みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0186「隣の不可思議」

2018-03-28 19:04:46 | ブログ短編

 ここ半年くらい、隣(となり)の部屋は空(あ)き部屋になっていた。でも、どうやら最近(さいきん)になって人が入ったみたい。時々、カリカリとかバチバチとか変な音が聞こえてくる。何の音なのかと聞き耳を立てると、音は消(き)えてしまうの。
 それから、この間(あいだ)のことよ。洗濯物(せんたくもの)を干(ほ)そうとベランダに出ると、今まで嗅(か)いだことのないような変な臭(にお)いがしたの。どうやら、それは隣から流れてきてるみたい。そっと隣を覗(のぞ)いてみると、黒い影(かげ)がホワーッと…。私、びっくりして声を上げそうになっちゃった。
 友達(ともだち)にこのこと話してみたけど、誰(だれ)も本気(ほんき)に聞いてくれなくて。でもね、一人だけ真剣(しんけん)に聞いてくれる娘(こ)がいて。その娘、会ってみたいって言い出したの。私、やめた方がいいって言ったんだけど…。
 今、その娘は隣の部屋に行ってるわ。私、一緒(いっしょ)に行こうかって言ったけど、一人で大丈夫(だいじょうぶ)よって。ほんとに大丈夫かなぁ。もう一時間ぐらいたってるのに、まだ戻(もど)って来ないの。
 私、もうじっとしてられないわ。これから、隣へ行こうと思う。やっぱり、心配(しんぱい)だもの。もし、何かあったら大変だし…。
 ――彼女が隣の部屋の前に来たとき、扉(とびら)がスーッと音もなく開いた。そして、彼女は吸(す)い込まれるように部屋の中へ。それ以来(いらい)、彼女の姿(すがた)を見かけることはなくなった。
<つぶやき>二人はどうなったんでしょう。異次元(いじげん)の世界に迷(まよ)い込んでしまったのかも。
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