肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

週換算25%以下IFN少量投与 HCVゲノタイプ1b 高ウイルス量以外の6例

2011年11月30日 | インターフェロンの少量長期や高齢者治療
この間、少量長期で効果的だった患者さんをその後の経過と新たに加わった方を入れて、書いてみました。学会の抄録風の書き方なこともあって読みにくいかなあ。2011.11.30現在

題名 
週換算25%以下のインターフェロン少量投与が効果的であったHCVgenotype1b 高ウイルス量以外の慢性肝炎の6例

内容
インターフェロンの少量長期投与による発がん抑制などのデータが蓄積されつつあるが、ウイルスの陰性化を期待して積極的に試みる症例の報告は少ない。今回、我々が経験した、週換算25%以下のインターフェロン少量投与が効果的であったHCVgenotype1b 高ウイルス量以外の慢性肝炎の症例を報告し、同様の治療をされている先生方の参考になれば幸いである。

【症例1】84才女性 genotype 2a IFN開始前 HCVRNA(ハイレンジ法)25KIU/ml小柄な高齢の女性であり、副作用の合併を危惧して、IFNをしない方向で、SNMCの注射を続けていた。しかし、ALTが高値であり肝硬変や肝癌への進展を心配し本人の強い希望あり、2005年7月、PEG-IFNα2aを90μg2週一回で、開始し、4週目には陰性化(アンプリコア法)た。4回の施行で大腸癌で入院となり中断。その後もHCVRNAの陰性化が持続し、SVRとなる。

【症例2】75才女性 肝癌治療後 genotype 2a IFN開始前HCVRNA(ハイレンジ法)100KIU/ml未満
小柄な高齢女性であり、副作用を危惧しIFNをせずに経過を見ていたが、肝癌を3回治療、少しでも再発の機会を減らしたいと、3ヶ月再発がないことを確認し、2007年7月よりPEG-IFNα2a45μgを月1回で開始。2ヶ月目には陰性化していた。一年半の陰性化を確認し2008年9月に終了。その後SVRとなる。

【症例3】72才女性 genotype 2b 2007.6.5肝生検にてCH:A1,F1 IFN開始前HCVRNA(タックマン法)6.4LogIU/ml副作用の少ない治療を希望し、2007年6月から月1回PEG-IFNα2a45μgにて開始、5ヶ月後ALTが改善するもウイルス量は陰性化ならず、90μgに増量、その後SNMCは週1回に減量でき、2009年9月ALTが20前後となりSNMCは中止、効果増加を狙い2週に1回に増量、16ヶ月目ウイルス量は<1.2検出ありまで減った。2011年7月からペガシス135μgに増量として、現在もほとんど副作用無く継続中である。2011年10月より<1.2検出なしを継続中。

【症例4】76歳男性 genotype1b 低ウイルス量 狭心症の合併症があり副作用の少ない治療を希望され、2007年4月から月2回PEG-IFNα2a45μgにて開始、その後えりも町にて継続、2008年12月から90μgに増量し、2009年2月からタックマン法で陰性化。2010年10月終了、SVRとなる。

【症例5】81才男性 genotype 2a IFN開始前 HCVRNA(タックマン法)5.2LogIU/mlインターフェロン療法は年令や体力的にも副作用の少ない治療を希望し、2008年5月から月1回PEG-IFNα2a30μgにて開始、副作用が出現しないことから6月から45μgに増量、9ヶ月目に90μgを試みるもだる身が強いことから45μgにもどし月2回を継続した。ウイルス量は11ヶ月目まで変化なく、5月から減り始めこのときALTも正常化している。14ヶ月目には<1.2検出ありとなった。11月には<1.2検出せずとなり、その後陰性化が継続し肝臓の細胞が入れ替わる期間を十分に過ぎた2011年7月に終了し、10月まで陰性化持続中である。

【症例6】57才女性 genotype 1b 2001年8月肝生検にてCH:A1,F1 IFN開始前HCVRNA(タックマン法)3.9LogIU/ml
副作用の少ない治療を希望され2010年11月から月2回PEG-IFNα2a90μgにて開始、1週目でHCVRNA1.2未満陽性、5週目に陰性化したことから、24週間12回の投与で終了。しかし、5ヶ月後再燃、ウイルス量は2.8LogIU/mlであった。現在再投与を検討中。

