保健福祉の現場から

感じるままに

在宅歯科医療とオーラルフレイル対策

2019年02月04日 | Weblog
今週、「在宅歯科医療の提供体制等に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_547700_00002.html)が開催されるらしい。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」では、市町村単位で、歯科訪問診療(診療所)の施設数・実施件数が出ており、政府統計の総合窓口(https://www.e-stat.go.jp/)で、平成29年医療施設(静態・動態)調査(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450021&tstat=000001030908&second=1)が出ており、3年ごとの医療施設調査の閲覧ページ(H29、H26、H23)では、二次医療圏単位で歯科診療所の各種在宅医療サービスの実施施設数及び件数が出ている。また、内閣府「経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)では、都道府県・二次医療圏・市町村単位(医療機関所在地)で、歯科SCRが出ていることは知っておきたい。個別歯科診療所の在宅歯科医療実施状況は、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)である程度検索できる。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の通知(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159906.pdf)「別表11 在宅医療の体制構築に係る現状把握のための指標例」では、「歯科訪問診療を実施している診療所・病院数」がストラクチャー指標、「訪問歯科診療を受けた患者数」がプロセス指標になっており、それぞれの地域でどうなっているか、関係者間で共有する必要がある。これまで、「全国在宅医療会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=364341)、「全国在宅医療会議ワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=406570)、「在宅医療・介護連携推進に係る全国担当者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=190816)、「医療計画の見直し等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)、「医療介護総合確保促進会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)、「医療と介護の連携に関する意見交換」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=422054)等で在宅医療に関する資料が多く出ているが、在宅歯科医療に関しては弱かったように感じる。介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)の「平成30年度介護報酬改定の主な事項について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000192300.pdf)p11「口腔衛生管理の充実と栄養改善の取組の推進」があり、介護現場でもオーラルフレイルに対する関心が高まっているが、地域のデータ・資料に基づく戦略的なPDCAが必要であろう。例えば、一昨年実施された「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」の必須項目(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138637.doc)には、「問3 食べることについて (2)半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか」、オプション項目(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138638.doc)には、「問3 食べることについて (3)お茶や汁物等でむせることがありますか、(4)口の渇きが気になりますか、(5)歯磨き(人にやってもらう場合も含む)を毎日していますか」などがあり、それらが3年ごとに、日常生活圏域単位で把握できるが、どれほど地域で活用されているであろうか。保険者による健診・保健指導等に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129197)の「後期高齢者医療制度の保健事業について(現状報告)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000200932.pdf)p5「高齢者の特性を踏まえた保健事業(モデル事業)」では口腔指導の実施は全国11か所に留まっているようではいけない。歯科口腔保健の推進に関する専門委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=127753)の「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項 目標項目一覧」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000169014_1.pdf)が出ているのであるが、あまりに狭義の保健に固執しているように感じる。歯科口腔保健の推進に関する法律(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/shikakoukuuhoken/index.html)による 都道府県等の基本的事項(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/shikakoukuuhoken/dl/06.pdf)は健康増進計画と調和されているが、平成30年度からの第7次医療計画(6年間)、第7期介護保険事業計画(3年計画)、第3期医療費適正化計画(6年間)、第2期データヘルス計画(6年間)、第5期障害福祉計画及び第1期障害児福祉計画(3年間)、第3期がん対策推進計画(6年間)と計画期間や評価指標の整合が図られてもよいであろう。