キャリアブレイン「財政審、25年度までの「PB黒字安定化」を主張 財政健全化の新たな計画へ提言」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20180523214404)。<以下引用>
<財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は23日、財政の健全さを示す国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字を2025年度までに安定的に確保するため、19―21年度を集中改革期間(16―18年度)の第2弾と位置付け、団塊の世代が後期高齢者になり始める22年度までにPB黒字化のめどを付けることを求める提言(建議)を取りまとめ、麻生太郎財務相に提出した。財政審の榊原定征会長(日本経団連会長)は、この日の記者会見で、「これ以上の財政健全化の遅れは許されない」と述べた。政府は、集中改革期間の社会保障費の自然増を年5000億円程度に抑える経済・財政再生計画の「目安」を掲げ、歳出の削減を進めた。財政審は、18年度の自然増を制度改革などで4997億円増(対17年度比)と目安内に収めたことは評価したものの、19―21年度の3年間に改革をさらに加速させ、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始める22年度よりも前にPB黒字化の目標達成にめどを付ける必要があると主張した。23日にまとめた提言の中で財政審は、社会保障費の今後の具体的な水準には明言しなかった。財政制度分科会の田近栄治・分科会長代理(成城大経済学部特任教授)は会見で、単に過去の高齢化の伸び率などのデータだけで目安を立てるのではなく、25年度の人口動態の大きな波を見据えて、「貯め幅」が要ることや、税収が下振れする可能性なども踏まえて、歳出改革の強化が必要だと述べるにとどめた。■給付率自動調整や地域別診療報酬などを提言 医療関連の改革の具体案には、現役世代の負担能力を超えて医療費が増えた場合、医療保険の給付率を自動的に調整して窓口負担を引き上げる新たな仕組みの導入や、医療費の適正化につなげるため、診療報酬を地域別に設定する仕組みの活用などを盛り込んだ。国や地方の財政健全化につなげるための新たな計画は、政府が6月に閣議決定する骨太方針2018に盛り込まれることになっており、財務省では、今回の提言をこの計画に反映させるよう政府内に働き掛ける。>
メディウォッチ「高額医療技術の保険収載や軽微傷病の負担水準など、「保険給付範囲」を正面から議論せよ―財政審建議」(http://www.medwatch.jp/?p=20696)。<以下引用>
<遅くとも団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年度までに我が国の基礎的財政収支(PB)の黒字を安定的に確保しておく必要がある。医療・介護分野については、「保険給付範囲」の在り方を正面から議論するとともに、医療費縮減方向での診療報酬改定や、後期高齢者の2割負担、経済・人口の動向に応じて給付率(自己負担割合)を調整する仕組みなどを早急に検討する必要がある―。財政制度等審議会(財政審)が5月23日、新たな財政健全化計画の策定に向け、麻生太郎財務大臣に宛てて、このような内容の建議を行いました。高齢者増・支え手の大幅減・医療の高度化・高額化を考慮した社会保障費改革を 我が国の財政状況は、第二次世界大戦直後よりも悪化していると指摘されるなど、極めて厳しい状況にありことから、政府は「2020年度までに基礎的財政収支(PB、プライマリバランス)を黒字化させる」との目標を立てました。しかし、消費増税の遅れなどのために、目標達成は困難な状況にあります。財政審は「これ以上の財政健全化の遅れは許されない」として、遅くとも団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年度までにPB黒字を安定的に確保しておく必要があると強く訴えました。財政審は、社会保障費の膨張が、我が国の財政を圧迫しているとし、「社会保障改革」の重要性を強調。今後も、▼高齢者の増加▼支え手の大幅な減少▼医療の高度化・高額化―が進み、社会保障費は、現状のままでは大きく膨張してしまうことを危惧し、今般の建議でも、「社会保障給付と国民負担のバランスを国際比較すると、我が国は給付に見合った負担となっていない。給付と負担の見直しを含めた制度改革を進めることが不可欠」とし、具体的な改革メニューを提案しています。まず、社会保障費について、「高齢化等の人口変動に伴う伸びの範囲内におさめることが必要」との考えを改めて提示。2016-18年度には、この考えに基づいて「3年間で1兆5000億円」が社会保障費の伸びの目安とされました。今般の建議でも、「今後数年間にわたる具体的な歳出の伸びの目安を定めることが必要」とコメントしています。次に医療・介護分野の具体的な改革内容について、見ていきましょう。高齢化や技術革新を背景に、医療・介護の費用は増加を続けており、これを賄うために公費(税金)と保険料の引き上げが行われています(もちろん、他の制度見直しも並行実施)が、財政審は「医療・介護などの義務的経費は、給付費に応じて国庫負担が自動的に決まる仕組みとなっており、『予算の範囲内で執行額を収める』という意味での財政規律が働く仕組みとはなっていない」点を問題視しています。「保険給付の範囲」を正面から議論する時期に来ている 社会保障改革の視点としては次の3点を示され、それぞれについて具体的な改革メニュー案が提示されましたています。(1)制度の持続可能性を踏まえた保険給付範囲 (2)必要な保険給付の効率的な提供 (3)高齢化や人口減少を踏まえた給付と負担の見直し このうち(1)は、従前から指摘はされているものの、正面からは議論されていないテーマです。現在は、安全性・有効性が確認されれば、新たな医療技術は基本的にすべて保険収載されます。また軽微疾病であっても、重度な疾病であっても同じように3割負担(高額療養費によるさらなる支援あり)となっています。財政審では、こうした仕組みの見直しに向けて、正面から議論していくべきと提案しています。いわゆる「混合診療」とも関連する、極めて重要なテーマです。財政審は、この(1)の「保険給付の在り方」において、次のような具体的な改革メニュー案を提示しています。