保健福祉の現場から

感じるままに

妊産婦に対する保健・医療体制

2019年02月18日 | Weblog
メディウォッチ「妊産婦の保健・医療はどうあるべきか、2020年度診療報酬改定論議にもつなげる―妊産婦保健医療検討会」(https://www.medwatch.jp/?p=24909)。<以下引用>
<妊産婦の支援に向けて、公的な保健・医療サービスはどのようにあるべきか―。こういった議論が厚生労働省の「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(以下、検討会)で始まりました。今年(2019年)5、6月を目途に意見がとりまとめられ、その意見は、中央社会保険医療協議会の2020年度診療報酬改定における「妊産婦に対する診療を支援する評価の在り方」論議にもつながります。妊婦だけでなく、産婦も含めた「あるべき保健・医療の姿」を検討 少子化対策にも関連し、妊産婦が安心して子どもを産み育てられる社会の構築が強く求められています。そこで、厚労省は、▼妊婦健診に対する交付税措置や費用助成▼妊産婦に十分な医療を提供するための周産期医療体制の整備やハイリスク妊産婦への診療の充実―などを進めています。しかし、妊産婦の診療については、通常よりも慎重な対応や胎児・乳児への配慮が必要となることから、診療に積極的でない医療機関が存在することも指摘されています。例えば、妊婦が風邪などで内科診療所などを受診した場合、「当院では妊産婦の診療は難しい。産婦人科のクリニックや、産婦人科のある病院を受診してほしい」と要請されるケースもあるといいます。こうした状況を改善するために、中医協で「妊婦を支援する診療報酬」について議論を行い、2018年度の診療報酬改定で【妊婦加算】(初診料や再診料、外来診療料などの加算)を新設しました。ただし、「十分な説明なく妊婦加算が算定される」「通常の患者と同様と考えられるコンタクトレンズ処方などでも妊婦加算が算定される」との指摘があり、また「妊婦税である」などの偏った意見が大手マスコミ報道等でもなされるようになりました。さらに政治の場でも「妊婦加算の見直し」に向けた議論が行われ、根本匠厚生労働大臣は「妊婦加算の一時凍結」を決断。中医協でも了承され、今年(2019年)1月1日より凍結されています。あわせて根本厚労相は、「妊婦に対する診療の在り方について、有識者も含めて幅広く議論する」考えも提示し、検討会設置に至りました。検討会では、「妊婦」だけでなく「産婦」も含めた保健・医療のあり方を幅広く議論し、今年(2019年)5、6月を目途に意見を取りまとめます。さらに、検討会の意見を踏まえ、中医協で「妊産婦の保健・医療体制を支援する診療報酬」について議論し、2020年度の次期診療報酬改定での対応を検討することになります。「妊婦の妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療」「産婦の不安解消なども踏まえた適切な診療」を評価する診療報酬(加算など)の創設が今夏(2019年夏)以降、議論されることとなり、その要件(施設基準や算定要件)を検討する際には検討会意見をベースにする、というイメージが考えられます。妊婦の偶発的合併症に、一般医療機関も積極的に対応してほしい 2月15日の検討会初会合では、構成員間で自由討議が行われ、さまざまな意見が出されました。産婦人科医である中井章人構成員(日本産科婦人科学会代議員、日本医科大学多摩永山病院院長)は、妊婦の合併症には、▼妊娠に伴う合併症(産科合併症、ハイリスク妊娠管理加算などでカバーされる)▼妊娠とは直接関係のない合併症(偶発合併症)―の2種類があることを説明。後者の診療は産婦人科だけでの対応には限界があることを指摘し、産婦人科以外の診療科でも積極的な応が可能となる環境整備に期待しています。同じく産婦人科医である鈴木俊治構成員(日本産婦人科医会常務理事、葛飾赤十字産院副院長)も、「夜間に具合が悪くなった場合など、遠方にあるかかりつけの産婦人科を受診することがたいへんなケースもあり、近隣の医療機関できちんと診てもらえる環境が整えば、妊産婦は安心できる。また、感染症などでは、産婦人科での対応が困難な場合もあり、(例えば感染症の)専門医療機関において、妊婦の診療を積極的に実施してほしい」と要請しました。上述した【妊婦加算】は、こうした産婦人科医の要望をも踏まえたものでしたが、批判も強く、凍結に至っています。この点について中医協の公益代表でもある野口晴子構成員(早稲田大学政治経済学術院教授)は、「診療報酬改定で医療側の行動がどう変わるのか、サービスの水準が向上するのかを検証する良い機会であったが、凍結となってしまった」と感想を述べるとともに、批判の背景には「医療サービスの質向上コストについて、質の評価を十分に行えない患者(妊婦)に負担させた点があったのではないか」と分析しました。