天使(てんし)が男の前に現れて言いました。「神様(かみさま)のお告(つ)げを伝えにきました」
男は、その天使があまりにも不細工(ぶさいく)なので、「何だ、お前…。俺(おれ)に近づくんじゃねぇ!」
天使は男の剣幕(けんまく)にビビりまくってしまいます。でも、神様のお告げを伝(つた)えなくてはいけません。天使は持っていた鞄(かばん)を開けて…。中から……。鞄の中をかきまわし始めました。これはどういうことでしょう。中に入れたはずのメモがなくなっています。天使は泣(な)きそうな顔になって呟(つぶや)きました。
「神様に怒(おこ)られちゃうよ。どこにいっちゃったの…」
そこへ別の天使が現れました。今度の天使は、この世のものとは思えないほどの美(うつく)しさでした。美しい天使は、不細工な天使に言いました。「大事(だいじ)なものを忘(わす)れちゃダメでしょ」
大事なメモを受け取ると、不細工な天使に笑顔(えがお)が戻(もど)りました。天使は男の前に近づいて、神様からのお告げを言おうとします。すると、男はそれを止(と)めて言いました。
「俺は、お前じゃなくて、あっちの天使さんにお願いしたいな」
「いや、それは…。あなたの担当(たんとう)は、あたしなんで…。それは、ちょっと…」
「いいじゃないか、それくらい…。チェンジしてくれなきゃ、俺は聞かないぞ」
「そんな…。無理(むり)なこと言わないでください」
美しい天使が耳打(みみう)ちをしました。「あなた、ビジュアルモードになってないわよ。ここでは、美しく見えないと仕事にならないんだから。よく覚(おぼ)えときなさい」
<つぶやき>天使は美しいって、誰(だれ)が決(き)めたのでしょう。でも、美しい方がいいですよね。
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