肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

第24回北海道門脈圧亢進症研究会 報告

2013年03月27日 | 学会研究会報告新聞記事など
第24回北海道門脈圧亢進症研究会 報告
 
 
跡からメモを見ながら書いている分、結構忘れちゃってたりしますが、とても勉強になりました。発表の演者や所属医療機関についてはブログを見ながら確認していただけると幸いです。
誤字脱字、内容の間違い等有るかもしれないので、あったら教えて下さい。

1 大腸吻合部の静脈瘤
血便の出現、回腸と横行結腸の吻合部、吻合後3から10年くらいでの報告があるとのことでした。クリップにて最初止血して、その後ヒストを使用して止血、IVRなどの試みについて質問がありましたが、SMVが結腸癌の再発で途絶しているなど、条件の悪い中内視鏡がもっともバランスがよいと思われました。

2.膵頭十二指腸切除後膵空腸吻合部静脈瘤破裂に対しPTOにて止血できた1例
最初B-RTOとして演題登録していたのですがPTOとなっていたと言うことで修正。複数の排血路や供血路があり、脾動脈にバルンを入れて閉塞したり、5%EOIの停留をよくするために苦労したことが伝わってくる報告で、頑張って治療できてとても頼もしいと思えました。

3.小腸静脈瘤破裂出血に対してPTOを施行した1例
小腸の静脈瘤の治療の報告は文献的には5年間で11例あり、B-RTOも可能な場合には行われている、今回はPTOが有効であった。術中腹壁の静脈を用手的に圧迫して5%EOIの停滞を実現できた点など非常に勉強になりました。

4.異所性静脈瘤に対するIVR治療
異所性静脈瘤について15例をまとめていました。この間報告してきた症例をまとめて提示。非常に一つ一つ丁寧に治療してきたことが伝わってきて、さすが札幌厚生病院の佐藤先生たちって思いました。膀胱の症例もあったりと本当にいろんなところの治療をしてきていました。

5.3次元光造形血管モデルによる胃静脈瘤の流入路・流出路の評価の試み
これはテルモで行っている血管を造影CTから立体像を作る技術です。1mm以上の血管であれば画像的に3Dにしたりしてかなり実態に近いイメージを持てるようにはなってきていますが、やはり、実物に近い物を見る方が説得力があるのが誰にでもわかりやすいってことで、安くすぐできる技術になるといいなあってみていました。実際には10万円くらいかかって10日くらいかかるので、毎回作成はできる物ではないですが、これからが楽しみな技術です。SFみたいですよー。

6.マイクロバルーンカテーテルが有用であった左下横隔膜静脈水平枝経由B-RTOを施行した胃静脈瘤の1例
左下横隔膜静脈からのアプローチでB-RTOをした症例で、マイクロバルーンを胃静脈瘤の近傍で用いたところ静脈瘤への5%EOIの停留が改善しB-RTOができた症例であった。血行動態と使うカテーテルなど勉強になりました。

7.胃静脈瘤に対するB-RTOの検討
胃静脈瘤に対するB-RTOの成績を報告、とても上手に治療がされていて頼もしい限りでした。5%EOIの使用量を40mlいないとしていたことについては、一手技当たり20ml以内を目標として工夫することが今は望まれいていることをコメントしておきました。B-RTOの開発当初はそれ以上の量が使われていた時期もありましたが、現在は20mlを一人当たりの量としてmaxとして使用することが能書きにも書かれるようになってきています。

8.EVL違反店結紮による胃静脈瘤の治療
Stiegman LigaterによるEVLが主流の頃胃静脈瘤を結紮したときには胃の穿孔が問題となり封印された。現在PneumoactivateのEVLでは可能となってきていることを報告していた。矢崎先生やっていましたねえ。
安全に結紮するための留意点をまとめていました。不用意に吸入しないこと、胃穿孔を予防するため絶食を4日間として、H2-blockerや抗生剤を使用すること、治療後もPPIなどを継続として、うまくいっているという報告でした。もちろん、B-RTOやヒストアクリルなどがうまくいく場合にはそちらを優先として行くことも述べていました。