▽新薬・新医療技術について、これまでの「安全性・有効性」に加え、「経済性・費用対効果」を踏まえて、公的保険での対応の在り方を決める仕組みとすべき ▽原価計算方式で薬価を設定する医薬品は費用対効果評価を義務付け、費用対効果が悪いものは、▼保険収載の見送り▼薬価「全体」について償還可能な価格まで引き下げ―る仕組みとすべき(保険収載が見送られた医薬品等について、安全性・有効性があれば「保険外併用療養」により柔軟に対応するか否かの検討も行う) ▽類似薬効比較方式で薬価を設定する医薬品のうち、「補正加算」が付される場合には、費用対効果評価を義務付け、その結果に応じて薬価を引き下げる仕組みとすべき ▽薬剤自己負担について、「薬剤の種類に応じた保険償還率の設定」「一定額までの全額自己負担」などの諸外国例も参考としつつ、市販品と医療用医薬品とのバランス、リスクに応じた自己負担の観点等を踏まえて、速やかに検討・実施すべき ▽「少額の受診」に一定程度の追加負担を求めていくべき。その際、かかりつけ医やかかりつけ薬局への患者の誘導策として定額負担に差を設ける(かかりつけ医を受診した場合には、より少ない追加負担とするなど)ことも検討すべき ▽ケアマネジメントの質の向上を図る観点等から、居宅介護支援等にも利用料負担を設けるべき ▽一定の時期までに、「利用者の状態像によって専門的なサービスが必要な特段の場合」を除き、軽度者(要支援、要介護1・2)の介護サービスは、基本的に「緩和型」や「住民主体のサービス」に移行するなどの方針を国で定めるべき。要介護1・2の者の生活援助サービス等の更なる地域支援事業への移行も進めていくべき 医療費の伸びを抑制する方向での診療報酬改定等を実施せよ また(2)は、これまでと同様に「効率的なサービス提供」の推進を求めるものです。具体的には、次のような改革メニュー案が示されています。▽医療費の伸びを抑制する方向での診療報酬改定を行うとともに、病院・診療所など医療機関の間での診療報酬の適切な配分に向けた議論を深めていくべき ▽薬価制度における抜本改革の残された課題(費用対効果評価の導入、毎年度改定の対象範囲など)について、スケジュールに沿って着実に検討を進めるとともに、イノベーションの推進に向けて、▼創薬コストの低減▼製薬企業の費用構造の見直し―に取り組むべき ▽かかりつけ機能を果たしていない薬局の報酬水準を適正化する、門前薬局に行く方が患者負担が軽くなってしまう点に対応する、など調剤報酬の在り方を検討すべき ▽在宅介護と施設介護の公平性を確保する等の観点から、介護施設の多床室における室料相当額を基本サービス費から除外するべき ▽地域医療構想の実現に向けて、▼都道府県が病床再編を具体的に進めていけるような手段の付与 ▼進捗に応じた財政支援などのインセンティブ措置 ▼病床機能報告における定量的基準の策定 ▼医療費適正化効果の検証—など、様々な施策を講じるべき ▽診療報酬改定が、「地域医療構想に沿った病床再編」「急性期入院医療費の削減」につながっているか、適切なKPIを設定した上で、進捗を評価し、必要に応じて更なる要件厳格化等を次期改定で実施すべき ▽「診療所」「医師配置」「高額医療機器」「在宅介護サービス」などの提供体制をコントロールする仕組みの在り方検討すべき ▽2018年度から国民健康保険の財政責任主体が都道府県になったことも踏まえ、高齢者医療確保法第14条に規定される「地域別の診療報酬」について、医療費適正化に向けた具体的に活用可能なメニューを国として示すべき ▽介護保険における「自立支援・重度化防止に積極的に取り組む自治体へのインセンティブ交付金」(保険者機能推進交付金)について、自立支援・重度化防止の取り組みの指標の達成状況を「見える化」するとともに、取り組みが十分でない地方公共団体への指導を徹底すべき ▽国において今年(2018年)10月までに、軽度者の頻回サービス利用に関する「保険者によるケアプランチェックのための指針」等を策定・周知するとともに、今後、ケアプラン点検の実績も踏まえ、次期介護報酬改定に向けて「利用者の状態像に応じたサービスの利用回数や内容等についての標準化」を進めるべき ▽介護費の地域差縮減等に向けて保険者機能を強化していくため、在宅サービスについても▼総量規制▼公募制—などのサービスの供給量を地方公共団体がコントロールできる仕組みを導入すべき ▽介護サービス事業者の経営の効率化・安定化や、介護人材の確保・有効活用等の観点から「経営主体の統合・再編」等を促すための施策を講じていくべき 医療給付費や経済・人口の動向に応じて、給付率を調整する仕組みを検討せよ さらに(3)の「高齢化・人口減少を踏まえた給付と負担の見直し」に関しては、次のような具体策を提案しています。▽速やかに75歳以上の後期高齢者の医療費自己負担を2割に引き上げていくべき ▽介護保険についても、利用者負担を原則2割とするなどの引き上げを行っていくべき ▽医療保険・介護保険における負担の在り方全般について、所得のみならず「金融資産の保有状況」も勘案して負担能力を判定できるようにするための基盤整備について、マイナンバーの積極的活用を検討していくべき ▽75歳以上の後期高齢者等において、「現役並み所得者」の判定基準を見直し、現役世代との公平性を確保すべき(現在、所得要件と収入要件の両方を上回ることとされているため、現役以上の所得があっても「現役並み」とは評価されない仕組みとなっている) ▽医療費そのものを抑制しつつ、医療給付費や経済・人口の動向に応じて、支え手の負担が過重とならないよう、一定のルールに基づき給付率を調整(=自己負担を調整)する仕組みの導入に向け、具体的方策について検討を開始すべき 具体的な制度見直し・設計論議は、今後、社会保障審議会の医療保険部会や介護保険部会で行われることになりますが、例えば「医療給付費や経済・人口の動向に応じて、給付率を調整する仕組み」などには、すでに慎重論(反対論)が数多く出ており、今後、どのように検討が進められるのか、注目する必要があります>
