メディウォッチ「主要手術の公民比率など見て、構想区域ごとに公立・公的等病院の機能を検証―地域医療構想ワーキング(1)」(https://www.medwatch.jp/?p=24624)。<以下引用>
<地域医療構想調整会議において、今年度(2018年度)中にまず「公立病院及び公的等病院の機能改革」に関する合意を行う必要がある。その後、合意内容の妥当性等を検証していくことになるが、その際、「公立病院・公的病院等でなければ担えない医療機能への重点化」が重要な視点となることから、各構想区域において、例えば5疾病5事業における主要症例(胃がん、乳がんなど)にどういった病院が対応しているのか、などのデータを提示していく―。1月30日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方向が示されました。2018年12月末、機能改革等について公立の48%、公的等の60%で合意済 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していくと見込まれます。そうした中では、より効果的かつ効率的な医療提供体制を構築することが求められ、病院・病床の機能分化・連携の強化を進めていく必要があります。この一環として地域医療構想の実現があげられ、現在、各地の地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で議論が進められています。調整会議では、まず「公立病院および公的病院等の機能改革等」について、今年度(2018年度)中に合意を得ることとなっています。ただし、昨年(2018年)12月末時点の合意状況を見ると、ベッド数ベースで▼公立病院は48%(2018年9月末から9ポイント向上)▼公的病院等60%(同8ポイント向上)―にとどまっています。残り3か月、各調整会議での集中的な議論が待たれます。主要症例ごとに、各構想区域のデータから「公立等と民間が競合しているか」など判断 「公立病院および公的病院等の機能改革等」については、「公立病院・公的病院等でなければ担えない医療機能への重点化」が1つの指針として掲げられ、具体的には、▼高度急性期・急性期機能▼山間へき地・離島など過疎地等における一般医療▼救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門の医療▼がんセンター、循環器病センターなどの高度・先進医療▼研修の実施等を含む広域的な医師派遣拠点機能―など例示されています。もっとも、こうした機能をどの病院が担っているかは、地域によって区々です。厚生労働省が2017年度の病床機能報告結果を分析したところ、「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術治療」「乳がんの手術治療」「冠動脈バイパス手術」「脳動脈瘤クリッピング手術」について、3分の1から半数程度の構想区域では「公立・公的等病院のみが実施している」が、濃淡に差はあれど「民間病院と公立・公的病院等の双方で実施している」構想区域も少なくなく、さらに一部には「民間病院のみが実施している」構想区域もあることが分かりました。例えば「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術治療」については、全339構想区域のうち、▼約45%の構想区域(154区域)で公立・公的等病院のみが実施(「2017年6月に当該手術を1回以上算定している病棟が公立・公的等のみ」という構想区域が154)▼約36%の構想区域で公立・公的病院と民間病院の双方が実施▼約3%の構想区域で民間病院のみが実施―しています(約16%の当該区域では実施しておらず、他の区域で手術を受けている)。また「乳がんの手術治療」については、全339構想区域のうち、▼約39%の構想区域(132区域)で公立・公的等病院のみが実施(「2017年6月に当該手術を1回以上算定している病棟が公立・公的等のみ」という構想区域が132)▼約25%の構想区域で公立・公的病院と民間病院の双方が実施▼約3%の構想区域で民間病院のみが実施―しています(約30%の当該区域では実施しておらず、他の区域で手術を受けている)。厚生労働省は、こうした状況を踏まえ、手術等の医療機能ごとに「構想区域を、例えば4つのパターンに分類できるのではないか」との考えを示しました。今年度(2018年度)中に公立・公的等病院の機能改革に関する合意がなされますが、その合意内容について、各種データを活用して、「公立病院・公的病院等でなければ担えない医療機能への重点化」が実現されているかどうかを検証してはどうか、という提案です。【パターン(ア)】手術(例えば胃がんや乳がんなど)を相当程度実施する公立・公的等病院と民間病院とが存在する構想区域【パターン(イ)】手術を一定程度実施する病院(公立・公的等、民間の双方)が数多く存在する構想区域(東京や大阪などの大都市に多いパターン)【パターン(ウ)】複数の公立・公的等病院が一定程度の手術を実施する構想区域【パターン(エ)】複数の病院に手術が核酸し、いずれの病院でも手術実績が低い構想区域 このうち、【パターン(ア)】のような構想区域では、手術を相当程度実施する公立・公的等病院と民間病院とが、「競合」しているのか、「棲み分け」をしているのか、を考えていく必要があります。例えば、どちらの病院でも、患者の重症度や合併症状況が似通っていれば、「競合」していると考えられます。