保健福祉の現場から

感じるままに

財政健全化計画の不思議

2018年05月24日 | Weblog
キャリアブレイン「財政審、25年度までの「PB黒字安定化」を主張 財政健全化の新たな計画へ提言」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20180523214404)。<以下引用>
<財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は23日、財政の健全さを示す国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字を2025年度までに安定的に確保するため、19―21年度を集中改革期間(16―18年度)の第2弾と位置付け、団塊の世代が後期高齢者になり始める22年度までにPB黒字化のめどを付けることを求める提言(建議)を取りまとめ、麻生太郎財務相に提出した。財政審の榊原定征会長(日本経団連会長)は、この日の記者会見で、「これ以上の財政健全化の遅れは許されない」と述べた。政府は、集中改革期間の社会保障費の自然増を年5000億円程度に抑える経済・財政再生計画の「目安」を掲げ、歳出の削減を進めた。財政審は、18年度の自然増を制度改革などで4997億円増(対17年度比)と目安内に収めたことは評価したものの、19―21年度の3年間に改革をさらに加速させ、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になり始める22年度よりも前にPB黒字化の目標達成にめどを付ける必要があると主張した。23日にまとめた提言の中で財政審は、社会保障費の今後の具体的な水準には明言しなかった。財政制度分科会の田近栄治・分科会長代理(成城大経済学部特任教授)は会見で、単に過去の高齢化の伸び率などのデータだけで目安を立てるのではなく、25年度の人口動態の大きな波を見据えて、「貯め幅」が要ることや、税収が下振れする可能性なども踏まえて、歳出改革の強化が必要だと述べるにとどめた。■給付率自動調整や地域別診療報酬などを提言 医療関連の改革の具体案には、現役世代の負担能力を超えて医療費が増えた場合、医療保険の給付率を自動的に調整して窓口負担を引き上げる新たな仕組みの導入や、医療費の適正化につなげるため、診療報酬を地域別に設定する仕組みの活用などを盛り込んだ。国や地方の財政健全化につなげるための新たな計画は、政府が6月に閣議決定する骨太方針2018に盛り込まれることになっており、財務省では、今回の提言をこの計画に反映させるよう政府内に働き掛ける。>

メディウォッチ「高額医療技術の保険収載や軽微傷病の負担水準など、「保険給付範囲」を正面から議論せよ―財政審建議」(http://www.medwatch.jp/?p=20696)。<以下引用>
<遅くとも団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年度までに我が国の基礎的財政収支(PB)の黒字を安定的に確保しておく必要がある。医療・介護分野については、「保険給付範囲」の在り方を正面から議論するとともに、医療費縮減方向での診療報酬改定や、後期高齢者の2割負担、経済・人口の動向に応じて給付率(自己負担割合)を調整する仕組みなどを早急に検討する必要がある―。財政制度等審議会(財政審)が5月23日、新たな財政健全化計画の策定に向け、麻生太郎財務大臣に宛てて、このような内容の建議を行いました。高齢者増・支え手の大幅減・医療の高度化・高額化を考慮した社会保障費改革を 我が国の財政状況は、第二次世界大戦直後よりも悪化していると指摘されるなど、極めて厳しい状況にありことから、政府は「2020年度までに基礎的財政収支(PB、プライマリバランス)を黒字化させる」との目標を立てました。しかし、消費増税の遅れなどのために、目標達成は困難な状況にあります。財政審は「これ以上の財政健全化の遅れは許されない」として、遅くとも団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年度までにPB黒字を安定的に確保しておく必要があると強く訴えました。財政審は、社会保障費の膨張が、我が国の財政を圧迫しているとし、「社会保障改革」の重要性を強調。今後も、▼高齢者の増加▼支え手の大幅な減少▼医療の高度化・高額化―が進み、社会保障費は、現状のままでは大きく膨張してしまうことを危惧し、今般の建議でも、「社会保障給付と国民負担のバランスを国際比較すると、我が国は給付に見合った負担となっていない。給付と負担の見直しを含めた制度改革を進めることが不可欠」とし、具体的な改革メニューを提案しています。まず、社会保障費について、「高齢化等の人口変動に伴う伸びの範囲内におさめることが必要」との考えを改めて提示。2016-18年度には、この考えに基づいて「3年間で1兆5000億円」が社会保障費の伸びの目安とされました。今般の建議でも、「今後数年間にわたる具体的な歳出の伸びの目安を定めることが必要」とコメントしています。次に医療・介護分野の具体的な改革内容について、見ていきましょう。高齢化や技術革新を背景に、医療・介護の費用は増加を続けており、これを賄うために公費(税金)と保険料の引き上げが行われています(もちろん、他の制度見直しも並行実施)が、財政審は「医療・介護などの義務的経費は、給付費に応じて国庫負担が自動的に決まる仕組みとなっており、『予算の範囲内で執行額を収める』という意味での財政規律が働く仕組みとはなっていない」点を問題視しています。「保険給付の範囲」を正面から議論する時期に来ている 社会保障改革の視点としては次の3点を示され、それぞれについて具体的な改革メニュー案が提示されましたています。(1)制度の持続可能性を踏まえた保険給付範囲 (2)必要な保険給付の効率的な提供 (3)高齢化や人口減少を踏まえた給付と負担の見直し このうち(1)は、従前から指摘はされているものの、正面からは議論されていないテーマです。現在は、安全性・有効性が確認されれば、新たな医療技術は基本的にすべて保険収載されます。また軽微疾病であっても、重度な疾病であっても同じように3割負担(高額療養費によるさらなる支援あり)となっています。財政審では、こうした仕組みの見直しに向けて、正面から議論していくべきと提案しています。いわゆる「混合診療」とも関連する、極めて重要なテーマです。財政審は、この(1)の「保険給付の在り方」において、次のような具体的な改革メニュー案を提示しています。▽新薬・新医療技術について、これまでの「安全性・有効性」に加え、「経済性・費用対効果」を踏まえて、公的保険での対応の在り方を決める仕組みとすべき ▽原価計算方式で薬価を設定する医薬品は費用対効果評価を義務付け、費用対効果が悪いものは、▼保険収載の見送り▼薬価「全体」について償還可能な価格まで引き下げ―る仕組みとすべき(保険収載が見送られた医薬品等について、安全性・有効性があれば「保険外併用療養」により柔軟に対応するか否かの検討も行う) ▽類似薬効比較方式で薬価を設定する医薬品のうち、「補正加算」が付される場合には、費用対効果評価を義務付け、その結果に応じて薬価を引き下げる仕組みとすべき ▽薬剤自己負担について、「薬剤の種類に応じた保険償還率の設定」「一定額までの全額自己負担」などの諸外国例も参考としつつ、市販品と医療用医薬品とのバランス、リスクに応じた自己負担の観点等を踏まえて、速やかに検討・実施すべき ▽「少額の受診」に一定程度の追加負担を求めていくべき。