9月9日、昭和女子大学人見記念講堂にて、矢野顕子×上原ひろみのコンサートを観てまいりました。「Recording Live in Tokyo ~ Get Together ~」と題されたこのライヴ、その名の通りCDのレコーディングを兼ねたライヴなのです。
当初私の席は1Fの後ろから2列目だったのですが、カメラが入る都合とかで、少し前の席へ強制移動されるという嬉しいハプニング。結果PA卓の2~3列後ろというなかなかの良席へ。それでも上原さんの表情まで観たい私は望遠鏡片手での鑑賞な訳ですけどね。
さて、開演時間になると場内に注意事項のアナウンスが流れる。その声はなんと矢野さんと上原さんご本人。ひょっとしたら同じ曲を2度演奏するかもしれないことや、携帯電話や時計の音のこと、お子様連れの場合のことなど、優しく丁寧に、お二人の人柄とユーモアの感じられるアナウンスでした。これにより場内が和やかになると同時に、レコーディング・ライヴという特別なステージに対する期待感と、同じ空間に居合わせることによる緊張感が、同時に沸いてくるような感じでした。
しばらくしてお二人が登場。割れんばかりの拍手。ステージ中央に向かい合って並べられたグランドピアノ。ステージ向かって左側に矢野さん、右側に上原さんが座る。上原さんは上下黒で決めながら、靴だけは黒地に白色の大きな水玉模様が入っている。この水玉が良いアクセントになってましたね。そして私は矢野さんを生で観るのは多分この日が初めて。正直な話、CDも1~2枚しか聴いたことがありません。ま、言ってしまえば上原さん目当てな訳ですが、やはり矢野さんとのコラボというのは特別な感じがしますよね~。
さて、1曲目は「CHILDREN IN SUMMER」。これは矢野さんの曲でしょうか。後半、上原さんの高く高く飛翔するような、高揚感溢れるソロが素晴らしかった! そしてそのソロに絡みつくようにアシストする矢野さんのピアノも見事! 1曲目から息のあったコンビネーションを見せ付けてくれます。そして2曲目。上原さんのピアノに合わせ、矢野さんが何やら「ウン、ウン」と唸り始める。それはスキャットのように形を変え、あの童謡へと変化する…。この2曲目は矢野さんが歌う「あんたがたどこさ」。しかもこれに上原さんがモンゴ・サンタマリアの「アフロ・ブルー」を合わせるという離れ技。ある意味アヴァンギャルドな配合はこの二人ならでは。それにしても矢野さんの「あんたがたどこさ」の崩し具合と言うのは流石!としか言いようがない格好良さ。
続いて上原さんのソロ・アルバムから「Capecod Chips」。ピアノ2台のインストで演るのかと思いきや、矢野さんが歌い出したからびっくり!! ですが飛び跳ねるようなメロディーに強引に歌詞を付けて歌うもんですから、上原さんのソロ・ヴァージョンに慣れた耳ににはかなりの違和感。しかしこの違和感がスリリングで良い! まるで右側で上原さんが従来の「Capecod Chips」を弾きまくり、それに対抗するように左側では矢野さんが自分流の「Capecod Chips」を歌ってる感じ。そして両者が混じりあい、弾けあい、強力なエネルギーを生んでいく。面白い!!
続いてビル・ウィザーズの「Lean On Me」。この曲は上原さんがソロ・ライヴで取り上げていた曲。もちろんここでは矢野さんが歌う。ソウルフルでしたね。上原さんのピアノもエモーショナルの極致で素晴らしかったです! そして「学べよ」。これは矢野さんの曲でしょうね。スピード感と緊張感に溢れた二人のセッションにはもってこいの曲。しかもこの曲では上原さんの見せ場がありました。得意のベース・ソロです。立ち上がって左手で低音を弾き、右手で弦をミュートするアレです。しかもいつもなら観客に背を向ける形になってしまうところ、今回はピアノが逆向きなので、観客の方を向いてのベース・ソロとなる訳です。ピアノを弾く上原さんの姿が見たいミーハーな私にとって、これは嬉しかった! まるで観客を煽るような表情で体を揺らしながらリズミカルにベース・ソロを弾く上原さん、痺れました!!
