ルーツな日記

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フジロック・ベストアクト第4位! part3

2012-09-27 22:18:48 | フジロック
BUDDY GUY / LIVING PROOF

超個人的フジロック・ベストアクト企画、3組が並んだ第4位。

その3組目は、バディ・ガイ!!

いやはや、バディ・ガイですよ。昨年の直前キャンセルから1年、ついにバディ・ガイがフジロック降臨です。個人的には今年一番楽しみだったステージであり、このベストアクト企画の第1位を飾る予定だったのですが、残念ながら第4位です。

あの問題作と言われながらも近年の最高傑作とも評される最新作「LIVING PROOF」。完全にブルースを逸脱して荒れ狂うギター・サウンドは、私も初めて聴いた時、これは流石にやり過ぎでしょう?と疑問を感じたものですが、聴き進めるうちにその破壊力に圧倒されてしまい、結局、バディ・ガイ凄いな!みたいな。で、今回のライヴでもそういうバディの姿を期待していた訳ですよ。並みいるロック・アクトの全てを薙ぎ倒すようなパフォーマンスをね。もちろん、強烈に歪んだ音色でガンガンに弾き倒してはくれたんですけど、音響的にガツンとこなかったんですよね~。なんて言いますか、歪みすぎてこもってしまっているような。得意の速弾きとかされちゃうとグチャッとなってしまって、バックの音に埋もれてしまう。もっとギンギンにギターの音を立たせて欲しかった。音量も上げて欲しかった。フジロックの音響に不満を持ったことはほとんどないですが、正直、このバディ・ガイのサウンドにはちょっとがっかりだったんですよね~。まあ、私の立ち位置の問題かもしれませんし、好みの問題かもしれません。ちなみにギターはいつものフェンダー・ストラト(水玉模様のやつではありません。ですがストラップは水玉)、アンプは本国で使っているものではなく、日本でレンタルしたものだったそう。

ですがね、バディ・ガイのパフォーマンス自体は流石に素晴らしいものでしたよ!まずフジロックにバディ・ガイが姿を現しただけで感動物でしたよ。そして圧倒的な存在感を放ちながら、余裕しゃくしゃくでブルースをエンターテイメントとして楽しませてくれる。かと思えば一瞬の集中力で一気にテンションを上げて、ブルースの神髄へと引きずり込んで来る。その衝動的なギター・プレイはもちろん、ディープなフィーリングを自在に操るヴォーカルも強力! これだけ自由奔放にブルースを表現しながら、それがバディ・ガイのブランドとして完成されているんですから流石は生きる伝説。いや、伝説と呼ぶにはあまりにも元気でしたけどね!

序盤に登場した「Hoochie Coochie Man」。マディ・ウォーターズの代名詞的シカゴ・ブルースの名曲。まさにシカゴ・レジェンドたるバディ節の炸裂でしたね。脂ぎった歌声で濃密なブルース・フィーリングを観客に投げかけ、その反応を楽しむかのようにさらにディープに畳み掛けていく。観客達は否応無しにバディのブルース世界へと誘われる。マイクを持たずに地声で歌う場面もあったり。御年75歳とはとても思えない強靭な喉。ギターでは、ボリュームを絞りに絞ったトーンで艶めかしく弾いたかと思えば、観客をあしらようかのようにギターを裏返しにし、腹で弦を擦ってノイズを出したり、かと思えば速弾きも含めた強烈なスクイーズ・ギターを昇天するかのように弾きまくる、とにかく圧巻の一言。さらにマディ・ウォーターズの「She's Nineteen Years Old」へ繋げるあたりも流石!