9.門脈腫瘍栓の進展に伴い急速に出現した胃・食道静脈瘤に対しEVL胃反転結紮で治療した肝がん合併NASH肝硬変の1例
8の演題の手技をもちいて治療した症例で、腫瘍塞栓例でも止血維持できたところがさすがと思いました。

10.門脈血栓症に対するダナパロイドナトリウム投与の効果と安全性に対する多施設アンケート(第一報)
北海道門脈圧亢進症研究会で行ったアンケート調査を元に報告がありました。
2週間投与で1カ月以内で1割以上の血栓の消失があった症例が7割、3ヶ月以上の経過観察でも6割であった。安全性も確認されて、第一選択となり得る治療である可能性が示された。

11.門脈閉塞による門脈圧亢進症に続発した小腸出血に対し人工血管を用いた上腸間膜静脈ー下大静脈バイパス(Hシャント)を行った1例
外科からの唯一の報告でした。肝円索の再開通が可能かを検討して、その上でシャント術を選択するという
じつに明快に治療方針を検討していて、さすが外科ならではで、こういった治療が検討できるのが外科の強みだよなあとうらやましかったです。IVRや内科的治療を選択する上でもこういった分析が背景にあること再度確認させていただけました。

12.門脈内ステント留置を施行した胆道癌術後の良性肝外門脈狭窄の2例
PTAを用いて経肝経肝ルートで行っている手技で放射線科ではこういうことができるんだなあと感動していました。
術後の後療法としてワーファリンやプラビックスを使ったりしたが6週間でやめられる場合もあるとのことだった。

13.当院における食道・胃静脈瘤治療の現状ーEIS・EVL・BTO準備解除の実際
内視鏡技師さんからの報告、コメデイカル向けにつくった発表ですがすべてを網羅していて時間オーバーになっていましたが一度見てもらえたらいいなと思いました。

14.デンバーシャントチューブの右心房への流出
これは、デンバーシャントの接続部分が外れて右心房にいってたということでした。鎖骨下静脈へカテーテルが入りにくい場合にカテーテルを切って再度つなぐことをしていた症例で起こったことでした、切らずに入れれば起こらない事例とは思いますが入れにくい場合はこの工夫をする際には接続部を縛ったりするなどの注意が必要かもしれません。
右心房内に入ったカテーテルは右大腿静脈ルート把持鉗子で回収できた。CVカテーテルでも行われている手技とのこと。

15.肝硬変症(C型)による肝性脳症の改善を期待してPSE先行B-RTOを施行した2例のその後
昨年報告した症例の1年後の経過を報告。B-RTO後脳症の改善が得られ、他の病態の精査や治療を行うことができ、改善が継続していることが報告された。

16.シャント型肝性脳症に対し、短絡路温存門脈大循環分流術を施行した1例
B-RTOを先行した場合には門脈圧亢進が危惧されたため、PSEを施行後、分流術を行った報告。門脈圧を確認し治療前後で確認し上手に治療が行えていたところがさすがでした。

17.2年間に渡り異時的なシャント塞栓術を行った、複雑な門脈大循環シャントを伴った肝硬変症の1例
シャント部分を少しずつ変えながら脳症の改善を目指した報告、とても大切に患者さんを診ているてんが参考になりました。

今回の研究会はIVRを中心とした放射線科の発表が多数寄せられ門脈圧亢進症の治療が様変わりしてきている部分も多くなったのだなあととても勉強になりました。

特別講演
門脈圧亢進症に対するIVR(NBCAを使用したPSEとfoamB-RTOを中心に)
東海大学医学部付属病院 画像診断科
准教授 小泉 淳先生
 
foamB-RTOについては学会等で発表があったのである程度は知っていたのですが、1時間あまり小泉先生の検討されてきた経過を聞いて理解が深まりました。炭酸ガスdsaも胃静脈瘤の部位にたまってくれること、formがたまる場所と一致することもとても参考になりました。
右下にして炭酸ガス造影するのが非常に意義があることで、普通の造影剤では思いので逆にしないと造影されないんですよね。
最近ではヒストをおいて、血流を完全に遮断して即終了するB-RTOを検討してると言うことでした。
あと、ポリドカロール自体に麻酔薬の効果もちょっとあるので痛みや熱がほとんど無いことも利点だと思われました
これから主流となり得る手技で、さっそく検討してみたいと思いました。

