キャリアブレイン「疲弊する救急医療現場の“処方せん”提示- 厚労省が検討会報告書を公表」(http://www.cabrain.net/news/regist.do;jsessionid=ABF0AEF04B193E6B6DC0F26F6E0321CA)。<以下引用>
<厚生労働省は6日、救急医療体制等のあり方に関する検討会がまとめた報告書を公表した。報告書では、増え続ける救急搬送件数や、救急医の負担増で疲弊する医療現場を改善する“処方せん”を示すとともに、超高齢社会の到来に備え、救急医療情報やICT(情報通信技術)の積極的な活用を提言。また、救急搬送者の約半数が軽症患者である実態を踏まえ、救急医療体制の適正利用を促すための啓発活動に力を入れることも求めている。軽症と中等症の増加が著しく、搬送人員の約半数が結果として帰宅可能な軽症者である―。報告書の冒頭では、救急医療を取り巻く過酷な状況を説明。「一部には不要不急の救急要請もあることから、国民がより適切に救急医療を受けるべきである」との指摘があることも記した。特に高齢者については、2011年の救急搬送患者数が10年前に比べて2倍近く増えたことを挙げ、「高齢者は複数の疾病を罹患している可能性が高く、救急隊による医療機関の照会の増加や、現場滞在時間の延長につながりやすい」と指摘。既往歴や受診医療機関などが記載された救急医療情報キットや、ICTを使ったシステムの導入を進めるべきとした。さらに、都道府県や救命救急センターに対しては、「すべての重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる体制」の構築を要望。一定数以上の専従医の配置や交代制勤務などの救命救急センターの要件についても、厳格に順守することを求めた。一定の機能を果たしていない施設は、「救命救急センターとしての指定が妥当か否か、検討が必要」とし、指定の取り消しも視野に入れた見解を示した。今後、検討すべき事項として、▽メディカルコントロール体制や高度救命救急センター、初期・二次救急医療体制の充実強化 ▽救急医療情報の活用と地域連携 ▽院内トリアージに関するシステム構築 ▽母体救命・小児救急医療における救急医療機関との連携―などを列挙。また、「大きな課題」となっている精神疾患の患者受け入れにも言及。既存の精神科救急情報システムなどを充実させ、病院群輪番型の精神科救急医療施設が適切に対応できる体制づくりが必要とした。また、救急医療体制の確保・充実は、「地域住民の安心と安全にとって重要な課題」と位置付け、国や地方自治体、医師会、関係学会などが地域住民と協力した取り組みが不可欠と指摘。厚労省に対し、報告書の記載事項が適切に施策に反映されているか、「定期的に検証や評価を行うべき」と求めている。>
2月6日の「救急医療体制等のあり方に関する検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000036820.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036818.pdf)には目を通しておきたい。今後検討すべき事項と方向性として示されている、1.救急患者搬送・受入体制の機能強化(メディカルコントロール(MC)体制の充実強化、救急医療情報の活用と地域連携、小児救急電話相談事業#8000、院内トリアージ)、2.救急医療機関・救急医療体制の充実強化(救命救急センターの充実強化、高度救命救急センターの充実強化、二次救急医療体制の充実強化、初期救急医療体制の充実強化)、3.救急患者の搬送等(ドクターヘリ、高次医療機関からの転院搬送)、4.小児救急医療における救急医療機関との連携、5.母体救命に関する救急医療機関との連携、6.精神疾患を有する患者の受入れ及び対応後の精神科との連携体制の構築、はいずれも重要なものである。しかし、救急医療の課題解決は、救急医療体制だけの問題ではない感じがする。例えば、もう少し、「疾患予防(重症化予防含む)」を前面に出せないものであろうか。この厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p13では、高血圧患者と糖尿病患者に対する保健指導を徹底した結果、心筋梗塞、脳血管疾患による入院患者数が減ったことが示されている。この厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)にもあるように、医療費適正化にも役立つはずである。以前、国立循環器病研究センターがプレスリリース「<糖尿病実態アンケート調査結果>約半数の患者さんが血糖管理目標に達していない」(http://www.ncvc.go.jp/pr/release/005581.html)を出しており、「①約半数が血糖管理目標に達していない、②特に50代後半から60代に血糖管理が悪い方が多い、③4割以上が眼科を定期受診していない、④8割以上が糖尿病連携手帳を所持していない」とある。