保健福祉の現場から

感じるままに

15日からTPP交渉がスタート

2013年07月15日 | Weblog
NHK「TPP交渉 日本に期待と警戒」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130715/t10013052381000.html)。<以下引用>
<TPP=環太平洋パートナーシップ協定の18回目の交渉会合がマレーシアで始まり、各国の交渉官からは、今回、日本が初めて交渉に参加することについて、貿易の拡大につながるなどといった期待が示される一方、交渉に遅れが生じないかと警戒する声も聞かれました。TPPの18回目の交渉会合は、マレーシアのコタキナバルで、アメリカやオーストラリア、それにシンガポールなど11か国の交渉官らが参加して、15日から今月25日までの日程で始まりました。日本は、アメリカの国内手続きが終了する23日午後から初めて交渉に参加できる見通しで、各国は高い関心を示しています。このうち、カナダの交渉官は、NHKの取材に対し「日本の参加はすべての交渉参加国に大きな利益をもたらすだろう。アジア太平洋地域において非常に重要な国であり、参加を歓迎する」と述べました。また、マレーシアの交渉官も「交渉参加国の間で貿易が拡大するだろう。前向きな期待を抱いている」と述べるなど、日本の参加への期待が示されました。一方で、シンガポールの交渉官が「日本は交渉の進展を遅らせてはならない。交渉参加国すべてが同じ懸念を抱いていると思う」と述べるなど、日本が、「関税の撤廃」など協議が難航している分野で、農産品の例外化などの主張を強めて交渉に遅れが生じないかと警戒する声も聞かれました。>

15日からTPP交渉がスタートしているが、注目されているようには感じない。日本医師会「TPP 交渉参加について」(http://dl.med.or.jp/dl-med/nichikara/tpp/tpp20130315.pdf)では、「TPP に新たに参加する国に対しては、①合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さないこと、②交渉の進展を遅らせないこと、③包括的で高いレベルの貿易自由化を約束すること、という条件が付されていることも判明し、TPP 交渉で日本の公的医療保険の給付範囲が縮小する懸念」、「ISD 条項により日本の公的医療保険制度が参入障壁であるとして外国から提訴されることに懸念」がある。「TPP協定交渉と医療制度」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/130627TPP-iryo.pdf)p31では、「四病院団体協議会は、日本政府が米国に対応できる交渉能力があるかを疑問視しつつ、むしろ日本政府が米国の圧力をくみ取りながら、規制を緩和し混合診療を広め、医療法人制度(配当禁止)を突き崩すという点についても、注意を喚起している。」とある点に注目する必要がある。これは決して大げさではない。日本医師会報告書(http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20120208_1.pdf)p23では、「医療の営利産業化は日米大企業の合作」とされ、元USTR日本部長の「米国提案の多くはすでに日本の省庁が審議会などで議論していたものばかりです。だから、日本が米国の圧力に屈して、いやいや合意したものではなかったのです。日本政府が国内の抵抗勢力を説得するために構造協議が使われた、という方が実態に近い。いわば『歌舞伎の敵役』を米国が演じたということです」の発言が紹介されている。全国保険医団体連合会「日医・原中前会長、「TPPでいのちと健康脅かされる」…米議員・USTR高官らと意見交換」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/130624tpp-haranakasi.html)では、「実情調査を通じて、米国側は、日本が全国民的合意のもとで市場開放を決断したと受け止めているというのが率直な印象です。日本国内でTPP参加に対して懸念し、反対の声があることが米側に知られていない。日本のメディアの報道がないためです。私たちは、自民党の6項目堅守要求や衆参農林水産委員会での重要5品目の除外を求める決議、全国知事会や都道府県議会議長会の決議などの英訳を相手方に手渡し、懇談しました。TPP推進派のある上院議員の事務所を訪問した際、「こんな資料が出ているとは知らなかった。USTRに確認する」と補佐官が血相を変える場面もありました。米国の議会や政府の関係者に、私たちの主張や、日本のTPPをめぐる世論の状況を伝える必要があると感じました。」とあるように、国内のTPP懸念の声が米国側に伝えられていない。「TPP懸念のビラ配布で警告」(http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013071101002004.html)、「反TPP派は左翼と認定」(http://www.news-postseven.com/archives/20130624_195924.html)とのことであり、異様な雰囲気を感じる。政府では、医療は、農業、労働と同じく「岩盤規制」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai11/siryou2.pdf)とされ、首相自ら「岩盤規制に立ち向かう」という(医事新報6月15日号)。TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会(http://atpp.cocolog-nifty.com/blog/)が先週、「都道府県別の独自影響試算」(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/88807)を出している。すさまじい影響であるが、TPP=農業問題ではない。全国保険医団体連合会「TPPと医療の特集ページ」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/index.html)での「TPP協定交渉と医療制度」(http://hodanren.doc-net.or.jp/tpp/130627TPP-iryo.pdf)がわかりやすい。果たして、『シッコ SiCKO』(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%B3)の世界は、日本国民が望む医療の姿であろうか。OECD資料(http://www.oecd.org/els/health-systems/Briefing-Note-JAPAN-2013.pdf)p1をみれば、米国ではいかに私的医療支出が多いかがわかる。
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