なお、この際、スマイルケア食(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/kaigo.html)の「青」マーク(健康維持上栄養補給が必要な人向けの食品)、「黄」マーク(噛むことが難しい人向けの食品)、「赤」マーク(飲み込むことが難しい人向けの食品)について、もっと一般に普及する必要がある。「摂食嚥下関連医療資源マップ」(http://www.swallowing.link/)に掲載される施設はまだまだ少ないが、食べるを支える「嚥下調整食・介護食の食形態検索サイト」(http://www.shokushien.net/)の活性化も期待したい。オーラルフレイル対策は、介護保険の「保険者機能強化推進交付金」(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/khf/ki/ki_v622.pdf)p11「(6)介護予防/日常生活支援」と一体的に推進すべきであろう。しかし、地域包括支援センターには管理栄養士・栄養士、歯科医師・歯科衛生士がいないところが多い。医療保険部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126706.html)の「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000469066.pdf)で特に期待されるのは、p4~5「NDB、介護DBの連結解析」、p6~7「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」である。「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_553056_00001.html)(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000428884.pdf)が法定になるのであれば、国保データベース(KDB)システム(https://www.kokuho.or.jp/hoken/kdb.html)や「地域包括ケア「見える化」システム」(http://mieruka.mhlw.go.jp/)は組織横断で活用される必要がある。在宅歯科医療とオーラルフレイル対策は、それぞれの地域において、まさに組織横断で取り組むべき案件であろう。
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医療機器の配置に関する指標

2019年02月04日 | Weblog
メディウォッチ「CT・MRIなどの高額機器、地域の配置状況を可視化し、共同利用を推進―地域医療構想ワーキング(2)」(https://www.medwatch.jp/?p=24675)。<以下引用>
<CTやMRIなどの高額医療機器について、性・年齢構成を勘案して地域の配置状況を可視化し、その情報をもとに地域で「共同利用推進」等の協議を進めてほしい―。1月30日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)では、こういった方針も固められました。人口当たりのCT・MRI検査数は多くないが、1台当たり検査数は少なく非効率 医師偏在対策を議論する厚生労働省の「医師需給分科会」では、「医師が不足している地域がある一方で、都市部では診療所の新規開業が事実上、自由に認められている。これが医師配置の不均衡是正を阻害しているのではないか」という問題意識の下、まず「外来医療提供体制の在り方を地域で議論してもらう」「外来医師が多数の地域において、新規開業する場合には在宅医療等の機能を担ってもらう」方向を固めています。前者の、「外来医療提供対の在り方」に関する協議においては、「医療機器の効率的な活用」、より端的に言えば「高額機器の共同利用をどう推進していくか」も重要議題の1つとなります。厚労省の調査によれば、高額医療機器の配置状況が地域でバラついており、「高額機器の台数が多い地域では、1台当たりの検査数が少なく、非効率な利用状況にある」ことが分かっているためです。そこで1月30日の地域医療構想ワーキングでは、協議の基礎データを提供するために「高額医療機器の配置状況を可視化する指標」を設定しました。具体的には、高額医療機器ごとに、地域の性・年齢構成を調整した「人口あたり台数」を指標とします。性・年齢によって検査ニーズが一定程度異なる(CT・MRI検査は後期高齢者でニーズが高く、マンモグラフィ検査は40-50代女性でニーズが高いなど)ためです。この指標によって、「●●地域は、全国平均よりも高額医療機器の配置が多い(少ない)」といった評価が可能になります。あわせて、高額医療機器を配置している医療機関をマッピング(地図表示)するなどした情報も提供されます。こうした情報をもとに、高額医療機器ごとに「医療機関が購入する場合には、その機器の『共同利用計画』を作成し、定期的に、地域の協議の場(地域医療構想調整会議などを活用)で、その計画の妥当性などを確認する」ことが求められます。この協議の結果は公表することが必要です。なお、ここで言う「共同利用」には、「高額機器のない診療所等から、画像診断等が必要な患者を、高額医療機器を持つ病院・診療所に紹介する」ことも含まれ、厚労省は「地域で高額医療機器の配置情報を共有し、効率的な共同利用を進めてほしい」と期待しています。なお、我が国においては、諸外国に比べてCTやMRIなどの高額医療機器が数多く配置されています。しかし、「人口1000人当たりの検査数」に目を移すと、諸外国と比べて突出して多いわけではありません。CT検査数はドイツよりも少ない状況です。医療被曝などを考えれば、実施可能な検査数には自ずから上限が定まってくるため、決して、我が国において「CT・MRI検査が過剰に実施されている」わけではない点には留意が必要でしょう。織田正道構成員(全日本病院協会副会長)や伊藤伸一構成員(日本医療法人協会会長代行)も、この点を強調しています。ただし「1台当たりの検査数」を見ると、先進諸国の中では最下位に甘んじており、「共同利用などによる効率的な活用」を進めていくべきでしょう。この点について中川俊男構成員は、「我が国の健康水準が高い背景には、高額医療機器が多く整備され、疾病の早期発見・早期治療が可能な環境もあると考えられる。また、必要のない(ニーズの小さい)CT・MRIを導入して困るのは、医療機関である(単なるコスト増になってしまう)」とコメントしています。>