また、以前の「治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl-att/2r9852000002ecj9.pdf)p4では、「医師から糖尿病と言われたことがある人で、ほとんど治療を受けていない人は約4割で、また、定期通院を自己中断した主な理由としては、仕事が多忙であるとの理由が多く(51%)を占め、男性・若年・サラリーマンや専門職に中断が多くなっている」とあったが、これが実態である。管内N市の健康づくり推進協議会では、KDBによる国保レセプト分析結果が一部出され、月100万円以上を超えるのは、がん、虚血性心疾患、脳卒中が多い。急性心筋梗塞では月700万円になるものもある。一方、特定健診受診者の分析では、Ⅲ度高血圧では6割余が未治療、HbA1c7以上では2割余が未治療である。昨年の圏域連携会議では、管内の循環器専門医から「高血圧・糖尿病コントロールと禁煙を徹底すれば循環器医師の救急負担は軽減できる。糖尿病患者には、頚動脈エコーや冠動脈CT等を組み込んだ前方連携を推進したい。」との発言もあった。また、健康日本推進フォーラム「心房細動の実態把握と意識調査」(http://www.kenko-nippon21forum.gr.jp/free/prerelease/contents041.pdf)では、男性高齢者の10人に1人が心房細動とされるが、心房細動は脳卒中の重要なリスク要因(http://www.jsts.gr.jp/guideline/031_034.pdf)である。「心房細動患者のコンプライアンス実態調査」(http://www.kenko-nippon21forum.gr.jp/free/prerelease/contents037.pdf)も出ていたが、患者だけではなく、かかりつけ医への啓発も必要と感じる。脳卒中予防では高齢者の脱水予防も重要であろう。その他、感染症予防・食中毒予防、精神患者の治療中断予防など、挙げればキリがない。とにかく、救急医療対策の処方せんは、救急医療体制だけではない。今回の報告書(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036818.pdf)p15~「救急搬送患者の約半数が、軽症患者である現状を踏まえると、国民に対して救急医療体制を適正利用するために必要な啓発をしていくことが必要である。」は当然であるが、あと一押しがほしい感じがする。
<厚生労働省は6日、救急医療体制等のあり方に関する検討会がまとめた報告書を公表した。報告書では、増え続ける救急搬送件数や、救急医の負担増で疲弊する医療現場を改善する“処方せん”を示すとともに、超高齢社会の到来に備え、救急医療情報やICT(情報通信技術)の積極的な活用を提言。また、救急搬送者の約半数が軽症患者である実態を踏まえ、救急医療体制の適正利用を促すための啓発活動に力を入れることも求めている。軽症と中等症の増加が著しく、搬送人員の約半数が結果として帰宅可能な軽症者である―。報告書の冒頭では、救急医療を取り巻く過酷な状況を説明。「一部には不要不急の救急要請もあることから、国民がより適切に救急医療を受けるべきである」との指摘があることも記した。特に高齢者については、2011年の救急搬送患者数が10年前に比べて2倍近く増えたことを挙げ、「高齢者は複数の疾病を罹患している可能性が高く、救急隊による医療機関の照会の増加や、現場滞在時間の延長につながりやすい」と指摘。既往歴や受診医療機関などが記載された救急医療情報キットや、ICTを使ったシステムの導入を進めるべきとした。さらに、都道府県や救命救急センターに対しては、「すべての重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる体制」の構築を要望。一定数以上の専従医の配置や交代制勤務などの救命救急センターの要件についても、厳格に順守することを求めた。一定の機能を果たしていない施設は、「救命救急センターとしての指定が妥当か否か、検討が必要」とし、指定の取り消しも視野に入れた見解を示した。今後、検討すべき事項として、▽メディカルコントロール体制や高度救命救急センター、初期・二次救急医療体制の充実強化 ▽救急医療情報の活用と地域連携 ▽院内トリアージに関するシステム構築 ▽母体救命・小児救急医療における救急医療機関との連携―などを列挙。また、「大きな課題」となっている精神疾患の患者受け入れにも言及。既存の精神科救急情報システムなどを充実させ、病院群輪番型の精神科救急医療施設が適切に対応できる体制づくりが必要とした。また、救急医療体制の確保・充実は、「地域住民の安心と安全にとって重要な課題」と位置付け、国や地方自治体、医師会、関係学会などが地域住民と協力した取り組みが不可欠と指摘。厚労省に対し、報告書の記載事項が適切に施策に反映されているか、「定期的に検証や評価を行うべき」と求めている。>