財政制度等審議会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/index.html)の「新たな財政健全化計画等に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/index.html)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/06.pdf)p19の課題「高齢者の増加による医療費・介護費の増加」「支え手の大幅な減少」「医療の高度化・高額化」、p20~「視点1)制度の持続可能性を踏まえた保険給付範囲;・新たな医薬品・医療技術について、安全性・有効性に加えて経済性・費用対効果を踏まえて公的保険で対応する仕組み ・少額の外来医療や市販品類似薬の処方などについては、従前のような手厚い保険給付の対象とするのではなく、より自助で対応(薬剤自己負担の引上げ、受診時定額負担の導入、ケアマネジメントの質の向上と利用者負担の導入、軽度者へのサービスの地域支援事業への移行)」、「視点2)必要な保険給付の効率的な提供;・診療報酬・薬価の適正化(医療費の伸びを抑制する方向で診療報酬改定、費用対効果評価の導入や毎年薬価改定の対象範囲、創薬コストの低減、製薬企業の費用構造の見直し、施設の多床室の室料相当額についても基本サービス費から除外) ・医療提供体制についての都道府県を中心としたコントロールの仕組み(進捗に応じた財政支援などのインセンティブ措置、7:1入院基本料について適切なKPI を設定した上で進捗を評価し必要に応じて更なる要件厳格化、介護療養病床の転換について転換状況を逐次把握し分析、診療所や医師の配置・高額医療機器への設備投資・介護の在宅サービスについて提供体制をコントロールする仕組み、医療費の適正化に向けた地域別の診療報酬の設定、介護保険者機能強化のためのインセンティブ・指標の達成状況について「見える化」、頻回の生活援助サービス利用の適正化、在宅サービスの供給量コントロールの導入、介護サービスの事業所・施設の経営主体の統合・再編)」、「視点3)高齢化や人口減少を踏まえた給付と負担の見直し;・後期高齢者の窓口負担の引上げ(医療保険における後期高齢者の窓口負担をできる限り速やかに2割に引き上げ、介護保険利用者負担について原則2 割、金融資産等を考慮に入れた負担、現役並み所得者の判定方法の見直し) ・負担の先送りを解消、給付を見直し(給付率を自動的に調整する仕組み)」が目についた。直接的に言及されず、不思議に感じるのは次の2点である。第一に、健康増進・予防による医療費・介護費の適正化が前面に出ていないことである。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p11~15、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)では、それぞれ保健事業による大幅な医療費適正化事例が紹介されているように、健康増進・予防事業による医療費適正化はけっして夢物語ではない。NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)では、特定健診結果について都道府県別の性・年齢階級別のデータが出ており、数値がかなり悪い勤務世代が少なくない。この際、社会全体で、勤務世代の健康管理の取組如何が、国保、後期高齢者医療、介護保険に影響する認識を持ちたいものである。47news「英の認知症、20年で20%減」(http://www.47news.jp/feature/medical/2016/05/post-1503.html)も出ていたが、わが国も社会保障対策として「健康増進・予防」を前面に掲げられないであろうか。平成30年度から、第7次医療計画(6年間)、第7期介護保険事業計画(3年計画)、第3期医療費適正化計画(6年間)、第2期データヘルス計画(6年間)、第5期障害福祉計画及び第1期障害児福祉計画(3年間)、第3期がん対策推進計画(6年間)が一斉にスタートした中で、健康増進計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf)が浮いている感じがする。例えば、平成33年度あるいは平成36年度から、健康日本21は12年サイクル、健康増進計画は6年サイクルとする方法はないものであろうか。そうすれば、医療計画、介護保険事業(支援)計画、医療費適正化計画、データヘルス計画、障害(児)福祉計画、がん対策推進計画と健康増進計画のサイクルが揃い、指標評価も整合しやすくなるであろう。全世代型の社会保障には行政計画の一体的推進が不可欠である。健康日本21(第二次)推進専門委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=208248)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000166297_4.pdf)p7~8都道府県別「日常生活に制限のない期間の平均;2010・2013・2016年」、p9~10都道府県別「日常生活に制限のある期間の平均;2010・2013・2016年」、p11~12都道府県別の健康寿命順位が出ていたが、健康増進計画だけが「健康寿命」(http://toukei.umin.jp/kenkoujyumyou/)に関係するわけではないであろう。今国会(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/196.html)の健康増進法改正案(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-11.pdf)は受動喫煙対策ばかりである。第二に、精神科病院の構造改革が出ていないことである。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「社会保障改革の推進に向けて(参考資料)」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0412/shiryo_01-2.pdf)p4「基準病床と比べた既存病床数の割合(精神病床) ~全ての都道府県で過剰~」、日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)p23「都道府県人口10万人当たり精神病床数と1人当たり年齢調整後入院医療費に対する精神及び行動の障害の寄与度」、中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「平成30年度診療報酬改定に関する1号側(支払側)の意見」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000188942.pdf)p7「精神病棟に入院する必要がない患者が在宅復帰できない状況の改善に向け、障害福祉サービスと連携して適切に対応することが求められる。」