下の写真は小泉先生との懇親会です。楽しい話がいっぱい聞けました。
 

帯広肝がん検診が記事に 相談も検診と同時に受けられます。B型肝炎訴訟説明会もあります。

2013年03月24日 | 肝がん検診
 
帯広の肝がん検診の記事が十勝毎日新聞に載りました。相談会が1時半からになってるけど、これは、検診の療養相談と一緒に相談が受けられるというのを勘違いしたかもしれません。確認出来たらブログにて掲載しますね。と確認したらやることになったと連絡をいただきました。すごいですねえ。えりもの日は浦河で行うそうですー。2013.3.24作成追記3.25
ちなみに、えりもも帯広も検診受診した方は、療養相談の前後で、B型肝炎訴訟の相談が受けられます。
 
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B型肝炎・C型肝炎患者の救済に関する意見書 北海道議会で採決されました

2013年03月22日 | 肝炎救済に関連して
道議会で採決されました。道議会の本会議
平成25年3月22日の本会議で確認出来ました。よかったです。

日程第4 意見案第1号ないし第5号
   意見案第4号 B型肝炎・C型肝炎患者の救済に関する意見書
  (説明省略)
  (意見案第1号ないし第3号の委員会付託省略)
  (採 決)
   1.本件をいずれも原案のとおり決することについて簡易採決
内容は以下の内容になりました。
北海道肝炎患者対策協議会として、道内の患者会や肝がん検診団とともに行動した成果としてできましたー。
道下道議から、先日お願いした意見書が採択される見通しとなった連絡があり今日採決されました。本当にありがとうございました。
内容的には少し変更点はありますが、現時点で採択される最大限の内容が盛り込まれたと思います。

意見案第4号
   B型肝炎・C型肝炎患者の救済に関する意見書
 我が国にはB型肝炎150万人、C型肝炎200万人ほどの感染者・患者がいると推定され、その大半は集団予防接種や治療時の注射針・筒の使い回し、輸血、血液製剤の投与などの医療行為による感染が原因とされる。このような感染被害の拡大を招いたことに対する「国の責任」と、肝炎患者を救済する責務を明記した肝炎対策基本法が平成22年1月施行された。
 しかし、今なお感染被害は償われず、多くの患者が肝炎の進行と高い医療費負担、差別などに苦しめられ、毎日約120人もの肝炎患者が亡くなっている。特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法(以下「C型肝炎救済特別措置法」という。)」、「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法(以下「B型肝炎特別措置法」という。)」が成立し、裁判を通じて補償・救済される仕組みができた。しかしカルテや明確な証明が必要なため、裁判に出して救済されるのはほんのひと握りにすぎない。母子感染ではないとの証明などができないB型肝炎患者の大半には補償・救済の仕組みがない。肝炎治療費の十分な支援策がないため、医療費が払えずに治療を断念せざるを得ず、重症化し、命の危険にさらされる患者も少なくない。
 このように現行法によって法的救済、補償を受けられる患者はごく一部であり、注射器の使い回し、輸血、薬害によるB型・C型肝炎患者に対して、国が感染被害を償い、いつでも、どこでも安心して治療を続けられるために、肝炎治療と命を支える公的支援制度を確立することが求められている。
 よって、国においては、肝炎対策基本法に基づいて、B型・C型肝炎患者を救済するため、次の事項について速やかに必要な措置を講ずるよう強く要望する。
                  記
1 肝炎対策基本法に基づき、B型・C型肝炎の患者に対して健康手帳や支援金を、これらの肝炎による死亡者に対して一時金を支給するなど、救済に必要な法整備、予算化を進め、肝硬変、肝がん患者への障害者手帳の交付基準の改善や、経済的負担の持続
的な軽減をはかること。
2 「B型肝炎特別措置法」については、母子手帳や予防接種台帳以外の記録や患者、家 族の証言、証明などにより集団予防接種が原因とみられる患者を幅広く救済できるよう、弾力的に運用すること。
3 「C型肝炎救済特別措置法」については、カルテ以外の記録や患者、家族の証言、証明などにより、特定血液製剤を使用した可能性のある患者を幅広く救済できるよう弾力的に運用すること。
4 治療薬、治療法の開発や治験の迅速化を図るとともに、肝炎ウイルス検査の徹底と診療体制の充実を進め、早期発見、早期治療に繋がる施策を充実させること。
5 B型・C型肝炎に対する偏見や差別の解消をはかり、肝炎の根絶をはかること。
 以上、地方自治法第99条の規定により提出する。
 