地域医療構想に関するワーキンググループ(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の「医療機器の効率的な活用等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000474975.pdf)p7~11都道府県別のCT、MRI、PET/PET-CT、マンモグラフィ、リニアック、ガンマナイフ、p34「都道府県ごとに算出した医療機器の配置に関する指標」が目にとまった。第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の医政局長通知(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159901.pdf)p12「CT、MRI等の医療機器を有する診療所に対する当該機器の保守点検を含めた医療安全の取組状況の定期的な報告を求めること。」とあるが、診療所も含めて機器の保守点検がどうか、きちんとしたデータに基づく議論をすべきと感じる。医療機関への立入検査(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20180730_02.pdf)について、総務省「医療安全対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」(http://www.soumu.go.jp/main_content/000245532.pdf)p34で「診療所に対する立入検査の実施頻度については、特段の規定がないことから、都道府県等によって区々となっている。調査した37都道府県等(診療所を立入検査の対象としていない1都道府県等を除く。)のうち、有床診療所に対しては、3年に1回としているところが21都道府県等、無床診療所に対しては、特に規定していないところが15都道府県等、5年に1回としているところが14都道府県等となっている。」とあるように、自治体における立入検査の実施状況はかなり異なっていた。「全国医政関係主管課長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=419341)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000155420.pdf)p97「立入検査は、全ての病院に対して少なくとも年1回、診療所・助産所に対しても、3年に1回程度、実施するようお願いする。」とあったが、どうなっているであろうか。2015年10月からスタートした「医療事故調査制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061201.html)も病院だけではなく、医療安全対策(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/i-anzen/index.html)の一環であることも認識したい。個別医療機関のCT、MRI、PET/PET-CT、マンモグラフィ、リニアック、ガンマナイフの設置と稼働状況に関しては、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)を、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)と同様に、基本的な報告項目を統一し、国レベルでサーバーを一元化すべきであろう。CT、MRI、PET/PET-CT、マンモグラフィ等は有床医療機関とは限らないため、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)では把握しきれない。
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小児がん実態調査

2019年02月04日 | Weblog
朝日新聞「厚労省、初の小児がん実態調査へ 治療の影響、家族は?」(https://www.asahi.com/articles/ASM242CXPM24UBQU001.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<小児がん患者の治療や生活の現状を把握するため、厚生労働省は実態調査にのりだす。国としての調査は初。病名を知らされていない患者もいるため、家族らに治療の影響や経済的負担を聞く。国のがん対策に反映し、より良い支援策をはかるという。 厚労省によると、年間約2千~2500人が小児がんと診断される。白血病、脳腫瘍(しゅよう)、悪性リンパ腫などが多い。発見が難しいとされるが、治療の効果は高く、治る割合は高くなっている。だが抗がん剤や放射線治療により、脳の認知機能の低下やホルモン異常に伴う低身長、不妊など後から出る晩期合併症も多い。対象は、2014年と16年に小児がん拠点病院などでがんと診断された18歳以下の計4千人ほど。5月以降に病院などに調査票を送り、記入してもらう。結果は年度内にまとめる予定。がんの種類や治療法のほか、費用が原因で治療を変更・断念したことがあるか、不妊などのリスクについて治療の前に十分な説明があったか、本人の就学状況、治療と教育の両立への配慮の有無、家族の働き方に変化があったかも尋ねる。結果は、17年度からの国の指針「第3期がん対策推進基本計画」の評価に活用する。今後は患者本人への質問や、就学・就職などについて経験者への調査も検討するという。小児がんへの対応は、12年度からの国の指針「第2期がん対策推進基本計画」に盛り込まれ、全国15カ所に拠点病院が整備された。ただ、患者数が少ないこともあり、対策の遅れが指摘される。第3期基本計画では15歳以上のAYA(Adolescent and Young Adult=思春期と若い成人)への取り組みも明記された。学齢期に長期の治療を受けると勉強が遅れたり、友達と溝ができたりして、復学がうまくいかないことがある。治療を受けながら院内学級や特別支援学校で学ぶ体制が整いつつあるが十分ではない。また、容姿の変化や体力低下、後遺症、晩期合併症があるため、進学や就労、結婚、出産など人生の節目で壁にぶつかることもある。成人後も含めて長い間、検査や診察を受ける必要がある。治療内容を本人が把握し、小児医療から成人の医療へ移行していく難しさもある。国立成育医療研究センターの松本公一・小児がんセンター長は「厳しい治療を乗り越えて退院したのに『つらいことばかり』とならないように社会の支援がさらに必要。特に、つまずきが将来に影響を及ぼす教育分野は重要」と話す。>