などが出ているにもかかわらず、政府資料「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p31~32「改革工程表上の主な制度改正等検討項目」では「精神科病院の構造改革」がない。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000108755_12.pdf)p9~10「精神病床における入院患者数の推移」、p11「精神病床における入院患者数の推移(在院期間別内訳)」、p13「精神病床における退院患者の平均在院日数の推移」を踏まえれば、長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=141270)の取りまとめ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051138.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051135.pdf)で示された「病院の構造改革」は避けられない。「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)の「全国・都道府県の精神保健福祉資料」のアウトカム指標では圏域別の急性期(3ヵ月未満)・回復期(3ヵ月~12ヵ月)・慢性期(12ヵ月以上)入院患者数(65歳以上、65歳未満)、入院後3ヵ月時点・6ヵ月時点・12ヵ月時点の退院率・再入院率、新規入院患者の平均在院日数などが出ており、それぞれの地域で実感できる。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、精神疾患も柱の一つであるが、なぜか地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)での機能別必要病床数では精神病床は除外されている。また、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床と療養病床を有する医療機関だけであって精神病床は対象外である。精神科病院の構造改革のためには、①地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の機能別必要病床数は精神病床にも拡充すること、②「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)を活用し、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は精神病床にも拡充すること、③地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)を精神科病院の構造改革に積極的に投入することが必要であろう。そして、医療費適正化計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000188600.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000138072.pdf)やデータヘルス(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/)にも精神医療・メンタルヘルスを位置付けるべきである。健保連「平成28年度被保険者のメンタル系疾患の動向に関するレポート」(http://www.kenporen.com/study/toukei_data/pdf/chosa_h30_04.pdf)が出ており、「精神及び行動の障害」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/dl/naiyou05.pdf)の「F20-F29統合失調症、統合失調症型障害及び妄想型障害」「F30-F39気分[感情]障害」「F40-F48神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」が重点分析されているが、後期高齢では「F00-F09症状性を含む器質性精神障害」の分析が欠かせない。「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)では圏域別の慢性期入院患者数が出ており、慢性期の精神病床については、今後、地域医療構想策定ガイドライン(http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/28513.pdf)p17「療養病床入院受療率の地域差解消」と同様な取り組みが考えられるであろう。「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170011.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000170005.pdf)では、平成32年度に「ビッグデータ利活用のための保健医療データプラットフォーム構築(NDB、介護総合DB等)」とあるが、「精神は除く」ではいけない。平成30年度は、「診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)、「介護報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000192300.pdf)、「障害福祉サービス等報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=446935)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126730)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000195401.pdf)が一斉になされたが、「医療」や「介護」に比べて、どうしても「障害」はデータヘルスの観点が弱いように感じる。「医療」「介護」「障害」の一体的なデータヘルスが必要であろう。そういえば、財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「財政健全化に向けた取組みについて~長期財政試算を踏まえて~」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300514/01.pdf)p7「ベースシナリオ;少なくとも17%までの消費税率引き上げ」・p8「リスクシナリオ;少なくとも22%までの消費税率引き上げ」が示されている。
