11日に発売されるBob Woodward氏(ワシントン・ポスト紙の看板記者)の著書「Fear: Trump in the White House」の抜粋が4日のワシントン・ポスト紙に掲載されたらしい。それを引用するロイターによると、トランプ大統領は衝動的な意思決定を下しがちで、有害で危険な行動を防ぐため、側近が時に大統領の指示を無視する状況が描写されているという(例えば、マティス国防長官は、シリア・アサド政権による化学兵器使用疑惑が浮上した昨年4月、トランプ大統領が、アサド大統領の暗殺を望んでいると伝えたとき、アサド大統領を特定の標的としない限定的なミサイル攻撃を行う計画を進めたとか、コーン前国家経済会議委員長は、トランプ氏の机から、大統領が署名する予定だった米韓自由貿易協定(FTA)破棄に関する書簡を持ち去ったとか)。また、マティス国防長官は別の場面で、トランプ大統領の言動は「小学5、6年生のようだ」と同僚に漏らしたらしいし、ケリー大統領首席補佐官は影で大統領を「まぬけ」と呼び、「私たちは狂った街にいる。今までで一番ひどい仕事だ」と話したらしい(ご本人たちは、当然のことながら、こうした発言を否定)。トランプ大統領を巡る過去1年半のドタバタを思い起こせば、別段、驚くほどのことはないように思う。
そのマティス発言の噂を受けて、政権当局者は、両者の関係が悪化するのは不可避との見方が強まっているといい、ワシントン・ポスト紙は5日、トランプ政権がマティス国防長官の退任を見越して後任の人選を進めていると報じたらしい。トランプ大統領の子守りをしているとされた三人の将軍の内、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)に続いて辞めさせられるとすれば、聞き捨てならない話だ。ビジネスの世界でも、何ら波風立てずにスマートに仕事を進める人もいれば、何かと周囲と摩擦を起こしながら、騒々しく(まがりなりにも前に)進む人もいて、結果は同じ方向に向かうにしても、轍はメチャクチャなんてことは往々にしてある。トランプ大統領という人は後者なのだろう。
そのあたりを改めて感じたのは、8月25日に亡くなったアメリカ共和党の重鎮・マケイン上院議員の追悼式と告別式を巡る報道に接してのことだ。
祖父も父も海軍大将という名門一家に生まれたマケイン氏は、ベトナム戦争に米海軍の精強パイロットとして参戦し、1967年、北ベトナムを爆撃中に撃墜され、捕虜となった。父親がベトナムにおける米軍司令官になると、北ベトナム側はプロパガンダの機会と捉えて、釈放を持ちかけたが、マケイン氏は、自分より先に捕虜となった米兵全員を釈放しなければ応じないと固辞した。そのため、北ベトナムは、激しい拷問を再開し、絶え間ない暴行に加え、赤痢にも苦しんでいたマケイン氏は、自殺を試みたほどだったという(このあたりはBBCによる)。こうした彼の硬骨漢ぶりは、その後の政治家人生でも遺憾なく発揮され、先のBBCの追悼記事は、次の様に結んでいる。「マケインは党利党略に構わず、政治家として自分の思う道を歩き続けた。米政界のトップに立つことがなかったのは、それが理由だったかもしれない。しかし、原理原則を重視する信念の人として評価を確立した。歩み寄りによる問題解決が可能ならば、政敵との話し合いも歓迎する信念の人――。ジョン・マケインはそういう人物だと見られていた」・・・
マケイン氏の日米関係に対する見方について、ワシントン駐在の産経新聞客員特派員・古森義久は次のように書いて追悼されている。「マケイン議員は日米同盟の強固な支持者でもあった。日米貿易摩擦で米国議会に出た日本に制裁を加える法案にはすべて反対した。安保面で重要な同盟国だからという理由だった。その一方、イラクのクウェート占領に対する米国主導の反撃に日本が参加しなかったことには『米国の同盟国、そして国際国家として異色の憲法の陰に隠れてなにもしないことは不適切だ』と非難した。マケイン議員は米側の一部にあった日本の防衛強化は危険だとする主張にも『日本の軍国主義復活説には根拠はなく、むしろ消極平和主義が問題だ』と述べ、日米同盟のより対等で緊密な強化をも求めていた」・・・日本の政界には絶えて久しい信念の人という印象だ。
マケイン氏とトランプ大統領との確執については、BBCによると、次のようになる。「共和党が(大統領選挙の)候補者探しを本格化すると、ドナルド・トランプの適性を強く疑問視していると公言した。部屋いっぱいのトランプ支持者を「クレイジーな連中」と呼んだこともある。これに対してトランプ候補は2015年夏の時点で、『戦争の英雄じゃない。捕まったから戦争の英雄なんだ。自分は捕まらない人間のほうが好きだ』と発言し、マケインの経歴を中傷していた。投票日を目前にした2016年10月に、トランプが2005年時点で女性について猥褻な発言をしたテープが公表されると、一時は党の指名候補として支持を表明していたマケインは支持を撤回した。『トランプ氏が女性を攻撃し、この国とこの社会における女性を侮辱した時点で、私はもはや袂を分かつしかない』とマケインは表明した」・・・
マケイン氏は事実としてアメリカの英雄なのだろうが、トランプ大統領に対する言わば当てつけのように、より大きく記事に取り上げられているようにも見える。
