肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

(超)少量のインターフェロンの体験のすすめ ステップアップ法 ソブリアードを始める前に

2014年08月31日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療
 
最初から普通の量のインターフェロンをすることで、一気に副作用が出て、辛いめにあうという体験をされている方も沢山います。
最初から助成制度を使って行うには、心配という方もいるので。副作用が本当に出さない量でいけるか、量を調節してみたいという方には少量のインターフェロンで体験してから、本格的な治療へというステップアップ法がお勧めです。
超ってつけました。普通に少量だと半量とかで言う先生も多いので、この方法だと最低80分の一の量からの開始になりますので、16分の1以下なら超といってもいいかなあと思います。2014.9.3追記

月1回、ペグインターフェロンを少なめから開始していきます。当院では20分の1からはじめる方もいます。インターフェロンのすごいのは、9(180の20分の1)でも炎症を抑える事ができる人がいると言う事なんです。どんだけ人によって効きやすさに幅があるか、これだけでもびっくりです。体調が大丈夫そうだという事なら、ペガシスを次は18,30,45,90と増やしていき、90位まで増やせると半分以上の方にALTやAFPの改善が見られてきます。
これは、強ミノCを週3回しても得られない効果である事も多く、4週間で12回通院するより、月1回の通院でそれ以上の効果が出ると言う事で喜ばれています。なので、まずは1回はチャレンジして欲しいと思えます。
こんなに楽ちんならできるって言ってくれる方がほとんどです。もちろんだるくてだめだわとこの量でもいう場合もあるので、これまた幅があるなあと実感します。

道内の方であれば通院でされている方も多いです。
道外の方だと副作用が心配だと思うので、3日くらい入院してもられば、これならできそうって場合には十分感触が確認出来ます。
このときに重視しているのは、ちょっとでもしんどいなあって思うようなら無理しないでいきましょうって事です。

このやり方を応用すると、ソブリアードをリバビリンと併用で開始する前に、まずはインターフェロンが大丈夫なのを確認して、リバビリンを一つだけ飲んで大丈夫かを確認して、これならいけそうって事でソブリアードへ以降ってこともできます。リバビリンを追加する時にいろんな副作用が出てくるので、それで耐えられる量を探していくとこれならいけそうってなって、そこでソブリアードをのせていく。
量が少ない場合はもちろん効果も少ないとなる事を覚悟してやる事になりますが、最初からあきらめているよりははるかに効果的です。ウイルスを減らし陰性化ができた期間は肝臓にとって非常に貴重な回復期間となっているようです。ALTが正常値になる、倦怠感がとれるなどの症状がある方もいます。
是非、一度はインターフェロンをできるか試してほしいと言える方法かなと。

ただ、インターフェロンが向かない方には勧めませんが、少量だと大丈夫と続けられる方もいますので、何とかする方法はないかと探している方は是非ご相談下さい。
緑愛の相談窓口でも、ブログのコメント欄で連絡先を書いていただければそれでも構いません。
札幌緑愛病院 地域連携室直通 011-350-1030です。FAXは011-886-7072です。他の病気の相談もこちらでは受け付けています。
ブログのコメント欄では、メールアドレスを一緒にご記入ください。個人情報が入っている形では公開しませんのでご安心ください。気軽に相談してください。心配している方が免疫力下げちゃいますから。全国から来院される方もいますので、受診の形も大丈夫ですよー。
利用者の環境によってメールアドレスがはじかれることがあるので、メールアドレスのアットマーク@のところをアットマークとかってカタカナでいれて送ってくれると入力し直してお返事しますので、遠慮なく相談ください。いまのところはお返事できる件数なので、お答えできると思います。