<財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は23日、財政の健全さを示す国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字を2025年度までに安定的に確保するため、19―21年度を集中改革期間(16―18年度)の第2弾と位置付け、団塊の世代が後期高齢者になり始める22年度までにPB黒字化のめどを付けることを求める提言(建議)を取りまとめ、麻生太郎財務相に提出した。財政審の榊原定征会長(日本経団連会長)は、この日の記者会見で、「これ以上の財政健全化の遅れは許されない」と述べた。政府は、集中改革期間の社会保障費の自然増を年5000億円程度に抑える経済・財政再生計画の「目安」を掲げ、歳出の削減を進めた。財政審は、18年度の自然増を制度改革などで4997億円増(対17年度比)と目安内に収めたことは評価したものの、19―21年度の3年間に改革をさらに加速させ、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始める22年度よりも前にPB黒字化の目標達成にめどを付ける必要があると主張した。23日にまとめた提言の中で財政審は、社会保障費の今後の具体的な水準には明言しなかった。財政制度分科会の田近栄治・分科会長代理(成城大経済学部特任教授)は会見で、単に過去の高齢化の伸び率などのデータだけで目安を立てるのではなく、25年度の人口動態の大きな波を見据えて、「貯め幅」が要ることや、税収が下振れする可能性なども踏まえて、歳出改革の強化が必要だと述べるにとどめた。■給付率自動調整や地域別診療報酬などを提言 医療関連の改革の具体案には、現役世代の負担能力を超えて医療費が増えた場合、医療保険の給付率を自動的に調整して窓口負担を引き上げる新たな仕組みの導入や、医療費の適正化につなげるため、診療報酬を地域別に設定する仕組みの活用などを盛り込んだ。国や地方の財政健全化につなげるための新たな計画は、政府が6月に閣議決定する骨太方針2018に盛り込まれることになっており、財務省では、今回の提言をこの計画に反映させるよう政府内に働き掛ける。>
メディウォッチ「高額医療技術の保険収載や軽微傷病の負担水準など、「保険給付範囲」を正面から議論せよ―財政審建議」(http://www.medwatch.jp/?p=20696)。<以下引用>
<遅くとも団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年度までに我が国の基礎的財政収支(PB)の黒字を安定的に確保しておく必要がある。医療・介護分野については、「保険給付範囲」の在り方を正面から議論するとともに、医療費縮減方向での診療報酬改定や、後期高齢者の2割負担、経済・人口の動向に応じて給付率(自己負担割合)を調整する仕組みなどを早急に検討する必要がある―。財政制度等審議会(財政審)が5月23日、新たな財政健全化計画の策定に向け、麻生太郎財務大臣に宛てて、このような内容の建議を行いました。高齢者増・支え手の大幅減・医療の高度化・高額化を考慮した社会保障費改革を 我が国の財政状況は、第二次世界大戦直後よりも悪化していると指摘されるなど、極めて厳しい状況にありことから、政府は「2020年度までに基礎的財政収支(PB、プライマリバランス)を黒字化させる」との目標を立てました。しかし、消費増税の遅れなどのために、目標達成は困難な状況にあります。財政審は「これ以上の財政健全化の遅れは許されない」として、遅くとも団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年度までにPB黒字を安定的に確保しておく必要があると強く訴えました。財政審は、社会保障費の膨張が、我が国の財政を圧迫しているとし、「社会保障改革」の重要性を強調。今後も、▼高齢者の増加▼支え手の大幅な減少▼医療の高度化・高額化―が進み、社会保障費は、現状のままでは大きく膨張してしまうことを危惧し、今般の建議でも、「社会保障給付と国民負担のバランスを国際比較すると、我が国は給付に見合った負担となっていない。給付と負担の見直しを含めた制度改革を進めることが不可欠」とし、具体的な改革メニューを提案しています。まず、社会保障費について、「高齢化等の人口変動に伴う伸びの範囲内におさめることが必要」との考えを改めて提示。2016-18年度には、この考えに基づいて「3年間で1兆5000億円」が社会保障費の伸びの目安とされました。今般の建議でも、「今後数年間にわたる具体的な歳出の伸びの目安を定めることが必要」とコメントしています。次に医療・介護分野の具体的な改革内容について、見ていきましょう。高齢化や技術革新を背景に、医療・介護の費用は増加を続けており、これを賄うために公費(税金)と保険料の引き上げが行われています(もちろん、他の制度見直しも並行実施)が、財政審は「医療・介護などの義務的経費は、給付費に応じて国庫負担が自動的に決まる仕組みとなっており、『予算の範囲内で執行額を収める』という意味での財政規律が働く仕組みとはなっていない」点を問題視しています。「保険給付の範囲」を正面から議論する時期に来ている 社会保障改革の視点としては次の3点を示され、それぞれについて具体的な改革メニュー案が提示されましたています。(1)制度の持続可能性を踏まえた保険給付範囲 (2)必要な保険給付の効率的な提供 (3)高齢化や人口減少を踏まえた給付と負担の見直し このうち(1)は、従前から指摘はされているものの、正面からは議論されていないテーマです。現在は、安全性・有効性が確認されれば、新たな医療技術は基本的にすべて保険収載されます。また軽微疾病であっても、重度な疾病であっても同じように3割負担(高額療養費によるさらなる支援あり)となっています。財政審では、こうした仕組みの見直しに向けて、正面から議論していくべきと提案しています。いわゆる「混合診療」とも関連する、極めて重要なテーマです。財政審は、この(1)の「保険給付の在り方」において、次のような具体的な改革メニュー案を提示しています。