ほとんどの患者は医療に関しては「素人」であるため、「自身が受けている医療サービスの質」を評価することができません。このため「医療サービスの質が上がっているか分からないままに、高い価格を支払う(妊婦加算についての患者負担)ことには、十分に納得できなかった」というイメージでしょう。保険者代表として参画する松本義幸構成員(健康保険組合連合会参与)も、「妊婦への医療提供に当たっては、特別の配慮が必要なことは十分に理解している」と述べた上で、「妊婦加算の算定要件を検討する中で、患者視点が不十分であった」とコメントしています。また平川俊夫構成員(日本医師会常任理事)も、「妊婦加算への批判の理由を十分に検討していく必要がある」との考えを示しています。平川構成員は「産科医療機関と一般の医療機関との間、産科医療機関と行政との間、産科医療機関と患者・国民との間での情報連携の重要性」も指摘しました。もっとも検討会では、診療報酬に関する議論を正面からするわけではありません。妊産婦に対する保健・医療はどうあるべきかを中心テーマとして議論を行い、その中で「診療報酬での評価の必要性」に関する付随的な議論を行うにとどまる見込みです(診療報酬改定の論議は中医協で行うことになる)。妊産婦の多様なニーズを踏まえた相談支援体制が必要 妊産婦を支援する仕組みとしては、例えば▼産前・産後サポート事業(身近に相談できる者がいない妊産婦やその家族に、助産師や保健師、看護師などが相談等にのる)▼産後ケア事業(家族等から十分な家事・育児など援助が受けられない褥婦・産婦、その新生児・乳児に、宿泊(医療機関の空きベッドを活用)・デイサービス・アウトリーチ(訪問)サービスを提供する)―などがあります。また、妊産婦への適切な医療提供を行うために、すべての都道府県に▼総合周産期母子医療センター▼地域周期産母子医療センター―が整備され、さらに第7次医療計画(2018-23年度)では「無産科二次医療圏の解消」に向けた取り組みの強化なども行われています。しかし、石井和美構成員(知ろう小児医療守ろうこども達の会代表補佐)は、「妊産婦は多くの不安を抱えている。妊産婦を支援する国の制度や施設などもよくわからないのが実際である。普通の妊産婦が、簡単に理解し、納得できる仕組みが望ましい」と要望しています。また、保健・医療は「人」によって提供されます。この点、井上真智子構成員(浜松医科大学地域家庭医療学講座特任教授)は、産科医・総合医を経験する中で「産科医・総合医の教育」の重要さを痛感し、浜松医大で後進の育成に尽力。「妊産婦への医療提供の在り方についても熟知し、身近で何でも相談できる医師」の育成の重要性を強調。さらに、医師だけでなく「生活、医療の両面で、妊産婦と伴走できる、正確な知識を持った医療専門職」も必要であると井本寛子構成員(日本看護協会常任理事)が指摘しています。人材育成についての議論が展開される可能性もありそうです。さらに戸矢崎悦子構成員(全国保健師長会総務担当理事、横浜市南区福祉保健センター子ども家庭支援課長)は「妊婦が母子健康手帳(母子手証)を受け取りに来た時点で、『入所可能な保育所』に関する相談もある」ことを、福本怜構成員(下関市保健部長)は「経済的の困窮している妊産婦、精神疾患や精神的な不安を抱える妊産婦も少なくなく、社会的リスクにも配慮した保健・医療体制を整備する必要がある」ことを指摘しており、妊産婦の多様な相談支援ニーズに応えられるような体制も議論される可能性があるでしょう。検討会では、非常に幅広いテーマを議論していきますが、幅広すぎれば議論が拡散してしまう可能性もあります。今般の検討会で、どこまでをテーマとするのか、今後の動向が注目されます。検討会では、今後、構成員や外部専門家からの意見発表(プレゼンテーション)を踏まえて、妊産婦の保健・医療体制のあるべき姿を検討していきます。妊婦等対象に、診療で「配慮が不十分」と感じた経験や「配慮してほしい事項」など調査 あわせて厚労省では、「妊産婦の医療や健康管理等に関する調査」も実施します。産科医療機関(500の病院・診療所)を通じて、9000人から1万人程度の妊婦・褥婦(出産後間もない産褥にある女性)を対象に、▼妊娠・出産歴や基礎疾患の有無などの基本属性▼妊娠中の医療機関の受診状況▼妊娠中・産後の診療で「十分配慮されている」と感じた経験▼逆に「配慮が不十分」と感じた経験▼妊娠中・産後の診療で「特に配慮が必要」と考える事項(要望)▼妊娠中・産後の健康管理で留意している事項▼妊娠中・産後の健康管理に関して受けている支援―などを調べます。妊婦等の負担にも配慮し、スマートフォンなどで簡単に回答できるような工夫がなされます。調査結果は4月にも検討会に報告され、議論の重要な基礎資料となります。>

