「つながり」の旅 in Paris ~ 人と人、自然、地域との「つながり」 ~

人・自然・地域との「つながり」をテーマにした旅や暮らし(エコツーリズム、スローライフ等)について日々の想いを綴ります。

回想:ゆきの小屋 in 秋田

2010年05月21日 | 素晴らしき旅の記憶
八幡平の秋田県側のひなびた温泉地の外れに、
自然農による自給的な暮らしをしながら営む民宿
「ゆきの小舎」がある。


若い時に東京から田舎暮らしがしたくてこの地に移り住み、
小さな民宿を女手一つで創めたゆきさんと、
パートナーのいくおさんが、温かく旅人を迎えてくれる。

その日の宿泊者が私一人だったこともあり、
夕食をともにしながら丁寧に私の話に耳を傾けてくれる。
とても温かく接してくださるので、会って間もないのに、
まるで旧知の友人と話をするように、
環境問題から常日頃自分が考えている想いや将来の夢まで、
何でも話ができてしまう。

きっと多くの旅人が、このお二人の温かさに惹かれて、
繰り返しこの辺鄙な山の民宿を訪ねるのだろう。

もちろん、山小屋を開いてから、
苦労はいろいろとあっただろう。
開発のために元の小屋を立ち退かされて再建したり、
ようやく自然農が軌道に乗り、土ができてきた頃に、
自然災害復旧のためにトラックやブルドーザーが
畑の土を踏み固めてしまったり。

何よりも、ゆきさんご自身は、重病を患った末、
自然の治癒力を最大限に引き出す東洋医学的療法で回復し、
以後自然農や玄米食を常としているらしい。

様々な苦労をともに乗り越えられてきたお二人だが、
「できる範囲で、いろいろとやってみるのが楽しいの」と
穏やかに語ってくださる。

二人で支えあい、出会った人の縁を大切にしながら、
自分達の道を少しづつ着実に歩んできたお二人。

とても微笑ましく、
「こんなお二人のように暮らしたい」と思わせる、
心和む一夜であった。