その際、かかりつけ医やかかりつけ薬局への患者の誘導策として定額負担に差を設ける(かかりつけ医を受診した場合には、より少ない追加負担とするなど)ことも検討すべき ▽ケアマネジメントの質の向上を図る観点等から、居宅介護支援等にも利用料負担を設けるべき ▽一定の時期までに、「利用者の状態像によって専門的なサービスが必要な特段の場合」を除き、軽度者(要支援、要介護1・2)の介護サービスは、基本的に「緩和型」や「住民主体のサービス」に移行するなどの方針を国で定めるべき。要介護1・2の者の生活援助サービス等の更なる地域支援事業への移行も進めていくべき 医療費の伸びを抑制する方向での診療報酬改定等を実施せよ また(2)は、これまでと同様に「効率的なサービス提供」の推進を求めるものです。具体的には、次のような改革メニュー案が示されています。▽医療費の伸びを抑制する方向での診療報酬改定を行うとともに、病院・診療所など医療機関の間での診療報酬の適切な配分に向けた議論を深めていくべき ▽薬価制度における抜本改革の残された課題(費用対効果評価の導入、毎年度改定の対象範囲など)について、スケジュールに沿って着実に検討を進めるとともに、イノベーションの推進に向けて、▼創薬コストの低減▼製薬企業の費用構造の見直し―に取り組むべき ▽かかりつけ機能を果たしていない薬局の報酬水準を適正化する、門前薬局に行く方が患者負担が軽くなってしまう点に対応する、など調剤報酬の在り方を検討すべき ▽在宅介護と施設介護の公平性を確保する等の観点から、介護施設の多床室における室料相当額を基本サービス費から除外するべき ▽地域医療構想の実現に向けて、▼都道府県が病床再編を具体的に進めていけるような手段の付与 ▼進捗に応じた財政支援などのインセンティブ措置 ▼病床機能報告における定量的基準の策定 ▼医療費適正化効果の検証—など、様々な施策を講じるべき ▽診療報酬改定が、「地域医療構想に沿った病床再編」「急性期入院医療費の削減」につながっているか、適切なKPIを設定した上で、進捗を評価し、必要に応じて更なる要件厳格化等を次期改定で実施すべき ▽「診療所」「医師配置」「高額医療機器」「在宅介護サービス」などの提供体制をコントロールする仕組みの在り方検討すべき ▽2018年度から国民健康保険の財政責任主体が都道府県になったことも踏まえ、高齢者医療確保法第14条に規定される「地域別の診療報酬」について、医療費適正化に向けた具体的に活用可能なメニューを国として示すべき ▽介護保険における「自立支援・重度化防止に積極的に取り組む自治体へのインセンティブ交付金」(保険者機能推進交付金)について、自立支援・重度化防止の取り組みの指標の達成状況を「見える化」するとともに、取り組みが十分でない地方公共団体への指導を徹底すべき ▽国において今年(2018年)10月までに、軽度者の頻回サービス利用に関する「保険者によるケアプランチェックのための指針」等を策定・周知するとともに、今後、ケアプラン点検の実績も踏まえ、次期介護報酬改定に向けて「利用者の状態像に応じたサービスの利用回数や内容等についての標準化」を進めるべき ▽介護費の地域差縮減等に向けて保険者機能を強化していくため、在宅サービスについても▼総量規制▼公募制—などのサービスの供給量を地方公共団体がコントロールできる仕組みを導入すべき ▽介護サービス事業者の経営の効率化・安定化や、介護人材の確保・有効活用等の観点から「経営主体の統合・再編」等を促すための施策を講じていくべき 医療給付費や経済・人口の動向に応じて、給付率を調整する仕組みを検討せよ さらに(3)の「高齢化・人口減少を踏まえた給付と負担の見直し」に関しては、次のような具体策を提案しています。▽速やかに75歳以上の後期高齢者の医療費自己負担を2割に引き上げていくべき ▽介護保険についても、利用者負担を原則2割とするなどの引き上げを行っていくべき ▽医療保険・介護保険における負担の在り方全般について、所得のみならず「金融資産の保有状況」も勘案して負担能力を判定できるようにするための基盤整備について、マイナンバーの積極的活用を検討していくべき ▽75歳以上の後期高齢者等において、「現役並み所得者」の判定基準を見直し、現役世代との公平性を確保すべき(現在、所得要件と収入要件の両方を上回ることとされているため、現役以上の所得があっても「現役並み」とは評価されない仕組みとなっている) ▽医療費そのものを抑制しつつ、医療給付費や経済・人口の動向に応じて、支え手の負担が過重とならないよう、一定のルールに基づき給付率を調整(=自己負担を調整)する仕組みの導入に向け、具体的方策について検討を開始すべき 具体的な制度見直し・設計論議は、今後、社会保障審議会の医療保険部会や介護保険部会で行われることになりますが、例えば「医療給付費や経済・人口の動向に応じて、給付率を調整する仕組み」などには、すでに慎重論(反対論)が数多く出ており、今後、どのように検討が進められるのか、注目する必要があります>

財政制度等審議会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/index.html)の「新たな財政健全化計画等に関する建議」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/index.html)(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia300523/06.pdf)p19の課題「高齢者の増加による医療費・介護費の増加」「支え手の大幅な減少」「医療の高度化・高額化」、p20~「視点1)制度の持続可能性を踏まえた保険給付範囲;・新たな医薬品・医療技術について、安全性・有効性に加えて経済性・費用対効果を踏まえて公的保険で対応する仕組み ・少額の外来医療や市販品類似薬の処方などについては、従前のような手厚い保険給付の対象とするのではなく、より自助で対応(薬剤自己負担の引上げ、受診時定額負担の導入、ケアマネジメントの質の向上と利用者負担の導入、軽度者へのサービスの地域支援事業への移行)」、「視点2)必要な保険給付の効率的な提供;・診療報酬・薬価の適正化(医療費の伸びを抑制する方向で診療報酬改定、費用対効果評価の導入や毎年薬価改定の対象範囲、創薬コストの低減、製薬企業の費用構造の見直し、施設の多床室の室料相当額についても基本サービス費から除外) ・医療提供体制についての都道府県を中心としたコントロールの仕組み(進捗に応じた財政支援などのインセンティブ措置、7:1入院基本料について適切なKPI を設定した上で進捗を評価し必要に応じて更なる要件厳格化、介護療養病床の転換について転換状況を逐次把握し分析、診療所や医師の配置・高額医療機器への設備投資・介護の在宅サービスについて提供体制をコントロールする仕組み、医療費の適正化に向けた地域別の診療報酬の設定、介護保険者機能強化のためのインセンティブ・指標の達成状況について「見える化」、頻回の生活援助サービス利用の適正化、在宅サービスの供給量コントロールの導入、介護サービスの事業所・施設の経営主体の統合・再編)」、「視点3)高齢化や人口減少を踏まえた給付と負担の見直し;・後期高齢者の窓口負担の引上げ(医療保険における後期高齢者の窓口負担をできる限り速やかに2割に引き上げ、介護保険利用者負担について原則2 割、金融資産等を考慮に入れた負担、現役並み所得者の判定方法の見直し) ・負担の先送りを解消、給付を見直し(給付率を自動的に調整する仕組み)」が目についた。