かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

俳句の醍醐味

2014-01-28 13:41:11 | わが健康生きがいづくり三重の会記録

 1月25日朝、健生みえの会メンバー20人は3台の車に分乗して

南伊勢町に向かう。

 「遠足気分だね」

 

 南伊勢町の突端近く、海を眼下にしたニューはまぐち屋旅館に

午後到着。新年の会の前に、恒例の岩魚句会。

 

 新年の句会は、昨年に続いて2回目。

 句会は、2011年7月初めて開いてから、今回で7回目。

 「あれまあ、よくも飽きもせず、続いているもんだ」

 

 ぼくの参加2回目。句会の様子が新鮮だった。その一端を

感じたままに紹介したい。


    *             *               *

 

 参加している人にとって、面白いんだろうな。

 岩魚とか、ご馳走だとか、みんなで飲むお酒も楽しいが

それだけではないもの、あるのかな。

 

 出来栄えを競う句会は句会でその妙味もあるのだろう。

 わが句会はそこは、あまり目指していない感じ。

 一人ひとりが大事にされている感じ。

 

 

 句会の進め方にもそんな面がある感じがする。

 一人3句を投稿。全員の句をまとめてコピー。

 句会では、一人ひとりにそのコピーを渡し、「好きな句

5句」に点をいれる。5句のうち、一番気に入ったものに

「天」の印。

 句会では、点がある人のも、ない人のも、全員の句を

読む。点が入っている場合、点を入れた人に入れた理由を

発表してもらう。

 その句に対する受け取り方にそれぞれの人の個性が

出てきて、ここが一番の醍醐味かと思う。

 「ええ、この句の、このところ、そんな風に読んだの?」

 「こんな風にも思った」

 「へえ、そうかあ」

 ワイワイ出し合って、「この句を作った方は?」と

進行が問いかける。

 場合によって、作者からこの句が出来た背景が明かされる。

 ただし、句会では正解かどうかという雰囲気よりは、

それぞれの受け取り方にその人らしさ、人生の歩みが

現れているし、作者の人柄・人生に触れる機会にも

なる。

 

 点が入っていない句もある。

 進行は、伊藤敏子さんがしてくれているが、その句が

どんな気持ちをその言葉で表したんだろうかと、投げかけて

くれる。はっとして、言葉がでてくる作者の心の内に関心が

行く。

 これもわが句会の醍醐味・・・

 

 今回は20人が参加。

 各人3句をひねった。すごいことだよね。

 日常、なにげくやり過ごしていることどもに、立ち止まり、

そのときの情景や気持ちを17文字に表そうと言うんだから。

句会の前に、はじまっているものがあるんだね。

 

    *                *               *

 

敏子さんの進行で全57句の鑑賞がはじまる。


1、年一度息子と交わす屠蘇あらた      (点なし)

 

   敏子「屠蘇というのは、年一度とかぶっているのよね。

       息子への気持ちがひしひし感じられるんだけど・・」

   だれか「なるほど・・・」

                    作者 大平達男


2、大つもごりに家族つどいて福は内      (点なし)


   敏子「大つもごりと福は内が不思議なんだけど。どなたが?」

   上野徳也「南伊勢のうちらんとこは、年の瀬に豆まきをするんだね・・・」

   敏子「そうですか?そんなときは、そっちが実際なんで、実際で

      いいんですね」


4、炭窯造り知恵練り込めし冬日陰        (4点)

    

    誰か「”練り込めし”がいいな」

    辻屋「実際、おおくの人の知恵が寄って出来ている」

    敏子「どなたの句ですか」

    余川「はい、ぼくです」

    一同「ええー」代弁すると、鈴木英二さんの句かと思っていた。


7、寝て食うて箱根駅伝お正月           (点なし)

  

   誰か「駅伝とお正月は季語が重なっていないか」

   宮地「そのまんまじゃん」

   敏子「寝て食うていたかたどなたですか」

   中井「ぼくです」


8、降り積もる闇夜に清し鹿の声           (5点)

   

   誰か「闇夜に清しがよくて採った」

   敏子「降り積もるって、雪ですかね。鹿は秋の季語

       なんですが・・・どなたでしょう?」

   鈴木英二「ぼくです。これって、夜中に絵を描いている

          ときの句なんです」


9、海岸で願いを込めて待つ初日          (1点)

   この1点は森原さん。

         作者      中井佳子


10、子の好きなきんとん作る年の暮れ       (1点)

   

   辻屋康子「きんとんって、裏ごしに手間かかるのよ」

   誰か「お母さんじゃなかったら・・・」

   敏子「どなたでしょう?」

   伊藤八重子「はい、わたしです。1回作ったら、毎年に

           なって。みんなからアテにされて・・・。

           裏ごしはゆっくりと」

 

11、三ケ日孫がそろってサプライズ         (点なし)

    

    作者  栗屋章  「思いかけず、息子家族がやって

                きて・・・・」

 

14、小春日や豆収穫す車庫の中            (1点)

   

    八重子「わたし、豆好きなんです。手塩にかけてつくった

        お豆をいている。ほっこりします」

             作者  伊藤敏正

 

17、負け乾杯言いたいほどのいい試合         (2点)

   

   辻屋「わかるわ。負けても、いい試合はいい試合」

   ぼく「あれ、季語は?」

             作者  郡山恒久

 

18、元日に窯の指示出す人熱し             (4点)

   