 
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ラッキー いつもいいことが起こる人のちょっとした習慣 中井俊已著

2013年03月22日 | 健康になるために 生き方について
 
最近ブックオフで見つけた本ですが、4コマ漫画入りで、おもわず笑いながら読めてしまうのでおすすめしますー。
できることからやってみるで効果ありそうです。
肝臓センターの待合に置いていますので、気に入ったら是非繰り返し読んでみてください。

中井さんにメールしたところ、署名にアドレスがありました。是非クリックしてみてみてください。
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   中井俊已(作家・教育評論家)  
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HPはこちらです。 http://www.t-nakai.com/
メルマガ【心の糧・・・】毎週月・金曜日発行
http://www.mag2.com/m/0000141254.htm
メルマガ【教育プラスアップ1】毎週火曜日発行
http://www.mag2.com/m/0000181659.html
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肥満と7つの神話 転載です

2013年03月22日 | 学会研究会報告新聞記事など
これを読んで、おー、結構神話だったのねえと納得してる自分がいました。参考になれば幸いです。
1年で5k減ってるけどその先がなかなか、あは。

郷に入っても郷に従わず その11 ~肥満と7つの神話
ハーバード大学リサーチフェロー
大西 睦子
2013年3月22日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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よく噂になっているダイエットに本当に効果があるのか、興味がありませんか?アラバマ大学バーミングハム校のデビッド・アリソン博士らのグループは先日、メディアや科学論文によく紹介されているダイエットに科学的な根拠が本当にあるのかどうか検討し、医学界のトップジャーナルとして評価されている『New England Journal of Medicine』に報告しました。博士らは、肥満にまつわる事柄を、以下の3通りに分類しました。
●科学的証拠と矛盾する「神話」:7つ
●科学的証拠を欠いている「推定」:6つ
●科学的な裏付けのある「事実」:9つ

●神話
反する事実・根拠があるにも関わらず、一般的に根強く信じられている肥満の“神話”には次のようなものがあります。
1)わずかなカロリーの摂取量やエネルギーの消費量の変化が、長期的に大きな体重の変化をもたらす。
事実:半世紀前から言われている「3500kcalルール」というのがあります。3500kcalのカロリーの増減が0.45kgの体重の変化に相当する、というものです。ところが、体重変化は個人差があり、実際もっと少ないと考えられています。例えば3500kcalルールですと、毎日1マイル (1.6 km)歩いて100kcalの消費をすれば5年後に22.7kgの減量になるはずですが、実際は4.5kgの減量です。

2)現実的な減量目標の設定が大事。
事実:これは妥当そうに思われますが、挑戦的な目標を設定して減量が成功する人もいるものの、実際には、達成不可能な目標によってかえって挫折につながることが多いようです。

3)ゆっくり体重を減らすことは、急激な減量より優れている。
事実:早く体重を減らした人は、長期的に減量に成功しています。

4)ダイエットのタイミングの見極め、心構えが大事。
事実:減量しようと思っている人は、みんな心の準備はしているものです。

5)体育授業は子供の肥満防止に重要。
事実:今の体育授業は、子供の肥満の予防にならないようです。それより、活動の頻度や強さ、持続が、減量や肥満防止につながります。

6)母乳で育てると、将来の肥満の予防になる。
事実:母乳には、母と子供の絆などたくさんの利点はありますが、子供の肥満の予防にはなりません。

7)セックスでカロリー消費(1回100~300kcal)。
事実:例えば、体重70kgの男性は、性的刺激時1分間に3.5 kcalのエネルギーを消費します。その平均時間は6分間と報告されていますので、30代半ばの男性は21kcalの消費となります。

