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週換算6.25%以下のインターフェロン少量投与が効果的であったHCVgenotype1b 高ウイルス量の1例

2011年12月03日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療
学会の抄録風に書いています。HCVのgenotype1bにしては高ウイルスの中では量が少ない人でしたが、月一回で陰性化された方なので、治療の反応性をみて治療することが有用だという1例になればと思います。

インターフェロンの少量長期投与による発がん抑制などのデータが蓄積されつつあるが,ウイルスの陰性化を期待して積極的に試みる症例の報告は少ない.今回,我々が経験した,週換算6.25%以下のインターフェロン少量投与が効果的であったHCVgenotype1b 高ウイルス量の肝癌合併C型肝炎の症例を報告したい.同様の治療をされている先生方の参考になれば幸いである.
【症例】76才女性 genotype 1b IFN開始前 HCVRNA(ハイレンジ法)100から200KIU/ml1993年4月 腹腔鏡検査にてC型肝炎と診断。PEG-IFNα2a が保険適応となり,副作用が少なくても進行や発がん抑制の可能性を期待して副作用少ないIFN治療を希望された.
2007年1月PEG-IFNα2a 90μgにて月1回施行,その後うつ気味となり2007年4月で中止.しかし2007年5月にはHCVRNA9.9KIU/mlと減少していたことから,PEG-IFNα2aの抗ウイルス効果が期待できると思われた.しかし同時期S5 14mm 肝癌認め加療.肝癌の再発抑制を期待し,2007年7月から再度PEG-IFNα2aを検討.再開時はうつ状態が出現しないよう,前回の半分のPEG-IFNα2a 45μgで再開した.その後さらに2009年4月にもS6 4cm 肝癌認め一時中断し加療後,再開継続.2010年2月にHCVRNAが陰性化し始めた.2010年8月に5.5LogIU/mlとなるも,その後2010年9月から陰性化持続.2011年5月のうつ状態が出現し41回目で中止.その後ウイルスはでていない.2011年11月にはSVRとなったか確認できる予定である.
【結語】HCVgenotype1b 高ウイルス量の肝癌合併C型肝炎の症例でPEG-IFNα2aの週換算6.25%以下投与にてHCVRNAの陰性化に向かった症例を経験した.患者の合併症のみならず生活スタイルに合わせた投与方法は患者のQOLの維持にもつながり,さらなる効果的な治療を見いだしたい.

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