    誰か「人熱し、で採った」

    誰か「そうそう、窯と熱」

    敏子「誰でしょう」

    鈴木「ぼくです。元日に右田さんから、のっけが、あれなあ、

        45センチじゃなくて、60センチやったという電話。

        それから、おめでとう、だったな」

 

20、前庭の千両きらきら初日の出              (3点)

   

   点を入れた3人「赤が飛び込んでくる。絵になっている」

             作者  伊藤八重子


22、とも去りてONのラジオや鍋のふた            (2点)

    

    誰か「一人になって、ラジオのスイッチをいれる気持ち。

       わかるなあ」

    誰か「鍋のふた、これは意味不明?」

              作者   大内けい子


25、窓ごしに薄陽に映え舞う小雪               (6点)

    

    余川「この句、雪を舐めている。北陸はこんなもんじゃない」

    大平「そうや、雪を眺めようとしたら、2階に行かな見られん」

    雪国の連中は言いたいこといっている。

    敏子「どなたでしょう」

    辻屋「ぼくです」

    一同「おおー」と感嘆。


26、腕組めば人無き小路冬日かな             (1点)

    

    中井「これは一人腕組んで、人無き小路を歩く、

       そこに感じた」

    敏子「へえー、わたしはいい人と腕組んで人のいない

        ところに連れ込んだ、という風にうけとったけど・・」

    一人腕組むという人とだれかいい人と腕組んでという人と、

    受け取りが分かれた。

    敏子「こういうのが俳句のおもしろさなのよね」

               作者   宮地昌幸


28、正月の鍋を揃って雑炊へ              (点なし)

   

     作者  大平照子の弁

    「お正月、みんなが揃って、鍋をした。いつもなら雑炊まで

    いくことはないのに、”揃った”というところから。雑炊まで

    みんなで味わえた嬉しさがあった」


31、新春に小さきひとみ清々し               (6点)

    一同「小さきものの、純な清々しさを感じとった気持ち

       そのままに詠まれている」

                 作者     宮地小浪

 

32、炬燵から老父の指示する鯉料理            (8点)

   

    大平「新潟じゃ、鯉は男の料理なんだよな」

    だれか「家族の微笑ましさが漂っている・・・」

    敏子「これって、じつはわたしの句なんです。

       ちょっと背景言わしてもらっていいかしら。

       娘婿さん、諸国(どこの国か嬉き損ねた)の人で、

       セントニコライという神を信仰している。その神様は

       川と海の神。それで、正月に鯉料理を出したいと

       思ったけど、その作り方が分からない。老父が

       名古屋にいて、聞きながらつくったんです」

    (新潟の風土から、諸国の神の物語から、老父の人生

     から、親子、孫まで壮大なドラマが17文字に。おもしろい

     なあ)

 

33、初手水息会う夫婦の二礼かな              (4点)

    

    だれか「新年の心新たな二人、そこをやっていきたい作者の

         気持ちがいい」

                   作者   大平達男

 

36、赤子とは宇宙の気配冬日向                (11点)

    

    敏子「赤ちゃんから感じる純なもの、どう表現していいか、いつも

        思っていた。宇宙でピッタリきた」

    中井「冬日向というところで、宇宙は日常の暮らしと溶け

       合っている」

                   作者    宮地昌幸

 

38、豆剥いてカラカラ歳が暮れていく            (2点)

   

   八重子「豆が好きなのよね。豆を炊いて、あちこちに配るって

        こと連想してしまって」

                   作者    大平照子

 

40、そば汁の底になごりのゆく年の          2点)

    

    敏子「”の”の使い方が絶妙。この句を引き立てている」

    辻屋「ぼくが作りました。やり残した感じがあることと

       年を越す気持ちを詠った」

 

41、鮭紅し昆布に真中に寿ぎて           (2点)

    郡山「寿ぎて、という言葉が好き」

    大平「鮭の色が昆布の上で際立っている情景がいい」

                  作者   辻屋康子

 

45、さざんかの隣にならぶ干し大根             (4点)

    一同「赤と白のある風景、情景が浮かんだ」

                  作者   森原とし子


51、歳ひとつ増える替わりに歯は抜ける          (1点)

    一同「大笑い」俳句というより、川柳。

                  作者   森原俊明


52、くせ字みてなまり聞きたし初電話           (5点)

    だれか「年賀状を見て、そんな気持ちになったのかな」

                 作者      余川彬夫

(2時から始まった句会、旅館の食事の都合で4時半までに

終わることに。進行の敏子さん、腕に見せどころ・・・)

 

53、父真似て手を合わせてや初詣             (5点)

    敏子「ここの”や”の使い方いいですね。”や”の扱い、

       難しいのに」

                 作者       宮地小浪

 

54、大根煮る湯気のむこうの思案かな                        (3点)

                 作者      伊藤敏子

 

 句会はこうして、無事午後4時半に、見事に終わった。


    *            *           *

 

 この後、2014年を迎えて新年会。

 ニューはまぐち屋さんのご馳走に舌づつみ。

 カラオケ大会も盛り上がる。

 句会では、「投稿できない」と言っていた足利友紀さん。

 カラオケでは、「津軽海峡冬景色」「天城越え」を熱唱して、

俳句ではなく、身体で新年の喜びを表現した。

 

 寒の夜は、波の音が響きながら、しずかに更けていった。

 

           (宮地 記)


追伸

 句会の写真、新年会の宴席で酔いしれて、すべて消してしまった。

 ここからは、新年会の様子をアルバムで。