徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:エラリイ・クイーン著、大庭忠男訳『日本庭園の秘密』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)

2019年08月16日 | 書評ー小説:作者カ行

『日本庭園の秘密』または『ニッポン樫鳥の謎』(井上勇 訳)は1937年の作品で、国名シリーズの最終編です。日本で育った女流作家カレン・リースはニューヨークに日本庭園のある屋敷を構えて住んでいましたが、その屋敷の寝室で怪死を遂げます。その時彼女の婚約者の娘エヴァ・マクルーアが訪問しており、カレンが書き物をしている間居間で待っていて、彼女がカレンの死を発見するまで居間の前を誰も通らなかったため、実質上の密室殺人ということになります。エヴァ以外にカレンを殺すことができた人間は居なかったため、彼女は窮地に追い込まれますが、そこに急に表れた私立探偵テリー・リングがエヴァの無罪を信じて時間稼ぎのためにカレンの部屋から屋根裏部屋に続くドアのかぎを開けるなどの工作をして捜査を混乱させます。

このテリーの行動の意味も長いこと謎のままですが、カレン自身もかなり謎な人物です。

最終的にエヴァの容疑はすっきりと晴れて事件は解決したと思われた後にもう一転するところが興味深いです。そのせいもあって「読者への挑戦」は挿入されていませんでした。

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