風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

五輪の裏で:台湾加油

2018-03-05 23:33:57 | 時事放談
 随分、旧聞に属してしまうのだが、かれこれ一ヶ月前、台湾東部・花蓮県沖約18キロを震源とする地震に際して、首相官邸をはじめ芸能界を含む日本の民間人から寄せられた支援が好感され、台湾のシンクタンク「台湾世代智庫」の調査によると、「最も気遣ってくれた国」として75%以上が日本を挙げたと報じられた。台湾でも人気がある阿部寛氏が1000万円の寄付を申し出ると、「我的先生太大方了(気前が良い)」などと評判になったらしいし、台南でラーメン店を経営する日本人男性がすぐさま花蓮に向かいラーメンの炊き出しを行ったこともニュースで大きく取り上げられたらしい。その後の五輪報道で霞んでしまったが、印象に残ったこととして書き残しておきたい。
 台湾については、かつて祖父(鹿児島出身)が出稼ぎに行った地であり、私の初出張の地でもあり、以来、30回以上通い詰めた(勿論、仕事で、である 苦笑)こともあって、格別の思い入れがある。中国が台湾のことを核心と呼び始めてからは、なおのこと、アメリカのような台湾関係法を制定するだけの気概はないにしても、南西諸島とは目と鼻の先、第一列島線上にあって、日本国として表向きは「ひとつの中国」を理解し尊重しつつも、裏ではなんとか台湾の人々の親日の情に応えられないものかと思ってきた。幸い、そんな日台間で、1999年の台湾中部大地震、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、同年の台湾南部地震など、不幸な出来事の中でお互いを支援する連鎖反応が、着実に双方の間に良好な感情を育んでいるのは喜ばしい限りだ。
 とりわけ今回は、首相官邸facebookにお見舞いのメッセージが書き込まれただけでなく、安倍首相自らの筆により「台湾 加油」としたためられた色紙の写真が掲載されたのは特筆すべきことだった(ガンバルのは、地震に対してだけではないんじゃないか・・・と勘繰ったのは私だけではないかも 笑)。民主党政権下、東日本大震災の一周年追悼式典で、台湾代表として出席された台北駐日経済文化代表処の羅坤燦副代表が指名献花から外されて一般人扱いされたことと比べると、隔世の感がある。
 そんな日本に対して、台湾の歓心を買おうとする中国は不満を募らせ、実際に、当初、首相官邸のサイトで宛先が「蔡英文総統閣下」と敬称付きで表記されたことに抗議して、首相官邸は素直に引っ込めたのだった。が、台湾政府は中国の救援隊派遣の申し出は断りながら、日本の申し出には「台湾より高性能な生命探知機があり例外だ」と説明して受け入れており、日台間の阿吽の呼吸を感じさせる。
 それにしても、台湾といい、朝鮮半島といい、戦前、外形的には日本の植民地統治と形容されながら、実のところは内地の延長として、日本は健気にも当時のGDPの10数パーセントを投資したとされ、清から見捨てられた化外の地と、まがりなりにも王朝があったプライドの地と、生い立ちに違いはあったにしても、現在に続く親日と反日・侮日・用日の違いは、なんたることであろう。
 安倍首相の色紙に対して、(意外に)「字がうまい」、「韓国 減油」などといった書き込みもあったようだが、余談である(笑)。
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