風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

東京マラソンへの道(5)

2013-01-14 23:32:43 | スポーツ・芸能好き
 ハーフ・マラソンから一日経って、それほどの筋肉痛に襲われていないのは、長めの距離を走る練習を取り入れた成果と言えなくもないとともに、昨日のレースは無理をしなかったから、と言うよりも、無理をしたくても出来なかったから、だと思います。風邪やら海外出張やらで一ヶ月練習から遠ざかった後、年末年始の2週間に慌てて走り込んだだけで、その後また一週間、練習しないままレースに臨んだため、1キロ6分でハーフを走るのが精一杯でした。それはともかくとして、普段の週一回程度の練習距離を10キロ・レベルに延ばして来たこの三ヶ月を冷静に振り返ると、もはや自分はかつての若い自分ではない、50歳なりの時間感覚が必要だろうと戒めています。
 具体的には、市民マラソン・ランナーは、日ではなく週や月単位で考えるべきかも知れないと思います。例えば高校生の頃、2~3日、走り込まない日が続くと、その倍くらい練習しないと回復しないくらい、緊張感に追われていたものでしたが、今は一週間くらい走らなくても、それほど練習不足を感じることはなく、その分、高校生なら1~2ヶ月で達成できるレベルに、今では3~6ヶ月くらいかかるように思います。その後の人生での運動量や節制の度合いによりますが、感覚的には3倍から5倍くらいのスパンで眺めた方が良さそうに思います。ハタチ前後と40代や50代とで何が違うかと言うと、身体のバランスが違う。そう言ってしまうと身も蓋もありませんが、この歳になると、筋肉がかなり落ちて、余計な脂肪で覆われており、この脂肪を落とすだけでも何ヶ月とかかりますし、走るための筋肉をバランスよくつけるのにも何ヶ月とかかります。
 実のところ、無駄なく効率よく走るフォームには自信を持っていました。陸上部に所属していた10代の頃の記憶、そして、僅か三ヶ月ほどの、しかも週一回5キロ程度(直前には毎日、昼休みに3キロほど走りましたが)の練習で初マラソンを4時間半で完走した30代前半の頃の記憶があるからです。しかし、この歳になって、単なるジョギングではなく、フル・マラソンを意識した早めあるいは長めのジョギングを始めてみると、情けないことに、俄かに走り方に自信が持てなくなりました。どうもスピードに乗れないのは、地面を蹴る力が衰えているせいではないか、そう思って、意識して走り方を変えると、ふくらはぎからアキレス腱にかけて疲労が溜まるようになり、その内、治るだろうと高を括っていたのですが、悪化するばかりでした。そんなある時、たまたま公園で短い距離ながら全速力で走ってみて、あらためてスピードを出す走り方を思い出しました。当たり前のことですが、地面を蹴る力とともに、足(膝)を引き付けて前に出さなければなりません。そのバランス、つまり足首に注目すると、その円運動の速さ(ピッチ)と大きさ(ストライド)の兼ね合いにあることが分かります。だからと言って前に蹴り出すことを意識し過ぎると、脛の周囲の筋肉を傷めやすくなりますので、箱根駅伝を見ていて、新・山の神(柏原竜二さん)が、上りの5区を走る後輩にアドバイスした、股関節を使って走れという言葉には触発されました。
 普段の練習では、ゆっくり長めに(所謂LSD=Long Slow Distance、1キロ7分くらいのゆっくりしたペースで2~3時間)走ることを基本に、いつも同じペースで走るのではなく、たまには短い距離を早めに(5キロ24~5分くらいで)走ったり、インターバル(400メートル10本とか、2000メートル5本など)を取り入れたりして、練習にバリエーションをもたせることで、過負荷を与え、持久力とともに心肺機能や筋力を向上させることが出来て効果的だと言われますが、速く走ることには、フォームを矯正する効果も期待できるように思います。
 また、随分前のことになりますが、このブログで、インナーマッスルのことに触れたことがありました(http://blog.goo.ne.jp/mitakawind/d/20101029)。目に見えない、手に触れることのない、このインナーマッスルは、関節を保護する重要な筋肉で、アウターマッスルを補助すると供に、インナーマッスルが弱ければ肩や股関節がケガをしやすくなると言われます。スポーツをする人にとっても、アウターマッスルを活かすインナーマッスルが出来ていなければ、100%の力を発揮することが出来ないため、ストレッチ体操のほか、ピラティスやヨガなどを取り入れインナーマッスルを鍛えることが重要だとされています。イチローが怪我が少なく活躍できているのは、毎日何時間もかけてストレッチ体操をしているからだと言われます。
 そのほか、マラソン愛好家の同僚からは、肝臓も大事にしなければならないと教えられました。走ることで生成される疲労物質「乳酸」を分解・排出する働きがあるほか、食べ物から取り込まれた栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)を使いやすいように変換する働きもあり、例えばマラソンの前の日に飲み過ぎたりなんぞしてアルコールの分解をしている場合ではないというわけです。そのことを意識すると、自然に晩酌の回数も量も減るようになりました。
 こうして見ると、脚力(つまりアウターマッスル)や心肺機能を鍛えるだけでも大変なのですが、それに加えてインナーマッスル、更には肝臓などの内臓機能に至るまで、様々な面で身体をマラソンに適応させる必要がありそうです。50年生きて来てガタが来ている肉体を根本から鍛え直すようなイメージですね。だからこそ1~2ヶ月ではなく、3~6ヶ月あるいはそれ以上のスパンの「時間」をかける必要があるように思うのです。マラソンへの道は、遠く、険しい。
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