ブルーシャムロック

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出て行った物は南国に消えるのか?

2011-12-23 10:28:45 | 信・どんど晴れ
「アイツが、沖繩の近くにあるなんとか島に歸っちまったのかい。」
松本佳奈のclassmateである宇品は驚愕していた。
口にしていた煮魚の箸がいったん止まった。
「うん。お父さんが具合が悪くなったと言っていた。」
佳奈のルームメイト、高槻久留実は素っ気なく話した。
「まあ、彼女は親御さんのことは全く話さない人だったし、大学を卒業するまで
彼女の親の顔を見たことがないし。」
と、食器の汁椀が空になっているのを見てつぎ始めた。
「アイツはCampusでも、私は關東で一旗揚げるそればかり言っていた。講義も
まじめに出ていたのに。就職が全くうまくいなかったのがすごくShockだったみたいだ。」
淡雪はふと宇品の顔を見た。
「あのー、宇品さん就職決まったんだよね。」
と一言。
久留実は
「確か、東岡先輩の伝手で横濱のfm局だったよね。」
と言う。
宇品は黙って頷く。
「ところで宇品さんは、大学の進学や就職は、北海道か青森の方向を検討していた
けれども、ここで働き口が見つかったから皮肉ですよね。」
淡雪が少し苦笑して言う。
「どうだろうね。人生どう転ぶか分からないと思っているでありんす。もし、自分がなじみの
アル土地だったら、根が脳天気だからそれに甘えてしまったかもしれない。」
宇品は口をへの字に曲げた。
「今の話を聞いて思って居たんだ。私は佳奈ちゃん、郷里の奄美だか沖繩で活躍できる
と思う。彼女はそこが大嫌いだったけれども、そこで生きる人たちに必要とされるかも。」
と久留実が言う。
「なんでだ。」
宇品は目を丸くした。
「私の高校まで一緒だった、幼なじみが石川の地元に残っているんだけれども、
衰退する町を旅館Mainでもり立てようとしている。其れを思うと地元に帰るのは悪いこと
ではないから。」
久留実はそう言葉を続けた。
ある程度似た境遇を郷里に持つ淡雪も宇品も同感して頷いた。
 それから数年後。
宇品は横濱のfm局に就職し、パーソナリティの一人になっていた。
「久良岐市の佐久間宏視さんからのリクエストです。學生時代就職が決まらず
スランプになっていた頃、この曲を聞きはげまされました。それはmonkey majikの
アイシテルです。佐久間さん私も好きな曲です。私も学生時代の友人に聞かせたいと
思って居ます。」
そしてRadioから曲が流れる。
「アイツも遠くなんとか島から聞いてくれればいいな。」
宇品は淡い期待を寄せた。
おわり
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