直接的に言及されず、不思議に感じるのは次の2点である。第一に、健康増進・予防による医療費・介護費の適正化が前面に出ていないことである。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p11~15、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)では、それぞれ保健事業による大幅な医療費適正化事例が紹介されているように、健康増進・予防事業による医療費適正化はけっして夢物語ではない。NDBオープンデータ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)では、特定健診結果について都道府県別の性・年齢階級別のデータが出ており、数値がかなり悪い勤務世代が少なくない。この際、社会全体で、勤務世代の健康管理の取組如何が、国保、後期高齢者医療、介護保険に影響する認識を持ちたいものである。47news「英の認知症、20年で20%減」(http://www.47news.jp/feature/medical/2016/05/post-1503.html)も出ていたが、わが国も社会保障対策として「健康増進・予防」を前面に掲げられないであろうか。平成30年度から、第7次医療計画(6年間)、第7期介護保険事業計画(3年計画)、第3期医療費適正化計画(6年間)、第2期データヘルス計画(6年間)、第5期障害福祉計画及び第1期障害児福祉計画(3年間)、第3期がん対策推進計画(6年間)が一斉にスタートした中で、健康増進計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf)が浮いている感じがする。例えば、平成33年度あるいは平成36年度から、健康日本21は12年サイクル、健康増進計画は6年サイクルとする方法はないものであろうか。そうすれば、医療計画、介護保険事業(支援)計画、医療費適正化計画、データヘルス計画、障害(児)福祉計画、がん対策推進計画と健康増進計画のサイクルが揃い、指標評価も整合しやすくなるであろう。全世代型の社会保障には行政計画の一体的推進が不可欠である。健康日本21(第二次)推進専門委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=208248)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000166297_4.pdf)p7~8都道府県別「日常生活に制限のない期間の平均;2010・2013・2016年」、p9~10都道府県別「日常生活に制限のある期間の平均;2010・2013・2016年」、p11~12都道府県別の健康寿命順位が出ていたが、健康増進計画だけが「健康寿命」(http://toukei.umin.jp/kenkoujyumyou/)に関係するわけではないであろう。今国会(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/196.html)の健康増進法改正案(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/196-11.pdf)は受動喫煙対策ばかりである。第二に、精神科病院の構造改革が出ていないことである。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「社会保障改革の推進に向けて(参考資料)」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0412/shiryo_01-2.pdf)p4「基準病床と比べた既存病床数の割合(精神病床) ~全ての都道府県で過剰~」、日医総研「医療費の地域差について (都道府県別データ)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/research/wr_644.html)(http://www.jmari.med.or.jp/download/WP405.pdf)p23「都道府県人口10万人当たり精神病床数と1人当たり年齢調整後入院医療費に対する精神及び行動の障害の寄与度」、中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「平成30年度診療報酬改定に関する1号側(支払側)の意見」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000188942.pdf)p7「精神病棟に入院する必要がない患者が在宅復帰できない状況の改善に向け、障害福祉サービスと連携して適切に対応することが求められる。」などが出ているにもかかわらず、政府資料「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p31~32「改革工程表上の主な制度改正等検討項目」では「精神科病院の構造改革」がない。厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000108755_12.pdf)p9~10「精神病床における入院患者数の推移」、p11「精神病床における入院患者数の推移(在院期間別内訳)」、p13「精神病床における退院患者の平均在院日数の推移」を踏まえれば、長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=141270)の取りまとめ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051138.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000051135.pdf)で示された「病院の構造改革」は避けられない。「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)の「全国・都道府県の精神保健福祉資料」のアウトカム指標では圏域別の急性期(3ヵ月未満)・回復期(3ヵ月~12ヵ月)・慢性期(12ヵ月以上)入院患者数(65歳以上、65歳未満)、入院後3ヵ月時点・6ヵ月時点・12ヵ月時点の退院率・再入院率、新規入院患者の平均在院日数などが出ており、それぞれの地域で実感できる。医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では、精神疾患も柱の一つであるが、なぜか地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)での機能別必要病床数では精神病床は除外されている。また、医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床と療養病床を有する医療機関だけであって精神病床は対象外である。