肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

肝硬変の患者さんへの線維化改善薬の治験の結果の話し

2018年07月22日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
 
このスライドは、この治療薬の説明のスライドです。肝硬変が治る。それだけでも嬉しい言葉です。肝臓の写真はインターフェロンで治ったC型肝炎の肝硬変の患者さんのものです(武蔵野の泉先生からいただいた写真です)。イメージとしてみてください。

北大の坂本教授の講演会に行ってきてその中で嬉しい話を紹介します。
○肝硬変の患者さんへの線維化改善薬の治験の結果の話し
この薬は繊維を溶かす薬と言うより繊維が出来ないようにすることで体の自然とある繊維を溶かす力で柔らかくするという感覚の薬です。
北大での治療では3分の1の人が改善したとのこと。改善した後アルブミンが増えたり肝機能の改善も確認されてきたと言うことで、柔らかくなることで肝臓の働きが改善してくることもわかってきてるとのことでした。ウイルスが消えたあと硬さが戻らない人たちにもいい薬になりそうです。

どちらも肝硬変の時期の患者さんにとっては待ちに待った薬になるので早く安全性が確立されて使えるようになってほしいですね。

B-RTO、EVL、EISのムービー更新 2012.3.5

2012年03月05日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
動画の登録をし直しました。
以前より鮮明な画像になっているので、治療の様子が知りたい方は是非みてみてください。
ちなみに血が苦手な方はみないことをおすすめします。
07-3食道静脈瘤の内視鏡的治療 注入時ムービー
08-2食道静脈瘤破裂のEVL(結紮術)による止血ムービー
10-2胃静脈瘤のB-RTO ムービー

B-RTO、EVL、EISのムービー更新

2009年06月14日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
治療中のムービーを更新しました。以前よりきれいな画像でアップできるようになったので試してみました。
10-2胃静脈瘤のB-RTO ムービー
08-2食道静脈瘤破裂のEVL(結紮術)による止血ムービー
07-3食道静脈瘤の内視鏡的治療 注入時ムービー

11-3部分的脾動脈塞栓術の脾臓ムービー

2008年01月02日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
      
部分的脾動脈塞栓術のあと、脾臓を3Dにした映像です。上側の薄い灰色の部分が血流が無くなった脾臓の部分で、下側の赤茶色の部分が残った脾臓の部分です。これは1例で、いろいろなパターンの血流の落ち方がありますが、この位詰めることで効果が出てくると言われています。

11-2部分的脾動脈塞栓術の効果と今後の検討

2008年01月02日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

部分的脾動脈塞栓術での効果は、脾臓摘出と同じような効果があります。肝臓の機能を改善する効果があり、肝臓に関連する治療の中では、珍しいくらいいい方向に期待できる治療です。しかし、発熱や痛み、門脈血栓などのつらい副作用が有ることがありますので、必ず主治医と相談しつつ行う治療です。

今後の検討として、脾臓の機能の解明やより安全な手技の開発という部分があります。まだまだ未知の部分もあり、これからもっともっと改善が期待される手技でもあるかなと思います。

11-1部分的脾動脈塞栓術

2008年01月02日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

門脈圧が上がった状態を改善する治療の一つに部分的脾動脈塞栓術があります。もちろん、外科的に脾臓を摘出することも同じ効果をもたらすのですが、肝臓の状態が手術的に負担をかけることが望ましくない場合など、外科や麻酔科が手術を選択できない場合がまだまだ多く、内科的に行える、この治療が必要となります。

発熱や痛みなどの副作用が10年前は強かったため、内科でも、この治療はしない方がいいのではと言われてきましたが、最近では、塞栓の詰め物の入れ方が色々と検討され、副作用がコントロールしやすくなったことで、行う医療機関が増えてきました。しかし、まだまだ、術者でのばらつきがあり、手技としての完成が期待される分野でもあります。

私の経験からは、門脈圧を下げることで静脈瘤が改善したり、血小板が増えることでインターフェロン療法が可能となったりと大変患者さんに望ましい効果がでています。

11B-RTO前後 肝性脳症や肝不全の改善も

2008年01月02日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

B-RTOは胃静脈瘤の治療として当初開発されました。しかし、門脈の血流が肝臓を通らすに下大静脈へと流れるシャントを減少させる効果もあり、脳症が起こりやすくしていたアンモニアが通る道筋をブロックすることで肝性脳症が改善するという、メリットも確認され、現在は治療に生かされています。

このスライドは、B-RTO前に脳症がアミノレバンの点滴をしてもなかなかとりきれなかった患者さんが、B-RTO後、アミノレバンの点滴も不要となり、元気となったときのアンモニア値の経過です。この方は門脈の血流も良くなり、ICG値も改善してとてもいい結果になった方でした。

B-RTO後、ICGは全体のB-RTO患者さんのデータで見たときには5年分くらい改善していることがわかっています。

10-2胃静脈瘤のB-RTO ムービー

2007年12月30日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
      
このムービーはB-RTOの際に、あらかじめ撮影をしたものです28秒くらいのところで、門脈への血流が見えるのですが、副腎静脈から胃静脈瘤を通って門脈へ造影剤が逆流して撮影しているものです、普段はこの逆に流れています。
B-RTOでは、静脈の血流の下流側に風船でつっぺをするため造影剤が逆流するのでこの撮影法が可能となり、最終的には静脈瘤の部分に硬化剤という薬を入れて治療をして終了します。
硬化剤の停留が非常によい場合はほぼ100%の治療効果が得られ、胃静脈瘤が消失することになります。B-RTOが開発される前には、こういった静脈瘤には内視鏡的に薬を注入するか、外科的に治療をするしかなかった時代でした。

10-1胃静脈瘤の治療 B-RTO

2007年12月30日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

胃静脈瘤の治療の中でも、孤立性胃穹窿部静脈瘤という静脈瘤に対しては、B-RTOという治療が大変有効です。
孤立性の胃穹窿部静脈瘤というのは、胃静脈瘤は食道静脈瘤とつながって発生することが多いのですが、それが、血流の関連から少し離れたところに発生していて、その血流が脾臓から副腎静脈への途中にあることに着目して開発された治療です。現在は何通かの血流に合わせて治療にはいる血管がわかれますが、最も多い治療に使用する血管は副腎静脈です。

この治療は、1991年当時、勤医協の中央病院の肝臓内科の金川 博史先生が開発した治療です。北海道発信の治療法で、大変有効性が高くいまも進歩が続いています。この治療が開発される以前は、胃静脈瘤の大量出血で命に関わっていた患者さんが多かったのですが、B-RTOにより、予防的に出血前に治療することが出来るようになり、患者さんもたくさん救われるようになりました。また、B-RTO以前は、胃カメラによる2から3回の治療が必要でこれもまた、患者さんにとって楽な治療法が開発されたことになり喜ばれました。しかし、すべての場合に出来るわけではなく、合併症もありますので、治療の際には必ず主治医に話を聞きましょう。

スライドは左が治療前、中央の写真が治療時、右が治療後です。
上が食道、下が胃で、下の胃のところに出っ張っている静脈瘤が、治療後は無くなっていることがわかります。

最近はB-RTOのみで完了しない場合は、早めに胃カメラによる治療を追加することも検討しています。

09-2食道静脈瘤の治療戦略経過

2007年12月30日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

静脈瘤の治療が終わったあと、再発する場合があります。これは、1カ月後、3ヶ月後、半年後と経過を見ていき、小さいうちに治療をすることで、短期間の入院で済むようになってきます。しっかり再発が出来上がるまで待ってしまうと入院期間が長くなってしまうので、早めはやめにチェックして、早期に治療を受けることが望ましいです。

もちろん治療を一度していると再発形式も小さい状態なので最初の入院よりは短く済む場合がほとんどでヒートプローブ(HPU-ST)地固め療法だけで済む場合は7日前後で済んでしまいます。

私たちの経験では、早ければ1度の治療で再発はなくなりますし、長くても、3年間くらい頑張って治療するとほとんどでることが無くなります。

09-1食道静脈瘤の治療戦略

2007年12月30日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

食道静脈瘤は、現在、私たちの経験では、血管内注入療法(EIS)が再発が少なく、適応の範囲が広い治療ですが、静脈瘤を作る血管が単純な場合などは輪ゴムでしばるEVLを選択します。この治療を週に一回から2週に一回行い、1カ月ほど繰り返すとほぼ太い血管は消失します。その後、食道粘膜内の細かい血管をヒートプローブで焼灼(地固めということが多い)して再発がしにくい形にしています。

その後細かい血管がそれでも再発する場合があるので、その際は再度焼灼術を追加して治療しています。地固めをすることによって再発の静脈瘤が小さくなって治療の回数が減ったことは、大変有用でした。

08-2食道静脈瘤破裂のEVL(結紮術)による止血ムービー

2007年12月30日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
      
3秒くらいで上の方からしたへ向かって出血が見えます。これが、静脈瘤の出血です。いろんなパターンの出血形式がありますがこの例のように噴出性に出る場合、胃カメラの視野がとらえにくく治療に難渋することもありましたが、EVLによる止血が可能となり、出血源より向こう側に入れて引き抜いてくることで出血点が探せる場合もあり、便利な方法です。ムービーでは15秒くらいのところで再度出血点を確認プラスチックのチュー部内に静脈瘤を吸い込んで輪ゴムでしばっているます。黒いわっこになってるのが輪ゴムですがわかりますかね?

現在は、連発式となって輪ゴムが最初からいくつもついている状態でさらに便利になっています。

08-1食道静脈瘤治療 結紮術 EVL

2007年12月30日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤

食道静脈瘤の治療の一つに結紮術(けっさつじゅつ)、EVLというのがあります。
これは、胃カメラの先端に小さい輪ゴムをつけておいて、静脈瘤を吸い込んでその根本に輪ゴムをかけるというシンプルなものです。手技としては非常に簡単で、研修医でもすぐ習得できるのですが、不十分な治療になると容易に再発し、その後の治療がしにくくなるという欠点があります。ですから、適応をしっかりと理解して、十分な治療ができるように心がけます。

静脈瘤破裂時の止血、肝臓の予備能が低下している場合、静脈瘤を作る血管が1本となっている場合にも効果的です。

この治療は、静脈瘤を短期間で消失させることが可能で治療期間も3週間以内で終了することがあります。その分、再発には、注意が必要です。

07-4食道静脈瘤の内視鏡的治療 F0RC+に対するEOI注入

2007年12月29日 | 門脈圧亢進症 食道静脈瘤
Lg-c静脈瘤の緊急止血後、F0形態の静脈瘤に対して行った、5%EOI注入食道静脈瘤硬化療法です。青い色素はインジゴカルミンを0.1ml程度混ぜるくらいでつけています。血管内注入が大変わかりやすく効果も確認しやすいのでお勧めです。
上が内視鏡像、下がEVIS像です。血管内注入から血管外注入になった時点で注入を中止しています。
      

      

下は別の患者さんですが、今では当たり前になっていますが以前は出血しないと思われていたF0RC陽性静脈瘤も出血する可能性が有ることを認識する必要があります。
出血点を確認して、ヒートプローブにて止血しています。