徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:Ostfried Preußler著、『Das kleine Gespenst(小さなゆうれい)』(Thienemann-Esslinger)

2019年08月18日 | 書評ー小説:作者ハ・マ行

ドイツ語の児童文学とは今まで縁がなかったのですが、FB友達のお勧めでOstfried Preußlerの『Das kleine Gespenst(小さなゆうれい)』を読んでみました。

Eulenbergという小さな町の上に立つ古いEulenstein城に住む小さなゆうれいのお話で、市庁舎の鐘が夜中の12時を打つと起き出して1時の鐘が鳴るとまた眠る習性を持っていて、みみずく(Uhu)のSchuhuと友達で、彼と昼の世界はどんなだろうと話していたら、ある日突然昼の12時に目覚めてしまい、Eulenbergの町中を昼日中に彷徨って騒ぎを起こします。ストーリーは単純で微笑ましく、思わずニヤリとしてしまうよなユーモアがあります。

ドイツ語学習者の視点で見ると、児童文学とはいえなかなか侮れない高度な表現があります。私はもうちょっと言葉の面でも子供向けの単純なものを想像していたのですが、結構知らない表現があって意外でした。知らなくても意味は文脈からくみ取れるようなものでしたが、興味深いものでした。例えば jemanden ins Pffererland wünschen(誰かが遠くに(コショウの育つ土地)いなくなることを願う)や mit Holterdiepolter(大慌てで)などが表現として面白いですね。別れる意味での「失礼する」のニュアンスで sich empfehlen が使われているのもなかなか文学的です。

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