いよいよコンサートも終盤。上原さんが作曲だけではなく、作詞も手がけたという新曲「月と太陽」。まだ出来たばかりの曲らしく、日本で演奏するのはこの日が初めて、さらに歌の入ったヴァージョンを披露するのは世界初だそう。この二人ならではの温もりを感じる美しいスロー・ナンバー。矢野さんの独特な感性に耳を奪われました。そして本編ラストは「りんご祭り」と題された“りんご”に関する2曲のメドレー。編曲は上原さんで、矢野さんは楽譜を渡されたとき、あまりの長さに絶句したそうです…。まずはグレン・ミラー楽団で知られる「Don't Sit Under the Apple Tree」。スウィング感抜群の上原さんのピアノに、躍動感たっぷりの矢野さんの歌。ストレートなスタンダードらしい演奏に場内も楽しい雰囲気に、と思いきやここから日本を代表する流行歌「リンゴの唄」へと雪崩れ込むから油断出来ません。目まぐるしく駆け抜けるように叩きまくる上原さん、やはり強烈な個性で崩しまくる矢野さん、まあ、凄いですよ!! そして再度「Don't Sit Under the Apple Tree」に戻ってノリノリで終了。天晴でした!!
アンコールは矢野さんの「ラーメンたべたい」。上原さんにとってもラーメンは大好物ですからね。MCでは「1週間ラーメン断ちをしていた」なんて喋ってた程の意気込みですよ!その上原さんはこの曲でマイルス・デイヴィスの「So What」を弾いていたらしいのですが、正直、私はよく分かりませんでした…。CDがリリースされたらその辺も含めてじっくり聴いてみたいと思います。
全体的にレコーディング・ライヴとは思えない程、リラックスした雰囲気でしたね。矢野さんも上原さんも楽しそうに演奏していました。もちろんその演奏は二人の芸術性がぶつかりあう緊張感と、それぞれのエモーショナルな表現力が混ざりあう、濃密空間そのものでしたけどね。ただ上原さんの熱量は、ソロ・ライヴや自身のバンドに比べたら若干低めだったかな?とも思いました。矢野さんとの調和に重点を置いていたのかもしれませんね。それと矢野さんのMCが非常に面白かったです!
さて、おそらくここまでがレコーディングとしての1セットだったのでしょう。事前に70分程のライヴだと断りもありましたし。ですがここで矢野さんが申し訳無さそうに、もう一度やり直したい曲がある旨をユーモアたっぷりに説明。そして「CHILDREN IN SUMMER」、「Capecod Chips」、「学べよ」、「ラーメンたべたい」の4曲を再演。同じ曲とはいえ、再度二人の演奏が聴けるのですから観客も大盛り上がり。しかもファースト・テイクと明らかに違うことをやってますし、二人とも確実に熱くなっている。録り直しとはいえまったく守勢に入るつもりなどない二人の感性はさすがアーティスト!
上原さんなんて、「学べよ」、「ラーメンたべたい」あたりでようやくエンジンがかかってきたかのようなアグレッシヴさを見せてくれましたしね。MCでも「CHILDREN IN SUMMER」の直後に「1曲目とは思えない盛り上がりでしたね!」なんて言ってみたり、何曲も演奏し直す状況に申し訳無さそうな矢野さんに対し「レコーディングって楽しい!」とはしゃいでみたり。
「ラーメン食べたい」では矢野さんが歌い出すと同時に楽譜を探し始め、歌いながら立ち上がって手元をがさがさ探り始めたものですから、上原さんが演奏を止めてしまうハプニングも。矢野さんは「別にやめなくても良かったのよ~」みたいなことを言ってましたけどね。ちなみに本編の「ラーメンたべたい」は味噌味で、録り直しの「ラーメンたべたい」はとんこつヴァージョンだったそうです。
この“とんこつヴァージョン”が驚異的なテンションで終了し、お二人がピアノの前に並んで、場内は割れんばかりの拍手。いかにも全て終了して大団円な雰囲気でしたが、そこにスタッフさんがマイクと譜面台を用意。それを見た矢野さんは『なにこれ?まだやるの?』みたいな表情。上原さんはニコニコ顔。そして始まった、正真正銘のアンコール、「Green Tea Farm」。これはもう、ただただうっとりでしたね。全て終了後は観客も立ち上がってのスタンディング・オベーション!! 素晴らしいライヴでした!
なんだかんだで約2時間、たっぷりのライヴとなったこの日のレコーディング・ライヴ。CDリリースが楽しみです!