「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_553056_00007.html)がスタートしている。直接的なきっかけは、妊婦加算の凍結(http://www.hospital.or.jp/pdf/14_20181219_01.pdf)であるが、この機に「妊産婦にかかる 保健・医療」全般(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000479245.pdf)の議論が期待される。ただし、それぞれの地域の状況がどうなのか、問われるであろう。全国児童福祉主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo.html?tid=129064)の母子保健課資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000199276.pdf)p697~698都道府県別・政令市・中核市別の実施市町村数・割合が出ていたが、厚労省「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドラインについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/sanzensangogaidorain.pdf)に基づく、市町村ごとの実施状況について「見える化」すべきと強く感じる。里帰り分娩が多いことや分娩施設がない市町村の存在を考慮すれば、広域的な情報共有が不可欠であろう。この際、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)や日本健康会議データポータル(http://kenkokaigi-data.jp/)のように、母子保健事業の見える化があった方が良いであろう。ところで、「妊産婦」「医療費助成」でネット検索すれば、かなり多くの自治体で妊産婦医療費助成が行われているが、自己負担軽減策とセットであれば展開が変わったように感じる。あるいは妊産婦は保険診療の自己負担割合を3割から2割にするような意見も出るかもしれない。財源は妊産婦に良くないもの、例えば、このネット記事(https://baby.mikihouse.co.jp/information/post-2475.html?readmore=1)をみると「タバコ税の引き上げ」も考えられるかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医師確保計画・外来医療計画とPDCA

