大学(だいがく)の研究室(けんきゅうしつ)に緊急連絡(きんきゅうれんらく)が入った。助手(じょしゅ)は講義(こうぎ)が終わったばかりの教授(きょうじゅ)に駆(か)け寄って、
「大変(たいへん)です。今、プラ層(そう)が見つかったと連絡が入りました。すぐ来てほしいと…」
「何だと…。すぐに、みんなを集(あつ)めてくれ。防護服(ぼうごふく)も用意(ようい)するんだ」
現場(げんば)は防護幕(まく)に覆(おお)われていた。中に入ると、防護服を着た人たちが作業(さぎょう)をしていた。教授たちはプラ層がどこまで広がっているのかを確認(かくにん)すると、サンプルを手際(てぎわ)よく集めた。教授たちの作業が終わると、プラ層はまた埋(う)め戻(もど)された。
学生(がくせい)の一人が助手に訊(き)いた。「あの…、プラ層って何ですか?」
助手は呆(あき)れて、「君(きみ)は、そんなことも知らないで研究室に入ったのかい?」
「すいません。だって、この研究室なら誰(だれ)でも入れるって聞いたんで…」
「確(たし)かに、うちの研究室は人気(にんき)がないからなぁ。プラ層って言うのは、二万年くらい前の地層(ちそう)なんだ。この地球(ちきゅう)の至(いた)る所で見つかっている。君は大量絶滅(たいりょうぜつめつ)のことは知ってるかい?」
「ええ、高校(こうこう)の授業(じゅぎょう)で聞いたことが…。ホモサピエンスがいた時代(じだい)ですよね」
「そうだ。このプラ層に大量(たいりょう)に含(ふく)まれている物質(ぶっしつ)を、彼らが作り出したと言われている。この物質が大量絶滅の原因(げんいん)だったんじゃないかと、教授は調(しら)べているんだ」
「へぇ、そうなんだ。でも、何でこんな防護服まで着ないといけないんですか?」
「それは、ナノレベルの物質だからだよ。空中(くうちゅう)に舞(ま)い上がると、生物(せいぶつ)に取(と)り込まれてしまう可能性(かのうせい)があるんだ。何でこんな危険(きけん)なものを作り出したのか、理解(りかい)できないよ」
<つぶやき>未来(みらい)の人達に、こんな風に思われちゃうかも。でも、人間(にんげん)って絶滅したのか?
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