保健福祉の現場から

感じるままに

地域医療構想と医療施設調査

2018年05月14日 | Weblog
医療施設(静態・動態)調査・病院報告(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html)では全国数値が公表されているが、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の推進のためにそれぞれの地域のデータを活用できないものであろうか。「医療施設静態調査」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/14/)(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/index.html#00450021)の一般診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_ippan.pdf)、病院票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_byouin.pdf)をみれば、医療機関による訪問診療・往診や医療保険・介護保険での訪問看護の実態がある程度把握できる。厚労省「在宅医療の推進について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html)の「在宅医療にかかる地域別データ集」、株式会社ウェルネス「地域包括ケア版基礎データ」(https://www.wellness.co.jp/siteoperation/msd/)では、市町村ごとに医療施設(静態・動態)調査・病院報告(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html)のデータが出ているではないか。病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)の報告結果ページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data.html)では、エクセルファイルで病院・病棟ごとデータがダウンロードできる。また、医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)もデータベース化されている都道府県が少なくないであろう。DPC関連資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049343.html)、(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000165562.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000165685.pdf)や医療機関届出情報(地方厚生局)検索(http://caremap.jp/cities/search/facility)なども地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)の資料として考えられるが、医療施設(静態・動態)調査・病院報告(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1a.html)の地域別データがほしいところかもしれない。地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)では議論されないであろうか。
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アドバンス助産師と院内助産

2018年05月14日 | Weblog
メディウォッチ「少子化対策の一環として、全妊産婦へ「産後に必要な支援」等を提供せよ―日看協」(http://www.medwatch.jp/?p=20494)。<以下引用>
<地域包括ケアシステムの推進に向けて、来年度(2019年度)予算で(1)自治体保健師の計画的配備(2)すべての妊産婦が産後に必要な支援を受けられる体制整備の推進(3)精神保健福祉施策の推進・充実に向けた保健師の人材確保―を行ってほしい―。日本看護協会は5月7日と8日に、厚生労働省健康局の福田祐典局長と同省子ども家庭局の吉田学局長、同省障害保健福祉部の宮嵜雅則に宛てて、こういった要望を行いました。自治体保健師の役割が広がっていることを踏まえ、人材の確保・育成を  いわゆる2025年問題(団塊の世代がすべて後期高齢者となるため、今後、医療・介護ニーズが急速に増加していく)に対応するため、地域包括ケアシステムの構築が重要課題に据えられています。後者の地域包括ケアシステムは、医療・介護ニーズが高くなっても、可能な限り住み慣れた地域での生活を続けられるように、▼住まい▼医療▼介護▼予防▼生活支援―を、地域の実情に応じて総合的・一体的に提供する仕組みですが、最近では要介護高齢者にとどまらず「障害者」「子育て世代」なども対象に含めるべきとの指摘が強くなってきています。そうした中で、日看協は、健康寿命の延伸に向けて、保健師による「重症化予防」「介護予防」「健康管理」などの取り組みがさらに重要になるとともに、保健師の役割が「母子保健」「精神保健福祉」「生活困窮者支援」へと拡大している状況を踏まえ、▼自治体保健師の計画的な人材確保および適切な配置の推進▼市町村の統括保健師の配置および人材育成計画の策定の推進—を来年度(2019年度)予算において実行するよう要望しています。後者の統括保健師は、2013年の通知「地域における保健師の保健活動について」の中で、都道府県・市町村に対し「保健師の保健活動を組織横断的に総合調整および推進し、技術的および専門的側面から指導する役割を担う部署を保健衛生部門等に明確に位置づけ、保健師を配置する」との努力義務に基づく、地域の保健活動を統括的に推進する保健師のことです。2017年5月時点では、この統括保健師は都道府県では97.9%で配置されていますが、市町村では49.7%にとどまっていることから、今般の要望につながっています。また深刻な少子化によって、我が国の存立そのものが危惧される中では、「妊産婦」や「子育て世代」への支援充実が欠かせません。日看協では、この観点から▼子育て世代包括ケア実現に向けた体制整備と保健師・助産師の活用の推進▼児童相談所における保健師の配置の推進▼すべての妊産婦が産後に必要な支援を受けられる体制整備の推進—を要望しています。3点目の妊産婦支援については、「産後うつ予防」や「新生児への虐待予防」などのための産婦健康診査事業の前提となる「産後ケア事業」(家族等から出産後の支援が受けられない母子に、日帰りでのケアを提供する事業)を実施している市町村は179自治体・10.3%にとどまっている(2017年度)実態などを踏まえ、▼全妊産婦が分娩取扱施設で2週間健診を受けられる予算の確保▼全妊産婦が産後に適切な相談対応と質の高い支援を受けられるよう、助産師をはじめとする看護職の育成—を要望しています。また精神障害者については、地域移行・地域定着が進められていますが、そこで障害者を支援する体制の整備・充実が必要となります。この点、日看協では▼精神障害者にも対応する地域包括ケアシステム構築のために、自治体における保健師採用の推進▼人材育成のための予算措置―を行うよう、要望しています。>

日本看護協会「平成31年度予算編成に関する要望書」(http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20180510144612_f.pdf)が出ている。全国児童福祉主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo.html?tid=129064)の母子保健課資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000199276.pdf)p697~698都道府県別・政令市・中核市別の実施市町村数・割合が出ている。この際、日本健康会議データマッピング(http://kenkokaigi-data.jp/datamap/)や地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)のように、厚労省「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドラインについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/sanzensangogaidorain.pdf)に基づく、市町村ごとの実施状況について「見える化」すべきと強く感じる。全国児童福祉主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo.html?tid=129064)の母子保健課資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000199276.pdf)p693「産前・産後サポート事業」、p694「産後ケア事業」、p695「産婦健康診査事業」は精神面のケアも重点に置かれている。母子保健課資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000199276.pdf)p684「市町村のハイリスク児の早期訪問体制構築等に対する支援をしている県型保健所の割合(都道府県別)」が出ているように、包括的母子保健は市町村と保健所の連携・協働が重要である。分娩施設が広域対応になっている地域が少なくないし、里帰り分娩も少なくないことは認識したい。厚労省「産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドライン」(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11908000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Boshihokenka/sanzensangogaidorain.pdf)がいくら発出されても、自治体で取り組まれなければ全然意味がない。データヘルス時代の母子保健情報の利活用に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kodomo.html?tid=546947)では母子保健情報の標準化・電子化が検討されており、好事例の横展開がしやすくなることを期待したい。ところで、以前、読売新聞「助産師主体の介助「院内助産」…専任担当チーム、産科医不足に対応」(https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180425-OYTET50028/)が出ていたが、「院内助産・助産師外来ガイドライン2018」(http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20180327154542_f.pdf)で紹介される「アドバンス助産師」(http://josan-hyoka.org/personalidentification/namelist/)による院内助産の普及が図られても良いように感じる。第7次医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の別表9「周産期医療の医療体制構築に係る現状把握のための指標例」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159906.pdf)の評価指標(ストラクチャー)には「アドバンス助産師数」(http://josan-hyoka.org/personalidentification/namelist/)があることは知っておきたい。

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頻回の生活援助サービス

2018年05月14日 | Weblog
メディウォッチ「生活援助サービス、要介護2では1か月34回以上の場合、市町村に届け出を―厚労省」(http://www.medwatch.jp/?p=20504)。<以下引用>
<介護保険の生活援助サービス(訪問介護)について、一部に「通常からかけ離れた頻回の利用」があることを踏まえ、今年(2018年)10月より、「1か月当たりの利用回数が極めて多くなる場合、ケアプランを市町村(介護保険の保険者)に届け出る」仕組みを設ける。具体的には、▼要介護1:27回▼要介護2:34回▼要介護3:43回▼要介護4:38回▼要介護5:31回—以上の場合にケアプランの届け出が必要となる―。厚生労働省は5月2日に告示「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」を公布、併せて10日に通知「『厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護』について」を発出し、こうした内容を明らかにしました。頻回な生活援助利用について、市町村の地域ケア会議でケアプランを検証 2018年度の今回介護報酬改定に関する議論の中で、「要介護度が低い利用者の一部が、生活援助中心型サービスを月100回以上利用している」実態があることが分かり、「不適切な利用がなされているのではないか」との指摘がありました(財政制度等審議会・財政度分科会)。この点は、具体的な単位数・基準に関する論議を行う社会保障審議会・介護給付費分科会でも議論されましたが、「在宅の認知症高齢者などでは、服薬支援のために1日3回の訪問を行う必要があるケースもある」ことが厚生労働省から説明されています(1日3回×31日=1か月当たり93回)。こうした状況を踏まえ、「通常の利用状況からかけ離れた利用回数となっているケアプラン」について、市町村の地域ケア会議で「必要があって頻回の利用となっているのか、あるいは不適切な部分があるのか」を検証することとなっています。このため今般、厚労省は「直近1年間(2016年10月-2017年9月)の生活援助サービスの実績(給付実績)」をもとに、「全国平均利用回数+2SD(標準偏差)」以上のケースを「通常の利用状況からかけ離れた利用」と設定し、そうしたケアプランについて市町村(介護保険の保険者)への届け出を求めることとしました(今年(2018年)10月1日より適用)。具体的には、1か月当たりの生活援助サービスの回数が、▼要介護1:27回▼要介護2:34回▼要介護3:43回▼要介護4:38回▼要介護5:31回—以上の場合にケアプランの届け出が必要となります。生活援助サービスは、要介護高齢者の在宅生活を可能とするために重要なサービスですが、一方で「あればあるほど便利であり、不適切利用を招きやすい」との指摘もあります。介護保険制度改正や介護報酬改定に関する論議でも、後者を重視し「生活援助サービスは介護保険給付から除外すべきではないか」との意見も出ています。要介護高齢者の状況を十分に精査したうえで、必要かつ適切なケアプランの作成が求められます。>

厚労省通知「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000205663.pdf)では、全国平均利用回数+2SDが基準となっている。介護給付費分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126698)の「平成30年度介護報酬改定の主な事項について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000192300.pdf)p19「通所介護への心身機能の維持に係るアウトカム評価の導入」について、通知「ADL維持等加算に関する事務処理手順及び様式例について」(http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000777643.pdf)が出ている。「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=485753)もスタートしているが、介護施設の現場では、まさに自立支援介護が要請されているように感じる。財政制度等審議会財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p66「ケアマネジメントの質の向上と利用者負担」、p67「軽度者へのサービスの地域支援事業への移行」の行方も注目される。ところで、通知「「介護員養成研修の取扱細則について(介護職員初任者研修関係)の一部改正について」(http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_23189.html?type=new&pg=1&nw_id=1)、通知「介護に関する入門的研修の実施について」(http://www.roken.or.jp/wp/archives/14257)が発出されているが、介護に関する入門的研修や生活援助従事者研修がそれぞれの自治体でどうなっているか、情報公開を徹底すべきである。
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地域居住と入退院支援

2018年05月14日 | Weblog
高齢者住宅財団「医療・介護ニーズがある高齢者の退院後の地域居住のあり方に関する調査研究事業」(http://www.koujuuzai.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018/04/h29-taiingo.pdf)p273~「⼊退院⽀援における「住まいと住まい⽅」⽀援に向けた連携・協働の⼿引き」は参考になる。平成30年度診療報酬改定(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411.html)の平成30年度診療報酬改定説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000196352.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p64「入院前からの支援を行った場合の評価の新設;(新) 入院時支援加算200点(退院時1回)」は「≪許可病床数200床以上≫・専従の看護師が1名以上又は・専任の看護師及び専任の社会福祉士が1名以上 ≪許可病床数200床未満≫・専任の看護師が1名以上が配置されていること。」が要件であるが、算定する急性期病院は少なくないであろう。疑義解釈資料(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=542113&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000201373.pdf)問58~65「入退院支援加算」が出ており、正確に理解しておきたい。地域医療構想に関するワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「病床機能報告の項目の追加・見直しについて」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000166638.pdf)p3「報告項目の追加・見直しについて(案)」では「「入院前・退院先の場所別の患者数」、「退院後に在宅医療を必要とする患者数」について、報告対象期間を、現在の1か月間から、1年間に見直してはどうか。」とあり、今後、病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)のデータベースを活用した入退院支援の地域診断が普遍化されなければならない。病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)の報告結果ページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/open_data.html)では、エクセルファイルで医療機関・病棟ごとデータ(入棟前、退棟先)がダウンロードできることは常識である。資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf)p64「入院前からの支援を行った場合の評価の新設;(新) 入院時支援加算200点(退院時1回)」が新設されたが、入院は自院外来からの入院だけではない。なお、平成30年度からの「保険者機能強化推進交付金」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/hoken/kaigo_lib/info/saishin/saishin.files/jouhou_622-1.pdf)の都道府県評価指標p4「(5)在宅医療・介護連携」には「退院支援ルールの作成等市区町村単独では対応が難しい広域的な医療介護連携に関して支援を行っている」「入退院に関わる医療介護専門職の人材育成に取り組んでいる」があり、地域医療構想に関するワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=368422)の「在宅医療の充実に向けた取組について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000196001.pdf)p11「目標設定するべき項目・指標のイメージ」には「退院支援ルールを設定している二次医療圏数」、p23「在宅医療に係る取組状況を把握する際に都道府県に確認する事項について(案)」には「退院支援ルールの策定の有無」があることは認識したい。入退院支援ルールにかかる市町村・都道府県の全数調査は、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000169786.html)で公表されるべきであろう。過去の厚労省「在宅医療・介護連携推進に係る全国担当者会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=190816)で紹介されている都道府県医療介護連携調整実証事業では、退院調整ルールが策定されているが、今回の同時改定を踏まえて、「入退院支援ルール」として改訂する必要があるように感じる。
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精神障害地域包括ケア

2018年05月14日 | Weblog
キャリアブレイン「自治体の保健師増やし精神障害地域包括ケア構築を 日本看護協会が厚労省に要望書」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20180511125049)。<以下引用>
<日本看護協会(福井トシ子会長)は、精神障害者の地域移行の促進などに関する要望書を厚生労働省に提出した。精神障害に対応した地域包括ケアシステムを構築するため、自治体の保健師を増やすよう求めている。要望書では、精神障害者の退院後支援について、本人の意向を捉えながら、病状を医学的にアセスメントして再発や悪化を防止する「保健的アプローチ」による継続的な支援や地域づくりを実践する必要性を挙げている。また、服薬アドヒアランス(服薬順守)を高めることや医療の中断防止といった継続的な支援の重要性にも触れ、「自治体保健師は多職種と連携を図り、個々の精神障害者の状況に応じて必要な支援のケアマネジメントを行ってきている」と指摘。こうした取り組みを実践する際、現状では保健師の数が不足しているとの考えを示し、「保健師の増員および力量形成は不可欠である」としている。厚労省が2018年3月に公表した「地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドライン」では、措置入院患者の入院中から自治体が中心となって退院支援計画を作成したり、支援関係者間の会議を開いたりすることが求められている。要望書では、退院支援計画に関して、「計画の作成主体は、相談支援を実施している自治体の保健所等が想定されており、各自治体の精神保健分野等を担当する保健師の人員体制の確保と人材育成は不可欠である」との見解を示している。>

キャリアブレイン「精神障害の地域生活者、「重度」が15.7% 全国精神保健福祉会連合会が調査結果公表」(https://www.cbnews.jp/news/entry/20180511152931)。<以下引用>
<全国精神保健福祉会連合会は、精神障害者の地域生活などに関する全国調査の結果を公表した。地域生活をしている人のうち、日常・社会生活の状態が「重度」となっているケースが全体の15.7%を占めていた。同会は「本来入院している可能性のある状態でも地域生活を送っている人がいることが示唆された」としている。調査は、同会の会員などの全国の精神障害者の家族を対象に、2017年10月1日から11月13日まで行われ、回収した調査票(3129通)を集計した。病名については、統合失調症が2396人で最も多く、以下は双極性障害(134人)、発達障害(110人)、うつ病(100人)などの順だった。調査結果によると、精神障害を認め、日常生活に著しい制限などが必要な「重度」の状態で地域生活を送っている人が462人いた。日中の活動については、このうち3割近くの人が「特に何もしていない」状態だった。また、2割が「訪問看護」を利用していた。入院せずに地域生活を送る重度の精神障害者について、同会は「訪問看護と日中通える場所が必要」と指摘。また、重度の障害があるにもかかわらず、4割超が障害者総合支援法のサービスを利用していないことも分かったという。>

日本看護協会「平成31年度予算編成に関する要望書」(http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20180510144612_f.pdf)が出ている。厚労省「地方公共団体による精神障害者の退院後支援に関するガイドライン」・「措置入院の運用に関するガイドライン」(http://www.jcma.or.jp/news/post_837.html)(http://www.toyama.med.or.jp/wp/?p=19210)が発出されているが、保健師に期待されるのは個別のケース対応だけではない。障害保健福祉関係会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/index.html)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000198745.pdf)p4、p10「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業」(地域生活支援促進事業)は「① 保健・医療・福祉関係者による協議の場の設置、② 精神障害者の住まいの確保支援に係る事業、③ ピアサポートの活用に係る事業、④ アウトリーチ支援に係る事業、⑤ 入院中の精神障害者の地域移行に係る事業、⑥ 包括ケアシステムの構築状況の評価に係る事業、⑦ 精神障害者の地域移行関係職員に対する研修に係る事業、⑧ 措置入院者及び緊急措置入院者の退院後の医療等の継続支援に係る事業、⑨ 精神障害者の家族支援に係る事業、⑩ その他地域包括ケアシステムの構築に資する事業」が例示されている。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/)の観点からの取り組みが不可欠と感じる。厚労省担当係長会議(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/ref.html)の資料(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/data/sysbuildermeeting01_ref1-2.pdf)p13都道府県別「精神障害に関する保健・医療・福祉による連携を推進する障害福祉圏域の検討」、p18「各都道府県における「地域移行支援」利用者数の推移(精神障害者)」、p19「各都道府県における「地域定着支援」利用者数の推移(精神障害者)」、p21「各都道府県が把握しているピアサポーター活動者数等(精神障害者)」をみれば地域格差が大きいことがわかる。「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)では圏域別数値が出ており、客観的な評価が可能になっている。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」(http://mhlw-houkatsucare-ikou.jp/)のためには、保健・医療・福祉・労働・教育など関係機関の密接な連携による戦略的な取り組みが欠かせない。人材確保・育成が急務であろう。全国精神保健福祉会連合会「平成29年度 精神障がい者の自立した地域生活の推進と家族が安心して生活できるための効果的な家庭支援等のあり方に関する全国調査報告書」(https://seishinhoken.jp/publications/4a1a5ebdc48f255bfa1fb5dde65c26fb70e8bccc)が出ているが、「精神保健福祉資料」(http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/data/)でそれぞれの地域における長期入院の状況を認識し、地域移行とアウトリーチを重点的に進めたいものである。
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高額薬剤と社会保障

2018年05月14日 | Weblog
ミクスonline「日医・横倉会長 超高額医療「主治医以外が必要性判断する仕組みの検討を」」(https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/60829/Default.aspx)。<以下引用>
<日本医師会の横倉義武会長は5月1日の定例会見で、欧米で承認されたCAR-T療法に要する費用が1回で4000万円超となることを引き合いに、「審議会で、担当の医師以外の第三者の目を通すことで、本当に必要かどうか判断をしていく仕組みがあってもいいのではないか」との考えを示した。財務省主計局が提案する「高度・高額な医療技術や医薬品」と保険財政のバランスに一石を投じたもの。さらに財務省が4月25日の財政審財政制度分科会に提案した医療費の給付率の自動調整案について、「財務省や財政審の提案はあまりにも無責任」と反発。欧米諸国に比べて国民の負担率が低いことなどから、「患者だけでなく、社会全体の負担率を調整することでカバーすべき」と主張した。抗がん剤・オプジーボを契機に明るみとなった高額薬剤問題だが、遺伝子治療など、革新的技術の登場で新たな局面を迎えることになる。ノバルティスファーマのCAR-T療法は、日本もすでに申請段階にある。政府部内では、CAR-T療法に代表される医療技術のイノベーションと保険財政のバランスについて喫緊の課題と位置づけており、厚労省の社保審医療保険部会や経済財政諮問会議でも議論となっている。なかでも財務省は2025年度以降の社会環境の変化と社会保障制度の持続性に強い問題意識を示しており、特に「高度・高額な医療技術や医薬品」について、一歩踏み込んだ改革案を提示したところ。これに対し日本医師会の横倉会長は5月1日の会見でクギを刺す場面が見られた。◎横倉日医会長「新しい医療技術は有効性・安全性が確認され次第、迅速に保険収載を」 横倉会長は会見で、「費用対効果評価は保険償還の可否に用いるべきではない」と反発。「新しい医療技術は、有効性・安全性が確認され次第、迅速に保険収載されることが重要だ。有効性・安全性が確認できているにもかかわらず、価格が高いという理由で保険償還の対象外に置かれ続けるということであれば、国民が医療技術の革新を受け入れられないという不幸な事態になる」と危機感を示した。希少疾患などで、対象患者が少なく、高額になる場合でも、「有効性・安全性が確立されたものは、保険診療の対象とすべき」との考えを示した。また、厚労省が生活習慣病治療薬や抗がん剤などについて最適使用推進ガイドラインを策定していることに触れ、「医療側も患者の症状や特性に応じてコスト意識を持った上で、まずはプロフェッショナル・オートノミーに委ねるべき」との考えを表明した。その上で、さらに極めて高額な医療を行う場合に、「更生医療給付のように、医学的・社会的観点も踏まえた意見を聞くことも必要ではないか」との考えを示した。更生医療の給付に際しては、主治医の意見書を添付して患者が市町村に申請。市町村役場で身体障害者更生相談所の判定に基づく審査を行い、必要性が認められた場合に患者が給付を受けられる流れとなっている。◎財務省の給付率自動調整案に反発 横倉会長はこのほか、財務省が財政制度等審議会に示した医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入について、「経済成長ができなかった場合、給付率のみで、患者に負担を押し付けようとしている」と反発。一方で、金融資産を考慮した負担については、「日本医師会は所得や金融資産の多寡に応じた応能負担を行うべきと主張してきた。低所得者に十分配慮した上で、金融状況を考慮した負担の在り方についてきめ細やかな対応が必要だ」と述べた。一方で、社会全体で支えるための働き方改革や一億総活躍の実現により、健康な高齢者が活躍社会を作り、支え手を増やすことの重要性を強調した。健康寿命の延伸に向け、日本医師会として、日本商工会議所や保険者、自治体らと「日本健康会議」の取り組みを進めていることを紹介。2018年度に都道府県が国保の保険者となったことなどから、連絡協議会の開催などを通じ、都道府県へと取り組みを波及させることに意欲をみせた。横倉会長は、「日本健康会議の取り組みを国民運動にしていくことが重要。大手企業では徹底され始めている中で、中小企業にいかに広げていくか。協会けんぽの取り組みを後押ししたい」と述べた。すでに、宮城県や静岡県では、都道府県版の健康会議が設置されている。横倉会長は、「先に医療費削減ありき、ではなく健康増進を目指した施策の結果として、医療費が削減されることを地域で進めていくことが重要」と強調した。◎地域別診療報酬「地域偏在加速で医療の質低下を招く」 このほか、地域別診療報酬の活用について、「県境での患者の行動に変化をもたらし、それに伴う医療従事者の移動により、地域による偏在が加速することで医療の質低下を招く恐れがある」と指摘した。また、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師・薬局以外受診時の定額負担の導入について、「かかりつけ医の普及に水を差すことになる」と反発した。一方で、かかりつけ薬剤師・薬局については、「まず薬局の在り方自体を議論することが必要」と指摘。「国民の保険料、税金が原資となっている社会保障費が社会保障の再生産に回るのではなく、株主に還元されるのは大きな問題」と述べ、医薬品医療機器等法(薬機法)改正議論の中で、社会保障財源で事業を行う非営利の“薬局法人”の在り方や、保険薬局の収支決算の公開などを検討すべきと主張した。>

財政制度分科会(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/index.html)の「社会保障について」(https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia300411/01.pdf)p54「医薬品の高額化(抗がん剤の例)」、p55「PD-1/PD-L1阻害剤の開発状況」が出ている。医療技術の進歩により、革新的な高額医薬品の登場が続くのは間違いない。報道にある「極めて高額な医療を行う場合に、「更生医療給付のように、医学的・社会的観点も踏まえた意見を聞くことも必要ではないか」」に賛同する方は少なくないであろう。薬価専門部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128157)で協議された「薬価制度の抜本改革」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000185617.pdf)は医療費適正化として大きい。医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000204023.pdf)p5~「高額薬剤・医療技術への対応」が出ていた。以前、全国保険医新聞(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/shinbun/160905.pdf)では「「オプジーボ」の薬価は英国に比べて日本は約5倍に上る」とあったが、同じ薬で日本だけ極端に薬価が高いのは変である。薬価専門部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128157)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000186107.pdf)p47「最高価格の除外規定の見直し」では「最高価格が最低価格の2.5倍を上回る場合に、最高価格を除外することとする。」とあるが、もっと引き下げられないのであろうか。高額薬剤の公的保険適用拡大は薬価引き下げとセットであろう。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「予防・健康・医療・介護のガバナンス改革」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0412/shiryo_04.pdf)p1医療費の「高齢者の増加等以外の影響;薬剤等+9%」と突出している。まずは「革新的医薬品の最適使用推進ガイドライン」(https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0028.html)の周知徹底が必要であるが、高額薬剤の使用に関する国民的議論が期待される。IQVIA(https://www.ims-japan.co.jp/japanese/)の「2017年の医薬品市場統計」では、薬効別には、抗腫瘍剤が第一位である。がんの年齢階級別罹患率を考慮すれば、団塊世代の高齢化に伴い、がん患者の急増が予想されるであろう。例えば、東京新聞「高齢者の抗がん剤治療指針を作成 延命効果を調査 厚労省方針」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201704/CK2017042802000115.html)では「肺がんでは、七十五歳未満で抗がん剤治療による明らかな延命効果が見られたが、七十五歳以上は抗がん剤治療を受けた患者と受けていない患者の生存期間に大きな差はなかった。(中略)胃がん、大腸がん、乳がん、肝がんでも調べたが、統計的に意味のある結果は出なかった。」を認識したい。肝炎治療費公費助成(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/080328_josei.html)でも超高齢者の方々が少なくない。肝炎医療費助成対象者数調(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/pdf/h26josei_taisyou.pdf)で年齢階級別の情報公開がされれば、80歳代、90歳代への高額薬剤使用の実態がわかるであろう。今後、革新的医薬品の公的医療保険には年齢制限の検討も必要になるかもしれない。高齢者医薬品適正使用ガイドライン作成ワーキンググループ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-iyaku.html?tid=475677)で検討されてもよいかもしれない。但し、成長戦略の一環として、革新的医薬品の開発支援は公的医療保険の枠外で必要であろう。ところで、日本医師会「高齢者の医療の確保に関する法律第14条について」(http://www.med.or.jp/nichiionline/article/006701.html)、医療保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126706)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000204023.pdf)p23「高齢者医療確保法第14条について」が出ているが、そもそも高齢者医療確保法による都道府県別の診療報酬の特例は「平成18年度医療制度改革」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/)の医療費適正化(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/taikou04.html)で「都道府県;診療報酬に関する意見を提出することができる」「国;○都道府県に配慮して診療報酬を定めるように努める、○都道府県と協議の上、適切な医療を効率的に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲で、都道府県の診療報酬の特例を設定することができる」と打ち出されたものである。高齢者医療確保法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S57/S57HO080.html)第14条「厚生労働大臣は、第十二条第三項の評価の結果、第八条第四項第二号及び各都道府県における第九条第三項第二号に掲げる目標を達成し、医療費適正化を推進するために必要があると認めるときは、一の都道府県の区域内における診療報酬について、地域の実情を踏まえつつ、適切な医療を各都道府県間において公平に提供する観点から見て合理的であると認められる範囲内において、他の都道府県の区域内における診療報酬と異なる定めをすることができる。」について、平成18年の法制定当時は、はたしてどういう議論がされていたのであろうか。
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医師の需給と偏在是正

2018年05月14日 | Weblog
M3「医学部定員、2020、21年度分「速やかに示して」全国医学部長病院長会議、2022年度以降は「減らさざるを得ない印象」」(https://www.m3.com/news/iryoishin/601924)。<以下引用>
<全国医学部長病院長会議は5月9日、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」で議論が行われている2020年度以降の医学部定員の取り扱いについて、「2020年度、2021年度の医師養成数の暫定的な方針を速やかに示していただきたい」などとする、厚労相、同省医政局長、文部科学大臣、同省高等教育局長宛ての要望書を同日に提出したと発表した。全国医学部長病院長会議会長の新井一氏は記者会見で「前回は(対象年度の)2年前の暮れくらいに方針が出て、大学や受験生、予備校から不満が出た。今の時点で2020年度分は出ているべきだ」と述べた。医師需給分科会の構成員でもある新井氏は、2022年度以降の定員については、「一般論としては、減らす方向にならざるを得ないという印象だ」と説明。減員の方法として「全体の定員を減らして地域枠を残すとなると、地域枠を恒久定員に組み込むという議論が出てくる可能性がある」と指摘し、要望書にも盛り込んだ通り慎重な検討を求めた。会見では、同会議カリキュラム調査ワーキンググループが行った「全国医学部教育カリキュラムの現状」の2017年度調査について座長の奈良信雄氏が報告した。臨床実習の総時間数は2000時間以上2250時間未満が18の医学部で最も多く、次いで1750時間以上2000時間未満が16医学部、2750時間以上3000時間未満が14医学部となっており、「臨床実習の時間数は明らかに増えている。ECMFGの(2010年の)アナウンスがきっかけと考えている」と指摘。臨床実習後のOSCEについては、ステーション数が平均4.45との調査結果で、「不十分だ。増やしていかないといけない」と述べた。調査結果のまとめとしては、医師としてのモチベーションを高めることやプロフェッショナリズム教育の充実、自己学習力の涵養などを通して「国民に信頼される医師の養成に重点を置いている」と説明。臨床医としての教育を充実させる一方で、80のうち65大学で研究室への全員配属が行われるなど「研究マインドの涵養を忘れない」ことや、医療英語の教育や海外実習などでグローバル化への対応も行われていると指摘した。要望書の全文は以下の通り。2020度以降の医学部定員の取扱について(要望書) 現在、厚生労働省が設置する「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」において、2020年度以降の医学部定員の取扱についての検討がなされております。医学部の定員については、各医学部・医科大学における入学者選抜等にも直結することから、社会的関心も極めて高く、各高校や各大学をはじめとする関係者間で懸念されているところであります。本件については、関係各所において精力的にご議論が進められていると承知しておりますが、下記の事項について強く要望いたしますので、所管官庁として適切なご対応をお願い申し上げます。2020年度、2021年度の医師養成数についての暫定的な方針については、各医学部・医科大学における入学者選抜等にも直結することから、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」において取りまとめられた後に、これを政府方針として速やかに示して頂きたい。2022年度以降の医師養成数、医学部定員の在り方については、今後示される医師偏在指標、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の議論の結果等を踏まえて議論する必要があることから、拙速に医学部定員の在り方について決定するようなことは差し控えて頂きたい。大学における地域枠の設定については、地域医療対策協議会において各都道府県が各大学との間で事前に十分な協議を行い、また、各大学が定める admission policy、教育・研究・診療に関するミッションとの整合性等を踏まえた各大学の判断を尊重することを原則とし、例えば地域枠定員を恒久定員に組み込むといった施策を大学ごとの特性や希望を踏まえず画一的に行うことについては慎重に対応頂きたい。その上で、大学も各都道府県と連携して引き続き地域偏在対策に取り組んでいきたいと考えているが、各都道府県から地域枠の設定に関する要請を受けた場合に、各大学が積極的に協力することができるよう、財政支援等の必要な環境整備をお願いしたい。>

中日新聞「「働き方」 揺れる医療現場 地域の病院支える長時間労働」(http://www.chunichi.co.jp/article/feature/iryou/list/CK2018050602000231.html)。<以下引用>
<「患者を放っておけない」 安倍政権の「働き方改革関連法案」が、中部の主要病院に波紋を広げていることが、本紙のアンケートで明らかになった。成立すれば、医師の残業は制限されるが、多くの病院は必要な医師を確保できるか、見通せないでいる。各病院は、救急患者受け入れなどで地域医療を支えるが、長時間労働に頼っているのが現実。識者は医師の労働環境改善の必要性を唱えるが、病院側からは「地域医療が崩壊する恐れがある」といった困惑の声が聞かれる。■義務 法案が成立すれば、医師の時間外勤務は原則として、月四十五時間に規制される。現行では、労使協定(三六協定)を結べば、医師の時間外勤務は事実上、制限はない。月百時間を超す協定を結ぶ病院もあるが、それさえも守られないケースがある。名古屋市立東部医療センターは月百五十時間を上限としていたが、これを超えて医師四人を働かせていたとして、昨年十一月、労働基準監督署から是正勧告を受けた。このうち一人の時間外勤務は、最大で月百七十八時間に達していた。医師法が、医師に原則、診療を拒否できない「応召義務」を課している上、職業倫理から「患者を放っておけない」と考える医師が多いことも、長時間労働の背景とされている。働き方改革に関連し、厚生労働省内では、応召義務のあり方の議論も始まっている。■制限 既に医療体制の見直しに着手した病院もある。諏訪赤十字病院(長野県諏訪市)は昨年十二月から、急患などを除き、医師が患者に対し、手術や病状の説明をするのは原則、平日午前八時半~午後五時に限る方針を打ち出した。案内文を院内に掲示している。以前は急を要さない場合でも、患者の都合を優先し、医師が非番の日に出勤して、説明することがあったという。病院の担当者は「地域医療を守るため、一定の基準を示し、患者や家族の理解を得たい」と話す。藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)は、現場での医師の指示なしに、一定の医療行為ができる「特定看護師」制度を活用。十七人が動脈採血や人工呼吸器の操作、エコー検査などを担当する。守瀬善一副院長(55)は「病棟に行くなどの作業が減り、医師の負担軽減に役立っている」と説明。増員を図りたい考えだが、看護師が資格を得るために大学院で二年間学ぶ際、無給になることが難点という。名古屋市立大病院では医学部の学生らが心電図移動や患者の家族対応などで、救急の医師を補助する取り組みを始めた。■本音 ただ、大半の病院は具体的な対策を打ち出せていない。制度改革に乗り出した政府への恨み節も漏れる。岐阜県内のある病院の担当者は、医師法の応召義務に触れ、「昼夜を問わず患者への対応が求められているのに、長時間労働の是正は困難」と明かす。中山間地域では既に医師不足が深刻。ある病院担当者は「都市部に医師が集中しており、十分な交代勤務ができる体制がない」と嘆く。愛知県内の病院幹部は「国から改革を押しつけられ、どこの病院も困っている。このままでは地域医療が崩壊しかねない」と心配している。医師増員が不可欠 医師の労働問題に詳しい松丸正弁護士の話 過労死ラインを超える時間外労働(月八十時間)は医師の心身の健康を損ね、大きな問題だ。医師も他の職種と同様、労働者であることを病院も認識するべきだ。医師の労働時間削減と現在のサービス維持を両立するために、必要な地域に医師の増員を図ることが不可欠。国は緊迫感を持って対策を進めるべきだ。>

キャリコネ「深刻な地方の医師不足、年収2200万円でも採用できず 青森県深浦町」(https://news.careerconnection.jp/?p=53795)。<以下引用>
<地方における医師不足が深刻だ。青森県深浦町が年収2200万円で医師を募集していたにも関わらず、結局採用できなかったことが5月8日までにわかった。深浦町の人口は男性3972人、女性4449人の計8421人(2018年2月末)。同町には現在、町営の診療所が2つある。唯一残っていた民間の診療所は2017年3月に閉院した。町営の診療所には、2013年まで3人の医師がいた。しかしそのうちの2人が退職したため、同町は医師を追加で募集していた。医師の偏在が深刻に 待遇は悪くない。年収2200万円で住宅完備、光熱水費・通信費も無料。学会や研修参加のための旅費も町が負担するというものだった。しかしそれでも新しい医師の採用には至らなかったという。診療所の担当者は、次のように話す。「公募と紹介の双方で医師を探しており、何人かの応募もありました。しかし希望よりも年収が少なかったり、家庭内の事情があったりと折り合いがつきませんでした。そこで元々診療所に勤めていた76歳の医師に戻ってきてもらうことになりました」 ひとまず医師を1人確保できた形だが、いずれまた医師不足に陥ることが目に見えている。同担当者は、「1町村単独で医師を確保するのは難しく、地域の枠組みの中で医師を派遣してもらいたいと思っています」という。深浦町は、五所川原市やつがる市、鰺ヶ沢(あじがさわ)町など2市4町で構成する「つがる西北五広域連合」に加わっている。市町村が連携して行政運営にあたるための枠組みだ。同連合では、つがる総合病院(青森県五所川原市)を中核病院とした地域医療連携に取り組んでいる。普段は地元の診療所で受診するが、必要があれば、つがる総合病院やさらには弘前大学附属病院等に紹介するというものだ。この連携の中に同町の診療所を組み込み、医師の派遣を求めていくという。人口10万人に対する医師の数は全国平均240.1人、青森県では198人 近年、医師の偏在が問題になっている。厚生労働省が発表した「医師・歯科医師・薬剤師の概況」(2016年)によると、人口10万人に対する医師の数は全国平均で240.1人。東京都や西日本の各府県には平均を上回る医師がいる一方で、青森県は10万人当たり198人と全国平均を大きく下回っている。岩手・茨城・埼玉・新潟なども平均以下だ。医師がいない、医療機関へのアクセスが難しいという地域は少なくない。山梨県鳴沢村は2017年10月まで診療所も病院もない「無医村」だった。同村が6000万円の補助金を出したことでやっと医師が1人移住を決めたという。>

医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=318654)で「医師需給推計」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000203368.pdf)が出ているが、医師の働き方改革(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=469190)だけでなく、偏在是正とセットでなければいけない。地域医療を守る病院協議会」(https://www.kokushinkyo.or.jp/index/about/aboutus/tabid/544/Default.aspx)から、「新専門医制度に関する要望」(https://www.kokushinkyo.or.jp/Portals/0/kokushinkyo/5dantai/H300427新専門医制度に関する要望.pdf)が出ていた。「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=436600)では、「地域医療に求められる専門医制度の在り方」「卒前・卒後の一貫した医師養成の在り方」などが議論されているが、当面、「医療法及び医師法の一部を改正する法律案の 閣議決定について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000203213.pdf)p4「都道府県における医師確保対策の実施体制の整備」の「<医師確保計画の策定> ① 医療計画において、二次医療圏ごとに、新たに国が定める「医師偏在指標」を踏まえた医師の確保数の目標・対策を含む「医師確保計画」を策定する。(2019年4月1日施行) ※ 都道府県は、「医師偏在指標」を踏まえて「医師少数区域」又は「医師多数区域」を設定。<地域医療対策協議会の機能強化> ② 地域医療対策協議会は、「医師確保計画」の実施に必要な事項について協議を行うこととする。(公布日施行) <地域医療支援事務等の見直し> ③ 都道府県は、大学、医師会、主要医療機関等を構成員とする地域医療対策協議会の協議に基づき、地域医療支援事務を行うこととする。また、地域医療支援事務の内容に、キャリア形成プログラムの策定や、「医師少数区域」への医師の派遣等の事務を追加する。(公布日施行) ④ 都道府県の地域医療支援事務と医療勤務環境改善支援事務の実施に当たり、相互に連携を図らなければならない旨を定める。(公布日施行)」とあり、都道府県による医師の診療科と地域の偏在是正の取り組みが注目されるのは間違いない。平成29年度全国医政関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000197363.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000197362.pdf)p40「地域枠の導入状況(都道府県別)」、p41「各医学部の地元出身者(地域枠を含む。)の割合」、p43「(参考) 秋田県地域枠の状況」が出ており、「これまで地域枠で秋田大学医学部に入学した者全員が、卒業後に秋田県内に勤務している。」とあるが、各都道府県ごとに、これまでの年度別の「自治医大・地域枠出身医師の勤務先(診療科、地域)」「派遣ルール」「キャリア形成プログラム」が公表されるべきであろう。そういえば、東京都「医師・歯科医師・薬剤師調査 東京都集計結果報告(平成28 年)の概要」(http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/04/25/documents/02_01.pdf)が出ていたが、他県での情報公開はどうなっているであろうか。
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