2019年02月18日 | Weblog
NHK「5年後 内科医1万4400人 外科医5800人が不足 厚労省が推計」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190219/k10011819441000.html?utm_int=news_contents_news-main_007)。<以下引用>
<特定の診療科や地域で医師不足が深刻化する中、厚生労働省は診療科ごとの医師の不足数を初めて推計し、公表しました。今のままでは5年後に、▽内科で1万4000人余り、▽外科で5000人余りの医師が不足するおそれがあるとしています。厚生労働省は将来の医師不足について初めて診療科ごとに推計し、18日開かれた検討会で公表しました。それによりますと、医師の数が3年前と変わらなかった場合、5年後の2024年には、内科で12万7400人余りの医師が必要なところ、11%にあたる1万4400人余りが不足するおそれがあるとしています。また、▽外科では必要な医師の17%にあたる5800人余り、▽小児科で必要な医師の7%にあたる1200人余り、▽産婦人科で必要な医師の7%にあたる900人余り、がそれぞれ不足するおそれがあるとしています。さらに2030年には、▽内科で1万6200人余り、▽外科で5500人余り、▽小児科で600人余り、▽産婦人科で300人余り、不足するおそれがあるとしています。一方、医師の数が必要な人数を上回る診療科もあり、5年後の2024年には、▽精神科で700人余り、▽皮膚科で600人余り、▽耳鼻咽喉科で500人余り、上回る可能性があるとしています。そのうえで厚生労働省は、▽各都道府県ごとに診療科別の必要な医師数を推計し、医師が多い地域からの移動を促したり、▽若手の医師などに数が足りていない診療科を選択するよう促すなどして、必要な医師を確保していきたいとしています。医師をめぐっては現在、働き方改革が議論されていますが、長時間労働を防ぐためには診療科や地域ごとの医師の偏りを解消することが不可欠です。厚生労働省は必要な医師を確保するための実効性のある対策を早急に打ち出す必要があります。>

NHK「「医師少数県」16県指定へ 岩手や新潟 偏在解消へ対策 厚労省」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190218/k10011819311000.html?utm_int=news-new_contents_latest_002)。<以下引用>
<医師が都市部などに偏り、地方の病院で不足する偏在の問題を解消しようと、厚生労働省は16の県を「医師少数県」に指定し、医師の確保に向けた対策を重点的に実施していく方針を示しました。医師が都市部などに偏り、地方で不足する偏在が進む中、厚生労働省は検討会を開いて協議を行い、18日、対策案を示しました。案では、全国の都道府県の中で人口当たりの医師の数が少ない県などを「医師少数県」に指定し、重点的に対策を実施することで2036年までに偏在の解消を目指すとしています。少数県には岩手県、新潟県、静岡県など全都道府県のおよそ3分の1に当たる16の県が指定される見通しです。また複数の市町村にまたがる二次医療圏でも、全国112か所が「医師少数区域」に指定される見通しです。2036年には全国で合わせて2万4000人余りの医師が不足すると推計されています。一方で、東京都や京都府など16の都府県は「医師多数都府県」に指定される見通しです。2036年には全国で合わせて1万8000人余りの医師が過剰になると推計され、厚生労働省は少数県への医師の移動を促していきたいとしています。そのための具体的な取り組みとして、少数県で一定期間勤務した医師に国の認証を与える制度を活用したり、大学卒業後に特定の地域での勤務を義務づける医学部の「地域枠」を増やしたりすることなどが想定されています。ただ、医療関係者からは今想定している取り組みだけでは必要な医師を確保できないなどという声も上がっていて、実効性のある対策を打ち出せるかが焦点となります。「医師少数県」と「医師多数都府県」「医師少数県」に指定されるのは次の16の県です。人口当たりの医師の数などが少ない順で見ますと、▽最も少ない岩手県、▽次に少ない新潟県、▽そして、青森県、福島県、埼玉県、茨城県、秋田県、山形県、静岡県、長野県、千葉県、岐阜県、群馬県、三重県、山口県、宮崎県の16県です。「医師多数都府県」に指定されるのは次の16の都府県です。人口当たりの医師などの数が、▽最も多い東京都、▽次いで多い京都府、▽そして、福岡県、沖縄県、岡山県、大阪府、石川県、徳島県、長崎県、和歌山県、鳥取県、高知県、佐賀県、熊本県、香川県、滋賀県です。>