子どもの難病(http://www.shouman.jp/)の対象疾患群(https://www.shouman.jp/disease/search/group/)には「悪性新生物」がある。指定難病患者データ及び小児慢性特定疾患児童データの提供に関する有識者会議(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou_128641_00001.html)の「難病DB・小慢DBにおける提供範囲の見直し」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000404847.pdf)で提供先に「都道府県、指定都市、中核市(※中核市は小児慢性特性疾病のみ)」が追加されている。また、小児がんの実態については、全国がん登録(http://ganjoho.jp/reg_stat/index.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=208254)の「全国がん登録情報等の利用と提供に関するマニュアル」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000181346.pdf)に基づき、セットで活用したいものである。ところで、「医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000191192_00004.html)の「平成30年度医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議事前提出資料「取組報告」シート」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000366037.pdf)は自治体別の取り組み状況が出ていた。医療的ケア児(http://iryou-care.jp/problem/)支援について、一昨年に通知「医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について」(http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/law/kodomo3houan/pdf/h280603/renkei_suishin.pdf)が出ていたが、それぞれの地域の取り組みはどうなっているであろうか。全国児童福祉主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo.html?tid=129064)の保育課資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000199267.pdf)p52~54「医療的ケア児保育支援モデル事業」では、p54「平成28年度保育所における医療的ケア児の受入状況」が都道府県別に出ていた。厚労省・文科省「家庭と教育と福祉の連携「トライアングル」プロジェクト ~障害のある子と家族をもっと元気に~」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000191192.html)から、昨年5月に通知「教育と福祉の一層の連携等の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000208387.pdf)が発出されているが、いくら国で予算化されても、通知が発出されてても、それぞれの自治体で取り組まれなければ意味がない。この際、「医療的ケア児とその家族への支援制度」(https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000365180.pdf)がそれぞれの自治体でどうなっているのか、「見える化」が必要であろう。
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医師確保計画策定と外来医療協議

2019年02月04日 | Weblog
東京新聞「【群馬】 医師不足 桐生は複数の外科医 県西部、小児科医確保へ」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201901/CK2019013102000169.html)。<以下引用>
<県内でも深刻化する医師不足に対応するため、県と群馬大病院や県内の医療関係団体でつくる「ぐんま地域医療会議」は三十日、二〇一九年度に向けた医師適正配置方針を発表した。桐生市の桐生厚生総合病院に複数の外科医、県西部の主要病院に一人の小児科医、渋川市の県立小児医療センターに一人の産科医をいずれも常勤で確保することを目指す。同会議は昨年三月に設置され、県内の約百二十の病院を実態調査し、今回初めて方針を決めた。三十日に方針への協力を求めて各病院に通知を出した。桐生厚生総合病院は複数の外科医師の異動や退職が見込まれ、がん診療や救急・災害時への対応が懸念されるという。県西部では、高崎市の高崎総合医療センターなど設備が整った主要な三病院が小児救急の輪番体制を維持してきたが、小児科の産休や育休によって当直できる医師が不足している。県立小児医療センターでは、特に労働環境が厳しい産科医が全国的に不足する中、少なくとも一人を確保する必要がある。不足している医師は喫緊の課題とし、県内外に呼び掛けて一九年度中に充足できるように取り組む。中長期的な課題としては、総合診療、整形外科、消化器や循環器などの内科でも医師配置の要望が多かった。医師適正配置方針は今後も毎年度更新する予定。県庁で記者会見した群馬大病院の田村遵一院長は「大学病院だけではなく、県や医療団体と一丸になるのは全国的に先進的な取り組みだ。群馬大だけで医師不足に応じるのは不可能で、地域で安心できる医療環境を整えるため、県外へも働き掛けたい」と述べた。>

西日本新聞「竹田市小児科医不在の恐れ 診療所医師が辞意 市民5300人署名 [大分県]」(https://www.nishinippon.co.jp/nnp/oita/article/483286/)。<以下引用>