マディ関連では「Louisiana Blues」も演ってましたね。この曲ではワウ・ペダル使いが印象的でした。私の位置からは見えませんでしたけど、おそらくあの水玉模様のペダルを使っていたことでしょう。カヴァーで印象的だったのはジョン・リー・フッカーの「Boom Boom」。およそバディらしくない選曲のように思いましたけど、インパクトは抜群でした。そしてアルバート・キングの名を語って始めた「Drowning On Dry Land」。どっぷりとしたスロー・ブルース。ねっとりと情念を絡ませてくるようなブルース表現はバディならではのディープさ。途中、ギターを弾きながらステージから下がっていったバディ。あれ?何所行っちゃったの?と思っているうちに、ステージ向かって右側の観客達が大騒ぎに。え!バディ、降りてきたの!?と思い背伸びをして見てみるものの、私の位置からは観客の頭しか見えず…。その間、バディの姿は見えずとも、激情的なギター・ソロだけは聴こえてくる。そしてしばらくして何事もなかったかのようにステージに戻ってきたバディ。結局あの時、バディは何所に居たのか分らずじまい。やっぱりフィールドに降りてきてたんですかね?ちなみにこの曲って、バディがそういう事よくやるみたいなんですよね~。

エリック・クラプトンやジミ・ヘンドリクスを引き合いに出して、そのスタイルを真似したりっていうのももうお馴染みですよね。「Strange Brew」とか「Voodoo Child」なんかは流石に盛り上がりました。こういったカヴァー曲でのサービス精神旺盛さっていうのは、やはりバディ・ガイですよね。別にロック・ファンへ向けてのサービスじゃないですよ。だって、クラプトンもヘンドリクスもみんなバディ・ガイに影響を受けてるんですから。バディにしてみればロックなんて自分の子供みたいなもんなんです。多分…。

そして個人的に嬉しかったのは「Fever」ですよ! もちろんあの有名曲のカヴァーです。私はバディがヴァンガード時代、68年にリリースしたライヴ盤「THIS IS BUDDY GUY」が大好きでして、ホントよく聴いたものです。で、「Fever」はこれに収録されてるんですよ。こういったヴィンテージなバディを感じさせてくれる選曲は嬉しいですよね~。昔に比べるともっとムーディなアレンジでしたけど、あの「Fever」を歌うバディ・ガイ、感無量でした!

もちろん、「While You Were Slipping Out」、「Do Your Thing」、そして「Feels Like Rain」など、90年代以降のバディを彩った楽曲達も圧巻でした。バディ・ガイらしくヒステリックに激情する歌声を聴かせてくれたのは「Damn Right, I've Got the Blues」だったかな? なんかもう常にシーンの最前線を歩んで来たバディの生き様を感じさせられるようでしたね。最新作からは「74 Years Young」を演りました。自らを“74歳の若造”と歌うこのブルース。この日、76歳のバースデーを翌日に控えたバディは、思わせぶりに決め台詞を“76 Years Young~♪”と歌ったり。これぞバディのブルース道ですよ! 間奏のギター・ソロの荒くれ具合も堪りませんでしたね。格好良かったです!

あと、バディのやりたい放題なステージ捌きにぴたっと付いて来るバック・バンドにも拍手。おそらく歴戦のツアー・バンドを引き連れて来てくれたんでしょうね。特にギターとの掛け合いで沸かせてくれた鍵盤奏者(Marty Sammon)は印象的でした。


なんだかんだでブルースの魔王っぷりを見せつけてくれたフジロックのバディ・ガイ。オレンジ・コートを濃密なブルース・フィーリングで満たしてくれました。まだまだ若い76歳!天晴でした!


2 コメント

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記念日的だったかも (スライ)
2012-09-27 22:58:10
フジロックでバディガイというだけでなんだか感慨深いものを感じました。
バディガイはロックに影響されないブルースを知る最後の世代かもしれません。これがロバート・クレイたちとの大きな違い。バディガイはロックとともに歩んでも来たから、そこは先達とも違います。実に面白い存在だと思います。ストーンズの面々からみたら兄貴分くらいの年の差ですしね。
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ありがとうございます! (moccho)
2012-09-30 00:51:35
スライさん、コメントありがとうございます!

記念日的でしたね! 過去にも何組かブルース系のアーティストは出ていますけど、バディ・ガイは別格と言いますか、存在感が違いましたよね~。それに色々な意味で、ロックフェスに相応しいブルースマンでしたね。
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