蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

寂しいけれど、遠くから応援してます

2011-01-18 | 

昨夜、遠方に暮らす息子が、ひょこんと帰って来た。
公的手続きのため、上阪したついでに、顔を見せたようだ。

「今日、家に、だれか、いる?」

彼のメールは、いつも、これ。

子供たちが小さいころから、わたしがいつも家にいない事が多いので、
とりあえず、こう確かめる。

「いるよ~」と、返信しつつ、猛スピードで家路に着く。
彼より先に、家に入っていないと、味気ないし。

タッチの差程度で、わたしが先に帰宅。
ばばばと猛スピードで着替え、洗顔し、さあ、と思った頃に、息子の顔。

「久しぶり~」
といっても、ほんの2週間前、お正月に、夫の実家と、わたしの実家で、会ったなあ。

食事はまだということなので、適当にそこらへんのものを使って調理し、食卓に並べる。

飲む、飲む、飲む。
彼は、ビール、ウイスキー、ワインと、チャンポンしていたようなので、
へろへろになってダウンしてしまった。
わたしは、焼酎、ワイン。
飲んでも、後片付けやら翌朝の準備やら、まだまだ、けっこう、働けるようだ。

しゃべる、しゃべる、しゃべる。

酔いもまわるが、舌もまわる。
わたしはともかく、息子は寡黙で、胸の内を明かしてしゃべり倒すほうではないのだが、
炸裂・本音トーク大会となった。
すべて本音。べらべらべら。
日頃言えないことを、べらべらべら。

お酒のパワーってすごい。ハイテンションもいいところ。
しかし、なにをしゃべったのか、ほとんど覚えていないのが、ツライです。
わたし、たんなる酔っ払いか?


「あのさー、おとうさんの言うことをまともに受けなくてもいいと思うよー。
別に跡取りとして、がんじがらめになって、無理して帰ってこなくてもいいよ」
って言ったような気がする。
自分の人生の終わり頃、死ぬ頃までに、80歳ぐらいまでに帰ってきたら、それでいいから、と。

「じつはわたしも、移住・永久・女中奉公から逃げようと、ひそかに準備中なんよ。
でも、準備だけで、実行はどうなるのか、わからんけどねぇ」
なんて、母親のくせに、ろくでもないことを打ち明けたりもする。

夫は、たまたま不在だったが、
一日でも早く、帰ってきて欲しがっている夫がもし聞いたら、
かんかんになってアタマから火を吹いて怒るようなことばかり、しゃべったような気がする。


深夜12時ごろ、
上娘から、「ハワイ2泊4日の弾丸ツアーから無事帰国」のお知らせメールが入った。
「お帰り~。おにいちゃん、帰ってきてるよ~。飲み過ぎて、おえおえ、いってる」
と、ついでにひと言、添えると

「仕事で疲れているところに、お酒を勧めると、酔いがまわるから、ほどほどにしなさい」、
とお叱りを受けた。
しゅーん・・・


ありえないほどの薄着の息子を見て、
「そんな恰好していたら、かわいそうな人だと思われて、
NPO法人かなにかで活動している人から、
炊き出しのお知らせや、住まいの提供やら、街で声かけられるんと、ちゃう?」
と、寒がりなわたしの老婆心。

「本当に困っている人は、こんなに薄着はしないで、ちゃんと何枚も服を重ね着している。
ズボンも、もっこもこに重ねてはいてる。
だから、間違えられない」
なんだそうだ。

あいかわらず、ユニークなお方。


遠くに赴任することが決定している息子。
ここ当分何年かは、会えない。
会えるとすると、法事ぐらいだ。

次の法事は、いつだっけ?
まだまだ何年も先のような気がする。
こんなときだけ、法事がはやく回ってくればいいのに・・・なんて思ったりする。
宗教心、ゼロ。じつに、いい加減だ。

お嫁さんを連れて帰ってくる、なんてことはまったく期待していないので、(ありえないことは、期待しない)
せめて、健康には注意して、新しい土地で頑張ってほしい。

「ほんなら、な」
最後に玄関先で、息子は手を振った。

「じゃあ、ね」
わたしは、寂しいけれど照れ笑いしながら見送った。
でも、息子、けっこう、爽やかな顔して、久しぶりの、自分が育った街をゆっくり見渡しながら、
ゆるやかな日差しのなかを歩いて行った。
澄み切った冬の午後、彼が見えなくなるまで、わたしはじっと後ろ姿を追い続けた。

 

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トップ 画像は、息子と二人で空けたイタリアの赤ワイン。
クセのない、飲みやすいお味。

夫のワイン・クーラーから、黙っていただいちゃったものですが、バレるかなぁ・・・
わたしもそうですが、息子が、大、大好きな夫こそ
、息子と飲みたかっただろうなあ・・・
息子だけでなく、子供たち全員、ひとりひとりが、このうえなく大好きな、まだまだ未熟な、われわれです。

息子、あの爽やかそうな顔なら大丈夫。
新しい門出。一歩ずつ、ゆっくり・・・歩んでほしい。



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