夕やけを心地よく眺めたのは、何日ぶりだろうか。夕方の風が、風呂上りに気持ちいい季節。やはり春から初夏ということになる。夜の冷え込みを心配することもなく、穏やかに夕やけをみることができる。ねぐらに帰るカラスも、心なしゆっくりと飛んでいる。春の霞で、夕やけのいろも少しにじんでいるが、風が吹き止む夕暮れは一日の疲れをやさしく癒してくれる。
夕焼に向って歩み入る如し 中村 汀女
夕暮れを詠んだ感性豊かな詩人がいた。私の生れる2年前、24歳の若さで急逝した立原道造である。東大工学部を卒業し銀座の建築事務所に勤めながら詩作に励んだ。
溢れひたす闇に 立原 道造
美しいものになら ほほゑむがよい
涙よ いつまでも かはかずにあれ
陽は 大きな景色のあちらに沈みゆき
あのものがなしい 月が燃え立った
つめたい!光にかがやかされて
さまよひ歩くかよわい生き者たちよ
己は どこに住むのだろうーー答へておくれ
夜に それとも昼に またうすらあかりに?
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