▽新薬・新医療技術について、これまでの「安全性・有効性」に加え、「経済性・費用対効果」を踏まえて、公的保険での対応の在り方を決める仕組みとすべき ▽原価計算方式で薬価を設定する医薬品は費用対効果評価を義務付け、費用対効果が悪いものは、▼保険収載の見送り▼薬価「全体」について償還可能な価格まで引き下げ―る仕組みとすべき(保険収載が見送られた医薬品等について、安全性・有効性があれば「保険外併用療養」により柔軟に対応するか否かの検討も行う) ▽類似薬効比較方式で薬価を設定する医薬品のうち、「補正加算」が付される場合には、費用対効果評価を義務付け、その結果に応じて薬価を引き下げる仕組みとすべき ▽薬剤自己負担について、「薬剤の種類に応じた保険償還率の設定」「一定額までの全額自己負担」などの諸外国例も参考としつつ、市販品と医療用医薬品とのバランス、リスクに応じた自己負担の観点等を踏まえて、速やかに検討・実施すべき ▽「少額の受診」に一定程度の追加負担を求めていくべき。その際、かかりつけ医やかかりつけ薬局への患者の誘導策として定額負担に差を設ける(かかりつけ医を受診した場合には、より少ない追加負担とするなど)ことも検討すべき ▽ケアマネジメントの質の向上を図る観点等から、居宅介護支援等にも利用料負担を設けるべき ▽一定の時期までに、「利用者の状態像によって専門的なサービスが必要な特段の場合」を除き、軽度者(要支援、要介護1・2)の介護サービスは、基本的に「緩和型」や「住民主体のサービス」に移行するなどの方針を国で定めるべき。要介護1・2の者の生活援助サービス等の更なる地域支援事業への移行も進めていくべき 医療費の伸びを抑制する方向での診療報酬改定等を実施せよ また(2)は、これまでと同様に「効率的なサービス提供」の推進を求めるものです。具体的には、次のような改革メニュー案が示されています。▽医療費の伸びを抑制する方向での診療報酬改定を行うとともに、病院・診療所など医療機関の間での診療報酬の適切な配分に向けた議論を深めていくべき ▽薬価制度における抜本改革の残された課題(費用対効果評価の導入、毎年度改定の対象範囲など)について、スケジュールに沿って着実に検討を進めるとともに、イノベーションの推進に向けて、▼創薬コストの低減▼製薬企業の費用構造の見直し―に取り組むべき ▽かかりつけ機能を果たしていない薬局の報酬水準を適正化する、門前薬局に行く方が患者負担が軽くなってしまう点に対応する、など調剤報酬の在り方を検討すべき ▽在宅介護と施設介護の公平性を確保する等の観点から、介護施設の多床室における室料相当額を基本サービス費から除外するべき ▽地域医療構想の実現に向けて、▼都道府県が病床再編を具体的に進めていけるような手段の付与 ▼進捗に応じた財政支援などのインセンティブ措置 ▼病床機能報告における定量的基準の策定 ▼医療費適正化効果の検証—など、様々な施策を講じるべき ▽診療報酬改定が、「地域医療構想に沿った病床再編」「急性期入院医療費の削減」につながっているか、適切なKPIを設定した上で、進捗を評価し、必要に応じて更なる要件厳格化等を次期改定で実施すべき ▽「診療所」「医師配置」「高額医療機器」「在宅介護サービス」などの提供体制をコントロールする仕組みの在り方検討すべき ▽2018年度から国民健康保険の財政責任主体が都道府県になったことも踏まえ、高齢者医療確保法第14条に規定される「地域別の診療報酬」について、医療費適正化に向けた具体的に活用可能なメニューを国として示すべき ▽介護保険における「自立支援・重度化防止に積極的に取り組む自治体へのインセンティブ交付金」(保険者機能推進交付金)について、自立支援・重度化防止の取り組みの指標の達成状況を「見える化」するとともに、取り組みが十分でない地方公共団体への指導を徹底すべき ▽国において今年(2018年)10月までに、軽度者の頻回サービス利用に関する「保険者によるケアプランチェックのための指針」等を策定・周知するとともに、今後、ケアプラン点検の実績も踏まえ、次期介護報酬改定に向けて「利用者の状態像に応じたサービスの利用回数や内容等についての標準化」を進めるべき ▽介護費の地域差縮減等に向けて保険者機能を強化していくため、在宅サービスについても▼総量規制▼公募制—などのサービスの供給量を地方公共団体がコントロールできる仕組みを導入すべき ▽介護サービス事業者の経営の効率化・安定化や、介護人材の確保・有効活用等の観点から「経営主体の統合・再編」等を促すための施策を講じていくべき 医療給付費や経済・人口の動向に応じて、給付率を調整する仕組みを検討せよ さらに(3)の「高齢化・人口減少を踏まえた給付と負担の見直し」に関しては、次のような具体策を提案しています。▽速やかに75歳以上の後期高齢者の医療費自己負担を2割に引き上げていくべき ▽介護保険についても、利用者負担を原則2割とするなどの引き上げを行っていくべき ▽医療保険・介護保険における負担の在り方全般について、所得のみならず「金融資産の保有状況」も勘案して負担能力を判定できるようにするための基盤整備について、マイナンバーの積極的活用を検討していくべき ▽75歳以上の後期高齢者等において、「現役並み所得者」の判定基準を見直し、現役世代との公平性を確保すべき(現在、所得要件と収入要件の両方を上回ることとされているため、現役以上の所得があっても「現役並み」とは評価されない仕組みとなっている) ▽医療費そのものを抑制しつつ、医療給付費や経済・人口の動向に応じて、支え手の負担が過重とならないよう、一定のルールに基づき給付率を調整(=自己負担を調整)する仕組みの導入に向け、具体的方策について検討を開始すべき 具体的な制度見直し・設計論議は、今後、社会保障審議会の医療保険部会や介護保険部会で行われることになりますが、例えば「医療給付費や経済・人口の動向に応じて、給付率を調整する仕組み」などには、すでに慎重論(反対論)が数多く出ており、今後、どのように検討が進められるのか、注目する必要があります>