医師需給分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html)で、二次医療圏ごとの「医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480270.pdf)、「将来時点(2036年時点)における不足医師数、供給推計」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480267.pdf)、「外来医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480264.pdf)が出ており、自分たちの医療圏がどうなっているか、認識したい。「外来医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000480264.pdf)の外来医師多数区域 は必ずしも都市部だけではない。厚労省医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)にある「医師確保計画・外来医療計画」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000479929.pdf)は今後大きな話題になると思われるが、地域のデータに基づくPDCAが欠かせない。医療政策は、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)からの飛躍が必要になっているようである。そういえば、平成29年度全国医政関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000197363.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000197362.pdf)p40「地域枠の導入状況(都道府県別)」、p41「各医学部の地元出身者(地域枠を含む。)の割合」、p43「(参考) 秋田県地域枠の状況」が出ており、「これまで地域枠で秋田大学医学部に入学した者全員が、卒業後に秋田県内に勤務している。」とあったが、各都道府県ごとに、これまでの年度別の「自治医大・地域枠出身医師の勤務先(診療科、地域)」「派遣ルール」「キャリア形成プログラム」が公表されるべきであろう。医師の養成に積極的に公費が投入されている自治医大・地域枠出身医師に関する情報公開すらできないようではいけない。自治医大出身医師(義務年限内)の派遣は知事権限ではあるが、地域枠出身医師も含めて、地元大学、都道府県医師会、病院団体等とスクラムを組んだ都道府県ガバナンスの強化が欠かせないであろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NDBと介護DBの連結解析

2019年02月18日 | Weblog
国保情報2月11日号「KDB活用を通知 医療計画の中間見直しで」。<以下引用>
<厚労省は1月29日、第7次医療計画の中間見直しと第8期介護保険事業(支援)計画の策定に向け、在宅医療の取り組み状況についてKDBを活用し分析するよう都道府県に通知した。厚労省と国保中央会の間で、都道府県が分析しやすい形でKDBを提供できないか協議しており、まとまるのは4月以降になる見通し。データは都道府県と市町村、医療関係者などが在宅医療と介護施設の追加的需要に対する受け皿整備について、医療区分1の退院患者の医療・介護サービスの利用状況などを市町村別で集計し、関係者で共有化して協議するよう求めている。厚労省は都道府県の分析を支援するため、31年度予算案に費用を計上している。>

国保情報2月11日号「国保連に委託可能と法定 NDB・介護DBの第三者提供事務」。<以下引用>
<国が保有する医療保険と介護保険のレセプトデータベース(NDBと介護DB)の民間などへの第三者提供について、厚労省は今国会に提出する健保法等改正案に、その事務を国保連合会と社会保険診療報酬支払基金に委託できるとの規定を盛り込んだ。32年10月1日の実施を予定する。医療・介護提供体制を効率化することや地域包括ケアシステムの構築を目的に、厚労省は両データベースの連結データなどを、民間企業や研究機関などに第三者提供することを決めている。国がデータ提供の可否など根幹の事務は担うが、法案には情報を提供する時の事務や連結解析は委託できるとした。厚労省の有識者会議では「レセプト情報の構造に係る知見を元にした支援や人材の参画が妥当」との意見が出ており、審査支払機関にその役割を担ってもらうことにした。>

