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桃太郎は悪人だった

2014年03月27日 18時15分22秒 | Weblog

 先日の日曜日、私たち夫婦は次女夫婦とダンナの両親とで名古屋城と徳川園を見て回った。その日は、友人たちが参加する演劇が行われた。題名は『桃太郎』で、演劇グループと朗読クラブを主にフラダンスの会、コーラスの仲間、和太鼓の人たち、それに公募のエキストラが加わるユニークなものだ。脚本と演出は、この市で演劇と朗読を指導している舟木淳さんである。『桃太郎』なら、4歳の孫娘でも楽しむことが出来るだろうと思い、長女に「孫娘と一緒に見てきてくれないか」と頼んだ。

 その夜、4歳の孫娘に「桃太郎さんはどうでしたか?」と聞くと、演劇で使われた童謡を歌って聞かせてくれた。長女は「桃太郎が悪人だって、知ってた?」とみんなに聞く。「鬼が島は南国の緑豊かなのんびりしたところでね、鬼たちはせっせと働き、歌ったり踊ったりしているの。そこへ桃太郎が征伐にくるのよ。鬼はたちまち殺され、酋長は降参するの。でね、恐る恐る桃太郎に尋ねるの。『どうして私たちは征伐されなければならないのですか?私たちは皆さんに何か悪いことをしたのでしょうか?』って。桃太郎は『征伐したいと志したからだ』と答えるの。ビックリよね」と興奮気味に語った。

 桃太郎が悪人だったという設定は、芥川龍之介の原作だからだ。芥川の『桃太郎』では、鬼が島への征伐の理由は「おじいさんやおばあさんのように、山だの川だの畑だのへ仕事に出るのがいやだった」からで、「腕白ものに愛想をつかしていた老人夫婦は一刻も早く追い出したかった」のだ。

 長女がもうひとつ関心を持ったのは、「犬・猿・雉がどうして家来になったと思う?」という点だ。三匹は黍団子に釣られて家来になった。けれども途中で、不満を表す。すると桃太郎は「鬼が島を征伐しても宝物をわけてやらないぞ」と言う。欲が働いたのだ。しかも、「餓えた者ほど忠勇無双の兵卒の資格を具えているものはない」。「逃げ回る鬼を殺し、凌辱し、ほしいままにした」。

 鬼の年寄りが人間の恐ろしさを子どもに語り伝えていたことが現実となったのだ。「人間というものは、嘘は言うし、欲は深いし、焼餅は焼くし、うぬぼれは強いし、仲間同士殺し合うし、火はつけるし、泥棒はするし、手のつけようのないケダモノなのだよ」。大正13年に、芥川は第2次世界大戦とその後のベトナムやイラク戦争を予言していた。

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