<宇宙生物(うちゅうせいぶつ)がこの地球(ちきゅう)にやって来て四億(おく)年の歳月(さいげつ)が流(なが)れた。彼らは今もこの星(ほし)で観察(かんさつ)を続(つづ)けていて、人間(にんげん)たちがそのことに気づくことはなかった。だが、とうとうその時がやって来た。これは、虫(むし)好きのオタクが遭遇(そうぐう)した事件(じけん)である>
私は昆虫(こんちゅう)が大好(だいす)きだ。暇(ひま)さえあれば採集(さいしゅう)に出かけていた。そんな私が、家の近くの公園(こうえん)で新種(しんしゅ)の昆虫を発見(はっけん)した。だが、残念(ざんねん)なことに捕(つか)まえることができなかった。これは、最大(さいだい)の不覚(ふかく)だ。今まで数多(かずおお)くの昆虫採集をしてきた私が、肝心(かんじん)なところで失敗(しっぱい)するなんて…。きっと動揺(どうよう)していたからだ。新種を発見するなんて、これは奇跡(きせき)なのだから…。
落胆(らくたん)を引(ひ)きずって、私は家に帰った。今日はもう何もする気になれなかった。私はソファーに身体(からだ)を沈(しず)めてため息(いき)をついた。その時、なぜか視線(しせん)を感(かん)じだ。この部屋(へや)には私一人しかいないのに…。私は部屋を見回(みまわ)した。すると、なんということだ。あの…新種の昆虫がそこにいたのだ! なんでだ?! 私にくっついてきたのか?
私は、そいつと目が合った。おかしな話しだがそう感じたのだ。そもそも、どこが目なのかはっきりしないのだが…。ここで私はあることに気がついた。それは、身体が…動(うご)かないのだ。まるで、この身体が自分(じぶん)のものでなくなったようだ。頭(あたま)で動けと命令(めいれい)してもまるで手応(てごた)えがない。そいつは、少しずつ私に近づいてきた。どうしようというんだ?
恐怖(きょうふ)がむくむくと私の中にわき上がってくる。そいつは、目の前に迫(せま)ってきた。
<つぶやき>もしこんな遭遇をしてしまったら。もう受(う)け入れるしかないのでしょうか?
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます