風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

全ては政局へ(中)ピーターパン

2010-05-07 21:19:27 | 時事放談
 鳩山さんにはまた別の行動原理もあるように思います。
 例えば普天間基地移設問題で、鳩山さんが「県外を模索してきたが、余り遠いところに移設地を求めることは出来ない」と言うのは分かりますが、「辺野古の海を汚さない形での決着を模索していくことが重要だ」と短絡するところは、勿論、自然を守りたい気持ちは私だってやまやまですが、やや異質と言わざるを得ません。
 ピーターパン症候群という言葉があります。私が学生時代に流行った言葉ですが、Wikipediaによると以下の通り説明されています。
 「ピーターパン」は人間的に未熟でナルシズムに走る傾向を持っており、『自己中心的』・『無責任』・『反抗的』・『依存的』・『怒り易い』・『ずる賢い』というまさに子供同等の水準に意識が停滞してしまう大人を指す。ゆえにその人物の価値観は「大人」の見識が支配する世間一般の常識や法律を蔑ろにしてしまうこともあり、社会生活への適応は困難になり易く必然的に孤立してしまうことが多い。また「ピーターパン」は年齢的には大人の男性である「少年」で、母親に甘えている時や甘えたいと欲している時に、母性の必要を演じる傾向も持ち合わせている(所謂幼児回帰の要素も含んでいる)。
 なにも鳩山さんだけがそうだと言うつもりはありません。むしろ多かれ少なかれ日本人一般に当てはまることかも知れません。少なくとも敗戦後遺症に見舞われたままの我々は自省すれば思い当たるフシが必ずある。それが鳩山さんに典型的に現れているとは言えないでしょうか。
 因みにこうした症状に陥る条件として、近親者による過保護への依存、マザーコンプレックスの延長、幼少期に受けた苛めもしくは虐待による過度なストレス、社会的な束縛感・孤立感・劣等感からの逃避願望、等々が関係しているのではないかと言われますが、因果関係はあくまで推測の域を出ないようです。そして鳩山さんに関しては、これまでも主に右派の論説の中で、マザーコンプレックスを揶揄されたことがあり、それは半分は負け惜しみにしても、鳩山さんの言動に、ピーターパン的な自己中心性と無責任とを見出すのは難しくありません。
 以前(多分4月半ばだったと思いますが)、普天間基地移設問題が国民の一番の関心事になること自体がメディアが動き過ぎているからだと非難めいた発言をして、メディアから顰蹙を買いましたが、そもそもメディアを通して世間の耳目を集めようとしたのは鳩山さん本人ではなかったでしょうか。
 今回、鳩山さんは止むにやまれず「抑止力」という、ようやくまともな安全保障論議の用語を使いましたが、どこまで全体像を理解されているのか疑問です。そもそも自衛隊は、現在の憲法前文と九条のもとで、専守防衛、つまり領域内での個別防衛権に限定されている上、日米安保条約のもとで米軍を補完するだけの装備でしかないとも言われています。当然、攻撃力は持てない前提ですので、ある国が日本をミサイル攻撃するという最悪の事態に、米軍がいなければ、ミサイル発射地点を攻撃するだけの空対地ミサイルも艦対地ミサイルも持っていませんし、そもそも軍事衛星も持てないことになっていますので、正確な情報も米軍頼みにならざるを得ないのが現実です。対等な日米関係と呼んだのは鳩山さんでしたが、そのためには法整備し、何年もかけて装備を整えて(転換して)行かなければならず、防衛費が漸減する現状では、道のりは遥かに遠いと言わざるを得ません。そうした中で、在日米軍を後退させようとしていたのは、国際政治といった自分に都合の悪い現実には目を背けるピーターパン的な心性によるものと思えてなりません。
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