テラビック少量からの導入でウイスルが消失した慢性肝炎(C型)の患者さん 1b 高ウイルス量

2013年05月07日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療
 
67才女性 1b 6.9LogIU/ml 慢性肝炎(C型)後期
2006年11月保健所の肝炎ウイルス検査にてC型肝炎を指摘
2006年12月近医受診し2007年48週間ペグイントロン+レベトールするも無効
その後の肝生検でCH(F3/A2)であったことから、医療講演を聞き
2009年 4月当院初診 
      5月PSE施行後ペガシス90コペガス400開始
      7月甲状腺機能亢進にてメルカゾール使用
10月18週でウイルス3台となりコペガス600に増量
11月陰性化にて72週治療とした。
2010年 10月終了 その後再燃
2012年 5月副作用が出ない量を追求すべく
テラビック2250mgのところ500mgとして
ペグイントロン80を60として、レベトールを600mgを200として開始
1週目で陰性化、3週目に副作用大丈夫そうとのことで
テラビックを1000mgにし12週でテラビック終了、
その後疲れとれなくなり眼瞼浮腫が出現8月末17週でペグレベも終了した。
クレアチニンや尿酸値には変動はなかった。
辛くなったら終了の予定であったので本人も納得。その後SVRとなった。


長期インターフェロン治療 7年目にして陰性 SVR達成しました

2013年05月07日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療
 
以前7ヶ月陰性化が続いていたとのせていた患者さん、SVR達成しました。IL28bも測定してみたら、予想どおりマイナーでした。
IL28bは当初、測定しない方がいいと患者さんが治療にがんばれなくなると危惧していましたが、今だと次の治療が言える状況になってきたこともあって測定の意義がプラスに変わって来たなと思います。あとは保険適応になってくれると多くの患者さんにとって有用な情報になってくれるかな。

患者さんは50代男性。
高ウイルス量にてインターフェロンを開始するも、陰性化せず、ALTが100を超える状態が継続していたため、2004年1月からイントロン+レベトール治療を開始してから、これしかもうないからとずうっとインターフェロンを継続している患者さんです。
2年目にして陰性化するようになりましたが、その後継続せず、陽性と陰性かを繰り返していました。6年たったころ、フェロンでレベトールが使えるようになったため、変更、連日投与の時は陰性化したのですが、その後再陽性化、それでも継続していたら、陰性化するようになり、現在2010年11月時点で陰性化7ヶ月目になりました。
αよりもβの方が倦怠感は楽になっていると喜んでくれています。このまま副作用無く、陰性化が1年半続き終了。SVRを達成しました。
使ったインターフェロンは
βモチダ600万単位 56週投与
OIF500万 6ヶ月投与
イントロン+レベトール
ペガシス+コペガス
ペガシス+レベトール自費購入
フェロン+レベトール
です。

78才(82才から修正)男性 2a 高ウイルス量 長期投与で陰性化 SVR確認

2012年02月29日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療

【症例5】78才(81才と書いてたのですが、終了したときの年齢を書いちゃった)男性 genotype 2a IFN開始前 HCVRNA(タックマン法)5.2LogIU/mlインターフェロン療法は年令や体力的にも副作用の少ない治療を希望し、2008年5月から月1回PEG-IFNα2a30μgにて開始、副作用が出現しないことから6月から45μgに増量、9ヶ月目に90μgを試みるもだる身が強いことから45μgにもどし月2回を継続した。ウイルス量は11ヶ月目まで変化なく、5月から減り始めこのときALTも正常化している。14ヶ月目には<1.2検出ありとなった。11月には<1.2検出せずとなり、その後陰性化が継続し肝臓の細胞が入れ替わる期間を十分に過ぎた2011年7月に終了し、10月まで陰性化持続中である。と前回伝えていた方ですが、2012年1月に陰性化を確認。SVRとなりました。よかったあ。

72歳女性 2b 高ウイルス量 長期投与にて陰性化に入った スライド追加

2012年02月29日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療

先日、抄録風にのせた患者さんのスライドを作ってみました。治療の経過がわかるかなあ。2011.12.28作成
【症例3】72才女性 genotype 2b 2007.6.5肝生検にてCH:A1,F1
 IFN開始前HCVRNA(タックマン法)6.4LogIU/mlSNMCを週3回投与中であり、ウイルス量は多いがgenotype 2bであることから副作用の少ない少量での効果を期待し2007年6月から月1回PEG-IFNα2a45μgにて開始、ALTが改善するもウイルス量は陰性化ならず、7ヶ月後(2008年1月)90μgに増量、その後SNMCは週3回から12ヶ月目(2008年6月)週1回に減量、食欲不振増強し15ヶ月目(2008年9月)休薬、2008年11月より45で再開、23ヶ月目(2009年5月)ALTが20前後となりSNMCは中止、26ヶ月(2009年8月)より月2回に増量、ウイルス減少傾向となる。
35ヶ月目(2010年7月)ペガシス60に増量、37ヶ月目(2010年9月)ウイルス量は<1.2検出ありまで減少。31ヶ月目(2011年1月)ペガシス90に増量、37ヶ月目(2011.7.8)からペガシス135μgに増量として、現在もほとんど副作用無く継続中である。2011.10.14より<1.2検出なしを継続中

