徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:エラリイ・クイーン著、乾信一郎訳『チャイナ・オレンジの秘密』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)

2019年08月09日 | 書評ー小説:作者カ行

『チャイナ・オレンジの秘密』(1934)は国名シリーズ第8弾で、切手・宝石収集家として知られる出版業者のオフィスで身元不明の男が殺され、来ている服が後ろ前でしかも2本の槍がクロスするように刺さった状態で発見される話です。現場は家具も向きが反対になっており、「あべこべ」が事件のキーワードになります。

この作品の珍しい所は、被害者の身元が最後の詰めになるまで分からないことです。このため動機の面から犯人を探ることが困難を極めます。エラリイ・クリーンも見当違いの「あべこべ」探しにかなり翻弄されます。

例の読者への挑戦の文が挿入されていましたが、相変わらず私にはさっぱりでしたね(笑)

半密室にする(一方の出入り口の閂をかける)目的で使われたトリックも現実味があるのかないのか私には理解できないままでしたが読みごたえはありました。

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