みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1217「痴話げんか」

2022-03-16 17:43:35 | ブログ短編

 彼女は、ほんの些細(ささい)なことで彼と口論(こうろん)になった。そして、思わず言ってしまった。彼女が彼と付き合うことにした理由(わけ)を――。
「あたしにとって、メリットがあるからあなたと付き合ってるのよ。愛情(あいじょう)なんかあるはずないでしょ。もう…今のあなたは、あたしの役(やく)に立ってないじゃない!」
 彼は困惑(こんわく)して、「何でそんなこと言うんだよ。僕(ぼく)たち、あんなに――」
 彼女は感情(かんじょう)を抑(おさ)えられずに、「あなただってそうでしょ? あたしと付き合ってることで、優越感(ゆうえつかん)に浸(ひた)ってたはずよ。あたしのこと責(せ)めることなんかできないはずだわ」
「僕は別に…、責めてないよ。なぁ、落ち着こう。冷静(れいせい)になって――」
「あたしは、そういう女なの。別に…分かれてもいいのよ。でも、あなただって打算(ださん)があったはずだわ。偉(えら)そうなこと言わないでよ」
 口論は、どんどん変な方向(ほうこう)へ向かっていた。そこで彼はとんでもないことを打ち明けた。
「あのさ。僕が君(きみ)を選(えら)んだ理由(りゆう)を言ってもいいかなぁ?」
 今までそんな話しを聞いたことがなかった彼女は、ちょっと驚(おどろ)いた顔をした。
「僕も、最初(さいしょ)から愛情があったわけじゃないんだ。実(じつ)のところ、君から声をかけられなかったら、僕たちそのまますれ違(ちが)って終(お)わっていたと思うんだ」
「ちょっと…。あたしからじゃないでしょ? 話しかけてきたのはそっちからだわ」
<つぶやき>はたからみたらバカバカしいよね。でも、何が原因(げんいん)でこんなことになったの?
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