セット・リスト
01. CHILDREN IN SUMMER
02. あんたがたアフロ
03. Capecod Chips
04. Lean On Me
05. 学べよ
06. 月と太陽
07. りんご祭り
Don't Sit Under the Apple Tree~リンゴの唄
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
encore
08. ラーメンたべたい
09. CHILDREN IN SUMMER
10. Capecod Chips
11. 学べよ
12. ラーメンたべたい
13. Green Tea Farm
当初私の席は1Fの後ろから2列目だったのですが、カメラが入る都合とかで、少し前の席へ強制移動されるという嬉しいハプニング。結果PA卓の2~3列後ろというなかなかの良席へ。それでも上原さんの表情まで観たい私は望遠鏡片手での鑑賞な訳ですけどね。
さて、開演時間になると場内に注意事項のアナウンスが流れる。その声はなんと矢野さんと上原さんご本人。ひょっとしたら同じ曲を2度演奏するかもしれないことや、携帯電話や時計の音のこと、お子様連れの場合のことなど、優しく丁寧に、お二人の人柄とユーモアの感じられるアナウンスでした。これにより場内が和やかになると同時に、レコーディング・ライヴという特別なステージに対する期待感と、同じ空間に居合わせることによる緊張感が、同時に沸いてくるような感じでした。
しばらくしてお二人が登場。割れんばかりの拍手。ステージ中央に向かい合って並べられたグランドピアノ。ステージ向かって左側に矢野さん、右側に上原さんが座る。上原さんは上下黒で決めながら、靴だけは黒地に白色の大きな水玉模様が入っている。この水玉が良いアクセントになってましたね。そして私は矢野さんを生で観るのは多分この日が初めて。正直な話、CDも1~2枚しか聴いたことがありません。ま、言ってしまえば上原さん目当てな訳ですが、やはり矢野さんとのコラボというのは特別な感じがしますよね~。
さて、1曲目は「CHILDREN IN SUMMER」。これは矢野さんの曲でしょうか。後半、上原さんの高く高く飛翔するような、高揚感溢れるソロが素晴らしかった! そしてそのソロに絡みつくようにアシストする矢野さんのピアノも見事! 1曲目から息のあったコンビネーションを見せ付けてくれます。そして2曲目。上原さんのピアノに合わせ、矢野さんが何やら「ウン、ウン」と唸り始める。それはスキャットのように形を変え、あの童謡へと変化する…。この2曲目は矢野さんが歌う「あんたがたどこさ」。しかもこれに上原さんがモンゴ・サンタマリアの「アフロ・ブルー」を合わせるという離れ技。ある意味アヴァンギャルドな配合はこの二人ならでは。それにしても矢野さんの「あんたがたどこさ」の崩し具合と言うのは流石!としか言いようがない格好良さ。
続いて上原さんのソロ・アルバムから「Capecod Chips」。ピアノ2台のインストで演るのかと思いきや、矢野さんが歌い出したからびっくり!! ですが飛び跳ねるようなメロディーに強引に歌詞を付けて歌うもんですから、上原さんのソロ・ヴァージョンに慣れた耳ににはかなりの違和感。しかしこの違和感がスリリングで良い! まるで右側で上原さんが従来の「Capecod Chips」を弾きまくり、それに対抗するように左側では矢野さんが自分流の「Capecod Chips」を歌ってる感じ。そして両者が混じりあい、弾けあい、強力なエネルギーを生んでいく。面白い!!
続いてビル・ウィザーズの「Lean On Me」。この曲は上原さんがソロ・ライヴで取り上げていた曲。もちろんここでは矢野さんが歌う。ソウルフルでしたね。上原さんのピアノもエモーショナルの極致で素晴らしかったです! そして「学べよ」。これは矢野さんの曲でしょうね。スピード感と緊張感に溢れた二人のセッションにはもってこいの曲。しかもこの曲では上原さんの見せ場がありました。得意のベース・ソロです。立ち上がって左手で低音を弾き、右手で弦をミュートするアレです。しかもいつもなら観客に背を向ける形になってしまうところ、今回はピアノが逆向きなので、観客の方を向いてのベース・ソロとなる訳です。ピアノを弾く上原さんの姿が見たいミーハーな私にとって、これは嬉しかった! まるで観客を煽るような表情で体を揺らしながらリズミカルにベース・ソロを弾く上原さん、痺れました!!