こうしたケースについて、中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「公立病院には多くの助成金・補助金が投入され、公的病院等では税制上の優遇がある。一方、民間病院にはそうした支援がない。地域で『競合』している場合には、公立・公的等病院側が身を引くべきである」と強く求めており、当該公立・公的等病院は機能転換を迫られることになりそうです。一方、例えば「重症患者や合併症のある患者を公立・公的等病院が受け入れ、比較的軽症の患者を民間病院が受け入れている」ような場合には、「棲み分け」をしていると考えられます。この場合、当該公立・公的等病院は「「公立病院・公的病院等でなければ担えない医療機能への重点化している」と言え、当該機能は維持すべきと判断されることになるでしょう。厚労省は、「各構想区域がどのパターンに合致するのか(手術別・部位別に見る必要がある)」や、さらに詳細なデータ(5疾病5事業の主要症例に関するデータなど)を提示する考えです。こうしたデータをもとに、各調整会議で「うちの構想区域において、乳がん手術は【パターン(ア)】に該当するようだ。患者の状況などから判断して、●●県立病院と民間の○○病院とは競合していると考えられ、○○病院には十分な余力があるようだ。2019年3月までに『乳がん手術については○○病院に集約していく』という方向で合意したが、その内容に問題ないのではないか」、あるいは「公立の◆◆中央病院と民間の◇◇病院のデータを見ると、乳がん手術については一定の棲み分けがなされているようだ。2019年3月までに『乳がん手術については○○病院に集約していく』という方向で合意したが、重症患者への対応に問題が出る可能性がある。合意内容を少し見直していく必要があるのではないか」といった検証論議をしていくことが期待されます。この点について小熊豊構成員(全国自治体病院協議会会長)は、「受け入れている患者の状態(重症度や合併症の状況など)、患者の利便性(アクセスなど)などを総合的に考えていく必要がある」と強調し、一部データのみに基づく安易な判断に警鐘をならしています。例えば、「競合」しているように見えても、民間病院だけでは地域の要手術患者に対応できず、公立・公的等病院と民間病院とが「協力」しているケースも考えられるためです。中川構成員も、地域の状況・特性を熟知した調整会議メンバーで十分な議論が行われることに期待を寄せています。症例が拡散している場合など、公立病院等の再編・統合の検討も 一方、【パターン(エ)】のような構想区域や、【パターン(ア)】の構想区域でも、症例数の少ない公立・公的等病院では、患者のアクセスなども考慮した上で、▼当該機能を他院への移譲する▼近隣病院と再編・統合する―ことなどを検討する必要がありそうです(症例数の少ない民間病院は自然淘汰されると中川構成員が指摘)。米国メイヨークリニック・スタンフォード大学とグローバルへルスコンサルティング・ジャパン(GHC)との共同研究では、「症例数と医療の質(例えば医療安全)は相関する」ことが明らかになっており、再編・統合等により症例数の確保・医療資源の集約を行い、医療の質を維持・向上していくことが不可欠です。この点、前者の選択肢「一部機能の他院への移譲」には、経営面での課題も生じそうです。当該公立・公的等病院の経営を支えるために当該機能が不可欠というケースもあるためです。そこで中川構成員は、再編・統合や大規模なダウンサイジングなど「公立・公的等病院の大改革が必要」と指摘しましたが、小熊構成員は「公立病院同士でも、再編・統合の議論が難しいケースもある。設立母体がさまざまな公的等病院ではなおさらだ。構想から再編・統合の実現までには10年単位の時間が必要である。さまざまな要素を考慮しなければならない」と実態を紹介しています。>
「地域医療構想ワーキンググループ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の資料「手術等における公立・公的医療機関等と民間医療機関の競合状況等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000474973.pdf)p11「手術実績」は「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)、「病床利用率」は「病院報告」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/80-1.html)、「流入・流出入院患者数」は「患者調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html)で分析されている。病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)はダウンロードでき、活用が容易であるが、手術実績は1か月間のデータであり、できれば、一年間の実績が出ている「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)を活用した方が良いように感じる。これは「患者調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html)にもいえる。「流入・流出入院患者数」は毎年厚労省から都道府県に配布される「医療計画作成支援データブック」を活用しても良いかもしれない。