4年近く治療になりますが、月2回でこの量なら副作用無くできる治療という感じ調整をしてしのげている人です。
前回スライドつけてなかったのでつけました。すみません。

週換算6%のインターフェロンで陰性化した 76歳 C型肝硬変 1b 高ウイルス量

2011年12月28日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療

肝硬変症(C型)genotype1b 100から200k(2007年1月)76歳女性
1993.4.9腹腔鏡検査にて島田分類510番地、肝硬変と診断。
2007.1.10ペガシス90にて月1回施行うつ気味となり3ヶ月目(2007年4月)で中止5月採血にてウイルス量9.9kであった、このときS5 14mm 肝癌認め加療。6ヶ月目(2007年7月)からペガシス45で再開、27ヶ月目(2009年4月)にもS6 4cm 肝癌認め一時中断し加療後、29ヶ月目(2009年6月)再開継続した、37ヶ月目(2010年2月)陰性化するも、43ヶ月目(2010年8月)に5.5LogIU/mlその後44ヶ月目(2010年9月)から陰性化持続52ヶ月目(2011年5月)が41回目の最終からウイルスでていない。

高ウイルス量と言っても、少ない方の高ウイルス量ですが、副作用も少なく、とても少ない量で陰性化できたのでよかったと喜んでいました。

肝がん治療後少量長期インターフェロン 75才女性

2011年12月28日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療

この患者さんは、肝がんが見つかり、ラジオ波焼灼術、肝動脈注入療法を繰り返した患者さんでした。C型肝炎ウイルスの型と量はインターフェロンがとても聞きやすいタイプだったので、最初の肝がんの治療後、インターフェロン療法を勧めましたが、年齢と体力的に自信がないので、受けたくないと言っていた方でした。2010-02-19更新後 2011-12-28

さすがに3回めの肝がんを治療して、もう肝がんが少しでも出来なくなるようにやってみたいと言うようになり、インターフェロンを検討しました。

副作用が出ないようにしたいという希望から、本来ペガシス180週一回、24回で治るだろうと思われたかたでしたが、4分の一の45の月1回の通院ペースで開始しました。徐々に増やしていくことも検討しようと思っていましたが、3回目のインターフェロン2ヶ月目の採血で陰性化、一年半の陰性化が持続できれば消える可能性が有るからとそのご18回インターフェロンをして終了としました。副作用もほとんど無かったので、これなら続けられるからとがんばりました。量が少ないので、再発したらもう一度続けましょうと言うことでやめましたが、うまく陰性化することが出来ました。

週一回の投与半年よりも、普通に通院する月1回ペースで治療が出来て患者さんの負担がとても少なくできたことはよかったと思います。肝がんの治療後、高齢者であっても、やってみてうまく行くなら続けましょうということも、ありなんだなあと思った患者さんでした。

スライドを新しく作り直してみました。

週換算6.25%以下のインターフェロン少量投与が効果的であったHCVgenotype1b 高ウイルス量の1例

2011年12月03日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療
学会の抄録風に書いています。HCVのgenotype1bにしては高ウイルスの中では量が少ない人でしたが、月一回で陰性化された方なので、治療の反応性をみて治療することが有用だという1例になればと思います。