●推定
次は、科学的に正しいとも間違っているとも証明されていませんが、多くの人に受け入れられている信念です。
1)朝食を規則正しく食べることは、肥満の予防に役立つ。朝食を摂らないと、あとで食べ過ぎる。
事実:2つのランダム化試験で、朝食ありVSなしの差は、体重に影響しませんでした。

2)幼児期に学んだ運動や食生活が、生涯の体重に影響する。
事実:これまでにランダム化された試験はありません。

3)より多くの野菜や果物を食べると体重が減る。
事実:野菜や果物の摂取が健康に良いことは、もちろん事実です。ただ、野菜や果物を食べても体を動かさないと体重は減りません。

4)ウェイト・サイクリング(weight cycling)は死亡率を高める。
事実:確かに、ヨーヨーダイエットのように、体重が増えたり減ったりを繰り返したり、あるいは体重が安定しないことと死亡率の上昇には関連性が見られます。しかしながら、この死亡率上昇はおそらく健康状態に関連するものであって、原因の混同があります。動物実験では疫学的関連性は証明されませんでした。

5)間食で太る。
事実:ランダム化試験で実証されていません。

6)歩道や公園などの環境整備の有無が肥満に影響する。
事実:観察研究などから、首尾一貫した関連づけはされていません。


●事実
肥満についての事実は以下です。
1)遺伝的要因が大きな役割を果たすが、それが運命ではなく、環境の変化は減量を促進する。
2)エネルギー摂取量を減らせば、非常に効果的に体重を減らす。
3)体重減少にかかわらず、運動は健康を促す。
4)十分な運動や身体活動は、長期的な体重維持に役立つ
5)肥満は慢性のものであって、減量促進の状態を継続することが長期的な減量の維持につながる。
6)肥満児は、親を巻き込んで家庭から環境の整備を図ることが、減量につながる。
7)給食や食品代替製品は減量に有用。
8)いくつかの医療品は、臨床的に意義の多い減量の達成に有効であり、使い続ける限りは効果が見られる。
9)適切な肥満外科手術は、長期的な減量と糖尿病やその死亡率低下をもたらす。

さて、みなさんはどんなご感想をお持ちでしょうか?神話の中で、いくつか信じていた話はありませんか?最終的な事実は、『食べ過ぎず、体を動かす』ことを続ける!、という特に驚く結論ではないのです。
ところで、『フードファディズム』って、ご存知ですか?これを食べれば健康になる、病気が治るとか、あれを食べると病気になるなど、科学的に特に証明されていなくても、食べ物が体に対して与える影響を過大に信じることを意味します。原因は、メディアの伝え方も問題視されていますが、それに振り回されては大変です。栄養学を研究する学者、その情報を受け取る一般の人が、正しいコミュニケーションをする必要があります。
また驚いた点は、今回の報告の最後に、20人の共著者のうち少なくとも一人が、研究のために金銭的サポートを受けた組織を開示していることです。こうした情報公開は、より研究の透明性や信頼性の向上につながると思います。

空腹時採血の脂質値 インフルエンザワクチンの新しい製造方法

2013年03月21日 | 学会研究会報告新聞記事など
○検査前の絶食時間が血中脂質値に及ぼす影響小さい
空腹時採血の必要性を疑問視
シカゴのカルガリー大学のDavinder Sidhu、Christopher Nauglerの両博士らによる研究で。
20万人以上の脂質値データを検討し、検査前の絶食時間が脂質値に及ぼす影響は小さいとする研究結果を報告していた。Archives of Internal Medeicine(2012; 172: 1707-1710)に発表。「定期検査での血中脂質検査において、絶食は不要である可能性が示唆された」と述べているとのことでした。
現在のガイドラインでは、空腹時に採決を行うことが推奨されているがほとんど差が無かったと言うこと。
項目として測定した変動幅は、総コレステロールとHDLコレステロールは2%未満、LDLコレステロールは10%未満、トリグリセライド(TG)は20%未満であった。
この結果から、ルーチンの血中脂質検査における採血前の絶食はおおむね不要であることが示唆さされたとのこと。
この結果の妥当性を確認するにはもう少しかかりそう。