患者住所地と医療機関所在地のクロス集計は今のところ被用者保険分は分析できないが、2020年度分からはできるようになるのは魅力的かもしれない。また、病床種別の病床利用率(前年度1日平均在院患者数/許可病床数)は「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)で公表されていることは常識としたい。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を推進するためには、地域医療構想調整会議において、地域のデータに基づき、具体的に協議する必要がある。「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)については、「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_335126.html)で協議されているが、都道府県ごとのサーバー・バラバラの報告様式ではなく、全国一元化し、データベース化した方が良いであろう。また、「病院報告」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/80-1.html)や「患者調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html)について、二次医療圏単位で分析が容易にできるよう配慮が必要と感じる。そして、厚労省「NDBオープンデータ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)はせめて二次医療圏単位での集計にできないものであろうか。「第3回NDBオープンデータについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000174513.pdf)p2「2次医療圏毎での集計;作業負荷が高く第3回オープンデータでは対応困難。課題として引き続き対応を検討。」とあり、地域ごとの分析ができないでいる。内閣府「経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)では、二次医療圏別、市区町村別のSCRが公表されており、チグハグな感じがする。ところで、がん医療は、がん診療連携拠点病院(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000201832.pdf)だけではないが、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)をみると年間手術実績が非常に小さい病院がみられる。果たして当該病院でがん手術機能を確保すべきかどうか、地域医療構想調整会議において議論すべきかもしれない。
<地域医療構想調整会議において、今年度(2018年度)中にまず「公立病院及び公的等病院の機能改革」に関する合意を行う必要がある。その後、合意内容の妥当性等を検証していくことになるが、その際、「公立病院・公的病院等でなければ担えない医療機能への重点化」が重要な視点となることから、各構想区域において、例えば5疾病5事業における主要症例(胃がん、乳がんなど)にどういった病院が対応しているのか、などのデータを提示していく―。1月30日に開催された「地域医療構想ワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下、ワーキング)で、こういった方向が示されました。2018年12月末、機能改革等について公立の48%、公的等の60%で合意済 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となることから、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していくと見込まれます。そうした中では、より効果的かつ効率的な医療提供体制を構築することが求められ、病院・病床の機能分化・連携の強化を進めていく必要があります。この一環として地域医療構想の実現があげられ、現在、各地の地域医療構想調整会議(以下、調整会議)で議論が進められています。調整会議では、まず「公立病院および公的病院等の機能改革等」について、今年度(2018年度)中に合意を得ることとなっています。ただし、昨年(2018年)12月末時点の合意状況を見ると、ベッド数ベースで▼公立病院は48%(2018年9月末から9ポイント向上)▼公的病院等60%(同8ポイント向上)―にとどまっています。残り3か月、各調整会議での集中的な議論が待たれます。主要症例ごとに、各構想区域のデータから「公立等と民間が競合しているか」など判断 「公立病院および公的病院等の機能改革等」については、「公立病院・公的病院等でなければ担えない医療機能への重点化」が1つの指針として掲げられ、具体的には、▼高度急性期・急性期機能▼山間へき地・離島など過疎地等における一般医療▼救急・小児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門の医療▼がんセンター、循環器病センターなどの高度・先進医療▼研修の実施等を含む広域的な医師派遣拠点機能―など例示されています。もっとも、こうした機能をどの病院が担っているかは、地域によって区々です。