<竹田市の唯一の小児医療機関「市立こども診療所」で所長を務める男性医師(50)が市への不信感から辞意を示唆し、診療所が2月にも休診する恐れが出ている。市内から小児科医がいなくなることを危惧(きぐ)し、女性でつくる「竹田の小児医療を守る会」は30日、診療所の継続などを求める約5300人分の署名を首藤勝次市長と医師に提出した。こども診療所は市内に小児科の医療機関がなかったことから、市が2009年に開設。以来、現在勤務する医師が1人で診療を担ってきた。年約1万6千人が受診し、約1千万円の黒字。老朽化に伴い、現在建て替え工事が行われている。市は17年12月、人手不足が続く看護師の採用などで柔軟に対応できるよう、指定管理者が診療所の運営をできるように条例を改正。市によると、指定管理者による病院の運営条件などを巡って市と医師に確執が生じ、医師は今月21日の市議会で辞意を示唆したという。子どもを持ち、小児科医不在を恐れる市内の女性4人は23日、「竹田の小児医療を守る会」を発足させ、診療所の継続などを求める署名活動を実施。市の人口の約4分の1となる約5300人から賛同の署名を得て、30日に提出した。首藤市長は「コミュニケーション不足で医師とすれ違いが生まれ、不安を与えて申し訳ない」と謝罪。市は今月から特命課長を置いて医師との関係修復などを図っていることを明らかにした。関係者によると、診療所は2月からインフルエンザのワクチン接種を中止する予定で、アレルギーで定期的に受診する患者には他院への紹介状を渡すなどしているという。会の古森佳代代表(50)は「診療所が無くなると片道30分~1時間以上かけて市外の病院に行かないといけない。なんとか診療を続けてほしい」と訴えた。>

河北新報「登米市病院、独法化も検討 累積赤字膨張、経営形態見直し」(https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201901/20190131_11021.html)。<以下引用>
<宮城県登米市は30日、2018年度末の市病院事業会計の累積赤字が、前年度より約6億円増えて157億円となり、資金不足が約2億4479万円増の10億4478万円に上る見通しを明らかにした。累積赤字は今後も増える見通しで、熊谷盛広市長は、病院事業の地方独立行政法人化も視野に入れ、経営形態を抜本的に見直す方針を示した。市医療局によると、18年度病院事業会計は医師不足などの影響によって入院・外来患者数が目標に届かず、医業収益が当初見通しより5億6561万円減の60億1005万円にとどまった。資金不足が新たに発生したため、金融機関から2億5000万円を一時借り入れして対応。穴埋めとして一般会計から2億3703万円を繰り入れる18年度補正予算案を2月定期議会に提出する。また市は19年度、一般会計から前年度比6.9%増の19億4304万円を病院事業会計に繰り入れる予算案を組んだ。定例記者会見で熊谷市長は「このままでは累積赤字が膨らむ一方で展望が開けない。独法化も一つの選択肢として経営形態を見直したい」と明言。医師確保の努力を続けるとともに、経営効率化や病院・診療所の集約、再編ネットワーク化を進めていく考えを示した。>

メディウォッチ「医師数順位が下位3分の1の地域を「医師少数区域」とし、集中的に医師派遣等進める―医師需給分科会」(https://www.medwatch.jp/?p=24659)。<以下引用>
<人口10万対医師数に高齢化状況などを加味した「新たな医師偏在指標」によって、地域の医師確保状況を順位付けし、下位3分の1(33.3%)を「医師少数区域」、上位3分の1を「医師多数区域」とする。今後、医師多数区域から医師少数区域への医師派遣を促したり、医師少数区域での勤務を評価するなどして、医師偏在対策を集中的に進める―。1月30日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)では、こういった点も固められました。ここがポイント! 1 医師確保状況の低い、下位33.3%の地域を「医師少数区域」とする 2 外来医師の多い(上位33.3%)の地域での新規診療所開業、在宅医療等提供も必要 医師確保状況の低い、下位33.3%の地域を「医師少数区域」とする メディ・ウォッチでお伝えしているとおり、医師需給分科会では、都道府県が新たに作成する「医師確保計画」の拠り所となる指針を策定すべく、(1)医師少数区域・医師多数区域の設定(2)医師少数区域等で勤務した医師を認定する制度(3)地域枠・地元枠の必要医師数(4)外来医師多数区域の設定—などに関し、詰めの議論を行っています。このうち(2)の「医師少数区域等で勤務した医師を認定する制度」については、医師少数区域等での勤務期間を「最低6か月」とすることなどが固められています。今回は(1)(2)の「医師少数区域」等設定について詳しく見てみましょう。(3)の地域枠・地元枠については、別稿でお伝えします。医師偏在対策の大枠は、真に「医師が少数な地域」と「医師が比較的多数配置されている地域」を明確に定め、後者(多数の地域)から前者(少数の地域)への派遣などを促すとともに、医師が少数な地域に従事する医師を養成していく、と整理することができます。この「医師が少数な地域」などを判断するために、医師需給分科会では、人口10万対医師数に、▼地域の性・年齢別人口(年齢や性別によって受療率は大きく異なるため)▼地域医師の性・年齢別数(医師の年齢や性別によって医療提供量が異なるため)―などを加味した「新たな医師偏在指標」を設定しました。3次医療圏(都道府県)・2次医療圏ごとに、この「新たな医師偏在指標」の計算式に基づいた数値を比べることで、「A県・医療圏では、B県・医療圏に比べて相対的に医師数が多い(少ない)」と判断することできます。厚労省が、具体的な数値を算出して、都道府県別・2次医療圏別の医師の多寡を見たところ、従前の「人口10万対医師数」を用いた場合に比べて、「医師が少ない地域」の順位が変わっており、「新たな医師偏在指標を用いたほうが、より的確に医師が少ない地域をあぶりだせる」ことが分かりました。住民・医師の高齢化が進んだ地域、患者流入の多い地域では、当然、医療ニーズが多くなるため、より「医師が少ない」と判断される傾向があります。1月30日の医師需給分科会では、さらに、この新たな医師偏在指標を用いて都道府県・2次医療圏の状況を比較し、▼上位33.3%を「医師多数区域」とする▼下位33.3%を「医師少数区域」とする―ことを決めました。