1月31日、モータウンの創立者ベリー・ゴーディ・ジュニアのお姉さん、アンナ・ゴーディが亡くなられました。93歳。老衰だったそうです。
ベリー・ゴーディの姉という以上に、マーヴィン・ゲイの最初の奥様として知られるアンナ・ゴーディ。もちろんマーヴィンが78年にリリースした「HERE, MY DEAR」は、アンナとの離婚劇における彼の心情を歌った作品。アンナ・ゴーディについてはどうしてもそういう方に話題が行きがちですが、実は彼女、ソングライターとして数々の名曲にも関わっているんです。
MARVIN GAYE / THE STUBBORN KINDA FELLOW
マーヴィン・ゲイ、62年発表の2ndアルバムにして、彼がR&Bシンガーとしてスタートを切った記念作。マーヴィンとアンナが結婚したのが63年ですからその直前の作品ですね。マーヴィンにとって最初のトップ・テン・ヒットとなった「Pride and Joy」について、彼は「マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル」のなかでこう語っています。『「Pride and Joy」を作曲したとき、アンナに無我夢中でぞっこんだったんだ。ただ彼女について、彼女が僕にしてくれたことについて、感じたままに書いたんだ。彼女は僕の誇りであり、喜びだった。』と。この時期、繊細なマーヴィンに自信と安らぎを与える最愛のパートナーとしてのアンナの存在は、モータウン社総帥の姉であること以上に、この時期のマーヴィンの成功に多大な影響を与えたそうです。
さて、肝心のアンナがソングライトに関わった曲ですが、ラストを締める「I'm Yours You're Mine」は、アンナとプロデューサーでもあるウィリアムス"ミッキー"スティーヴンソンによる共作曲で、モータウンらしいポップかつ軽快な佳曲。
MARVIN GAYE / IN THE GROOVE
マーヴィン・ゲイの代表曲の一つ「I Heard It Through The Grapevine」が収録された68年のアルバム。アンナがクレジットされているのは2曲。まずはマーヴィン・ゲイ、アンナ・ゴーディ、エルジー・ストーヴァーによる共作曲「At Last (I Found a Love)」。力強いノーザン・ビートが心地よく、ブレイク部分も格好いい!そしてもう1曲「Change What You Can」。こちらは、アンナ・ゴーディ、ハーヴィ・フークア、エルジー・ストーヴァーによる共作曲で、マーヴィンらしいミドル・テンポの曲ではありますが、簡素なアレンジと共にちょっとかわった曲で面白い。ちなみにエルジー・シトーヴァーは、アンナと共にマーヴィンのライター・チームを担ったような存在で、ハーヴィー・フークアの甥(資料によっては従兄弟)だそう。
THE ORIGINALS / BABY, I'M FOR REAL
オリジナルズの69年作。アンナが関わった曲のなかでも屈指の名曲がこのオリジナルズの「Baby, I'm For Real」。マーヴィン&アンナの共作で、実質的にマーヴィンがプロデュースを手がけたと言われる曲です。マーヴィン・ゲイは、この「Baby, I'm For Real」、そしてそれに続く「The Bells」(残念ながらこちらのアルバム「BABY, I'M FOR REAL」には収録されていません。)を手掛けることで、プロデューサーとしての足場を着実に整え、それが「WHAT'S GOING ON」以降へと結びつくことになります。
MARVIN GAYE / WHAT'S GOING ON
さて、その「WHAT'S GOING ON」です。この歴史的名作にも2曲でアンナの名がクレジットされています。それは「Flyin' High (In The Friendly Sky)」と「God Is Love」。前者はマーヴィン・ゲイ、アンナ・ゴーディ、エルジー・ストーヴァーによる共作、後者はこの3人に、ジェイムズ・ニックス(マーヴィンと「Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)」も共作してる人)が加わっています。2曲とも、説明不要の名曲ですね。
MARVIN GAYE / LET'S GET IT ON
