常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

草紅葉

2022年09月29日 | 登山
庄内側、月山8合目から東補陀落に行って来た。弥陀ヶ原の草紅葉が月山の麓にいっぱいに広がり目を楽しませてくれた。山友会で最初に草紅葉に出会ったのは20年も前、栗駒山の天狗平からの眺めであった。それから折にふれて様々の山の草紅葉を見てきたが、弥陀ヶ原のものがナンバーワンである。目を少し上に向ければ、月山の中腹から上は、もう紅葉の彩りである。そして目を西に向ければ日本海、庄内平野の田は黄金色の輝きを見せている。朝方雲は多かったが次第に青空が広がり秋晴れの心地よい山行である。早いもので、昨年このコースを計画した時は、雪になり、中止やむなきに至った。

高空に草紅葉せり火口壁 水原秋桜子

湿地のある山道を過ぎ、剣ヶ峰から、行く先の東補陀落が見えている。三角錐の藁田禿山の麓に奇岩・奇石の東補陀落とその先に御浜池。かつて、この山道への入り口をが分からぬまま、藪漕ぎの果て山行を断念した山岳ライター吉村迪の手記がある。東補陀落は月山最大の秘所だからここにお参りしようという考えであった。

「足が地につかないくらいのチシマザサの密生地が続いている。日本海側山岳の藪がどんなに手強いか、これは承知していた積もりである。しかし東補陀落に行こうとする気持ちが強すぎたのかもしれない。荒っぽい前進になったしまった。チシマザサの密叢の中にナナカマドやミヤマナラの枝が隠れている。これに何度か足をうちつけた。」

こうして難行苦行して行きついた地は、御浜池と禿山の見える地点であった。剣ヶ峰の崖に辿り着いたのだ。しかしその先は、歩行困難と見て断念、8合目へ引き返している。わがチームは、この剣ヶ峰の梯子を過ぎ、ロープに伝わって進んだ。山道は仮払いがなく、少し道を外すと、チシマザサの密林のなかである。やっとの思いで岩場に着き、岩を登ること10分。座る場所を得て、昼食となった。

ここは修験道の山駆けの修行場である。男根の形をした巨岩、龍が住むという池。ここを食わず、眠らずの苦行。その積み重ねが修行者を「自然エネルギーの体現者」いわばシャーマンへと作り鍛えていく。この山行で、我々は、修行者たちの苦行の一端に触れることができた。そこには死と再生の不思議がある。8合目からここまで4時間、体力の限界を感じながらの山行であった。
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