精神科病院の構造改革のためには、①地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の機能別必要病床数は精神病床にも拡充すること、②「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)を活用し、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は精神病床にも拡充すること、③地域医療介護総合確保基金(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000068065.html)を精神科病院の構造改革に積極的に投入することが必要であろう。そして、医療費適正化計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000188600.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000138072.pdf)やデータヘルス(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/)にも精神医療・メンタルヘルスを位置付けるべきである。健保連「平成28年度被保険者のメンタル系疾患の動向に関するレポート」(http://www.kenporen.com/study/toukei_data/pdf/chosa_h30_04.pdf)が出ており、「精神及び行動の障害」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/dl/naiyou05.pdf)の「F20-F29統合失調症、統合失調症型障害及び妄想型障害」「F30-F39気分[感情]障害」「F40-F48神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」が重点分析されているが、後期高齢では「F00-F09症状性を含む器質性精神障害」の分析が欠かせない。「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)では圏域別の慢性期入院患者数が出ており、慢性期の精神病床については、今後、地域医療構想策定ガイドライン(http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/28513.pdf)p17「療養病床入院受療率の地域差解消」と同様な取り組みが考えられるであろう。「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170011.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000170005.pdf)では、平成32年度に「ビッグデータ利活用のための保健医療データプラットフォーム構築(NDB、介護総合DB等)」とあるが、「精神は除く」ではいけない。平成30年度は、「診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)、「介護報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000192300.pdf)、「障害福祉サービス等報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai.html?tid=446935)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126730)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000195401.pdf)が一斉になされたが、「医療」や「介護」に比べて、どうしても「障害」はデータヘルスの観点が弱いように感じる。「医療」「介護」「障害」の一体的なデータヘルスが必要であろう。そういえば、財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「財政健全化に向けた取組みについて~長期財政試算を踏まえて~」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300514/01.pdf)p7「ベースシナリオ;少なくとも17%までの消費税率引き上げ」・p8「リスクシナリオ;少なくとも22%までの消費税率引き上げ」が示されている。
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在宅医療に関するデータ

2018年05月24日 | Weblog
キャリアブレイン「訪問診療実施する医療機関の目標数、8府県が未設定 厚労省調査、第7次医療計画で」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20180523182903)。<以下引用>
<4月から始まった第7次医療計画で、8府県が訪問診療を実施する診療所や病院の目標数を設定していないとする調査結果を、厚生労働省が23日の「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」の会合で明らかにした。この目標数は、第7次医療計画で原則記載する必要があることから、厚労省は8府県に対し、設定を促す方針だ。会合終了後、厚労省の担当者は記者団に対し、「通知という形で設定を促すことになるだろう」と述べた。厚労省が2017年7月に各都道府県へ出した通知では、将来的に必要な訪問診療の需要に対応するため、訪問診療を実施している診療所・病院数についての数値目標とその達成に向けた施策を、各都道府県が策定する第7次医療計画(18―23年度)に原則記載することを求めていた。また、在宅医療の提供体制に求められる医療機能を確保するため、「退院支援」「急変時の対応」「看取り」といった機能ごとの数値目標と、その達成に向けた施策などを可能な限り計画に記載することとしていた。23日の会合で厚労省は、3月から4月にかけて全都道府県に対して実施した在宅医療に関する調査結果を示した。それによると、第7次医療計画に、「訪問診療を実施している診療所・病院数」に関する数値目標を記載していなかったのは、山形、石川、福井、長野、京都、和歌山、佐賀、宮崎の8府県。ただ、この中には、例えば佐賀県では在宅療養支援診療所や在宅療養支援病院が訪問診療を実施していることから、訪問診療を実施している診療所・病院の目標数を設定しないなど、何らかの事情で未設定の県が5つあった。調査結果を踏まえて、厚労省は数値目標とその達成に向けた施策の設定を8府県に促すことを提案。また、在宅医療と介護サービスの両方のデータの把握が可能な既存の国保データベースを自治体が活用できるように支援を充実させることも提案し、大筋で了承された。>

メディウォッチ「在宅医療の整備、都道府県の足並みにバラつきも、まず現状把握を確実に進めよ―在宅医療ワーキング」(http://www.medwatch.jp/?p=20709)。<以下引用>