財政制度等審議会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/index.html)の「新たな財政健全化計画等に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/index.html)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/06.pdf)p19の課題「高齢者の増加による医療費・介護費の増加」「支え手の大幅な減少」「医療の高度化・高額化」、p20~「視点1)制度の持続可能性を踏まえた保険給付範囲;・新たな医薬品・医療技術について、安全性・有効性に加えて経済性・費用対効果を踏まえて公的保険で対応する仕組み ・少額の外来医療や市販品類似薬の処方などについては、従前のような手厚い保険給付の対象とするのではなく、より自助で対応(薬剤自己負担の引上げ、受診時定額負担の導入、ケアマネジメントの質の向上と利用者負担の導入、軽度者へのサービスの地域支援事業への移行)」、「視点2)必要な保険給付の効率的な提供;・診療報酬・薬価の適正化(医療費の伸びを抑制する方向で診療報酬改定、費用対効果評価の導入や毎年薬価改定の対象範囲、創薬コストの低減、製薬企業の費用構造の見直し、施設の多床室の室料相当額についても基本サービス費から除外) ・医療提供体制についての都道府県を中心としたコントロールの仕組み(進捗に応じた財政支援などのインセンティブ措置、7:1入院基本料について適切なKPI を設定した上で進捗を評価し必要に応じて更なる要件厳格化、介護療養病床の転換について転換状況を逐次把握し分析、診療所や医師の配置・高額医療機器への設備投資・介護の在宅サービスについて提供体制をコントロールする仕組み、医療費の適正化に向けた地域別の診療報酬の設定、介護保険者機能強化のためのインセンティブ・指標の達成状況について「見える化」、頻回の生活援助サービス利用の適正化、在宅サービスの供給量コントロールの導入、介護サービスの事業所・施設の経営主体の統合・再編)」、「視点3)高齢化や人口減少を踏まえた給付と負担の見直し;・後期高齢者の窓口負担の引上げ(医療保険における後期高齢者の窓口負担をできる限り速やかに2割に引き上げ、介護保険利用者負担について原則2 割、金融資産等を考慮に入れた負担、現役並み所得者の判定方法の見直し) ・負担の先送りを解消、給付を見直し(給付率を自動的に調整する仕組み)」が目についた。直接的に言及されず、不思議に感じるのは次の2点である。第一に、健康増進・予防による医療費・介護費の適正化が前面に出ていないことである。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p11~15、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)では、それぞれ保健事業による大幅な医療費適正化事例が紹介されているように、健康増進・予防事業による医療費適正化はけっして夢物語ではない。NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)では、特定健診結果について都道府県別の性・年齢階級別のデータが出ており、数値がかなり悪い勤務世代が少なくない。この際、社会全体で、勤務世代の健康管理の取組如何が、国保、後期高齢者医療、介護保険に影響する認識を持ちたいものである。47news「英の認知症、20年で20%減」(http://www.47news.jp/feature/medical/2016/05/post-1503.html)も出ていたが、わが国も社会保障対策として「健康増進・予防」を前面に掲げられないであろうか。平成30年度から、第7次医療計画(6年間)、第7期介護保険事業計画(3年計画)、第3期医療費適正化計画(6年間)、第2期データヘルス計画(6年間)、第5期障害福祉計画及び第1期障害児福祉計画(3年間)、第3期がん対策推進計画(6年間)が一斉にスタートした中で、健康増進計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf)が浮いている感じがする。例えば、平成33年度あるいは平成36年度から、健康日本21は12年サイクル、健康増進計画は6年サイクルとする方法はないものであろうか。そうすれば、医療計画、介護保険事業(支援)計画、医療費適正化計画、データヘルス計画、障害(児)福祉計画、がん対策推進計画と健康増進計画のサイクルが揃い、指標評価も整合しやすくなるであろう。全世代型の社会保障には行政計画の一体的推進が不可欠である。健康日本21(第二次)推進専門委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=208248)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000166297_4.pdf)p7~8都道府県別「日常生活に制限のない期間の平均;2010・2013・2016年」、p9~10都道府県別「日常生活に制限のある期間の平均;2010・2013・2016年」、p11~12都道府県別の健康寿命順位が出ていたが、健康増進計画だけが「健康寿命」(http://toukei.umin.jp/kenkoujyumyou/)に関係するわけではないであろう。今国会(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/196.html)の健康増進法改正案(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-11.pdf)は受動喫煙対策ばかりである。第二に、精神科病院の構造改革が出ていないことである。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「社会保障改革の推進に向けて(参考資料)」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0412/shiryo_01-2.pdf)p4「基準病床と比べた既存病床数の割合(精神病床) ~全ての都道府県で過剰~」、日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)p23「都道府県人口10万人当たり精神病床数と1人当たり年齢調整後入院医療費に対する精神及び行動の障害の寄与度」、中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「平成30年度診療報酬改定に関する1号側(支払側)の意見」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000188942.pdf)p7「精神病棟に入院する必要がない患者が在宅復帰できない状況の改善に向け、障害福祉サービスと連携して適切に対応することが求められる。」などが出ているにもかかわらず、政府資料「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p31~32「改革工程表上の主な制度改正等検討項目」では「精神科病院の構造改革」がない。