インターフェロンの少量長期投与による発がん抑制などのデータが蓄積されつつあるが,ウイルスの陰性化を期待して積極的に試みる症例の報告は少ない.今回,我々が経験した,週換算6.25%以下のインターフェロン少量投与が効果的であったHCVgenotype1b 高ウイルス量の肝癌合併C型肝炎の症例を報告したい.同様の治療をされている先生方の参考になれば幸いである.
【症例】76才女性 genotype 1b IFN開始前 HCVRNA(ハイレンジ法)100から200KIU/ml1993年4月 腹腔鏡検査にてC型肝炎と診断。PEG-IFNα2a が保険適応となり,副作用が少なくても進行や発がん抑制の可能性を期待して副作用少ないIFN治療を希望された.
2007年1月PEG-IFNα2a 90μgにて月1回施行,その後うつ気味となり2007年4月で中止.しかし2007年5月にはHCVRNA9.9KIU/mlと減少していたことから,PEG-IFNα2aの抗ウイルス効果が期待できると思われた.しかし同時期S5 14mm 肝癌認め加療.肝癌の再発抑制を期待し,2007年7月から再度PEG-IFNα2aを検討.再開時はうつ状態が出現しないよう,前回の半分のPEG-IFNα2a 45μgで再開した.その後さらに2009年4月にもS6 4cm 肝癌認め一時中断し加療後,再開継続.2010年2月にHCVRNAが陰性化し始めた.2010年8月に5.5LogIU/mlとなるも,その後2010年9月から陰性化持続.2011年5月のうつ状態が出現し41回目で中止.その後ウイルスはでていない.2011年11月にはSVRとなったか確認できる予定である.
【結語】HCVgenotype1b 高ウイルス量の肝癌合併C型肝炎の症例でPEG-IFNα2aの週換算6.25%以下投与にてHCVRNAの陰性化に向かった症例を経験した.患者の合併症のみならず生活スタイルに合わせた投与方法は患者のQOLの維持にもつながり,さらなる効果的な治療を見いだしたい.

週換算25%以下IFN少量投与 HCVゲノタイプ1b 高ウイルス量以外の6例

2011年11月30日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療
この間、少量長期で効果的だった患者さんをその後の経過と新たに加わった方を入れて、書いてみました。学会の抄録風の書き方なこともあって読みにくいかなあ。2011.11.30現在

題名 
週換算25%以下のインターフェロン少量投与が効果的であったHCVgenotype1b 高ウイルス量以外の慢性肝炎の6例

内容
インターフェロンの少量長期投与による発がん抑制などのデータが蓄積されつつあるが、ウイルスの陰性化を期待して積極的に試みる症例の報告は少ない。今回、我々が経験した、週換算25%以下のインターフェロン少量投与が効果的であったHCVgenotype1b 高ウイルス量以外の慢性肝炎の症例を報告し、同様の治療をされている先生方の参考になれば幸いである。

【症例1】84才女性 genotype 2a IFN開始前 HCVRNA(ハイレンジ法)25KIU/ml小柄な高齢の女性であり、副作用の合併を危惧して、IFNをしない方向で、SNMCの注射を続けていた。しかし、ALTが高値であり肝硬変や肝癌への進展を心配し本人の強い希望あり、2005年7月、PEG-IFNα2aを90μg2週一回で、開始し、4週目には陰性化(アンプリコア法)た。4回の施行で大腸癌で入院となり中断。その後もHCVRNAの陰性化が持続し、SVRとなる。

【症例2】75才女性 肝癌治療後 genotype 2a IFN開始前HCVRNA(ハイレンジ法)100KIU/ml未満
小柄な高齢女性であり、副作用を危惧しIFNをせずに経過を見ていたが、肝癌を3回治療、少しでも再発の機会を減らしたいと、3ヶ月再発がないことを確認し、2007年7月よりPEG-IFNα2a45μgを月1回で開始。2ヶ月目には陰性化していた。一年半の陰性化を確認し2008年9月に終了。その後SVRとなる。

【症例3】72才女性 genotype 2b 2007.6.5肝生検にてCH:A1,F1 IFN開始前HCVRNA(タックマン法)6.4LogIU/ml副作用の少ない治療を希望し、2007年6月から月1回PEG-IFNα2a45μgにて開始、5ヶ月後ALTが改善するもウイルス量は陰性化ならず、90μgに増量、その後SNMCは週1回に減量でき、2009年9月ALTが20前後となりSNMCは中止、効果増加を狙い2週に1回に増量、16ヶ月目ウイルス量は<1.2検出ありまで減った。2011年7月からペガシス135μgに増量として、現在もほとんど副作用無く継続中である。2011年10月より<1.2検出なしを継続中。