国保情報2月11日号「健康づくり、政府の改革工程表とリンクし推進を 知事会」。<以下引用>
<全国知事会は5日、昨年7月にまとめた「健康立国宣言」に基づく先進・有料事例の横展開は、政府が昨年末にまとめた「改革工程表」と方向性は同じだとし、テーマごとに作った各ワーキングチーム(WT)で関連する改革工程表の項目を整理するよう求めた文書を各都道府県に示した。今春に示す提言書に盛り込む。6日に開いた知事会の「持続可能な社会保障制度の構築に向けた会議」で説明した。文書は、上田清司会長(埼玉県知事)と尾崎正道社会保障常任委員長(高知県知事)の連名。政府が12月20日にまとめた「新経済・財政再生計画改革工程表2018」について、「各WTで進めている横展開の取り組みを深化させていくことは、すなわち、改革工程表に掲げられている改革項目を進めることにつながる」と強調。来年度もWTの活動を継続することや、「必要となる規制緩和や支援措置の提言を行うとともに、改革工程表の項目自体に課題等がある場合は是正に向けた提言も行う」と記述した。知事会事務局は、「政府の改革工程表とリンクをさせて取り組みを進めて行くという方向性を示した。具体的な進め方はこれから検討していく」としている。6日の会議は、渡辺俊介・日本健康会議事務局長が「日本健康会議が目指すもの」、堀田聡子・慶大大学院教授がオランダでの地域包括ケアの取り組みについて講演した。>

経済財政諮問会議(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「新経済・財政再生計画改革工程表2018」(https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/1220/shiryo_01-1.pdf)p5~10「予防・健康づくりの推進」は理解したい。医療保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126706.html)の「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000469066.pdf)では、p4~5「NDB、介護DBの連結解析」、p6~7「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」が注目される。「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_553056_00001.html)(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000428884.pdf)が法定になるのであれば、国保データベース(KDB)システム(https://www.kokuho.or.jp/hoken/kdb.html)や「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)は組織横断で活用される必要がある。また、3年ごとに実施される「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)は評価指標として活用されるべきである。平成30年度からの「保険者機能強化推進交付金」(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/ki/ki_v622.pdf)では自立支援、重度化防止等に資する施策の推進として、「(1)地域密着型サービス」「(2)介護支援専門員・介護サービス事業所」「(3)地域包括支援センター」「(4)在宅医療・介護連携」「(5)認知症総合支援」「(6)介護予防/日常生活支援」「(7)生活支援体制の整備」「(8)要介護状態の維持・改善の状況等」が評価指標となっているが、それらが各自治体においてどうなっているか、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で明らかにされても良いであろう。また、「全国高齢者医療主管課(部)長及び国民健康保険主管課(部)長並びに後期高齢者医療広域連合事務局長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=252919)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000192093.pdf)p4「保険者努力支援制度」は今年度から本格化しているが、介護保険の「保険者機能強化推進交付金」(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/ki/ki_v622.pdf)と一体的に推進したい。そういえば、経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)-概要-」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0521/shiryo_04-1.pdf)p22~23「医療・介護の1人当たり保険料・保険料率の見通し」が出ていたが、全国一律ではない。医療費の地域差については、医療保険データベース(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/index.html)では、「医療費の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/index.html)、「市町村国民健康保険における保険料の地域差分析」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/hoken.html)が出ているほか、日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)も参考になる。また、介護費の地域差については、「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)で、地域別の要介護認定率、介護費用額、保険料額が公表されていることは常識である。これからの社会保障は「一人当たり医療費の地域差半減、一人当たり介護費の地域差縮減」にどれだけ取り組めるかにかかっているであろう。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「予防・健康・医療・介護のガバナンス改革」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0412/shiryo_04.pdf)p1「医療・介護費は経済の伸び以上に増加。その要因を分析し、データに基づく政策の戦略的展開により、個人・保険者・医療機関等の自発的な行動変容を促すことが必須。」、p3「地域における『予防・健康・医療・介護』は、それぞれ密接に関連するが、制度がバラバラ。都道府県の役割は限定的。」「都道府県を、個人・保険者・医療機関等の自発的な行動変容を促す司令塔へ。このため、制度(権限)・予算(財政)・情報(データ)・人材などの面で、都道府県の保健ガバナンスの抜本強化を検討。」とされているのであるが、やはり、「実践に基づく人材育成」が急務であろう。「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170011.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000170005.pdf)では、平成32年度に「ビッグデータ利活用のための保健医療データプラットフォーム構築(NDB、介護総合DB等)」であるが、「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=553056)資料にも目を通しておきたい。すでにNDBデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)は保険局「国保データベース(KDB)システム」(https://www.kokuho.or.jp/hoken/kdb.html)や医政局「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)のような全国共通分析ツールで普遍的に分析活用が進んでいるが、介護データの分析活用は老健局「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)でも一部の項目に留まっているように感じる。NDBと介護DBの連結解析への期待は大きい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