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000108755_12.pdf)p9~10「精神病床における入院患者数の推移」、p11「精神病床における入院患者数の推移(在院期間別内訳)」、p13「精神病床における退院患者の平均在院日数の推移」を踏まえれば、長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=141270)の取りまとめ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051138.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051135.pdf)で示された「病院の構造改革」は避けられない。「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)の「全国・都道府県の精神保健福祉資料」のアウトカム指標では圏域別の急性期(3ヵ月未満)・回復期(3ヵ月~12ヵ月)・慢性期(12ヵ月以上)入院患者数(65歳以上、65歳未満)、入院後3ヵ月時点・6ヵ月時点・12ヵ月時点の退院率・再入院率、新規入院患者の平均在院日数などが出ており、それぞれの地域で実感できる。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、精神疾患も柱の一つであるが、なぜか地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)での機能別必要病床数では精神病床は除外されている。また、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床と療養病床を有する医療機関だけであって精神病床は対象外である。精神科病院の構造改革のためには、①地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の機能別必要病床数は精神病床にも拡充すること、②「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)を活用し、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は精神病床にも拡充すること、③地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)を精神科病院の構造改革に積極的に投入することが必要であろう。そして、医療費適正化計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000188600.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000138072.pdf)やデータヘルス(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/)にも精神医療・メンタルヘルスを位置付けるべきである。健保連「平成28年度被保険者のメンタル系疾患の動向に関するレポート」(http://www.kenporen.com/study/toukei_data/pdf/chosa_h30_04.pdf)が出ており、「精神及び行動の障害」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/dl/naiyou05.pdf)の「F20-F29統合失調症、統合失調症型障害及び妄想型障害」「F30-F39気分[感情]障害」「F40-F48神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」が重点分析されているが、後期高齢では「F00-F09症状性を含む器質性精神障害」の分析が欠かせない。「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)では圏域別の慢性期入院患者数が出ており、慢性期の精神病床については、今後、地域医療構想策定ガイドライン(http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/28513.pdf)p17「療養病床入院受療率の地域差解消」と同様な取り組みが考えられるであろう。「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170011.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000170005.pdf)では、平成32年度に「ビッグデータ利活用のための保健医療データプラットフォーム構築(NDB、介護総合DB等)」とあるが、「精神は除く」ではいけない。平成30年度は、「診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)、「介護報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000192300.pdf)、「障害福祉サービス等報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=446935)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126730)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000195401.pdf)が一斉になされたが、「医療」や「介護」に比べて、どうしても「障害」はデータヘルスの観点が弱いように感じる。「医療」「介護」「障害」の一体的なデータヘルスが必要であろう。そういえば、財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「財政健全化に向けた取組みについて~長期財政試算を踏まえて~」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300514/01.pdf)p7「ベースシナリオ;少なくとも17%までの消費税率引き上げ」・p8「リスクシナリオ;少なくとも22%までの消費税率引き上げ」が示されている。