【症例4】76歳男性 genotype1b 低ウイルス量 狭心症の合併症があり副作用の少ない治療を希望され、2007年4月から月2回PEG-IFNα2a45μgにて開始、その後えりも町にて継続、2008年12月から90μgに増量し、2009年2月からタックマン法で陰性化。2010年10月終了、SVRとなる。

【症例5】81才男性 genotype 2a IFN開始前 HCVRNA(タックマン法)5.2LogIU/mlインターフェロン療法は年令や体力的にも副作用の少ない治療を希望し、2008年5月から月1回PEG-IFNα2a30μgにて開始、副作用が出現しないことから6月から45μgに増量、9ヶ月目に90μgを試みるもだる身が強いことから45μgにもどし月2回を継続した。ウイルス量は11ヶ月目まで変化なく、5月から減り始めこのときALTも正常化している。14ヶ月目には<1.2検出ありとなった。11月には<1.2検出せずとなり、その後陰性化が継続し肝臓の細胞が入れ替わる期間を十分に過ぎた2011年7月に終了し、10月まで陰性化持続中である。

【症例6】57才女性 genotype 1b 2001年8月肝生検にてCH:A1,F1 IFN開始前HCVRNA(タックマン法)3.9LogIU/ml
副作用の少ない治療を希望され2010年11月から月2回PEG-IFNα2a90μgにて開始、1週目でHCVRNA1.2未満陽性、5週目に陰性化したことから、24週間12回の投与で終了。しかし、5ヶ月後再燃、ウイルス量は2.8LogIU/mlであった。現在再投与を検討中。

【結語】C型慢性肝炎のgenotype1b 高ウイルス量以外の症例で
インターフェロンα2aを用いて週換算25%以下投与にて陰性化もしくは陰性化に向かった症例を経験した。患者の合併症のみならず生活スタイルに合わせた投与方法は患者のQOLの維持にもつながり、今後さらなる工夫が期待される。

C型肝炎におけるインターフェロンの少量長期の発がん抑制について

2011年09月09日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療

2011年の肝癌研究会で長崎の八橋先生がわかりやすくまとめてくれたデータから作ったスライドです。
この例に当てはまる人は、発がん抑制効果が出ていることがわかっているというもの。これからわかってくる場合ももちろんあるので過去のデータとして認められてきたものと思ってもらえればいいのかなと思います。
AFPやALTが低いほど発がん抑制効果が出てきている。
長期の投与期間が、慢性肝炎や肝がん治療後の人では2年以上、肝硬変の人は1年以上あると発がん抑制効果が出てきているようだと言うことなんですね。
副作用無く長期に使える量が、本当に効果出てくれるなら、ありがたいです。

長期インターフェロン治療 7年目にして陰性7ヶ月持続

2010年11月12日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療

患者さんは50代男性。
高ウイルス量にてインターフェロンを開始するも、陰性化せず、ALTが100を超える状態が継続していたため、2004年1月からイントロン+レベトール治療を開始してから、これしかもうないからとずうっとインターフェロンを継続している患者さんです。
2年目にして陰性化するようになりましたが、その後継続せず、陽性と陰性かを繰り返していました。6年たったころ、フェロンでレベトールが使えるようになったため、変更、連日投与の時は陰性化したのですが、その後再陽性化、それでも継続していたら、陰性化するようになり、現在2010年11月時点で陰性化7ヶ月目になりました。
αよりもβの方が倦怠感は楽になっていると喜んでくれています。このまま副作用無く、陰性化が1年半続いたら終了とする予定です。がんばれるといいなあ。
使ったインターフェロンは
βモチダ600万単位 56週投与
OIF500万 6ヶ月投与
イントロン+レベトール
ペガシス+コペガス
ペガシス+レベトール自費購入
フェロン+レベトール
です。

JDDW2010 横浜にて 発表してきました-

2010年10月15日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療
今回、消化器の先生方が集まる一番大きい国内の学会に行ってきました。