全国を「医師多数」「中程度」「医師少数」に3等分する形です。新たな「医師確保計画」は3年を一期とします(当初のみ2020-24年度の5年計画)が、その計画期間の間に下位33.3%の医師少数区域で集中的に医師確保対策を進め、計画終了時点(つまり3年後)に「下位33.3%の医師少数区域のすべてが、下位33.3%ラインに到達する」ことを目指します。例えば、下位33.3%ラインとなる新たな医師偏在指標が「230人」であった場合、3年後に「新たな医師偏在指標の最低値が230人」となる(230人に満たない2次医療圏がなくなる)ように、集中的に医師確保を進めるというイメージです。これを5期繰り返し、2036年度に「全国で医療需要を満たせるだけの医師確保を完了する」スケジュールが描かれています。こう考えると、2020―2024年度を対象とする最初の「医師確保計画」で最も医師確保に労力を要し(4000人超の医師派遣等が必要と見込まれ、今後精査していく)、徐々にその労力が小さくなっていく、ことが分かります(医師偏在の度合いが徐々に解消していくため)。この点について厚労省は「2024年度は、地域医療構想の実現年度となる2025年度の1年前であり、あわせて新たな勤務医の時間外労働上限も適用される。このような重要な年度に向けて、計画当初から『医師確保を進めなければならない』という強いメッセージを打ち出す必要がある」との考えを提示。今村聡構成員(日本医師会副会長)もこの考えに賛同するとともに、「仮に各地域で同じ労力を投入していけば、医師偏在がより早期に解消できることになる」と見通しています。どの医療圏等が下位33.3%に該当するのか、などは2月中旬予定の次回会合で示される見込みです。ここに、各都道府県で「患者の流出入」を勘案し(都道府県同士の調整が必要)、「医師少数区域」等が確定します。なお、下位・上位の基準は5期間を通じて「33.3%」が維持される見込みですが、偏在解消の進捗を見て、設定しなおされる可能性もあります。具体的な医師確保策としては、例えば、既にお伝えした「医師少数区域等での勤務を認定する仕組み」(この仕組みにおける「医師少数区域」は、上述した医師少数区域である)を活用するほか、医師多数区域からの派遣促進などが考えられます。厚労省・都道府県・医療機関や大学が、協働して、▼医師少数区域でも研鑽を積める体制の整備▼子育てしながら働ける環境の整備▼医療機関の勤務環境改善の支援―などを進めることになります。この点について裵英洙構成員(ハイズ株式会社代表取締役社長)は、「特に医師が少数の区域(最下位近辺)には、より強力な医師確保策とその支援が必要である」との見解を示しています。また、時間はかかるものの「大学医学部における地域枠・地元枠の設定」は、医師確保に向けて最も効果的な施策と考えられており、医師派遣促進などとセットで進められます。外来医師の多い(上位33.3%)の地域での新規診療所開業、在宅医療等提供も必要 ところで、医師需給分科会では「医師が不足している地域がある一方で、都市部では診療所の新規開業が事実上、自由に認められている。これが医師配置の不均衡是正を阻害しているのではないか」と指摘されます。しかし、「自由開業の制限」には▼日本国憲法第22条から導かれる「営業の自由」に抵触する恐れがある(保険指定拒否でも同様)▼駆け込み開設が増加する恐れがある―といった問題点があります。そこで、まず「地域のクリニック(診療所)開設状況などのデータを示し、新規開業を考える医師が、『この地域で開業すべきか、別の地域で開業すべきか』を判断できる環境を整える」「外来医療のあり方について、地域で関係者が協議する」ことから始める、こととなりました。ある医師がA都市での開業を考える際に、「A都市ではすでにクリニック(診療所)が多数開設されている」「地域の人口は減少傾向に入っている」などのデータを目にすれば、「A都市での開業は控えたほうがよさそうだ。病院にとどまる、あるいは医師が不足しているB地区で勤務等も視野に入れよう」と考えなおしてもらえるのではないか、という期待があります。具体的には、▼外来医療機能の偏在・不足などを客観的に把握できる「指標」(外来医師偏在指標)によって、「外来医師多数区域」を設定する▼外来医師多数区域で新規開業を行う場合には、「在宅医療」「初期救急医療」「公衆衛生(学校保健や産業医、予防接種等)」の機能を担うよう求める▼すべての地域で、各医療機関が、今後どのような外来医療機能を担っていくのかを検討・協議する―ことになります。1月30日の医師需給分科会では、「外来医師多数区域」について、「外来医師偏在指標が上位33.3%の地域とする」ことが決められました。都道府県は、ホームページなどさまざまな機会を通じて、「2次医療圏ごとの外来医師偏在指標」や「診療所・病院の所在マップ」などを情報提供します。地域の患者数は一定程度決まっていることから、クリニック(診療所)数が多くなれば、競争が厳しくなり(1クリニック当たりの患者数が減る)、収益も相対的に悪くなります。こうした情報を得た医師が、上記のように「この地域はクリニック(診療所)激戦区であるな。ここでの開業は控えよう」などと判断する助けをするもので、いわゆる「ビル診」や「自由診療(美容整形など)のみのクリニック(診療所)」も同様の手続きを踏むことになります。この取り組みに対する反論はありませんが、「診療科別の開設状況を明らかにすることでより効果が上がる」(神野正博構成員:全日本病院協会副会長、山内英子構成員:聖路加国際病院副院長・ブレストセンター長・乳腺外科部長ら)、「クリニック(診療所)の開業・廃業は頻繁に発生しており、短期間(少なくとも1年毎)で情報更新を繰り返していくとよい」(裵構成員)―などといった注文も付いています。医師偏在については、「地域偏在」のみならず「診療科偏在」も指摘されており、現在、厚労省で「診療科と特定疾病等の紐づけ」(●●病患者は主に○○科で診ているなど)等を踏まえた偏在状況の可視化に向けた分析が進められている途中です(具体的な議論は、この分析を待つことになる)。外来の診療科となれば、複数科を標榜しているなど、さらに複雑なため、「将来の検討課題」となりそうです。>

メディウォッチ「「将来においても医師少数の都道府県」、臨時定員も活用した地域枠等の設置要請が可能―医師需給分科会(3)」(https://www.medwatch.jp/?p=24685)。<以下引用>
