goo blog サービス終了のお知らせ 

みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0372「不思議ちゃん」

2018-11-07 18:12:31 | ブログ短編

 久(ひさ)しぶりに同期(どうき)の女性が集まった。新人研修(けんしゅう)で仲良(なかよ)くなったグループだ。だが、その中に一人だけ不思議(ふしぎ)ちゃんが隠(かく)れていた。初恋(はつこい)の話題(わだい)になったとき、
「あたしも、初恋は小学生の頃(ころ)でした。ものすごく好きになっちゃって」
「でもその頃って、好きっていうことが、まだよく分かってないんだよね。だから、先生とか好きになっちゃったりして――」
「ねえ、聞いて下さい」不思議ちゃんは一人で突(つ)っ走る傾向(けいこう)があるようだ。
「あたし、毎晩(まいばん)、一緒(いっしょ)に寝(ね)てたんですよ。もう、可愛(かわい)くって」
 みんなは一瞬(いっしゅん)、彼女の方を見る。隣(となり)にいた女性が訊(き)き返した。
「ああ、それって縫(ぬ)いぐるみかなんかでしょ? よくあるパターンよね」
「違(ちが)います。その子ね、触(さわ)るとヌメヌメしてて、なかなかつかめなくって」
「ヌメヌメって…。絶対(ぜったい)、人じゃないよね。そう言うのは、初恋とは言わないのよ」
「でも、初めて好きになるのが初恋ですよね」
「もう、なに言ってんのよ。あなた、人を好きになったことないでしょ」
「ありますよ。見ます? ちゃんと写真(しゃしん)を撮(と)ってありますから」
 彼女は携帯(けいたい)を取り出した。果(は)たして何が写(うつ)っているのか、みんなは固唾(かたず)を呑(の)んだ。
<つぶやき>ちゃんと男性が写っているといいのですが。初恋の相手(あいて)は何だったんでしょ?
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 0371「非通知着信」 | トップ | 0373「かりそめ倶楽部」 »

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

ブログ短編」カテゴリの最新記事