○FDAがインフルエンザワクチンFlublokを承認
バキュロウイルスの発現系と遺伝子組み換え技術を利用
アメリカ食品医薬品局(FDA)は、昆虫に感染するバキュロウイルスの発現系と遺伝子組み換え技術をはじめて利用した3価インフルエンザワクチンFlublokを、18から49歳の季節性インフルエンザ予防に承認した。
インフルエンザウイルスやニワトリの卵を使用しない製造方法であることから、ワクチンの供給量に影響が少なくてすむことが利点の1つである。
この製造技術によって、インフルエンザウイルスの表面タンパク質であるヘマグルチニン(HA)の大量生産を可能にする。HAはウイルスの細胞内への侵入に不可欠な物質で、すべての不活化インフルエンザワクチンの主成分として含まれ、インフルエンザ感染を防ぐ抗体のほとんどがHAを標的としている。今回の技術は、インフルエンザワクチンの製造にははじめて用いられるが、過去にFDAが承認した他の感染症ワクチンの製造はすでに用いられている。
世界的な流行が起きた場合にも速やかにワクチン製造が可能だとのこと。

全流行株の約45%で有効
Flublokは、A型インフルエンザウイルス2種(H1N1とH3N2)とB型ウイルス1種の組み替えHAタンパクをいずれも全長で含んでおり、これら3種のウイルスに対する予防効果が期待できる。
有効性は、2300例での多施設比較試験で評価された。ワクチンに含まれるウイルス株以外にも44.6%に有効だったと。安全性は約2500例で確認され、従来の不活化インフルエンザワクチンでもよくみられるものであった。
使用期限は16週間なので接種期限の確認が必要。製造会社はProtein Sciences Corp社(コネティカット州メリデン)である。

変わるC型肝炎診療:現状と将来 北大坂本教授より

2013年03月17日 | 学会研究会報告新聞記事など
変わるC型肝炎診療:現状と将来
北大 坂本直哉教授から講演がありました。
テラプレビルでの皮疹がでやすい患者さんは実は、高尿酸血症を背景に持っている人が多いかもしれないとアロプリノールを飲んでいる人に多い傾向がありそうだと報告あり、気を付けて見てみようと思いました。

新しい三剤併用(インターフェロンとリバビリンとプラスのかたち)としては
TMC435はsimeprevir(シメプレビル)と名前がついて、1日1回ですむこと(12週飲んで)総治療期間は24週で終わることなどとても期待できる内容でした。早ければ今年末には使えるようになるのではと言われています。

飲み薬だけの治療は2剤の組み合わせで世界で12種類の組み合わせが進んでいること。日本では1つ行われていること。早ければ来年の末には使えるようになるのではと話されていました。そして1b型の方が効きやすいという試験データも出ているそうです。
そんな中Sofosbuvirを用いた試験では耐性が出づらく、2型では100%のウイルス消失(10例ですが)だったそうです。

ウイルスが消えたあとの発がんについては、肝の線維化についてフィブロスキャンを用いた検討が報告されて、線維化や脂肪化が強い人には要注意でフォローした方がいいとのことでした。

将来的に血小板などを用いた内科医でもわかる指標が出たらいいなあと思って聞いていました。
それにしても、どんどん新しいことが出てきていて、もっともっと早くいい治療が出てきてくれることを期待せずにはいられないなあと思いました。