地域ごとの医師偏在指標、医師確保計画、外来医療計画

2019年02月18日 | Weblog
毎日新聞「2036年の医師不足2.4万人 厚労省試算 「偏在解消」達成できず」(https://mainichi.jp/articles/20190216/k00/00m/040/001000c)。<以下引用>
<厚生労働省が将来の地域の医師数を新たに試算した結果、医師の偏在を解消する目標年としている2036年でも全国335地域のうち約220地域で約2万4000人の医師不足が見込まれることが、関係者への取材で判明した。厚労省は試算に基づき青森、千葉、静岡、山口など15県を「医師少数区域」と定め、地元で一定期間働くことを義務付ける大学医学部の「地域枠」を重点的に配分するなど対策を加速させる。4月に施行される改正医療法は、ほぼ都道府県単位の「3次医療圏」と、県内をブロックに分けた「2次医療圏」ごとに、医師不足の地域を定めるとしている。その指標として、人口10万人当たりの医師数を基に、年齢・性別による受診率、昼夜の人口差、医師の労働時間などを考慮して、実際に働く医師数と必要な医師数を算出した。 36年の試算では、2次医療圏で見ると奈良県を除く46都道府県で医師不足の地域があり、不足分を積み上げると約2万4000人に上る。3次医療圏全体で見ても、新潟、埼玉、福島など12道県で計約5320人が不足する。厚労省の有識者検討会が昨年4月にまとめた医師需給推計では、医師の残業時間の上限を過労死認定の目安の月80時間(休日労働を含む)とすると、28年ごろにその時点で必要な医師数34万9000人を満たすとしていた。今回の試算は、全体数を増やすだけではなく偏在の解消が急務であることを示す。>