<高齢化の進展や地域医療構想の実現によって在宅医療の提供体制を計画的に、確実に整備していく必要があるが、現状把握や目標設定等について都道府県のバラつきが大きいため、国が支援していく必要がある―。5月23日に開催された「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織、以下ワーキング)で、こういった方向が了承されました。訪問診療を実施する医療機関数の把握など、8府県で未実施 2025年には、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となるため、医療・介護ニーズが急増すると見られています。こうしたニーズに効率的・効果的に対応するために「病院・病床の機能分化、強化および連携の強化」「地域包括ケアシステムの構築」を進める必要があります。そこで、厚生労働省は地域の医療提供体制のベースとなる「医療計画」と、介護提供体制のベースとなる「介護保険事業(支援)計画」とを連動させるため、従前「5年を1期」としていた医療計画を「6年を1期」とし、「3年を1期」とする介護保険事業(支援)計画と足並みを揃えることとしました。この点、医療計画は「6年」と長期計画になるため、また期の途中で新たな介護保険事業(支援)計画がスタートするため、3年後(直近では2021年度)に「中間見直し」を行い、状況の変化を踏まえて、また介護保険との間で足並みに乱れがないかを確認し、計画の修正を行うことになります。医療計画の「中間見直し」で特に重要となるのが「在宅医療」関連事項です。高齢化の進展によって在宅医療ニーズが増加することはもちろん、医療計画に包含される地域医療構想で「療養病床に入院する医療区分1患者について、7割は在宅や介護施設へ移行する」ことなどが規定されているため、「追加的」な在宅医療ニーズが発生するのです。2025年度における在宅医療ニーズは、前者(高齢化の進行)によって約100万人、後者(追加的)によって約30万人増加すると見込まれており、2018年度からの第7次医療計画では「在宅医療提供体制の整備計画」を、地域の実情を踏まえて精緻に作成することが都道府県に要請されています。具体的には、「地域医療構想において推計した将来必要となる訪問診療の需要に対応するための、訪問診療を実施している診療所、病院数に関する具体的な数値目標と、その達成に向けた施策」を医療計画に、原則として「必ず記載する」ことを求めるとともに、在宅医療提供体制に求められる医療機能を確保するための▼退院支援▼急変時の対応▼看取り―に関する数値目標と、達成に向けた施策、さらに多職種による取組を確保するための▼訪問看護▼訪問歯科診療▼訪問薬剤管理指導—など主要職種についての数値目標と、達成に向けた施策について「可能な限り記載する」ことを要請しています。さらに厚労省は、各項目について具体的な指標例も示しており、例えば「退院支援」については、ストラクチャー評価指標として▼退院支援を実施している診療所・病院数▼退院時共同指導を実施している診療所・病院数▼退院後訪問指導を実施している診療所・病院数—などが、プロセス評価指標として▼退院支援(退院調整)を受けた患者数▼退院時共同指導を受けた患者数▼退院後訪問指導を受けた患者数—などがあげられています。都道府県ごとに、地域の実情に合わせた指標を設定し、上記の数値目標達成に向けた取り組みを進めることが期待されています。しかし今般、厚労省がこうした事項の記載状況や指標の設定状況を調べたところ、地域によって大きなバラつきがあることが浮き彫りとなりました。まず「原則として、必ず記載する」ことが求められる事項である「訪問診療等の実施医療機関数」は39都道府県では記載されているものの、▼山形▼石川▼福井▼長野▼京都▼和歌山▼佐賀▼宮崎—の8府県では記載がなされていませんでした。この点、例えば山形県のように「実際に訪問診療が実施されている件数の増加を目指している」など、独自の考えをもっている自治体もありますが、「在宅医療提供体制の整備」に後ろ向きな県も一部にあるようです。また、後者の「可能な限り記載する」事項のうち、例えば「退院支援」について、ストラクチャー評価指標を設定している自治体数は、▼退院支援を実施している診療所・病院数:17▼退院支援担当者を配置している診療所・病院数:7▼介護支援連携指導を実施している診療所・病院数:1▼退院時共同指導を実施している診療所・病院数:0▼退院後訪問指導を実施している診療所・病院数:0—、プロセス評価指標を設定している自治体数は、退院支援(退院調整)を受けた患者数:3▼介護支援連携指導を受けた患者数:3▼退院時共同指導を受けた患者数:1▼退院後訪問指導を受けた患者数:0—という具合に、明らかに「少数派」にとどまっています。人口動態や医療資源、地理的特性などは自治体ごとに異なるため、横並びで「在宅医療提供体制を整備していく」ことは困難です。しかし、目標等の設定がなければ計画を作れず、実際の整備もおぼつかなくなります。ワーキングでは、「原則として、必ず記載する」こととした▼訪問診療を実施している診療所、病院に関する具体的な数値目標▼達成に向けた施策—について、未設定の県に「策定を促す」方針を固めました。もっとも、厚労省の例示した指標例以外の指標を採用している自治体もあります。例えば、ストラクチャー評価指標として▼機能強化型在宅療養支援診療所・病院のある医療圏数(北海道)▼在宅医療を行う開業医グループへの参加医師数(富山県)—、プロセス評価指標として▼かかりつけ医のいる割合(兵庫県)▼入院時情報連携加算の取得件数(佐賀県)—、さらにアウトカム評価指標として▼人生の最終段階における医療について家族と話し合ったことがある者の割合(和歌山県)▼死亡診断加算の算定件数(奈良県)—などがあり、独自の考えをもって在宅医療提供体制の整備を進めようとしている状況も伺えます。ベースとなる「必ず記載する」項目を満たした上で、こうした独自の取り組みを「上乗せ」していくことが重要でしょう。在宅医療・介護サービスの整備量推計に向け、国保データベース(KDB)の活用を支援 上述のように、在宅医療のニーズは「高齢化の進展」と「地域医療構想の実現による追加分」によって増大していきます。在宅医療が必要な患者では、介護サービスの必要性も高いと考えられ、在宅医療・在宅介護サービスを「整合的に」整備していくことが求められます。このために、都道府県において在宅医療担当部局と介護福祉担当部局、さらに地域の医療・介護関係者が集う「協議の場」の設定が求められています。あわせて増大する在宅医療・介護サービスの整備量を、一定の根拠をもとに推計するために、厚労省は▼患者調査(3年に一度実施される厚労省の統計資料)▼病床機能報告結果▼国保データベース(KDB)—などのデータを活用するよう求めています。まず「協議の場」の開催状況を見ると平均1.5回で、個別市町村との「事前協議」は平均2.1回実施されていますが、都道府県間でバラつきがあります。またサービス整備量の設定に当たっての、データ活用状況を見ると、▼患者調査は28府県で▼病床機能報告結果は13都道府県で▼KDBは6府県で―実施(在宅医療と介護とのニーズ按分にも活用)され、秋田・富山・石川・長野・静岡・香川・佐賀・鹿児島の各県では、いずれのデータも活用していないことが分かりました。さらに、一部の都道府県では、医療計画、介護保険事業計画において、追加的需要(上述)の受け皿となる介護・在宅医療のサービスの目標・見込み量を十分に設定できていない状況も明らかになりました。在宅医療・介護サービスの整備には、当然、時間も費用もかかるため、計画の設定、その前提となる推計が遅れれば、サービス整備にも遅れが出てくるため、早急な手当てが求められます。この点、厚労省は「退院後の在宅医療・介護サービスの利用量」や「患者住所地ベースで、市町村単位の集計」を精緻に行えるKDBデータの活用がもっとも望ましい(もちろん、地域によって患者調査データなどを用いることも差し支えない)との考えを示していますが、都道府県職員にデータを扱う知識や技術が求められるなど、一定のハードルがあることも事実です。こうした状況を踏まえてワーキングでは、「自治体がKDBを利活用できるよう、支援を充実する」方針を固めました。どういった支援を行うかは、今後、厚労省で検討することになりますが、実際にKDBを活用している栃木県からは、▼ファイル数が膨大で、サイズも大きく、取扱いが容易でない▼データ構造や含まれる情報についての知識や技術が求められる▼作業時間がかかる―といった課題も指摘され、「都道府県・市区町村が自らの地域の状況を把握できるような、2次加工された医療圏単位や市区町村単位のデータ提供」「分析ソフトの配布、分析例や結果の読み方の提示、分析方法に関する研修の実施」などが要望されています。一方、奈良県は、KDBは有用であるが、「国保と後期高齢者医療のレセプトに限定される」といった限界もあるとし、追加の独自調査を行っています。例えば、訪問看護ステーションを対象に利用者の実人数や訪問件数などを調べるとともに、「訪問診療を行う医療機関の、ステーション側からの評価」なども行っています。後者からは「訪問診療を実施する医療機関はあるものの、キャパシティがいっぱいとなっているところもある」「医療機関の中には、診療内容や質に不安があるところもある」といった、これまで見えなかった実態が明らかになってきたといいます。さらに奈良県では、国保・後期高齢者医療のレセプトを独自に分析(KDBデータと同じもの)。その結果、「少数の医療機関が在宅医療の大半を提供している(10%の医療機関が80%の在宅医療を提供)」「在宅療養支援診療所であっても、実際には在宅医療をほとんど行っていない医療機関も多い」ことなどが判明、「在宅医療の裾野を広げるだけでなく、在宅医療を専門的に提供する医療機関の振興も必要ではないか」との提言も行っています。在宅医療・訪問看護の利用者の状態、今後の訪問診療提供移行など、調査は低調 一方、各都道府県が「地域の在宅医療提供体制」をどの程度把握しているのかを見ると、地域におけるバラつきがあることはもちろん、「訪問看護」についての把握が十分でない状況が如実になりました。まず訪問診療を実施している医療機関の状況を調べている自治体は、病院については33都道府県、クリニックについては32都道府県、訪問診療を実施している医師の状況を調べている自治体(予定含む)は、病院については19道府県、クリニックについては20都道府県ですが、訪問診療を受けている患者の重症度を調べている自治体(予定含む)は、病院・クリニックともに3道県、要介護度を調べている自治体(予定含む)は病院・クリニックともに2県にとどまっています。また、「今後、訪問診療を行う予定があるのか」という点に関しては、病院について22府県(予定含む)、クリニックについては21府県しか、調査が行えていません。病院が提供する訪問看護については、実施回数の調査は18道府県が調べていますが、患者数や実施回数の調査は8県にとどまり、利用者の状態(重症度や要介護度など)は現時点では調査されていません。さらに、訪問看護ステーションの状況を調べている自治体は、実施状況ですら20都府県にとどまり、利用者の状態(重症度や要介護度)などを調べている自治体はごくごく少数派です。織田正道構成員(全日本病院協会副会長)や吉川久美子構成員(日本看護協会常任理事)は、「訪問診療は、訪問看護なしに実施することはできない」として、適切な調査実施が行われるような支援を求めています。もっとも、調査実施には、相応の費用・時間・マンパワーが必要であり、「調査を適切に実施せよ」と掛け声をかけるだけでは現場は困ってしまいます。そこでワーキングでは「地域で議論していくために必要な『患者に関する情報』や『今後の訪問診療の実施予定』等について、都道府県が把握していくことが必要な内容等を整理する」方針を固めました。限られた資源を有効活用し、「真に必要なデータ」を集積してくことが期待されます。>

「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000208211.pdf)p39「既存の統計調査等における在宅医療に関する調査項目」では、医療機関単位で把握している項目として、①「病床機能報告制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data.html)、②「医療機能情報提供制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)、地域単位で把握している項目として、③「医療施設静態調査」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/14/)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/index.html#00450021)、④患者調査(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html)が挙がっているが、「医療施設静態調査」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/14/)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/index.html#00450021)の一般診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_ippan.pdf)、病院票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_byouin.pdf)をみれば、医療機関による訪問診療・往診や医療保険・介護保険での訪問看護の実態がある程度把握できる。歯科診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_shika.pdf)では在宅歯科医療サービスの実績が詳細に把握されている。「訪問看護ステーション連絡協議会実績報告書」をみれば、それぞれの訪問看護ステーションの詳細な実績が把握できる。また、「薬局機能情報提供制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kinoujouhou/index.html)、「介護サービス情報公表システム」(http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)、「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」(http://www.satsuki-jutaku.jp/index.php)も有用であろう。①厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」、②日医総研(http://www.jmari.med.or.jp/)の「地域の医療介護提供体制の現状 - 市区町村別データ集(地域包括ケア関連) - (2017年度)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/working/wr_637.html)、「地域の医療提供体制の現状 - 都道府県別・二次医療圏別データ集 - (2017年度版)」(http://www.jmari.med.or.jp/research/working/wr_636.html)、③株式会社ウェルネス「地域包括ケア版基礎データ」(https://www.wellness.co.jp/siteoperation/msd/)をみれば、それぞれの地域における在宅医療の実態がある程度把握できる。「全国在宅医療会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=364341)、「全国在宅医療会議ワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=406570)、「在宅医療・介護連携推進に係る全国担当者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=190816)、「医療計画の見直し等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=370580)、「医療介護総合確保促進会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=206852)、「医療と介護の連携に関する意見交換」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=422054)等で在宅医療に関する資料が多く出ているが、地域医療・介護資源状況によって、状況が大きく異なるのはいうまでもない。医政局の「医療計画作成支援データブック」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115654.pdf)では、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の通知(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159906.pdf)「別表11 在宅医療の体制構築に係る現状把握のための指標例」(ストラクチャー、プロセス)が出ており、それぞれの地域で共有すべきである。しかし、平成29年8月9日付の厚生労働省医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室の事務連絡「平成28年度版医療計画作成支援データブックの改訂について」、平成28年9月14日医政局地域医療計画課事務連絡「医療計画作成支援データブック【平成27年度版】の利用について」、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」では「国が定める誓約書」による厳格な規制がかかっており、医療計画に直接かかわらない行政職員すら閲覧できないでいる。こうした規制は即刻撤廃すべきである。さらに、「NDBオープンデータ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)では、在宅医療にかかるレセプト分析も出ているが「都道府県単位どまり」である。「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129210)の資料「第3回NDBオープンデータについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000174513.pdf)p2「2次医療圏毎での集計;作業負荷が高く第3回オープンデータでは対応困難。課題として引き続き対応を検討。」とあり、地域ごとの分析ができないでいる。経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html)では、二次医療圏別、市区町村別のSCRが公表されており、チグハグな感じがする。医療政策上、一般的な入院・退院は2次医療圏で考えるものであり、「NDBオープンデータ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html)はせめて2次医療圏毎での集計にできないものであろうか。「各都道府県の在宅医療に関する医療計画に基づく取組状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000208315.pdf)だけが在宅医療施策ではない。介護保険地域支援事業「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)は当然として、職能団体(医師会、看護協会、介護支援専門員協会、歯科医師会、薬剤師会、栄養士会など)や拠点施設(地域包括支援センター、地域リハビリテーション広域支援センター、がん診療連携拠点病院、認知症疾患医療センター等)の取り組みも含めて、地域全体で考えるべきである。
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ワクチンの需要と供給

2018年05月24日 | Weblog
メディウォッチ「1歳児と2018年度に6歳となる児童、優先的にMRワクチン接種し「はしか」予防を―日本小児科学会」(http://www.medwatch.jp/?p=20737)。<以下引用>
<1歳児と2018年度に6歳となる児童は優先的に、また、0歳児を持つ両親・同居家族や妊婦の同居家族、事務職員等を含めた医療関係者も、はしか(麻しん)予防のためにMRワクチン接種が推奨される―。日本小児科学会は5月22日に、こういった提言「MRワクチンの接種推奨対象者について」を行いました。2018年5月現在、沖縄県や愛知県を中心に麻しん(はしか)の発生が相次いで報告されています。麻しんは、極めて感染力が強く(空気感染)、感染者と同じ空間、場所にいるだけで感染する可能性があります。またマスク等は「感染防御には役に立たない」とされています。日本小児科学会では、「重症化のリスクが高い子どもたちを麻しん(はしか)から守る」必要があるとし、以下の対象者に対してワクチンの接種を推奨しています。○定期接種対象者【最優先】▼第1期定期接種対象者(1歳児) ▼第2期定期接種対象者(小学校入学前1年間の幼児、つまり今年度(2018年4月1日から2019年3月31日)に6歳になる者)○任意接種対象者 ▼規定の2回の定期接種を完了していない未成年者 ▼0歳児を持つ両親・同居家族 ▼免疫低下者など接種不適当者の児を持つ両親・同居家族 ▼妊婦の同居家族 ▼医療関係者(事務職員や救急隊員を含む) ▼保育関係者 ▼教育関係者 ▼海外渡航予定者 日本小児科学会では、「風疹の排除達成を目指す観点からも、原則として『乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン』(MRワクチン)を用い、1歳以上で2回の接種記録(第2期定期接種の対象となる以前の幼児は1歳以上で1回の接種記録)があれば、麻しん(はしか)免疫を有する」との考えを示しています。なお、医療関係者や教育関係者については、厚生労働省もはしか(麻しん)ワクチンを接種し、感染防止に努めるよう求めています。>

