スミレ
2020年05月01日 | 花
山路来て何やらゆかしすみれ草 芭蕉
里山を歩いて、岩陰にスミレがさいているのを見かけると、昔の友人にあったような懐かしい気がする。芭蕉が「ゆかし」と詠んだのも、慕わしい、恋しいという意味にとれる。漱石も、「菫ほど小さき人に生れたし」という句も詠んでいるように、素朴で清純なイメージがスミレにはあるように思われる。
去年、裏の庭に自生したスミレを鉢に植えてみた。すると、肥料のせいもあったのか、びっくりするような成長を見せ、たくさんの花を咲かせたあとには、たくさんの種を残した。庭にはこぼれた種から新しい株がびっしりと生え、一面の花畑の様相になっている。どうやら、スミレは可憐さと同時にその生命力の強さも見せてくれる。
千歳山の山道は多くの人が歩く。平坦なところにスミレが生える余地はないが、大きな石の間に生えたスミレが、年々数を増やしている。野菜などは少しでも放置しておくと忽ち雑草がはびこり、野菜の成長は止まってしまう。スミレには野生の強さがあるのだ。
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