私も少量長期で、うまく治った患者さんの紹介をしてきました。遺伝子などの最先端の研究とは違って、患者さん一人ひとりに可能性が有る治療を見出していきたいというスタンスの発表なので、なかなか、学会の世界では取り上げにくいところですが、今回発表の機会が得られてよかったです。私のブログではちょこちょこだしている内容のものなので、みなさんは見てきているかな。
この量で効果があるなんてと驚かれる先生がたくさんいました、本当におもしろいねえと感想を述べてくれた先生もいて、よかったです。本当はもっと奇跡的と思われる患者さんを経験している先生ってたくさんいると思うんだけど、学会で報告するほどじゃないしなあって、してない先生多いんです。ですから、最先端の遺伝子などの分析が無くても、こういう発表も臨床医にとって勇気を与えられたらって思って発表しています。

スライドは、以前もだしている内容のものなのでリンクしておきます。
15高齢な方のインターフェロン療法 C型肝炎
 

肝がん治療後少量長期インターフェロン 75才女性
 

ペガシス18μgとコペガス400mg 72週投与成功例
 

ペガシス180から18μgへの減量しても著効した1例 2010年7月21日更新
 

本当に、患者さんを何とか治してあげたいって先生がたが、少量長期の治療に取り組んでいることがやっと学会でも取り扱うようになってきたんだなあと思います。私の発表は去年もだしいてるんだけどその時は採用されなかった内容なんですよね。
新しいものが注目される中、本当に患者さんの今を何とかしたいと思う臨床医がたくさんいることがわかるってうれしいことです。

遺伝子の分析も、大学とか大きい肝臓の病院では分析が進んでいますが、まだまだ、患者さんにとっていい話につなげ切れていない感じがします。調べなくても、インターフェロンの反応で判断していいのになあって、効果があると思って治療していくことが効果がない人にも奇跡的な効果を生むことを可能にするから。

少しでもよくなる可能性を見出していくことが臨床医の仕事で、よくならないタイプですなんて患者さんに説明していいことがあるとは私には思えないんです。よくならないタイプならあきらめなさいなんて説明されたら、奇跡的に治る人たちなんて出てこなくなっちゃうんですよね。よくならないタイプとはでているけど、炎症を押さえたり、肝がん抑制の効果や治る可能性だってゼロではないことがわかっているから、効果を狙ってインターフェロンをすることで次につながるから頑張りましょうねって言える先生に最低かかって欲しいなあなんて、偉そうな事言ってたらしかられそうだけど。

医者はその時の知識で判断する仕事ですから、今調べてわかったことを伝えることは間違いではないと思っている先生が多いかもしれないけど、患者さんに希望を与えず、悪いことを伝えることは絶対にいいことはないんです。なんて、熱くなってしまいましたー。
今やれることをいまいいと思うことを続けていくことが、次につながると信じて行くのが私たちの仕事なんだろうなあ。

奇跡を期待する患者さんに、奇跡だと思っていることを起こすために奇跡が起きて当たり前と思って取り組んでいくことが、夢をかなえる力になるんだと思います。昔奇跡だと思われたことが今は当たり前になってるんですから、人の体にはそういう奇跡が起こる力がたーくさんあるんです。
そういうことがわかっているお医者さんも、たくさんいるので、どんどんつながっていきたいです。

ペガシス180から18μgへの減量しても著効した1例 2010年7月21日更新

2010年07月28日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療

先日、ペガシス18μgでウイルスが消えた患者さんの経過をのせたことがありますが、今回も、180から開始して減量していった結果、18で著効がえられそうな患者さんを経験したので報告します。7月のウイルスチェックで陰性化なら、SVRとなる方なんです。2010年7月21日、確認できました。著効しました。

1bの高ウイル量の患者さんで、ペガシス180μg、コペガス錠600mgで開始しました。5ヶ月目から、好中球の減少が強くなり、90、60、30と休薬や減量を繰り返し、最終的に18で継続可能であった患者さんです。
ウイルスの消失は3ヶ月以内であったため、かなり効果が期待できる方でしたが、減量をした期間が長かったため、72週を目指して、18で7ヶ月間継続しました。

自覚症状のでる副作用は少なく、長期に継続することが可能でした。ウイルスが陰性化している限り、インターフェロンの量が少なくなっても継続することに意義があるんだなと勉強させられた患者さんでした。患者さんによって最適な量が最初からわかるならいいのですが、いまはまだ、試行錯誤で結果がよければよかったとしか言えないところが辛いところですが、少ない量でも効いている方がいることを知って頂ければ幸いです。

