ブルーシャムロック

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雨宮撫子は私の母になってくれたかもしれない女性だ。

2014-11-14 18:49:55 | 逆襲の藤隆
平賀知世は、父親の共同研究者の家に来ていた。
「知世さん、もう少ししたら、私の教えている学生が来るんだ。」
共同研究者、通称「先生」は腕時計を気にしていた。
「そろそろ歸りますね。先生。私、今日は車ですので。」
という。
「まあ、学生たちに君を紹介しても良いけれどもね。」
20 歳、現在大学 2 年生の知世とは左様変わらない年齢の人々である。
「まあ、その人たちと私は、別学ですんで、迷惑をかけないかなと思いまして。」
知世は、恐縮して帰ろうとした。しかし、
「まあ、君がいたほうがいい。」
と、「先生」は言う。
知世は一瞬困ったような表情をした。
インターホンが鳴った。
「先生お邪魔します。」
タータンチェックのミニスカートの女子学生が始めに入ってきた。
女子学生と知世が目があった。
「あのー、先生のお嬢さんでしょうか。お初にお目にかかります。Xx です。」
女子学生は自己紹介までする有様だ。
知世は参ってしまった。
「あのー、私先生の実の娘さんじゃないですよ。」
と弁明するものの、
「どうみたって、先生の亡くなった奥さんによく似ているから。」
と、言う。
後方で見ていた先生が、
「知世さん、まあ私の娘という事にしてください。」
という。
「少しの時間であるならば、私は学生の方々のお相手をしますよ。」
知世は剣呑そうな顏をした。
最初に來た女子学生が来てからほんの 1 時間したら、学生が 15~6 人ほど來た。
全く分からない考古学の話題が飛び交う。教育学部に所属して、小学校の教員を
目ざしている知世には全く分からない。
ものの 30 分して、
「先生もう、歸ります。」
と言ってドアを開けて、愛車まで赴いて行く。
車を自宅のある濱まで走らせている知世は、
「あそこまで、あの先生は私を気にしているのだろうか。」
また、先生の自宅まで赴くことになった知世。
「先生、なんでそこまで私を気にしてくださるのですか?」
知世は先生に、問う。
「雨宮撫子は私の母になってくれたかもしれなかった女性だ。」
先生は素っ頓狂な事を言う。
「先生、奥さんに母親を求めるなんて反則ですが。」
知世はたたみかけた。
「知世さんは、雨宮撫子の卵生細胞から作られた可能性もあるんですよ。」
先生はとんでもないことを言う。
「私も父から出来杉英才博士の研究素体であることを度度聞かせられています。」
知世は表情を変えなかった。
「私は出来杉英才博士が examsystem というものを考えていた事は知っていますが、
其処まで興味がないです。直傍に亡くなった雨宮撫子が居てくれたらな。
とも、考えているからです。戸籍上の実の娘は・・・。」
先生は口が止まらなかったようだ。
「先生、これ以上イイです。でも、あなたをもう 1 人の otousan だと考えていいですか。」
知世は少し笑いを含みながら答える。
「そうですね。知世さんは男の人に愛されそうな顏をしています。知世さんとつき有っている方も
あるいは、好意を抱いている方も・・・。」
先生は当てずっぽうで言ったのかもしれない。しかし、核心を突かれたように
「そうです。これからは遠くで私を応援していてください。」
と言った。
「はい。」
先生は優しく頷いた。
おわり
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