常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ブナの話

2018年05月17日 | 日記


山登りをするようになってブナの木が気になるようになった。20年以上も前になるが、村山の葉山の山中でブナ見事な二次林を見たせいかも知れない。その整然と並ぶブナの樹、白い幹に、葉の緑が他の木に見られない美しさあった。ブナ林を見る度に、ブナを知りたいと思い、ブナについて書いてある小冊子を買い続けた。今では本棚のあちこちに、関連する本が10冊以上ある。

シューマンの作曲した歌曲に『流浪の民』というのがある。日本でも学校の合唱曲になって、広く親しまれている。その歌詞に

ぶなの森の葉がくれに
宴ほがい賑わしや

松明あかく照らしつつ
木の葉しきて倨居する

これぞ流浪のひとの群
眼ひかり髪きよら

ヨーロッパでブナ分布するのは、ドイツが中心である。日本と違って、ここではブナは平地にある。日本では1000mほどの高地にあり、その林床には笹や落葉低木があって多様な林相であるのに対し、ヨーロッパでは林床は草花ばかりですっきりとし、ジプシーが宴に酔い、妖精が乱舞する。ブナの森は、西洋と日本ではこんなにも違いがある。

日本のブナ林は、ジプシーが集う場所には向かないが、大きな利点がある。それは林床を彩る植物の多様性である。笹が茂り、アオキ、ユズリハなどの常緑低木。春にはクロモジ、オオカメノキ、マンサクなどの落葉低木の花や新緑が美しい。これらを食べる昆虫が生息し、その昆虫を求めて多種類の鳥が集う。タケノコを餌にするクマ、常緑低木を食べるカモシカ。日本のブナの森には、宮沢賢治の童話の世界が広がっている。



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