<2022年度以降、医学部の臨時定員増などを改めて議論することとなるが、その際には「医師が少数の都道府県では、知事が臨時定員も活用した地域枠・地元枠の設置を要請できる」が、「医師が多数の都道府県で、医師が少数の2次医療圏がある場合には、知事は恒久定員を活用した地域枠・地元枠の設置のみ要請できる」こととする―。1月30日に開催された「医師需給分科会」(「医療従事者の需給に関する検討会」の下部組織)では、こういった点が議論されました。将来の医師の多寡については、必要医師数と供給数で判断する 地域の医師偏在を解消する最も有効な手段の1つとして、大学医学部の地域枠・地元枠(以下、地域枠等)があげられます。一定期間、当該都道府県での勤務を条件に、奨学金等が支給される仕組みで、2018年の改正医療法・医師法では、都道府県知事に地域枠等の設置要請権限を付与しています。ただし、医師養成には10年程度かかる(医学部6年、初期医師臨床研修2年など)ことから、その効果が現れるまでには一定の時間が必要です。このため、新たな「医師確保計画」に基づく医師偏在対策の中では、「長期的な偏在対策」に位置付けられています(短期的な偏在対策として医師派遣や医師少数地域等での勤務認定などがある)。現在、地域枠等は、医学部入学定員のうち「臨時定員増」の中で設けられていますが、この臨時定員増は2021年度の入学者で一旦終了し、2022年度以降の定員をどう考えていくかは、新たな需給推計に基づいて別途議論していくこととなっています。ただし、その議論のベースとなる考え方、つまり「どの都道府県知事に、地域枠等の設置要請権限を認めるか」については、医師需給分科会で、これまでに次のような方針が固められています。【後述する考えに基づいて「医師が少数である」と判断された都道府県】▽うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠(恒久定員の設置・増員▼地元出身者枠の設置・増員▼地域枠(臨時定員、詳細は今後議論))の設置・増員―を要請できる▽うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県→該当なし【後述する考えに基づいて「医師が多数である」と判断された都道府県】▽うち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県→都道府県知事が大学医学部に対して、▼地域枠の設置・増員(恒久定員)―のみ要請できる▽うち、「医師が少数の2次医療圏」のない都道府県→地域枠等の設置・増員要請はできない ここで、医師の「少数、多数」を判断する際には、「現時点で少数なのか、多数なのか」それとも、「将来において少数なのか、多数なのか」によって、異なる考え方をする点に留意が必要です。前者の「現時点で少数なのか、多数なのか」は、すでにメディ・ウォッチでお伝えしたように、新たな医師偏在指標(人口10万対医師数に地域住民・医師の高齢化などを勘案)を用いて判断します(下位33.3%が医師少数地域と判断される)。一方、後者の「将来において少数なのか、多数なのか」を判断する際には、新たな偏在指標を「2036年時点」に置き換えることが必要です。地域枠等を考える際には、この考え方で「医師が少数・多数の地域」を判断していきます。このような考えに基づいて、「都道府県全体が医師少数か多数か」「当該都道府県の中に医師少数2次医療圏はあるか、ないか」を組み合わせ、上記の4分類となるのです。「医師が少数である」と判断され、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県では、前述のように、都道府県知事が大学医学部に対して地域枠等の設置を要請できます。その際に、「地域枠等を何名程度にするのか」については、2次医療圏ごとの「必要数と供給数との差」の累計で考えることになります。医師の必要数は、▼高度急性期・急性期・回復期・慢性期の機能ごとの推計患者数▼医師の働き方改革(時間外労働上限が厳しくなれば、必要な医師数は増加する)―などを勘案して地域ごとに推計します。一方、医師の供給数は、「医学部入学定員」をベースに推計します。例えばX県にA・B2つの医療圏があり、A医療圏では「必要数が供給数を10名上回っている」(将来、10名の医師不足となる)、B医療圏では「必要数が供給数よりも5名下回っている」(将来、5名の過剰となる)といった場合には、X県知事は大学医学部に対し「5名(10-5)の地域枠等を設定してほしい」と要望することが可能です。恒久定員はもちろん、臨時定員も活用して、地域枠等を設置することが可能です。恒久定員100名の大学であれば、例えば、恒久定員の中で3名分の、臨時定員2名分の地域枠を設けるようなイメージで、この場合、当該大学の定員は102名に増員されます(通常枠97名(100-3)、恒久定員の地域枠3名、臨時定員の地域枠2名)。一方、「医師が多数である」都道府県のうち、「医師が少数の2次医療圏」がある都道府県では、当該2次医療圏について地域枠等設置が可能ですが、この場合には、当該県全体で見れば多数の医師が配置されているため、臨時定員を活用することはできません。恒久定員を活用してのみ、「医師が少数の2次医療圏」対応を行うことが可能となります(恒久定員が100名の大学に対し、10名の地域枠等設置を要請した場合、当該大学では通常枠90名、地域枠等10名となる)。地域枠等と医学部入学定員をクロスされた議論は、少々複雑なため、1月30日の医師需給分科会では「完全了承」とまではいかず、次回以降、改めて整理して議論することになっています。もっとも、既に医師需給分科会(2018年10月24日の会合等)で議論済の内容であり、この方向で了承されることになるでしょう。>