【結語】C型慢性肝炎のgenotype1b 高ウイルス量以外の症例で
インターフェロンα2aを用いて週換算25%以下投与にて陰性化もしくは陰性化に向かった症例を経験した。患者の合併症のみならず生活スタイルに合わせた投与方法は患者のQOLの維持にもつながり、今後さらなる工夫が期待される。

寝れないときの考え方

2011年11月29日 | 健康になるために 生き方について
睡眠障害対処の12の指針 内山真編 睡眠障害の対応と治療ガイドラインより
1.睡眠時間は人それぞれ。日中の眠気で困らなければ十分
2.刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
3.眠たくなって床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
4.同じ時刻に毎日起床
5.光の利用でよい睡眠
6.規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
7.昼寝をするなら、15時前の20~30分
8.眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
9.睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
10.十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に
11.睡眠薬の代わりの寝酒は不眠のもと
12.睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安心

よく言われることが書かれていましたが、まとめてみると、なるほどねえって思います。
睡眠時無呼吸症候群などの注意になることも含まれていますし、お酒で寝るのは帰って寝れなくなることだと言うことも書かれていて、より実用的な感じがしました。

試みてること 患者さんの情報グッズで iPadを使ってみると

2011年11月26日 | その他

こんな感じでボタンを並べてみました。

拡大するとこんな感じ、ボタンのデザインがわかりやすいのに出来たらもっといいなあ。

以前、ばんばんさんと相談しながら、まだやってなかったんだけど。iPadを患者さんの情報グッズに出来ないかと思っていたんです。今回、iPhoneを買い換えたら、iPadが通信料無料になるってことで、本体だけ安く買っているる感じで使えるかなと買ってみました。

実際写真のように、このブログのページのカテゴリーをボタンにして、見やすくなるかなと思ってやってみていますが、いろんな情報のページに行けるように出来たらいいなと思っています。

将来的には、テレビ電話のように、家や病院にいる患者さんとこう言うのでネットテレビで診察なんて時代も来るんだろうなあ。
いまは、無線回線の速度がかなり維持できないとテレビ電話にちゃんとならないからまだ使い勝手はよくないです。ウルトラWIFIではできそうだけど、予算が出来たらやってみようと思います。

今は試しに使ってみています。

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旭川で生体肝移植成功 2011.11.26道新朝刊

2011年11月26日 | 学会研究会報告新聞記事など

北大から教授としていった古川先生が成し遂げました。移植が救う命着実に増えていきますね。移植しないで済む治療も頑張らなきゃ。古川先生おめでとうございますーって言いたくなります。いつも、相談に乗ってもらったり、講演してくれたり、本当に患者さんのために頑張っている姿をいつも見せてくれてるから、ありがたいです。

患者を生きる 朝日新聞

2011年11月26日 | 患者さんとの関わり
感染症 C型肝炎http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201111230266.html
に知ってる方は知っている方の体験がのっています。是非よんでみてください。私も彼に出会って、患者さんとの交流が広がりました。

肝臓医療講演 2011年9月以降11月まで

2011年11月23日 | 医療講演やイベント
ウイルス肝炎患者支援全国キャンペーンってことで道内中心の企画を今後の予定(出来るんでないかなあを含め)を並べてみました。各地区の患者会には本当に相談にのってもらって助けてもらっています。この場を借りてお礼申し上げます。
必ず、肝炎対策基本法の内容充実を実現させましょ-。絶対出来る。そう思う人が増えれば必ず出来るんですから。2011.9.21作成10.28更新