m3「地域医療構想、医師確保計画、働き方改革は「一体的に」厚労省、47都道府県担当者向けの医療政策研修会」(https://www.m3.com/news/iryoishin/659871)。<以下引用>
<厚生労働省は2月15日、2018年度の第3回医療政策研修会と第2回地域医療構想アドバイザー会議を、47の都道府県担当者、医師会、医療関係団体を集めて都内で開催した。厚労省医政局地域医療計画課長の鈴木健彦氏は、現在進めている地域医療構想、この4月から始まる医師確保計画、医師の働き方改革という3つの施策は密接に連動しており、一体のものとして取り組む必要性があると説明した。2020年度からは、臨床研修病院の指定などの事務は厚労省から都道府県に移管され、地域医療における都道府県が担う役割は、今まで以上に高まる。鈴木課長は、各種施策の実施に当たって、都道府県が医師会や大学と広く連携していく必要性も指摘した。鈴木課長は、地域医療構想については、公的・公的医療機関等の役割の明確化する必要性を強調した。公的・公的医療機関等については、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定、地域医療構想調整会議に諮り、関係者の間で合意形成することが求められる。2018年12月末までに、合意形成に至ったのは50%強にとどまることから、2019年3月までに全てのプランについて合意形成に至るよう、鈴木課長は協議の徹底を求めた。その際の注意点として、「具体的な対応方針の協議に当たっては、現状追認の機械的な合意にならないように」と釘を刺した。「公立・公的医療機関等でないと担えない分野に重点化をおいたプランが練られているかどうか、といった点も確認し、協議をすることが必要」(鈴木課長)。厚労省の地域医療構想ワーキンググループで現在、2019年度以降、合意形成に至った具体的な対応方針の検証方法について議論していることも説明。「手術などの詳細な診療実績に着目して、公民の競合状況を確認することにより、本当に民間医療機関では担えない機能の重点化が図られているかどうかについて、検証することを想定している。検証の結果、例えば、重点化、将来の需要に向けた対応がなかなか確認しにくいものについては、協議の再検討を要請することも念頭に、必要な対策を講じていく予定だ」。鈴木課長はこう語り、地域医療の診療実績を可視化して、医療機関での実績が比較できるような資料も充実させていく方針であるとし、調整会議での協議の充実を求めた。医師偏在対策については、厚労省の「医療従事者の需給に関する検討会」の医師需給分科会で現在、取りまとめに向けた議論を進めている(『「医師少数区域」は「下位33.3%」、111の2次医療圏』を参照)。鈴木課長は、「今年度末までに、医師偏在指標も含む医師確保計画、外来医療計画、および外来医療に関する協議の場の方針を示すこととしている」と述べ、次回2月18日の会議に、地域ごとの医師偏在指標、それに基づく「医師少数区域」「医師多数区域」の結果を示す予定であるとした。医師の働き方改革についての議論の場は、厚労省の「医師の働き方改革に関する検討会」。鈴木課長は、2024年4月から、医師にも時間外労働の上限規制が適用されることから、同検討会で3月までに結論を取りまとめる予定であると説明。また医師以外の医療関係者については、この4月から時時間外労働の上限規制が適用されることから、働き方改革を進めるよう求めた。「医師が仕事と家庭を両立し、健康に働き続けることができるよう、関係団体とも協力しながら着実に改革を進めていきたい」(鈴木課長)。臨床研修事務については、2020年度から、都道府県が地域医療対策協議会の意見を聞いた上で、臨床研修病院の指定、定員設定等を行う仕組みが導入される。「地域の実情を把握している都道府県が事務を行うことにより、県内の医師不足と言われる地域における臨床研修医の増加など、きめ細やかな対応が可能になると考えている。今後、都道府県向けの事務説明会の開催のほか、事務処理マニュアルについても提供する予定」(鈴木課長)。>

先週の厚労省医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料をみておきたい。医師需給分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html)の本日の会合で、「地域ごとの医師偏在指標、それに基づく「医師少数区域」「医師多数区域」の結果」が出る。報道(https://mainichi.jp/articles/20190216/k00/00m/040/001000c)では、県全体の医師需給が出ているが、二次医療圏ごと、診療科ごとの数値が不可欠である。「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)は入院医療の機能分化・連携であるが、4月からは、改正医療法に基づく「医師偏在指標も含む医師確保計画、外来医療計画、および外来医療に関する協議の場」がスタートする。外来医療計画では「医療機器の効率的な活用」もテーマの一つになるようである。すでに地域医療構想に関するワーキンググループ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の「医療機器の効率的な活用等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000474975.pdf)p7~11都道府県別のCT、MRI、PET/PET-CT、マンモグラフィ、リニアック、ガンマナイフ、p34「都道府県ごとに算出した医療機器の配置に関する指標」が出ているが、第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の医政局長通知(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159901.pdf)p12「CT、MRI等の医療機器を有する診療所に対する当該機器の保守点検を含めた医療安全の取組状況の定期的な報告を求めること。」とある。病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は、一般病床、療養病床を有する医療機関のみの情報である。無床診療所を含めた外来医療計画を議論するためには、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)を、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)と同様に、基本的な報告項目を統一し、国レベルでサーバーを一元化すべきであろう。ところで、「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=419341)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000155420.pdf)p97「立入検査は、全ての病院に対して少なくとも年1回、診療所・助産所に対しても、3年に1回程度、実施するようお願いする。」とあったが、どうなっているであろうか。2015年10月からスタートした「医療事故調査制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061201.html)は病院だけではない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする