保健福祉の現場から

感じるままに

外来医療の機能分化と連携

2015年12月17日 | Weblog
キャリアブレイン「紹介状持たない外来受診が8割下回る- 厚労省調査、特定機能病院は5割以下」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47652.html)。<以下引用>
<紹介状を持たずに病院を受診する外来患者の割合が、昨年は8割を下回ったことが17日、厚生労働省の調査で分かった。大学病院などの特定機能病院では特に低く、5割以下だった。どちらも、2011年の前回調査と比べて減少している。同調査の後に2回実施された診療報酬改定で、紹介状による医療機関同士の役割分担が推進されたことなどが影響しているとみられる。現在は、患者が受診先に大病院を選ぶ傾向があるが、大病院の外来が混み合って待ち時間が延びたり、大病院に勤務する医師の負担になったりしている問題がある。このため厚労省は、大病院は専門的な診療や研究に専念できるようにし、慢性疾患の治療などは主に中小病院や診療所で行う役割分担を進めている。同省が3年ごとに行う調査の結果によると、昨年に紹介状を持たずに病院を受診した外来患者の割合は76.5%で、前回調査と比べ3.8ポイント低下した。特定機能病院は49.7%(前回調査比9.7ポイント減)で、患者の紹介を受けることが多い地域医療支援病院は67.0%(同4.6ポイント減)だった。それ以外の一般病院も81.2%で、前回調査と比べ2.9ポイント低くなっていた=グラフ1、クリックで拡大=。また、特定機能病院など以外の一般病院について、病床規模別に紹介状を持たない外来患者の割合を調べたところ、病床規模が大きいほどおおむね低く、「300-499床」は79.2%(同1.9ポイント減)、「500-699床」は68.4%(同8.7ポイント減)、「700床以上」も68.4%(同3.7ポイント減)だった=グラフ2、クリックで拡大=。12年度の診療報酬改定では、特定機能病院や500床以上の地域医療支援病院が受け取る診療報酬のルールが見直され、紹介状を持たずに受診する患者が多い場合などに、報酬が下がる仕組みが設けられた。さらに昨年度の報酬改定では、このルールの対象の病院を増やすといった施策が講じられた。診療報酬のルールのほかに、患者が不必要に大病院を受診しないようにする施策も講じられている。救急で来院した場合などを除き、紹介状を持たずに大病院を受診した患者に病院が設定した追加料金を支払わせるものだが、実際には病院が請求しないことが多いことからルールが見直され、来年4月からは一定額以上の追加料金の徴収が大病院の義務になる。具体的な金額や徴収を免除するケースなどは現在、中央社会保険医療協議会で検討が進んでいる。>

中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「外来医療(その3)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000104474.pdf)p49~「紹介状なしの大病院受診時に係る選定療養について」でp52「定額負担を求める大病院の範囲」では「特定機能病院に加え、地域医療支援病院の中でも大規模(500床以上)な病院を定額負担を求める大病院とすることとしてはどうか。」とある。p57「紹介状なしの大病院受診時に係る選定療養について(現行制度)」では「一般病床数が200床以上の病院であって、地方厚生局に届け出たものは、初・再診において特別の料金を徴収できる。」であり、いずれ対象が拡充するかもしれない。「経済財政運営と改革の基本方針2015」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2015/2015_basicpolicies_ja.pdf)p31「外来医療費についても、データに基づき地域差を分析し、重複受診・重複投与・重複検査等の適正化を行いつつ、地域差の是正を行う。」とあったが、外来医療費の適正化には、外来医療の機能分化と連携が不可欠であろう。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)では「病床の機能分化・連携」が図られるが、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の一環として、外来医療の機能分化・連携も図られる必要がある。
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看護職員の需給と地域医療構想

2015年12月17日 | Weblog
「医療従事者の需給に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=315093)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000106658.pdf)p5「看護職員就業者数の推移」では、就業看護師数は急増しているが、p6「都道府県別にみた人口10万対看護師・准看護師数」をみれば、都道府県格差が非常に大きいことがわかる。看護職は、保健師助産師看護師法(http://www.ron.gr.jp/law/law/kangofu.htm)第三十三条により、業務従事者のみの届出であって、潜在看護師の正確な把握ができていない。平成23年年3月に公表された「看護職員就業状況等実態調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017cjh.html)によると、20代~50代の看護職としての就業率は85.3%である(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017cjh-att/2r98520000017cnt.pdf)が、この調査はあくまで抽出調査であり、有効回答率は52.1%に留まっていた。今年10月スタートした「看護師等免許保持者の届出制度」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000095486.html)について、「看護職員の離職に伴う届出制度及びナースセンターが行う無料職業紹介事業(eナースセンター)の認知に関するアンケート」(http://www.hospital.or.jp/pdf/00_20151022_01.pdf)が行われているが、「とどけるん」(https://todokerun.nurse-center.net/todokerun/)への届出状況が注目される。しかし、肝心の「看護師籍」の管理はどうなっているであろうか。死亡届とリンクした管理も不可欠のようにも感じる。「スマート国勢調査」(http://kokusei2015.stat.go.jp/)が行われたり、「医療等分野におけるマイナンバーの利用拡充」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000077884.pdf)が図られる中で、医師臨床研修(http://www.jrmp.jp/)や病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)のように、今後、国家資格・免許を有する医療職全員の届出・情報管理をネットで簡単にできるシステムを国主導で構築できないものであろうか。ところで、「医療従事者の需給に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=315093)では、看護職員需給分科会も設置され、平成28年内に取りまとめられるという(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000106656.pdf)。既に医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai5/siryou.html)の2025年の都道府県別医療需要推計(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai5/siryou1.pdf)(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai5/siryou2-1.pdf)が出ているが、地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000080850.html)により、仮に「急性期病床 ⇒ 回復期病床」「療養病床 ⇒ 介護施設等」への転換が推進されれば、看護職員の需給にも大きな影響が出るのは間違いないであろう。全国医政関係主管課長会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=180575)の資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000077058.pdf)p94「地域医療計画との整合性等の観点から、平成30年からの需給見通しを地域医療計画と開始時期等を合わせて策定する」とあった。
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全国共通の分析ツール

2015年12月17日 | Weblog
国保情報12月14日号「KDBの活用など学ぶ/保健事業担当者研修」。<以下引用>
<国保中央会は8、9日、国保連合会の保健事業担当者と保健師のための研修会を開いた。8日には国立保健医療科学院の福田敬医療・福祉サービス研究部長が「KDBシステムを活用した医療費データに基づく地域診断のあり方」と題して講演。KDBで市町村の医療費全体を把握し疾病別の医療費の特徴や経年変化を分析。そのうえで生活習慣病の医療費を分析するなどして対象者を絞り込み対策を立てるという保健事業策定の手順を説明した。このほか、国保中央会の石原公一郎調査役が同時期に出生した集団の経年変化を比較するコーホート分析の手法を解説した。9日には帝京大大学院の福田吉冶教授が「保健活動の計画策定とその評価について」と題して講演した。問題の大きさに基づいて優先順位を決定し、保健事業を進めることを提案。目標値の設定にあたっては5つの条件(具体的、測定可能、達成可能、結果重視、期限)を満たすことが重要であると解説した。>

キャリアブレイン「データヘルス・予防サービス見本市が盛況- 高齢者向けデータヘルスの視点も」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47620.html)。<以下引用>
<厚生労働省は15日、「データヘルス・予防サービス見本市2015」を東京都内で開催した。この見本市は、医療保険者と健康・予防サービスを提供する事業者などを結び付ける場として企画された。今回が初となるが、当初の予想を上回る2930人が参加し、午前中には入場規制が行われるほどで、新たなビジネスチャンスとして、データヘルスに注目が集まっていることがうかがえた。今年は健康増進に向けた同省の施策が目立った。4月には「データヘルス計画」がスタートした。健康保険組合はデータを分析し、それに基づいて、加入者の健康維持や増進のための事業計画を立案、実施しながら健康寿命の延伸や医療費の適正化を目指す。12月には、「ストレスチェック制度」も始まった。従業員50人以上の事業場に対し、職員の心理的負担の程度を把握するストレスチェックや面接指導が義務付けられた。>

12月15日、「データヘルス・予防サービス見本市2015」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/dpstf2015/)が開催されているが、各保険者におけるデータヘルス(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokenjigyou/index.html)はまだまだ弱い感じがする。改正保健事業指針(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000044053.pdf)によるデータヘルス計画の策定状況はどうであろうか。さて、国保連合会ホームページ(https://www.kokuho.or.jp/hoken/public/hokenannouncement.html)2025.01.09にKDB活用マニュアルver.1.2が出ている。KDBは国保特定健診の受診者データだけではなく、医療レセプト(国保、後期高齢)、介護保険レセプトのデータベースもあり、分析結果は健康づくり推進協議会等においても広く活用したいものである。国保部門と健康増進部門が縦割りではいけない。また、介護保険関係のデータベースには、地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)があるが、あまり普及していないようである。そして、国立保健医療科学院の「地域医療構想策定研修(都道府県職員研修)」(https://www.niph.go.jp/entrance/h27/course/short/short_iryo02.html)・「地域医療構想策定研修(専門家連携編)」(https://www.niph.go.jp/entrance/h27/course/short/short_iryo03.html)で各都道府県職員等に対して実践研修が行われた医療計画作成支援データブックはNDB分析がメインであり、平成27年7月28日医政局地域医療計画課事務連絡「地域医療構想策定支援ツール等から得られる情報の関係者間での共有等について」では「地域医療構想の策定及び医療計画の作成に必要な情報については、ナショナルデータベース(NDB)等の情報を含む地域医療構想策定支援ツール及び医療計画作成支援データブック(以下「支援ツール等」という。)として都道府県へ配布しています。この支援ツール等から得られる情報については、地域医療構想の策定及び医療計画の作成に関わる多くの関係者で共有し、地域医療構想の策定や医療計画の作成のための議論に活用していただくことが求められています。そのため、医師会等の医療関係者や医療保険者等の地域医療構想調整会議及び都道府県医療審議会の委員から、支援ツール等から得られる情報を地域医療構想の策定又は医療計画の作成に参画するために提供してほしい旨依頼があった場合には、これに応じ、情報を提供していただくようお願いいたします。また、今般の医療法改正により、医療計画の作成又は変更を行う場合には、都道府県は保険者協議会の意見を聴くこととされており、地域医療構想調整会議には医療保険者が参画することとなっております。都道府県においては、地域医療構想調整会議や医療審議会の運営に当たり、保険者協議会にも、適宜情報を共有するなど、必要な連携を図っていただきますようお願いいたします。」とあった。しかし、医療計画作成支援データブックは非常に分析項目が多く、現場では今一活用しきれていないように感じる。全国共通の分析ツールが次々開発されているが、地域レベルで普及・普遍化に力を入れるべきであろう。そのためには、地元大学がカギを握っているといえるかもしれない。地域医療構想策定研修(専門家連携編)」(https://www.niph.go.jp/entrance/h27/course/short/short_iryo03.html)の対象者について、公衆衛生等の専門家・保健医療の専門家(大学、医師会、保健所等)」とあったが、大学はどれほど参加しているであろうか。あくまで全国共通の分析ツールは分析手段の一つではあるが、もはや全国共通の分析ツールが活用されない「地区診断」はあり得ない時代であろう。
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