いよいよコンサートも終盤。上原さんが作曲だけではなく、作詞も手がけたという新曲「月と太陽」。まだ出来たばかりの曲らしく、日本で演奏するのはこの日が初めて、さらに歌の入ったヴァージョンを披露するのは世界初だそう。この二人ならではの温もりを感じる美しいスロー・ナンバー。矢野さんの独特な感性に耳を奪われました。そして本編ラストは「りんご祭り」と題された“りんご”に関する2曲のメドレー。編曲は上原さんで、矢野さんは楽譜を渡されたとき、あまりの長さに絶句したそうです…。まずはグレン・ミラー楽団で知られる「Don't Sit Under the Apple Tree」。スウィング感抜群の上原さんのピアノに、躍動感たっぷりの矢野さんの歌。ストレートなスタンダードらしい演奏に場内も楽しい雰囲気に、と思いきやここから日本を代表する流行歌「リンゴの唄」へと雪崩れ込むから油断出来ません。目まぐるしく駆け抜けるように叩きまくる上原さん、やはり強烈な個性で崩しまくる矢野さん、まあ、凄いですよ!! そして再度「Don't Sit Under the Apple Tree」に戻ってノリノリで終了。天晴でした!!
アンコールは矢野さんの「ラーメンたべたい」。上原さんにとってもラーメンは大好物ですからね。MCでは「1週間ラーメン断ちをしていた」なんて喋ってた程の意気込みですよ!その上原さんはこの曲でマイルス・デイヴィスの「So What」を弾いていたらしいのですが、正直、私はよく分かりませんでした…。CDがリリースされたらその辺も含めてじっくり聴いてみたいと思います。
全体的にレコーディング・ライヴとは思えない程、リラックスした雰囲気でしたね。矢野さんも上原さんも楽しそうに演奏していました。もちろんその演奏は二人の芸術性がぶつかりあう緊張感と、それぞれのエモーショナルな表現力が混ざりあう、濃密空間そのものでしたけどね。ただ上原さんの熱量は、ソロ・ライヴや自身のバンドに比べたら若干低めだったかな?とも思いました。矢野さんとの調和に重点を置いていたのかもしれませんね。それと矢野さんのMCが非常に面白かったです!
さて、おそらくここまでがレコーディングとしての1セットだったのでしょう。事前に70分程のライヴだと断りもありましたし。ですがここで矢野さんが申し訳無さそうに、もう一度やり直したい曲がある旨をユーモアたっぷりに説明。そして「CHILDREN IN SUMMER」、「Capecod Chips」、「学べよ」、「ラーメンたべたい」の4曲を再演。同じ曲とはいえ、再度二人の演奏が聴けるのですから観客も大盛り上がり。しかもファースト・テイクと明らかに違うことをやってますし、二人とも確実に熱くなっている。録り直しとはいえまったく守勢に入るつもりなどない二人の感性はさすがアーティスト!
上原さんなんて、「学べよ」、「ラーメンたべたい」あたりでようやくエンジンがかかってきたかのようなアグレッシヴさを見せてくれましたしね。MCでも「CHILDREN IN SUMMER」の直後に「1曲目とは思えない盛り上がりでしたね!」なんて言ってみたり、何曲も演奏し直す状況に申し訳無さそうな矢野さんに対し「レコーディングって楽しい!」とはしゃいでみたり。
「ラーメン食べたい」では矢野さんが歌い出すと同時に楽譜を探し始め、歌いながら立ち上がって手元をがさがさ探り始めたものですから、上原さんが演奏を止めてしまうハプニングも。矢野さんは「別にやめなくても良かったのよ~」みたいなことを言ってましたけどね。ちなみに本編の「ラーメンたべたい」は味噌味で、録り直しの「ラーメンたべたい」はとんこつヴァージョンだったそうです。
この“とんこつヴァージョン”が驚異的なテンションで終了し、お二人がピアノの前に並んで、場内は割れんばかりの拍手。いかにも全て終了して大団円な雰囲気でしたが、そこにスタッフさんがマイクと譜面台を用意。それを見た矢野さんは『なにこれ?まだやるの?』みたいな表情。上原さんはニコニコ顔。そして始まった、正真正銘のアンコール、「Green Tea Farm」。これはもう、ただただうっとりでしたね。全て終了後は観客も立ち上がってのスタンディング・オベーション!! 素晴らしいライヴでした!
なんだかんだで約2時間、たっぷりのライヴとなったこの日のレコーディング・ライヴ。CDリリースが楽しみです!
セット・リスト
01. CHILDREN IN SUMMER
02. あんたがたアフロ
03. Capecod Chips
04. Lean On Me
05. 学べよ
06. 月と太陽
07. りんご祭り
Don't Sit Under the Apple Tree~リンゴの唄
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
encore
08. ラーメンたべたい
09. CHILDREN IN SUMMER
10. Capecod Chips
11. 学べよ
12. ラーメンたべたい
13. Green Tea Farm
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます