この間、季節はずれの雪が降って、今度は梅雨時のアイリスが咲いた。このごろ、いつもと違う頃に、気象現象が起きている。季節はずれと思っているうちに、その方が通常になりつつある。5月5日は、端午の節句。端は初め、午はうまの日。初めてのうまの日という意味だ。旧暦では、もう夏の暑さがきて、疫病が蔓延する時期でもある。菖蒲の葉を刻んで、酒にうかべて飲む風習は疫病を払うためのものであった。菖蒲を尚武と読み替えて、逞しい男の子の節句にしたのは、富国強兵の国策の延長にある。
沸きし湯に切先青き菖蒲かな 中村汀女
菖蒲湯に入った子供たちは、その後どのような人生を歩んだであろうか。自分の軌跡を顧みると、忸怩たるものがある。論語に「吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。六十にして耳順う。七十にして心の欲するところに従えども矩を踰ず」
七十を超えてからの仕事の極意は、「芸に遊ぶ」ということである。芸とは3000年前の古典の世界に遊ぶ。自然の摂理になかに身を置く。そしてそれらを楽しむことができれば、最高の境地となる。ほんの一握りの碩学が辿りついて境地である。
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