新型インフルエンザ対策に関する小委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=263447)の「プレパンデミックワクチンの今後の備蓄方針等について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000208084.pdf)p1「1,000万人分備蓄するプレパンデミックワクチンとして、近年の鳥インフルエンザ発生の状況等から、検討時点において「危機管理上の重要性」が高いH7N9 株(A/Guangdong/17SF003/2016(IDCDC-RG56N))としてはどうか。」「平成30年度末をもって、一般財団法人化学及血清療法研究所、北里第一三共株式会社、武田薬品工業株式会社において細胞培養事業の製造体制が整備される見込みであり、3社の合計として、ワクチン株の決定から6ヶ月以内に、全国民分のワクチンを製造する計画となっている。」が目にとまった。新型インフルエンザ対策に関する小委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=263447)の「住民接種に係る接種要領作成における今後の論点について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000199162.pdf)p6「手引き(暫定版)を見直し、平成30年度中に住民接種実施要領を作成」とあり、それぞれの自治体において、新型インフルエンザの住民接種(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/jumin-sesshu.html)の具体的なシミュレーションが期待されるが、やはりネックになるのはワクチンの供給見込みであろう。季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=545793)の「2017/18シーズン向けインフルエンザワクチンに関する経緯について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000203184.pdf)p8「2017/18シーズンにおける累積供給量実績/医療機関累積納入量実績」は約2643万本であるが、当初は前年に比べて供給が滞っていたように、季節性インフルエンザワクチンの製造でさえも予定どおりいかないことは認識しておきたい。厚生労働省FORTH(http://www.forth.go.jp/topics/fragment1.html)の鳥インフルエンザ(http://www.forth.go.jp/topics/fragment2.html)では、中国において鳥インフルエンザA(H7N9)(H5N6)(H7N4)のヒト感染が散発している。今後、ヒト-ヒト感染の度合いによっては、新型インフルエンザ(http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html)まで進まないとも限らない。AERA「中国の責任か? 鳥インフル蔓延で新型インフル“パンデミック”の現実味」(https://dot.asahi.com/aera/2017013000172.html)をみると、世界的な対応が必要と感じる。我が国の農林水産省「高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針」(http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/tori/pdf/150909_hpai_guide.pdf)p33~にある、患畜又は疑似患畜は、病性の判定後「24時間以内に」と殺完了、「72時間以内に」焼却又は埋却が規定されているが、中国での防疫対応が気になるところかもしれない。なお、中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「ゾフルーザ錠1(バロキサビルマルボキシル);抗ウイルス剤(A型又はB型インフルエンザウイルス感染症用薬)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000196671.pdf)では「非臨床試験において、既存薬耐性ウイルスやA/H5N1、H7N9亜型等の鳥インフルエンザウイルスに対する効果が確認された」とあり、新型インフルエンザ(http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html)の局面でも期待されるかもしれない。ところで、麻しん・風しんに関する小委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=486923)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/shiryo3.pdf)では「MRワクチンの全国的な不足は生じない見込み」とあるが、医療現場からは異なる話が聞かれる。5月16日付で厚労省通知「麻しんの予防接種の推奨の周知について(協力依頼)」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/dl/180516_1.pdf)が発出され、「麻しん風しん混合(MR)ワクチン接種の考え方」(https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/MRvaccine_20180417.pdf)も踏まえて、ワクチン需要が急増しているらしい。厚労省の麻しん・風しんサイト(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou21/index.html)や国立感染症研究所「麻疹最新情報」(https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html)はタイムリーな更新があっても良いように感じる。麻しんの流行世界地図(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html)をみれば、どこで集団発生してもおかしくはない。「麻しんの流行状況-ヨーロッパ」(http://www.forth.go.jp/topics/2018/04201102.html)、「麻しんの発生状況-アメリカ大陸」(http://www.forth.go.jp/topics/2018/04091609.html)も出ている。WHOの麻しんの排除状態認定(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000134573.html)をいってもあまり意味がない。継続的なワクチンの需要と供給の把握が不可欠と感じる。
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