そのマケイン氏の追悼式が31日、ワシントンの連邦議会議事堂で行われ、共和、民主両党の議会指導部の議員らが参列し、党派を超えてマケイン氏に哀悼の意を示したと報じられた。トランプ大統領は招待されず、代わりにペンス副大統領が追悼の演説を行ったという。翌1日、告別式がワシントン大聖堂で行われ、オバマ前大統領や息子ブッシュ元大統領ら数千人が列席し、党派を超えてマケイン氏に最後の別れを告げたと報じられた。トランプ大統領はまたしても招待されず、この日はゴルフに出かけ、ツイッターにロシア疑惑捜査などを批判する投稿を連発したとか。いやはや、マティス国防長官ならずとも、(招待されずに腐る気持ちがトランプ大統領にあったかどうか知らないが)小学5、6年生のようだと微笑ましく(!?)思えてくる・・・。
そのマティス発言の噂を受けて、政権当局者は、両者の関係が悪化するのは不可避との見方が強まっているといい、ワシントン・ポスト紙は5日、トランプ政権がマティス国防長官の退任を見越して後任の人選を進めていると報じたらしい。トランプ大統領の子守りをしているとされた三人の将軍の内、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)に続いて辞めさせられるとすれば、聞き捨てならない話だ。ビジネスの世界でも、何ら波風立てずにスマートに仕事を進める人もいれば、何かと周囲と摩擦を起こしながら、騒々しく(まがりなりにも前に)進む人もいて、結果は同じ方向に向かうにしても、轍はメチャクチャなんてことは往々にしてある。トランプ大統領という人は後者なのだろう。
そのあたりを改めて感じたのは、8月25日に亡くなったアメリカ共和党の重鎮・マケイン上院議員の追悼式と告別式を巡る報道に接してのことだ。
祖父も父も海軍大将という名門一家に生まれたマケイン氏は、ベトナム戦争に米海軍の精強パイロットとして参戦し、1967年、北ベトナムを爆撃中に撃墜され、捕虜となった。父親がベトナムにおける米軍司令官になると、北ベトナム側はプロパガンダの機会と捉えて、釈放を持ちかけたが、マケイン氏は、自分より先に捕虜となった米兵全員を釈放しなければ応じないと固辞した。そのため、北ベトナムは、激しい拷問を再開し、絶え間ない暴行に加え、赤痢にも苦しんでいたマケイン氏は、自殺を試みたほどだったという(このあたりはBBCによる)。こうした彼の硬骨漢ぶりは、その後の政治家人生でも遺憾なく発揮され、先のBBCの追悼記事は、次の様に結んでいる。「マケインは党利党略に構わず、政治家として自分の思う道を歩き続けた。米政界のトップに立つことがなかったのは、それが理由だったかもしれない。しかし、原理原則を重視する信念の人として評価を確立した。歩み寄りによる問題解決が可能ならば、政敵との話し合いも歓迎する信念の人――。ジョン・マケインはそういう人物だと見られていた」・・・
マケイン氏の日米関係に対する見方について、ワシントン駐在の産経新聞客員特派員・古森義久は次のように書いて追悼されている。「マケイン議員は日米同盟の強固な支持者でもあった。日米貿易摩擦で米国議会に出た日本に制裁を加える法案にはすべて反対した。安保面で重要な同盟国だからという理由だった。その一方、イラクのクウェート占領に対する米国主導の反撃に日本が参加しなかったことには『米国の同盟国、そして国際国家として異色の憲法の陰に隠れてなにもしないことは不適切だ』と非難した。マケイン議員は米側の一部にあった日本の防衛強化は危険だとする主張にも『日本の軍国主義復活説には根拠はなく、むしろ消極平和主義が問題だ』と述べ、日米同盟のより対等で緊密な強化をも求めていた」・・・日本の政界には絶えて久しい信念の人という印象だ。
マケイン氏とトランプ大統領との確執については、BBCによると、次のようになる。「共和党が(大統領選挙の)候補者探しを本格化すると、ドナルド・トランプの適性を強く疑問視していると公言した。部屋いっぱいのトランプ支持者を「クレイジーな連中」と呼んだこともある。これに対してトランプ候補は2015年夏の時点で、『戦争の英雄じゃない。捕まったから戦争の英雄なんだ。自分は捕まらない人間のほうが好きだ』と発言し、マケインの経歴を中傷していた。投票日を目前にした2016年10月に、トランプが2005年時点で女性について猥褻な発言をしたテープが公表されると、一時は党の指名候補として支持を表明していたマケインは支持を撤回した。『トランプ氏が女性を攻撃し、この国とこの社会における女性を侮辱した時点で、私はもはや袂を分かつしかない』とマケインは表明した」・・・
マケイン氏は事実としてアメリカの英雄なのだろうが、トランプ大統領に対する言わば当てつけのように、より大きく記事に取り上げられているようにも見える。
そのマケイン氏の追悼式が31日、ワシントンの連邦議会議事堂で行われ、共和、民主両党の議会指導部の議員らが参列し、党派を超えてマケイン氏に哀悼の意を示したと報じられた。トランプ大統領は招待されず、代わりにペンス副大統領が追悼の演説を行ったという。翌1日、告別式がワシントン大聖堂で行われ、オバマ前大統領や息子ブッシュ元大統領ら数千人が列席し、党派を超えてマケイン氏に最後の別れを告げたと報じられた。トランプ大統領はまたしても招待されず、この日はゴルフに出かけ、ツイッターにロシア疑惑捜査などを批判する投稿を連発したとか。いやはや、マティス国防長官ならずとも、(招待されずに腐る気持ちがトランプ大統領にあったかどうか知らないが)小学5、6年生のようだと微笑ましく(!?)思えてくる・・・。
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