルーノート東京を沸かしているようです。確か今日が最終日でしたね。初日のセットリストがブルーノート東京の公式サイトにアップされていました。この最新作からの楽曲はもちろん、「Green Onions」、「Born Under A Bad Sign」、「Jamaica Song」、「The Dock Of The Bay」、「Soul Limbo」といった往年の名曲もガンガン演っているようなので、これは盛り上がったでしょうね。そして終盤の「Time Is Tight」。名曲ですよね。この曲は私もフジロックで生体験しましたが、ホント最高でした。

ブッカー・T. を私が生で観たのは、今のところそのフジロックの1回だけです。しかも終盤の数曲だけ。だってファンキー・ミーターズと被ってたんですよ~。ですがその数曲だけでも観れて良かったです。現在のブッカー・T. のサウンドがフジの雰囲気と溶け合った、自由で幸せな盛り上がりが最高でした。今回の来日も行きたかったんですけどね~。きっとフジとはまた違う盛り上がりを見せたんしょうね。


ブッカー・T. と言えば、昨年はブッカー・T. & プリシラ名義による70年代の3作品が紙ジャケCD化されましたね。これも嬉しい限り。プリシラは当時のブッカー・T. の奥様で、リタ・クーリッジのお姉さんですね。


BOOKER T. & PRISCILLA / BOOKER T. & PRISCILLA
こちらは71年の1作目にして2枚組。バックにはジム・ケルトナー(ds)、クリス・エスリッジ(b)、ジェリー・マギー(g)、ジェシ・エド・デイヴィス(g)、スニーキー・ピート(steel g)といった、スワンプ、カントリー・ロック界隈の名手達が参加しています。この頃のブッカー・T. の交友関係が伺い知れますね。ブッカー・T. は暖かくソウルフルな歌声、プリシラはスケールの大きいスワンプ・ロックな歌唱と、それぞれの味わいが良いですね。曲目はグラム・パーソンズの「She」を取り上げたりもしていますが、ほとんどがブッカー・T. とプリシラの、それぞれ単独もしくは共作による楽曲。ちなみに二人の共作で「He」という曲もあります。これがまた良い曲なんですよね~。他にもブッカー・T. による「For Priscilla」や「The Wedding Song」なんて曲があったり、ジャケ写や中ジャケのポートレートも幸せ一杯な感じ。もちろん「The Delta Song」とか「Mississippi Voodoo」、「Funny Honey」のような南部臭プンプンの曲もあります。


BOOKER T. & PRISCILLA / CHRONICLES
夫婦名義による73年の3作目。多彩な広がりを見せるこのアルバムの注目は何と言ってもプリシラの妹であるリタ・クーリッジ作となる「Time」。デレク&ザ・ドミノスの代表曲「いとしのレイラ」の後半部分の元ネタと噂される曲。「いとしのレイラ」の作曲者はエリック・クラプトンとジム・ゴードンですが、そのジム・ゴードンはリタ・クーリッジと恋仲だったことがあることから、そう噂されているとか。なにしろそっくりなコード進行ではあります。私はそんな噂も含めて、どちらも大好きです。他にもディスコチックな「Wild Fox」や、マンドリンが印象的な「Rings Around The World」など個性的な曲が並びます。 ちなみに「The Crippled Crow」でハープを吹いてるのはボブ・ディランだそうです。


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