肝がんや静脈瘤があっても治療してインターフェロンできる人がいる

2010年05月24日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療

C型肝炎ウイルスによる肝硬変で脳症や腹水、食道静脈瘤や肝がんがあった患者さんの治療でインターフェロンまで可能になった患者さんがいました。
肝性脳症や腹水がある場合は、インターフェロンはできないし、肝がんの治療もできない、食道静脈瘤は赤くなってきていて出血破裂をする可能性があるから何とかならないかということで、受診しました。食道静脈瘤に対しては内視鏡的静脈瘤硬化療法をしなくてはいけない状態だったので、硬化剤を注入する硬化療法をして、部分的脾動脈塞栓術をしたところ、脳症がでなくなって、血小板も3.5万から14万まで増えてくれたので、肝がんの治療ができることになり、腹腔鏡下マイクロ波凝固療法とRFAを追加して、その後肝がんの再発がない状態で、脳症や腹水も出なくなった状態が続いたので、少量インターフェロン療法をすることができました。
いつも、うまくいくとは限らないところはありますが、部分的脾動脈塞栓術が非常に効果的であった患者さんでした。
上のスライドは、部分的脾動脈塞栓術の前後のCTでの脾臓の血流低下と血管造影の血流の低下を示したものです。下のスライドは脳症の指標の一つのアンモニア値の推移と治療の経過を示したものです。静脈瘤の硬化療法がEISと書いているところ、部分的脾動脈塞栓術はPSE、肝がん治療はLMCT、RFAと書いているところです。治療開始から7ヶ月でここまでいろんな治療ができるようになった方だったので、とても勇気づけられる患者さんでした。
 

70代女性のインターフェロン併用療法の話 その後

2010年01月20日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療

先日70代の方の治療がうまくいった話をのせました。詳しい内容をみんなに教えてあげていいですかと電話で確認したところこころよくOKしてくれたので、詳しく書きたいと思います。

年齢は72才、札幌から車で5時間のところに住んでいる方です。医療講演で70代の方もインターフェロン療法を検討できる話をして、その後の療養相談で、相談を受けました。
地元では、年齢と体力的な面から、ネオファーゲンの注射で、様子を見ましょうと言われていて治療を受けていたのですがもっと良くなる治療はないかと、相談に来ていたわけです。

そこで、70代でも副作用を見つつしっかり治療が出来ていることもあることをお話しし、つらかったら、減量したりして、ネオファーゲンの代わりの効き目位を維持することも出来る人がいることも話し、まずはやってみてはどうですかと話していきました。副作用が心配だから、どうせやるなら、札幌で半年間入院するくらいのつもりで行きますと、やる気になっていました。もちろん、落ち着いてくれば地元に来ている専門医の先生が治療を継続できるとわかっていたので、その時は相談してみますからまずは出来るか、試してみましょうって形で。

入院して、肝生検をしたら、慢性肝炎(C型)の軽い時期で、ウイルスの型も2a型、ウイルス量も4.6LogIU/mlと少なく、治療の効果は充分期待できるとわかりました。単独療法で半年間という手もあるのですが、なんとか1回でより確実な治療法をと希望されたので、ペグイントロン80μg、レベトール600mgの標準量で開始しました。その後は減量することもなく、初め口内炎が出たりしたのですが、2ヶ月もすると落ち着いて、家に帰りたいって事で地元の先生にお願いし、地元で残りの4ヶ月をしたんです。

そしたら、副作用が全くなく,ご飯も美味しく食べれて、最終的には、治療終了後半年たっても、ウイルスが出てこなかったんですね。やはり、家で美味しいものを食べながら治療をすることってすごいんだなと思いました。自然の中で体に良いこといっぱいって環境も良かったんでしょうし、もちろん、患者さんが副作用の少ないタイプであったことも幸いしたんでしょうね。地元の専門医の先生もびっくりしていたと言っていました。普通ならしないけどしてよかったねと言われたそうです。
高齢者の治療はまだまだ、専門医の間でも経験が蓄積されていないので、今後とも、効果のあった患者さん副作用のあった患者さんを検討して、その人にあった治療法を探していきたいと思いました。 2010.1.20

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