2011年9月以降の私が関与する医療講演の把握している予定をお知らせいたします。日程や場所など変更する場合があるので直前に確認を忘れずにお願いします。

講演の基本的な内容は以下の通りです。うたとギター付きです。相談も受けていますので、是非ご参加下さい。
きっとかなう夢のために ー肝がんの不安が無くなる世の中を目指してー
   ○ウイルス性肝炎の最新治療と肝炎対策の現状について
   または
   ○肝炎肝がんの最新治療と肝炎対策の現状について
 講師 札幌緑愛病院 肝臓センター所長
    肝がん検診団 団長      川西 輝明 先生
終了分
11月21日月 厚別区 30名参加 午前10時から
11月19日土 苫小牧 25名参加 午後2時から
10月23日日 福井県福井市 30名参加 午前10時から 福井県民活動センターAOSSA 7階 706・707号室
10月27日木 西区 ちえりあ 15名参加 午後6時から
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苫小牧肝がん検診2011終了 医療講演してきました。

2011年11月19日 | 肝がん検診

苫小牧の肝がん検診が終わりました。18名予約で17名受診でした。
B型肝炎の既往、キャリアの方がほとんどでした。肝がんの方はいなかったのでよかったです。
板谷議員さんにお願いしてくれた受診者の方がわかり、ありがたかったです。
写真は今回のスタッフです。ありがとうございました。

午後から医療講演は25名の参加、雨の中ですが、王子病院の土居先生の司会でスムーズに進みました。また、板谷議員と松尾議員さんが来てくれました。ありがたいです。これからの肝炎対策が充実してくれたらと思います。

 

07 B型肝炎ウイルスの治療目標 ペグインターフェロン ペガシスが使えることに

2011年11月14日 | B型肝炎ウイルスの治療

B型肝炎治療へペグインターフェロンが適応に 先日の八橋先生の話をスライドに作ってみました。参考になれば幸いです。

B型肝炎治療に2011年9月26日からペグインターフェロンのペガシスが使えることになりました。ペガシス自体は、C型肝炎の治療に用いられてきましたが、週一回投与で済むインターフェロンとしてはじめて適応が得られ、免疫を高めることでのB型肝炎の治癒速度を上げられる可能性が期待されています。
現在の治療(核酸アナログ製剤)では、ウイルスが増えないようにすることで、肝炎改善や肝がんの抑制につながるという効果は期待されていますが、治るスピードをさらに上げる効果をインターフェロンは高めることが期待されています。
C型肝炎での治療のように、週一回だけではなく、月一回などの間隔を空けた投与でもしないよりはした方がいい効果が得られる可能性があり、今後のデータの蓄積が期待されるところです。
月一回の通院と合わせて,注射が出来ると言うことだけでもメリットがあるなあと思っています。
B型肝炎は、s抗原の値が1000を切ると11年、100を切ると5年くらいでs抗原が陰性化し、その後5,6年でs抗体が出てくるのではと推測されるようになってきました。つまり、治ると言うことが起こってきているのです。いままで、治らないと言われてきたこの病気も、治療により治る人がでてきている、すごいことになってきています。治らないというのは、もちろん自然と治る人もいるのですが確率が低いという意味です。
この数年、本当にうれしいニュースがたくさん出てくるので、これからも期待して行きましょう。

由仁のC型肝炎訴訟 10人が弁護団結成 原告200人目指す 2011.11.8道新朝刊

2011年11月09日 | 肝炎救済に関連して
由仁のC型肝炎訴訟 10人が弁護団結成 原告200人目指す(11/08 08:20)

 空知管内由仁町の診療所で、消毒が不十分な注射器が日常的に使われ、同町などの住民がC型肝炎ウイルスに感染したとされる問題で、国を相手取って訴訟を起こす患者側の弁護士10人が7日、弁護団を結成した。原告は100人を超え、来年1月の提訴までに200人規模を目指す。

 同日、記者会見した弁護団の西村武彦弁護士によると、原告は同町のほか札幌や千歳、岩見沢各市などに住む肝がんや肝硬変、慢性肝炎の患者と遺族ら。提訴は札幌地裁に行う予定。<北海道新聞11月8日朝刊掲載>

医療機関による感染からの国の補償を求める形、医療の責任を国が負うべきってことで、みんながわかってくれるといいですね。B型肝炎もC型肝炎も日本からいなくなっていく病気にするためにも、早い対策が進んでくれますように。