医療部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126719.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000345591.pdf)p3「医療法及び医師法の一部を改正する法律施行スケジュール」にある「医師確保計画の策定(H31.4.1施行)」にかかる指標策定は今年度中である。医師需給分科会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html)の「医師偏在指標について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000475517.pdf)、「外来医師多数区域の設定について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000475518.pdf)が具体的にどの医療圏があてはまるか、注目されるのは間違いない。「医師確保計画の策定(H31.4.1施行)」は、「医療計画」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)、「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)の推進にも絡むが、積極的な情報公開が不可欠と感じる。例えば、厚労省医療政策研修会(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html)の資料(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000349458.pdf)p7「平成30年2月7日付け医政地発0207第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知」では「都道府県は、個別の医療機関ごと(病棟ごと)に、以下の内容を提示すること。①医療機能や診療実績 ②地域医療介護総合確保基金を含む各種補助金等の活用状況 ③公立病院・公的病院等について、病床稼働率、紹介・逆紹介率、救急対応状況、医師数、経営に関する情報など」とあるが、地域医療構想調整会議では、病院ごとにそれらの情報がどれだけ出てきているであろうか。なお、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)は一般病床・療養病床の機能分化・連携で、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)が検討ツールになっている。今後、「外来医療機能の可視化/協議会における方針策定」には、すべての医療機関が報告する「医療機能情報提供制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)のデータベース活用が不可欠であろう。現状では、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)は各都道府県のサーバー管理で、公開項目もバラバラで効率が悪い。医療部会(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126719.html)の「医療機能情報提供制度の報告項目の改正について」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000469961.pdf)が出ているが、医療機能情報(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)は、病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)と同様に、基本的な報告項目を統一し、国レベルでサーバーを一元化すべきであろう。また、医政局資料(https://www.mhlw.go.jp/topics/2019/01/dl/3_isei-01.pdf)p84「患者の流出入に関しては、患者住所地を基準に流出入実態を踏まえ、都道府県間調整を行うこととしてはどうか。」のためには、「患者調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html)や「医療計画作成支援データブック」による患者住所地と医療機関所在地のクロス集計結果が活用される必要がある。また、「病院報告」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/80-1.html)、「医療施設(静態・動態)調査」の年次統計(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html)は、それぞれの地域における「地域医療構想」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)、「公的医療機関等2025プラン」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20170804_01.pdf)、「新公立病院改革プラン」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)に積極的に活用すべきであるが、現状ではそうなっていないように感じる。そういえば、平成29年度全国医政関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000197363.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000197362.pdf)p40「地域枠の導入状況(都道府県別)」、p41「各医学部の地元出身者(地域枠を含む。)の割合」、p43「(参考) 秋田県地域枠の状況」が出ており、「これまで地域枠で秋田大学医学部に入学した者全員が、卒業後に秋田県内に勤務している。」とあったが、各都道府県ごとに、これまでの年度別の「自治医大・地域枠出身医師の勤務先(診療科、地域)」「派遣ルール」「キャリア形成プログラム」が公表されるべきであろう。医師の養成に積極的に公費が投入されている自治医大・地域枠出身医師に関する情報公開すらできないようではいけない。自治医大出身医師(義務年限内)の派遣は知事権限ではあるが、地元大学、都道府県医師会、病院団体等とスクラムを組んだ都道府県ガバナンスの強化が欠かせないであろう。しかし、積極的な情報公開がないままに、医師確保計画策定と外来医療協議はあり得ない。「医師偏在指標」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000475517.pdf)、「外来医師多数区域の設定」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000475518.pdf)を機に、地域のデータ・資料に基づくPDCAを進めたいものである。
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