73年リリースの名作。マーヴィンとアンナの結婚生活は60年代末には既に亀裂が生じていたようですが、それが決定的なものとなったのは、やはりマーヴィンがジャニス・ハンターと出会ってからでしょう。その2人の出会いを生み、そしてその出会いが生んだ傑作「LET'S GET IT ON」。このアルバムにもアンナがクレジットされた曲が1曲だけ納められています。それは最後を飾る罪深き名曲「Just To Keep You Satisfied」。まるで「HERE, MY DEAR(邦題「離婚伝説」)の序曲のような曲ですが、元々は60年代に作られた曲のよう。こちらもマーヴィン・ゲイ、アンナ・ゴーディ、エルジー・ストーヴァーによる共作。
AARON NEVILLE / THE GRAND TOUR
さて、最後に私のお気に入りのカヴァーを一つ。先にも少し触れたオリジナルズの「The Bells」ですが、こちらも「Baby, I'm For Real」に勝るとも劣らない名曲でして、ローラ・ニーロやエルヴィス・コステロなんかにもカヴァーされています。そして私の大好きなアーロン・ネヴィルも93年のソロ作「THE GRAND TOUR」で取り上げているんです。コーラス・グループの名曲を歌うアーロン、これがスイートな仕上がりで最高なんです! ちなみにこの「The Bells」はマーヴィン・ゲイ、アンナ・ゴーディ、エルジー・ストーヴァー、そしてアイリス・ゴーディの共作。アイリスはゴーディ家の長兄フラー・ゴーディの娘さんで、ジョニー・ブリストルと結婚された人。
ここではマーヴィン関連の曲を中心に紹介させていただきましたが、他にもダイアナ・ロス&シュープリームスの「You've Been So Wonderful To Me」、デヴィッド・ラフィン「I Let Love Slip Away」、レア・アース「Is Your Teacher Cool?」、あとスティーヴィー・ワンダーのクリスマス・アルバムに収録された「What Christmas Means To Me」など、色々なところでアンナの名前を見つけることが出来ます。
アンナ・ゴーディさん、安らかに。
ベリー・ゴーディの姉という以上に、マーヴィン・ゲイの最初の奥様として知られるアンナ・ゴーディ。もちろんマーヴィンが78年にリリースした「HERE, MY DEAR」は、アンナとの離婚劇における彼の心情を歌った作品。アンナ・ゴーディについてはどうしてもそういう方に話題が行きがちですが、実は彼女、ソングライターとして数々の名曲にも関わっているんです。
MARVIN GAYE / THE STUBBORN KINDA FELLOW
マーヴィン・ゲイ、62年発表の2ndアルバムにして、彼がR&Bシンガーとしてスタートを切った記念作。マーヴィンとアンナが結婚したのが63年ですからその直前の作品ですね。マーヴィンにとって最初のトップ・テン・ヒットとなった「Pride and Joy」について、彼は「マーヴィン・ゲイ物語 引き裂かれたソウル」のなかでこう語っています。『「Pride and Joy」を作曲したとき、アンナに無我夢中でぞっこんだったんだ。ただ彼女について、彼女が僕にしてくれたことについて、感じたままに書いたんだ。彼女は僕の誇りであり、喜びだった。』と。この時期、繊細なマーヴィンに自信と安らぎを与える最愛のパートナーとしてのアンナの存在は、モータウン社総帥の姉であること以上に、この時期のマーヴィンの成功に多大な影響を与えたそうです。
さて、肝心のアンナがソングライトに関わった曲ですが、ラストを締める「I'm Yours You're Mine」は、アンナとプロデューサーでもあるウィリアムス"ミッキー"スティーヴンソンによる共作曲で、モータウンらしいポップかつ軽快な佳曲。
MARVIN GAYE / IN THE GROOVE
