かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

老人と子どもの”大豆コラボ”

2012-07-14 17:54:39 | アズワンコミュニテイ暮らし

 

 前日は雨が降っていた。

 7月14日土曜日、三重県美里村に代々伝わる在来の大豆を播くのに、

最良の一日だ。

 大豆栽培の実地研究一筋、三重大の梅崎尚輝さんがこの日を打ち出した。

 今日、午前10時きのうの雨はどこへやら、なんと快晴。暑い。

 

 鈴鹿のショッピングモール”ハンタ”ーの東にある”まちのはたけ公園”には、

まず、健生みえの会の老人が三々五々、集まった。

 「老人とは失礼じゃないか?」

 もちろん、ぼくらは老人というコトバに馴染んでいない。

 ほとんどのメンバーに孫がいる。最低、”おじじ””おばば”は甘んじて受けるほか

ない。

 

 つづいて、小学生の子どもが5人もやってきた。

 大豆博士の梅崎さんも一緒だ。子どもたちといると、シックリする感じ。

 この子どもたちは、「夏の一日てっらこやーー7/14大豆を一人百粒植えよう!」の

参加者だ。

 夏のスケジュールは、これから6回ある。

 毎回、募集する。続けてくる子もいれば、ときどきの子もいる。

 鈴鹿にある小学校のほとんどから、だれか、かれか参加している。

 大豆は、どうも人気がなかったようだ。”カブトムシ探し探検隊”とかの企画とは

勝負にならないかなあ。

 

 ”てっらこや”の野外フィールドの畑から大豆の種まき。

 この大豆は春に梅崎さんが持ってきてくれた。

 「子どもたちが、莢から豆を採るところからはじめたら、おもしろいのでは・・」

 子どもたち、やるにはやったけど、すぐ他の遊びに移ってしまった。

 

 健生みえの会の”おじじ””おばば”は、子どもに大豆のおもしろさを体験させる

というより、自分らが、先ずその醍醐味をあじわって、それに子どもが「なんか

おもしろそう・・」ってなるほうが、無理ないんじゃない、とかんがえた。

 

 かくて、子どもの畑とその隣の畑で、年寄と子どもの種まきがあった。

 やりはじめたら、各自めいめい、だれが段取りするというのでもなく、かといって

むちゃくちゃでもなく、ゆったりだけど、確実に・・・

 

 いつ来たのか、お母さんと赤ちゃんまで参加していた。

 

 

 土かぶせも、子どもたち、器用にやっていた。

 年寄たちも、「足でやったら、簡単」とかいいながら、土かぶせ。

 あれよという間に用意した大豆を播いてしまった。

 

 子どもたちは、中井さんが用意したスイカにかぶりつく。

 大人たちは、冷えたお茶、シソジュースで喉を潤す。

 熱をもった身体に、冷気がすーっと浸み込んでいく。さわやか、生き返る。

 

 

 健生みえの会は、この日、月一回の”アクションDAY”の日にした。

 大豆を播き終わって、中井さん宅に集結。梅崎さんにもきてもらった。

 お昼ごはんをいっしょに食べた。

 お料理は中井佳子さん。

 そーめんに、野菜のてんぷら。ジャガイモの甘辛煮。

 鈴木英二さんは、美里村の大豆を自家栽培し、豆腐をつくっている

野瀬商店の豆腐を買ってきてくれた。

 寄せ豆腐、絹ごし豆腐、豆腐のお好み焼き、おからの惣菜など。

 「たしかに、おいしい」と何人も声をあげた。

 

 デザートのプリンをいただきながら、梅崎さんから、大豆栽培のお話を聞く。

 梅崎さんは花とか植物の観察が好きだった。

 大学では、趣味が嵩じて農学部にすすんだらしい。

 栽培の研究では、稲が主流だった。

 気が付いたら、稲ではなく、大豆の研究をしていた。そのうちでも、土に

へばりついた栽培部門だった。

 それが、地産地消、地域振興の動きのなかで、栽培面の専門家が求められた。

 「いつのまにか、隅っこで地味にやっていたのが、前線に立つことになった」

 

 料理研究家の辰巳芳子さんの”大豆百粒運動”の、栽培面の顧問をしている。

 「子どもはカブトムシとか、動くものにはすぐ反応する。大豆のような植物は、

いつ育っているか、よく観察しないと分からない。このへんを体得っしてほしいと

辰巳さんが言っていた」と梅崎さん。

 

 「大豆のことなら、なんでも聞いてください」とばかり、どんな質問にも詳しく

答えてくれた。

 莢のなかの豆は、二つの系統に分かれていて、二つあれば、それぞれ別の

系統から栄養を送り込んでいる。

 育ち方も、はじめに「じぶんは、これぐらいの大きさになるぞ」と莢のなかで

外形をつくるらしい。そのあとで、身をそのなかに充満させていくとか。

 根瘤菌と大豆の育ちの関係。

 大豆は、じぶんが育つには、土に養分がなくとも、根瘤菌と同居して、空気中の

チッソを取り込むことができる。

 大豆が育つことだけ考えていたら、豆の方に養分が回らなくなって、子孫を残す

仕事がおろそかになる。

 そこを、バランスよく、大豆は環境も考慮しながら、暮らしているらしい。

 おもしろい!

 

 遺伝子組み換え大豆というのは、そういう大豆の暮らし方を、人間よりのものに

無理にかえているようだ。梅崎さんが、専門的に説明してくれた。

 「そうか」とそのときは受け取ったけど、他の人には伝えられない。

 

 梅崎さんの話から、大豆食品、大豆の料理のこと、大豆のある暮らしのことなど、

にぎやかな懇談会になった。

 

 というわけで、健生みえの会のアクションDAYは、大豆の育ちを見守りながら、

秋に向かっていくことになりました。

 そうそう、みんなで記念撮影。

 

 美里在来大豆、大安町の伊藤敏正さん夫妻が、百粒ほど持ち帰り、三重県の

北海道でも育ててみるということでした。

 

 <参考までに>

 辰巳芳子さんの”大豆百粒運動”趣旨

辰巳芳子先生生命は、もろいものです とりわけ、幼い生命は大変傷つきやすいものです。 それは、どれ程見守っても充分とは言えぬほどのものです。

この命を大切に致したく、手はじめに、この国の大豆を再興することから手をつけました。

方法の第一は、学童が掌一杯、約100粒の大豆を播き、その生育を観察・記録し、収穫を学校で揃って食べることを奨励・拡大することです。

第二は、各風土の特質ある大豆、即ち、在来品種とその食方法を調査・発見し、復活・振興をうながし、援助することです。
これは誰にとっても、興味つきぬ命題で、生き甲斐にさえつながりましょう。

第三は、大豆再興が、地域の着実な「底力」となるよう、情報交換し、「合力」することです。

NPO法人 大豆100粒運動を支える会
 会長 辰巳芳子