ブルーシャムロック

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信・加賀美屋の一番長い日_3

2014-07-09 18:49:09 | 信・どんど晴れ
昼近くになって、参列者が続々加賀美屋にやってくる。
女将、夫である社長、その二人の間の長男新一が参列者に挨拶をしている。
「しかし、上京してずっと音沙汰がなかった人間をそこまで参列者が必要なのかな。」
新一が参列者が少し吐けた跡、佳奈につぶやいた。
「ソレは分かりませんよ。」
佳奈はそう言うしかなかった。些か苦笑紛れニダ。
口を動かしながら、参列者が使うお膳をそびえ立つぐらい佳奈は持っていた。
「どこで大女将が聞いているか分かりませんぜ。さて、新一さんの奥さんの恵美子さん
と大女将が見えませんが。」
佳奈は新一に尋ねた。
「分からん、どこかでぼけた大女将を見ているんだろう。あるいは空港か港にでも行っているのだろう。」
新一は人ごとみたくいう。
「そうですか。」
実を言うと、新一と恵美子は政略結婚である。大女将の指矩で無理矢理結婚させられた。
彼女は小田原の老舗蒲鉾屋の令嬢である。本来ならば小田原か濱の大きなお店の人と結婚するはずだったのだが。
「こんな島に来て彼女は不幸だった。実を言うと子供をふたり作ってしまったのが悔しいところだ。」
新一は、悔しそうだった。
「本来ならば、新一と佳奈が結婚すれば佳かったのに。」
女将や社長は佳奈にくり返し言う。
本来ならばこんな島に閉じ込められるのはまっぴらだ。
しかし、逃げられないことを悟ってからは、加賀美屋の人たちがいい人たちに見えるのだ。
彼らのために尽くそう。
そう、悟ったとき、女将の甥が婚約記念パーティが持ち上がったのだ
コメント
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