2月6日の「救急医療体制等のあり方に関する検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000036820.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036818.pdf)には目を通しておきたい。今後検討すべき事項と方向性として示されている、1.救急患者搬送・受入体制の機能強化(メディカルコントロール(MC)体制の充実強化、救急医療情報の活用と地域連携、小児救急電話相談事業#8000、院内トリアージ)、2.救急医療機関・救急医療体制の充実強化(救命救急センターの充実強化、高度救命救急センターの充実強化、二次救急医療体制の充実強化、初期救急医療体制の充実強化)、3.救急患者の搬送等(ドクターヘリ、高次医療機関からの転院搬送)、4.小児救急医療における救急医療機関との連携、5.母体救命に関する救急医療機関との連携、6.精神疾患を有する患者の受入れ及び対応後の精神科との連携体制の構築、はいずれも重要なものである。しかし、救急医療の課題解決は、救急医療体制だけの問題ではない感じがする。例えば、もう少し、「疾患予防(重症化予防含む)」を前面に出せないものであろうか。この厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000015v0b-att/2r98520000015v4o.pdf)p13では、高血圧患者と糖尿病患者に対する保健指導を徹底した結果、心筋梗塞、脳血管疾患による入院患者数が減ったことが示されている。この厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001w361-att/2r9852000001w3ai.pdf)にもあるように、医療費適正化にも役立つはずである。以前、国立循環器病研究センターがプレスリリース「<糖尿病実態アンケート調査結果>約半数の患者さんが血糖管理目標に達していない」(http://www.ncvc.go.jp/pr/release/005581.html)を出しており、「①約半数が血糖管理目標に達していない、②特に50代後半から60代に血糖管理が悪い方が多い、③4割以上が眼科を定期受診していない、④8割以上が糖尿病連携手帳を所持していない」とある。また、以前の「治療と職業生活の両立等の支援に関する検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecfl-att/2r9852000002ecj9.pdf)p4では、「医師から糖尿病と言われたことがある人で、ほとんど治療を受けていない人は約4割で、また、定期通院を自己中断した主な理由としては、仕事が多忙であるとの理由が多く(51%)を占め、男性・若年・サラリーマンや専門職に中断が多くなっている」とあったが、これが実態である。管内N市の健康づくり推進協議会では、KDBによる国保レセプト分析結果が一部出され、月100万円以上を超えるのは、がん、虚血性心疾患、脳卒中が多い。急性心筋梗塞では月700万円になるものもある。一方、特定健診受診者の分析では、Ⅲ度高血圧では6割余が未治療、HbA1c7以上では2割余が未治療である。昨年の圏域連携会議では、管内の循環器専門医から「高血圧・糖尿病コントロールと禁煙を徹底すれば循環器医師の救急負担は軽減できる。糖尿病患者には、頚動脈エコーや冠動脈CT等を組み込んだ前方連携を推進したい。」との発言もあった。また、健康日本推進フォーラム「心房細動の実態把握と意識調査」(http://www.kenko-nippon21forum.gr.jp/free/prerelease/contents041.pdf)では、男性高齢者の10人に1人が心房細動とされるが、心房細動は脳卒中の重要なリスク要因(http://www.jsts.gr.jp/guideline/031_034.pdf)である。「心房細動患者のコンプライアンス実態調査」(http://www.kenko-nippon21forum.gr.jp/free/prerelease/contents037.pdf)も出ていたが、患者だけではなく、かかりつけ医への啓発も必要と感じる。脳卒中予防では高齢者の脱水予防も重要であろう。その他、感染症予防・食中毒予防、精神患者の治療中断予防など、挙げればキリがない。とにかく、救急医療対策の処方せんは、救急医療体制だけではない。今回の報告書(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000036818.pdf)p15~「救急搬送患者の約半数が、軽症患者である現状を踏まえると、国民に対して救急医療体制を適正利用するために必要な啓発をしていくことが必要である。」は当然であるが、あと一押しがほしい感じがする。