保健福祉の現場から

感じるままに

早産男児、7病院拒否

2008年12月02日 | Weblog
「早産男児、7病院拒否 10日後死亡 札幌で昨年11月」(http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/132472.html)。<以下引用>
<札幌市内の三十歳代の女性が自宅で早産した未熟児が昨年十一月、七病院に「満床」などを理由に受け入れを断られ、一時間半後に新生児集中治療室(NICU)のない市内の病院に搬送され十日後に死亡していたことが一日、分かった。道内で医療体制が最も整備されているはずの札幌で、生まれてくる未熟児の生命が危機にさらされている現実が明らかになった。専門医はNICU不足を指摘する一方「未熟児はすぐに低体温、低酸素状態となる。もっと早くNICUで治療できていれば助かったはずだ」としている。未熟児は搬送当初は呼吸をしていたものの病院に着いたときには心肺停止に陥っていた。リスクの高い新生児を引き受ける道央圏で唯一の「総合周産期母子医療センター」である市立札幌病院も受け入れを断っていた。市などによると、女性は昨年十一月十五日午後十時半ごろ、北区の自宅で腹痛を覚え、妊娠二十七週で一三〇〇グラムの男児を出産。119番通報で男児は救急車で運ばれた。市立札幌病院救命救急センターの医師がドクターカーで駆けつけて二十八分後にこの救急車に同乗し、車内で応急処置にあたった。女性のかかりつけの医院は重篤な患者を受け入れる施設が整っていなかったため、救急隊が未熟児の状態を確認した直後から消防局指令情報センター(中央区)が電話で受け入れ先病院を探した。情報センターは市立札幌病院、北大や札幌医大、道立子ども総合医療・療育センター、民間の総合病院三病院に「NICUが満床」などと次々と断られた。この中にはNICUがない病院もあったが「治療は無理」と断られたという。三番目に依頼を受けた市立札幌病院によると、同院のNICUも満床だった上、当直医が「別の患者の治療中で手が離せない」と断ったという。最終的にNICUのない手稲区内の病院が受け入れたが、病院着は翌日午前零時八分。通報から一時間半が経過し、未熟児は心肺停止となっていた。女性は別の救急車で産科のある病院に搬送され、無事だった。市立札幌病院は翌日、未熟児の受け入れを申し出たが、この病院から「動かせる状態ではない」と言われたという。市立札幌病院の服部司新生児科部長は「あってはならないケースと認識している。無理をしてでも当日に受け入れるべきだった」と対応の不備を認めている。>

報道では自宅分娩であるが、かかりつけ医は持っており、妊婦健診は受診していたのであろう。問題は産科だけではなく、新生児科も大きい。先日の市民公開シンポジウムでも現場から切実な現状が訴えられていた。医師不足は多くの科で起こっているのであるが、専門医の集約や情報連絡体制等を含めて、優先順位を見極め、早急に対応する必要がある。この事例は1年以上前であるが、果たして同様な事例は起こっていないであろうか。問題事例の検討が不可欠かもしれない。各都道府県に実施した「周産期医療ネットワークに関する実態調査結果」速報値では、19年度に新生児搬送の受入ができなかったケースのあった総合周産期母子医療センターは有効回答70センターのうち42センターとされている(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/48226f578e0f062d49257508001a62b8/$FILE/20081121_7shiryou5~sankou.pdf)。早速2ちゃんねる(http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1228180404/)ではかなり盛り上がっている。
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がん対策アクションプラン

2008年12月02日 | Weblog
「委員が概算要求への施策提言―がん対策協」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/19416.html)の記事がでている。注目されるのは、協議会が厚生労働省予算の概算要求に関わることについてだけでない。がん対策基本法(http://www.ron.gr.jp/law/law/gan_ki.htm)第11条に基づく各都道府県がん対策推進計画(http://ganjoho.ncc.go.jp/public/news/2008/plan.html)について、取り組み内容と進ちょく状況に関する評価結果を、毎年10月末までに厚労省に報告するよう各都道府県に求める方針とされる。重点項目は、「たばこ対策」「がん検診対策」「がん医療の均てん化」の3 点で、年度内にアクションプランの作成例が各都道府県に通知されるという。今後、がん対策に限らず、都道府県比較による情報公開が進むかもしれないと、感じないではないところである。
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