厚生労働省が2017年度の病床機能報告結果を分析したところ、「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術治療」「乳がんの手術治療」「冠動脈バイパス手術」「脳動脈瘤クリッピング手術」について、3分の1から半数程度の構想区域では「公立・公的等病院のみが実施している」が、濃淡に差はあれど「民間病院と公立・公的病院等の双方で実施している」構想区域も少なくなく、さらに一部には「民間病院のみが実施している」構想区域もあることが分かりました。例えば「胃がん・結腸がん・直腸がんの手術治療」については、全339構想区域のうち、▼約45%の構想区域(154区域)で公立・公的等病院のみが実施(「2017年6月に当該手術を1回以上算定している病棟が公立・公的等のみ」という構想区域が154)▼約36%の構想区域で公立・公的病院と民間病院の双方が実施▼約3%の構想区域で民間病院のみが実施―しています(約16%の当該区域では実施しておらず、他の区域で手術を受けている)。また「乳がんの手術治療」については、全339構想区域のうち、▼約39%の構想区域(132区域)で公立・公的等病院のみが実施(「2017年6月に当該手術を1回以上算定している病棟が公立・公的等のみ」という構想区域が132)▼約25%の構想区域で公立・公的病院と民間病院の双方が実施▼約3%の構想区域で民間病院のみが実施―しています(約30%の当該区域では実施しておらず、他の区域で手術を受けている)。厚生労働省は、こうした状況を踏まえ、手術等の医療機能ごとに「構想区域を、例えば4つのパターンに分類できるのではないか」との考えを示しました。今年度(2018年度)中に公立・公的等病院の機能改革に関する合意がなされますが、その合意内容について、各種データを活用して、「公立病院・公的病院等でなければ担えない医療機能への重点化」が実現されているかどうかを検証してはどうか、という提案です。【パターン(ア)】手術(例えば胃がんや乳がんなど)を相当程度実施する公立・公的等病院と民間病院とが存在する構想区域【パターン(イ)】手術を一定程度実施する病院(公立・公的等、民間の双方)が数多く存在する構想区域(東京や大阪などの大都市に多いパターン)【パターン(ウ)】複数の公立・公的等病院が一定程度の手術を実施する構想区域【パターン(エ)】複数の病院に手術が核酸し、いずれの病院でも手術実績が低い構想区域 このうち、【パターン(ア)】のような構想区域では、手術を相当程度実施する公立・公的等病院と民間病院とが、「競合」しているのか、「棲み分け」をしているのか、を考えていく必要があります。例えば、どちらの病院でも、患者の重症度や合併症状況が似通っていれば、「競合」していると考えられます。こうしたケースについて、中川俊男構成員(日本医師会副会長)は「公立病院には多くの助成金・補助金が投入され、公的病院等では税制上の優遇がある。一方、民間病院にはそうした支援がない。地域で『競合』している場合には、公立・公的等病院側が身を引くべきである」と強く求めており、当該公立・公的等病院は機能転換を迫られることになりそうです。一方、例えば「重症患者や合併症のある患者を公立・公的等病院が受け入れ、比較的軽症の患者を民間病院が受け入れている」ような場合には、「棲み分け」をしていると考えられます。この場合、当該公立・公的等病院は「「公立病院・公的病院等でなければ担えない医療機能への重点化している」と言え、当該機能は維持すべきと判断されることになるでしょう。厚労省は、「各構想区域がどのパターンに合致するのか(手術別・部位別に見る必要がある)」や、さらに詳細なデータ(5疾病5事業の主要症例に関するデータなど)を提示する考えです。こうしたデータをもとに、各調整会議で「うちの構想区域において、乳がん手術は【パターン(ア)】に該当するようだ。患者の状況などから判断して、●●県立病院と民間の○○病院とは競合していると考えられ、○○病院には十分な余力があるようだ。2019年3月までに『乳がん手術については○○病院に集約していく』という方向で合意したが、その内容に問題ないのではないか」、あるいは「公立の◆◆中央病院と民間の◇◇病院のデータを見ると、乳がん手術については一定の棲み分けがなされているようだ。2019年3月までに『乳がん手術については○○病院に集約していく』という方向で合意したが、重症患者への対応に問題が出る可能性がある。合意内容を少し見直していく必要があるのではないか」といった検証論議をしていくことが期待されます。この点について小熊豊構成員(全国自治体病院協議会会長)は、「受け入れている患者の状態(重症度や合併症の状況など)、患者の利便性(アクセスなど)などを総合的に考えていく必要がある」と強調し、一部データのみに基づく安易な判断に警鐘をならしています。例えば、「競合」しているように見えても、民間病院だけでは地域の要手術患者に対応できず、公立・公的等病院と民間病院とが「協力」しているケースも考えられるためです。中川構成員も、地域の状況・特性を熟知した調整会議メンバーで十分な議論が行われることに期待を寄せています。症例が拡散している場合など、公立病院等の再編・統合の検討も 一方、【パターン(エ)】のような構想区域や、【パターン(ア)】の構想区域でも、症例数の少ない公立・公的等病院では、患者のアクセスなども考慮した上で、▼当該機能を他院への移譲する▼近隣病院と再編・統合する―ことなどを検討する必要がありそうです(症例数の少ない民間病院は自然淘汰されると中川構成員が指摘)。