マーヴィン・ゲイの代表曲の一つ「I Heard It Through The Grapevine」が収録された68年のアルバム。アンナがクレジットされているのは2曲。まずはマーヴィン・ゲイ、アンナ・ゴーディ、エルジー・ストーヴァーによる共作曲「At Last (I Found a Love)」。力強いノーザン・ビートが心地よく、ブレイク部分も格好いい!そしてもう1曲「Change What You Can」。こちらは、アンナ・ゴーディ、ハーヴィ・フークア、エルジー・ストーヴァーによる共作曲で、マーヴィンらしいミドル・テンポの曲ではありますが、簡素なアレンジと共にちょっとかわった曲で面白い。ちなみにエルジー・シトーヴァーは、アンナと共にマーヴィンのライター・チームを担ったような存在で、ハーヴィー・フークアの甥(資料によっては従兄弟)だそう。
THE ORIGINALS / BABY, I'M FOR REAL
オリジナルズの69年作。アンナが関わった曲のなかでも屈指の名曲がこのオリジナルズの「Baby, I'm For Real」。マーヴィン&アンナの共作で、実質的にマーヴィンがプロデュースを手がけたと言われる曲です。マーヴィン・ゲイは、この「Baby, I'm For Real」、そしてそれに続く「The Bells」(残念ながらこちらのアルバム「BABY, I'M FOR REAL」には収録されていません。)を手掛けることで、プロデューサーとしての足場を着実に整え、それが「WHAT'S GOING ON」以降へと結びつくことになります。
MARVIN GAYE / WHAT'S GOING ON
さて、その「WHAT'S GOING ON」です。この歴史的名作にも2曲でアンナの名がクレジットされています。それは「Flyin' High (In The Friendly Sky)」と「God Is Love」。前者はマーヴィン・ゲイ、アンナ・ゴーディ、エルジー・ストーヴァーによる共作、後者はこの3人に、ジェイムズ・ニックス(マーヴィンと「Inner City Blues (Make Me Wanna Holler)」も共作してる人)が加わっています。2曲とも、説明不要の名曲ですね。
MARVIN GAYE / LET'S GET IT ON
73年リリースの名作。マーヴィンとアンナの結婚生活は60年代末には既に亀裂が生じていたようですが、それが決定的なものとなったのは、やはりマーヴィンがジャニス・ハンターと出会ってからでしょう。その2人の出会いを生み、そしてその出会いが生んだ傑作「LET'S GET IT ON」。このアルバムにもアンナがクレジットされた曲が1曲だけ納められています。それは最後を飾る罪深き名曲「Just To Keep You Satisfied」。まるで「HERE, MY DEAR(邦題「離婚伝説」)の序曲のような曲ですが、元々は60年代に作られた曲のよう。こちらもマーヴィン・ゲイ、アンナ・ゴーディ、エルジー・ストーヴァーによる共作。
AARON NEVILLE / THE GRAND TOUR
さて、最後に私のお気に入りのカヴァーを一つ。先にも少し触れたオリジナルズの「The Bells」ですが、こちらも「Baby, I'm For Real」に勝るとも劣らない名曲でして、ローラ・ニーロやエルヴィス・コステロなんかにもカヴァーされています。そして私の大好きなアーロン・ネヴィルも93年のソロ作「THE GRAND TOUR」で取り上げているんです。コーラス・グループの名曲を歌うアーロン、これがスイートな仕上がりで最高なんです! ちなみにこの「The Bells」はマーヴィン・ゲイ、アンナ・ゴーディ、エルジー・ストーヴァー、そしてアイリス・ゴーディの共作。アイリスはゴーディ家の長兄フラー・ゴーディの娘さんで、ジョニー・ブリストルと結婚された人。
ここではマーヴィン関連の曲を中心に紹介させていただきましたが、他にもダイアナ・ロス&シュープリームスの「You've Been So Wonderful To Me」、デヴィッド・ラフィン「I Let Love Slip Away」、レア・アース「Is Your Teacher Cool?」、あとスティーヴィー・ワンダーのクリスマス・アルバムに収録された「What Christmas Means To Me」など、色々なところでアンナの名前を見つけることが出来ます。
アンナ・ゴーディさん、安らかに。
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