私は自分の父親を尊敬しているし、カミさんの父親も尊敬している。もっと正直に言えば、カミさんの父親の方が身近に感じている。私の父が亡くなったのは私が18歳の時だから、18年間暮らしたことになるが、カミさんの父親とは24歳で結婚して、義父が亡くなったのは42歳の時だったから同じく18年間親子として付き合ってもらった。
子どもの時は親子だから当然のことだが子どもの扱いだった。男同士と感じることがあったのは、高校生になってからだ。カミさんの父親とは親子であったけれど、初めから男同士でもあった。義父からすれば私はへなちょこ野郎だったに違いない。腕力もなければ気概もないが、人好しだからまあよいか程度だったであろう。私は自分の両親がいないこともあり、カミさんの両親に子どものように甘えてしまっていた。
義父は私がとんでもないことをした時も、小言も不満も言わなかった。おそらくどんなことになるのかと気が気でなかったはずだが、何も言わずに見守っていてくれた。生活が安定してきて、両親を連れて旅行に出られるようになった時、喜んで誘いを受けてくれた。義父と一緒に石の収集に出かけたこともあった。義父にとってなんとも不甲斐ない娘婿だったかもしれないが、もう少し生きていて、この娘婿もまんざらではないなと評価していただきたかった。
義父と私の父親と似ているところは何かと考えた。何かで世に出たいというか、自分の生き甲斐のようなものを見出したいという思いが強いところだろう。私の父は、小学校の教員をしていたが、姉から聞くところでは母に学資を出してもらって師範を出たということらしい。母がどうして父と知り合ったのか知らないが、代用教員だった父は小説家になりたくて実家の材木屋を飛び出していたようだ。そんな父の面倒を見ていたのが2歳年上の母だった。
父は背の高い人ではなかったけれど、色白く歌舞伎役者のように面長の顔で、母の実家に父が行くと、村の人たちが振り返るほど評判だったと、これも姉の話だ。私の知る父は、いつも一人で本を読んでいるか、スケッチブックに小さな絵を描いていた。父に怒られたことは一度もない。私が高校生になった頃から、私を大人として扱ってくれたように思う。生徒会長に立候補する時や、生徒会で取り組む課題や、学校から禁止されて仕方なく自分たちで新聞を発行した時など、男同士のように後押ししてくれた。
今朝、夢を見た。人が来るというので障子を張り替えた。母と障子だったか家具だったかを移動していた。その際に障子を少し傷つけた。兄に代わったがやはり障子を傷つけた。父に代わったが母や兄よりももっと傷つけた。「やっぱり我が家の血だ」と私が笑うと、父は怒って障子を破り始めた。私が「そんなにしなくても」と父を止めた途端、父はひっくり返ってしまった。私が笑って手を出すと、父は怒って私に蹴りを入れてきた。父は意外に短気な人だったのだ。夢だったけれど、実際に父はカッとなる方だったような気がする。
カミさんの父親にも私の父にも、生きている時に「いい息子(婿)だ」と言ってもらえるようなことを何一つしていない。それがちょっと悔やまれるが、まあ人生はそんなものだと言ってもらえそうな気もしている。
子どもの時は親子だから当然のことだが子どもの扱いだった。男同士と感じることがあったのは、高校生になってからだ。カミさんの父親とは親子であったけれど、初めから男同士でもあった。義父からすれば私はへなちょこ野郎だったに違いない。腕力もなければ気概もないが、人好しだからまあよいか程度だったであろう。私は自分の両親がいないこともあり、カミさんの両親に子どものように甘えてしまっていた。
義父は私がとんでもないことをした時も、小言も不満も言わなかった。おそらくどんなことになるのかと気が気でなかったはずだが、何も言わずに見守っていてくれた。生活が安定してきて、両親を連れて旅行に出られるようになった時、喜んで誘いを受けてくれた。義父と一緒に石の収集に出かけたこともあった。義父にとってなんとも不甲斐ない娘婿だったかもしれないが、もう少し生きていて、この娘婿もまんざらではないなと評価していただきたかった。
義父と私の父親と似ているところは何かと考えた。何かで世に出たいというか、自分の生き甲斐のようなものを見出したいという思いが強いところだろう。私の父は、小学校の教員をしていたが、姉から聞くところでは母に学資を出してもらって師範を出たということらしい。母がどうして父と知り合ったのか知らないが、代用教員だった父は小説家になりたくて実家の材木屋を飛び出していたようだ。そんな父の面倒を見ていたのが2歳年上の母だった。
父は背の高い人ではなかったけれど、色白く歌舞伎役者のように面長の顔で、母の実家に父が行くと、村の人たちが振り返るほど評判だったと、これも姉の話だ。私の知る父は、いつも一人で本を読んでいるか、スケッチブックに小さな絵を描いていた。父に怒られたことは一度もない。私が高校生になった頃から、私を大人として扱ってくれたように思う。生徒会長に立候補する時や、生徒会で取り組む課題や、学校から禁止されて仕方なく自分たちで新聞を発行した時など、男同士のように後押ししてくれた。
今朝、夢を見た。人が来るというので障子を張り替えた。母と障子だったか家具だったかを移動していた。その際に障子を少し傷つけた。兄に代わったがやはり障子を傷つけた。父に代わったが母や兄よりももっと傷つけた。「やっぱり我が家の血だ」と私が笑うと、父は怒って障子を破り始めた。私が「そんなにしなくても」と父を止めた途端、父はひっくり返ってしまった。私が笑って手を出すと、父は怒って私に蹴りを入れてきた。父は意外に短気な人だったのだ。夢だったけれど、実際に父はカッとなる方だったような気がする。
カミさんの父親にも私の父にも、生きている時に「いい息子(婿)だ」と言ってもらえるようなことを何一つしていない。それがちょっと悔やまれるが、まあ人生はそんなものだと言ってもらえそうな気もしている。