みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1218「あたしの彼は…」

2022-03-18 17:48:40 | ブログ短編

 私は、友達(ともだち)から呼(よ)び出された。しかも、山の中に――。何か、彼氏(かれし)を紹介(しょうかい)したいってことなんだけど…。はっきり言って、その娘(こ)とはそれほど親(した)しいわけじゃない。
 登山道(とざんどう)の途中(とちゅう)で彼女が待っていた。彼女は恥(はず)ずかしそうに言った。
「ごめんねぇ。こんなところまで来てくれて、ありがとう。こっちよ」
 彼女は、私を促(うなが)すように先(さき)に歩き出した。しかも、登山道から外(はず)れた道へ入って行く。私は慌(あわ)てて言った。
「ダメだよ。そんな方へ行ったら迷(まよ)ってしまうわ」
 彼女は、「大丈夫(だいじょうぶ)よ」と言って、どんどん行ってしまう。どのくらい歩いただろう。ちょっと開(ひら)けた場所(ばしょ)に出た。そこには、木陰(こかげ)の下に木のテーブルと椅子(いす)が置かれていた。そして椅子には、彼氏なのだろうか人の姿(すがた)が――。私は言われるままに椅子に座(すわ)って、向(む)かいの男性の顔を覗(のぞ)き見た。次の瞬間(しゅんかん)、私は凍(こお)りついた。私の前にいたのは、ゾンビ…?!
 彼女は隣(となり)の彼氏に言った。「もう、この娘(こ)はあたしの友達よ。そんなに睨(にら)みつけないで」
 私は、あたふたして、「ねぇ、逃(に)げなきゃダメよ。もし噛(か)まれたら…」
 彼女は平気(へいき)な顔で、「心配(しんぱい)しないで。ちゃんと縛(しば)ってあるから。彼ね、こんな顔してるけど、慣(な)れればとっても可愛(かわい)いのよ。きっと、あなたも好(す)きになってくれると――」
「ど、どうして? 私を、こんなところに呼び出したのよ。まさか、私を…!」
<つぶやき>これは驚いちゃうよね。でも、彼女にはそんな気はないんじゃないかなぁ。
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