米国メイヨークリニック・スタンフォード大学とグローバルへルスコンサルティング・ジャパン(GHC)との共同研究では、「症例数と医療の質(例えば医療安全)は相関する」ことが明らかになっており、再編・統合等により症例数の確保・医療資源の集約を行い、医療の質を維持・向上していくことが不可欠です。この点、前者の選択肢「一部機能の他院への移譲」には、経営面での課題も生じそうです。当該公立・公的等病院の経営を支えるために当該機能が不可欠というケースもあるためです。そこで中川構成員は、再編・統合や大規模なダウンサイジングなど「公立・公的等病院の大改革が必要」と指摘しましたが、小熊構成員は「公立病院同士でも、再編・統合の議論が難しいケースもある。設立母体がさまざまな公的等病院ではなおさらだ。構想から再編・統合の実現までには10年単位の時間が必要である。さまざまな要素を考慮しなければならない」と実態を紹介しています。>
「地域医療構想ワーキンググループ」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_368422.html)の資料「手術等における公立・公的医療機関等と民間医療機関の競合状況等について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000474973.pdf)p11「手術実績」は「病床機能報告」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)、「病床利用率」は「病院報告」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/80-1.html)、「流入・流出入院患者数」は「患者調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html)で分析されている。病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)はダウンロードでき、活用が容易であるが、手術実績は1か月間のデータであり、できれば、一年間の実績が出ている「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)を活用した方が良いように感じる。これは「患者調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html)にもいえる。「流入・流出入院患者数」は毎年厚労省から都道府県に配布される「医療計画作成支援データブック」を活用しても良いかもしれない。患者住所地と医療機関所在地のクロス集計は今のところ被用者保険分は分析できないが、2020年度分からはできるようになるのは魅力的かもしれない。また、病床種別の病床利用率(前年度1日平均在院患者数/許可病床数)は「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)で公表されていることは常識としたい。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)を推進するためには、地域医療構想調整会議において、地域のデータに基づき、具体的に協議する必要がある。「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)については、「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_335126.html)で協議されているが、都道府県ごとのサーバー・バラバラの報告様式ではなく、全国一元化し、データベース化した方が良いであろう。また、「病院報告」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/80-1.html)や「患者調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html)について、二次医療圏単位で分析が容易にできるよう配慮が必要と感じる。そして、厚労省「NDBオープンデータ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)はせめて二次医療圏単位での集計にできないものであろうか。「第3回NDBオープンデータについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000174513.pdf)p2「2次医療圏毎での集計;作業負荷が高く第3回オープンデータでは対応困難。課題として引き続き対応を検討。」とあり、地域ごとの分析ができないでいる。内閣府「経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)では、二次医療圏別、市区町村別のSCRが公表されており、チグハグな感じがする。ところで、がん医療は、がん診療連携拠点病院(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000201832.pdf)だけではないが、「医療機能情報」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)をみると年間手術実績が非常に小さい病院がみられる。果たして当該病院でがん手術機能を確保すべきかどうか、地域医療構想調整会議において議論すべきかもしれない。