この講演は以下の連絡会研修会に含まれていた物です。

北海道肝疾患診療連携拠点病院等連絡会及び肝疾患専門医療従事者研修会
平成25年3月10日日午後2時~研修会がありました。天気はすごいことになっていたので、少し早めに終了しましたが、とてもいい会でした。
まずはじめに連絡会として旭川医科大学の高後教授から挨拶があり、現在行われている北海道の肝疾患対策の概要が報告されました。
北海道肝炎対策協議会として平成25年3月18日に行われること、これは、患者さんや支援者の方も傍聴に行く予定です。
医療提供体制の整備は、拠点病院と肝疾患専門医療機関の指定を行って専門医療機関がわかりやすくなるように取り組んでいることがわかりました。現在道内の144施設が指定されていますが、ない地区もあり、今後も課題として報告されていました。
また肝疾患診療の向上と均てん化を図るためにこう言った連絡会を立ち上げたり各地で研修を行っていることはとても大事だなあと思いました。この間札幌と函館で行われてきています。
患者住民サービスとしては肝炎ウイルス検査の実施の実績が報告されて、23年度は道立保健所で379件(22年度340件)、道補助で市町村が行った検査件数は30410件(22年度14178件)政令指定都市はのぞくとして。
まだまだ、十分な件数とは言えませんが確実に件数を伸ばしていける気がしました。いろんな対策が重要ですが何よりも道民に知ってもらうことが必要であることが強調されていました。

平成24年度に行った道南地区の肝炎ウイルス検査の出張検診は件数を質問したところ4件でした。これも広報的な周知が必要であることが浮き彫りになっています。

肝疾患相談センターは、北大、札医、旭医と展開されて、相談件数もどんどん増えていることが報告されていました。

医療費の助成としては、平成24年度は予算として11100人、平成23年度は10593人が受けていたとのこと。

普及啓発はリーフレットを作成配布、肝炎患者支援手帳を配布しています。

どの対策も熱心に検討されていることが伝わってきます。まだまだ伸ばしていけない部分で、より早急に進むことを期待し、また私たちができることを頑張っていけたらいいなと思いました。

道内肝疾患診療の均てん化を目指した旭川医大病院の試み
大竹孝明先生から講演があり、かかりつけ医の啓発にWebを用いたり、主張研修会を行ったりと忙しい合間を縫って活動されている様子を聞いて、とてもうれしくなりました。これからもっともっといい形になることが期待されます。

肝疾患相談センターの活動内容と今後の取り組み
札幌医科大学の佐々木茂先生から講演あり、開設当初は月9件であった相談が現在は60件ほどとなりさらに増えてきていること。
肝臓教室もテーマを工夫して取り組んできていること、患者さんたちのサロンや啓発活動、アンケート調査などの報告がされていました。その中で、肝炎ウイルス検査の存在を知らない人や入院などで検査を受けていることを知らない人もたくさんいることが浮き彫りとなり、医療従事者の啓発や道民の啓発が重要であることがいつもながら確認されました。
自発的に受診してくれることも重要ですが、健診などに組み込むなどの工夫もさらに検討を要するとのことでした。

 
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朝の風景 朝日と手稲山と雪道

2013年03月15日 | 花、植物、風景
 
 
 
久しぶりに朝の散歩行きました。空き地の雪を溶かすための除雪が朝日の中できれい?
手稲山と除雪した雪の山、この雪のかたまりは1回溶けかかって凍ってるのでかたいんです。車でぶつかったら車がへこみます。油断してこすると傷だらけになりますので要注意です。

帯広えりも様似行ってきましたー

2013年03月14日 | 肝がん検診
 
 
 
おんねゆ診療所の肝臓外来のあと、北海道の道東を南下して帯広、えりも、様似と4月の肝がん検診に向けて、受診奨励のお願いと肝炎の最新知識を啓発するために回ってきました。久しぶりの強行軍になってしまいましたが、とても実りの多い物でした。
帯広では、十勝毎日新聞の児玉記者さんが、取材をしてくれて、肝炎問題や肝がん検診を受けるべき人が、ウイルス肝炎患者さんのみならず、肝臓について調べたことのない方も是非受けた方がいい検診へと変わってきていること、肝臓の専門医療機関が行う診療に近いレベルに有ることなどを伝えてきました。
道新の山本記者さんにはお会いできなかったけど、電話で肝がん検診団と肝がん検診について説明をして記事として掲載できるようお願いしてきました。
その後、えりもに移動、帯広からの移動は2時間ちょっとかかるのですが、札幌と違って雪がほとんど無くとても走りやすかったです。4時半頃にはついて、肝がん検診の採血業務をお願いしている国保診療所の師長さんに今年もってことでお願いして、えりも町役場の保健福祉課の課長さんに今回の助成制度復活のお礼をして、現在出勤している保健師さん3名に肝炎の最新治療について勉強会をしてみました。肝炎の治療が非常に進歩していること、炎症が治まっていくと肝硬変でも治ってきいる人がいること、ウイルス肝炎以外の人も脂肪肝炎などの病気が出てきていることなど30分ほど講義、熱心に聞いてくれました。講演会でのDVDも置いてきて、新人さんに400字でまとめるように宿題(冗談だけど)を言い残して様似へ移動。
様似では保健福祉センターの保健師さん2名が勉強会に参加してくれました。最新治療の進歩がめまぐるしいことを理解してもらって、受診者を増やさないと行けないですねってことで動機付けが出来たかなと思いました。助成制度もお願いしますと追加して、住民への医療講演もしますから企画あったら呼んでくださいとも話してきました。

