ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

トラヴィス・ヒル、安らかに

2015-06-06 10:48:47 | ニューオーリンズ
オーリンズの若き才能が、この日本の地で亡くなられました。私は亡くなられる前日に彼のライヴを観ているので、本当に信じられませんでした。こんなことあるのか?あまりに急過ぎて、しばらく信じることが出来ませんでした…。これからの活躍を信じて疑ってなかっただけに、その突然過ぎる衝撃と悲しみに打ちのめされました。死因は歯科治療による感染症だったそうです。

トラヴィス・ヒル。「Ooh Poo Pah Doo」のヒットで知られるジェシー・ヒルの孫であり、トロンボーン・ショーティ、ジェイムズ・アンドリューズとは従兄弟に当たるという、28歳のトランぺッター。

昨年もゴールデンウィークに来日し、関西で活躍するBLITZ & SQUASH BRASS BANDと共にニューオーリンズ仕込みの素晴らしいステージを披露してくれました。そして今年も、昨年に続いてBLITZ & SQUASH BRASS BANDとのジョイントによる来日ツアーが企画され、5月3日、代々木公園で開催された「シンコ・デ・マヨ・フェスティバル」がその初回でした。ですが、哀しいことに、それがトラヴィス・ヒルにとって最後のステージとなってしまいました。

「Mardi Gras in New Orleans」に始まり、「Caribbean Secondline」、そして最後を「When the Saints Go Marching In」で締めるという3曲、およそ20分という短いステージではありましたが、私のようなトラヴィスを観に来たニューオーリンズ好きはもちろん、イベントを楽しみに来ていたラテン系な人達をも巻き込んでの、濃密且つ楽しさに溢れたステージでした。

トラヴィス・ヒルは、このとき既に体調及び口内の状況が悪かったのではないかと思われますが、そんなことはまったく感じさせない流石のエンターテイナー振り。BLITZ & SQUASH BRASS BANDを従え、センターでトランペットを吹く勇姿は存在感抜群。トランペットだけではなくパーカッションも叩いてましたし、「Mardi Gras in New Orleans」では歌も歌ってくれました。また、ステージ前方に進み出て観客を煽ったり、前方に小さな女の子を見つけ嬉しそうに愛嬌を振りまいたりする姿は特に印象的でした。終始にこやかでとても元気そうに見えたのですが。

今になって思えば、パーカッションを叩いていたのは、あまり長くトランペットを吹くことが出来なかったからなのかな?とも思えたり。そう考えると、それでもステージで最高の演奏を届けようとするトラヴィスのミュージシャンとしての強い思いを感じさせられますし、ステージ上でのトラヴィスの姿は本当に素晴らしかったです。私はその勇姿を一生忘れないでしょう。






トラヴィス・ヒルの御遺体はニューオーリンズに帰り、5月23日に葬儀が執り行われたようです。きっと盛大なジャズ・フューネラルで送られたことでしょう。なんてったて、ニュー・バース・ブラス・バンドやリル・ラスカルズ・ブラス・バンドなどでならしていたという彼ですからね。


トラヴィス・ヒルさん、安らかに。





トラヴィス・ヒルのプロフィールと、来日から亡くなられるまでの経緯は、「ブルース銀座』さんのブログに詳しいです。→http://black.ap.teacup.com/sumori/1620.html



Move Your Body / Rebirth Brass Band
最近では、昨年リリースされたリバース・ブラス・バンドの最新作でも1曲トランペットを吹いていました。


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