今回の、えりも様似地区では、広報へ掲載とカラーのリーフレットを一緒に折り込んでもらえたこと、えりもでは助成制度が復活したことが受診者の増加に確実につながりました。非常に効果的な動きをとることができたこと感謝です。

今日の時点でえりも42名、帯広14名の予約ととても早いペースで予約が進んでいるのは地域の方々の協力があったからと感謝しています。

久しぶりに1000km近い(ちょっと大げさです)移動になって、北海道って広いなあって重ね重ね実感しました。それにしても雪がないのにはうらやましい感じもしました。

2013年 えりも、帯広肝がん検診 受診者募集開始

2013年03月14日 | 肝がん検診
肝がん検診は、ウイルス肝炎のみならず、肝臓病をチェックする健診としても有効です。一度も受けたこと無い方や3年以上受けてない方は最近の治療などの確認をする上でも受けてみることをおすすめします。今回は、えりも、様似で広報やリーフレットの配布もできたこと、えりもの助成が半額実現できたことで、予約開始前から問合せがあり、すでに32名が予約になっています。

日高 えりも肝がん検診 3月14日木から受付開始
○検診日時 2013年4月13日(土)午前8時~午前12時
○検診場所 えりも町役場 保健センター
 住所 北海道幌泉郡えりも町字本町206
 TEL 01466-2-4630(場所の確認用のものです、問合せには使用しないで下さい)
○検診費用 対象者 6000円(えりも町民の方は3000円で受診できます)
○検診内容 問診、採血、腹部エコー、肝臓専門医による療養相談 
○予約が必要です。先着50人

2.十勝 帯広肝がん検診 3月14日木から受付開始
○検診日 2013年4月14日(日)午前9時半~午後1時まで
○検診場所 とかちプラザ
 住所 帯広市西4条南13丁目
 電話 0155-22-7890(場所の確認用のものです、問合せには使用しないで下さい)
○検診費用 対象者 6000円

えりも帯広共通事項
○検診内容 問診、採血、腹部エコー
      肝臓専門医による療養相談 
○予約が必要です。先着50人
 申し込み締め切り 2013年3月27日(水)
 受診のお勧めの封書が送られた方は返信ハガキで、そうでない方はお電話にてご連絡ください。留守電にて対応しています、平日の日中に連絡の取れる電話番号とお名前を録音下さい。
のちほどこちらからご連絡いたします。
 お問い合わせ先 肝がん検診団 事務局
  電話番号 011-350-1008
  受付時間 午前9時~午後5時 留守番電話対応(月土日祝日休み) 
 折り返し受診時刻などの記載した予約票を発送します。万が一4月11日木までに届かない場合には事務局に再度お電話ください。
 

 
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北海道議会の肝炎問題救済へ向けての意見書が検討されています

2013年03月14日 | 肝炎救済に関連して
現在2013年3月の道議会で、先日お願いした意見書を採択すべく、議員さんたちが検討してくれています。意見書の内容を都度確認してくれて、文章に盛り込んで欲しいことを聞いてくれているのでかなり要望が吸い上げられる形になってくれていることはありがたいです。一方でこの文章は外しましょうという部分もありますが、おおよそ希望通に作られている感じです。最終的には各会派の意見を調整するのでまた変わることもあるらしいのですが、より、患者さんたちの思いが伝わる形で成立してくれたらと思います。
 
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