徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:エラリイ・クイーン著、青田勝訳『シャム双生児の秘密』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)

2019年07月16日 | 書評ー小説:作者カ行

『シャム双生児の秘密』(1933)は国名シリーズ第7弾で、クイーン親子が休暇でドライブ中に山火事に出くわし、山頂に向けて逃げた先に建っていたサヴィヤー医学博士の邸宅に留めてもらうことになりますが、そこでサヴィヤー博士が殺されてしまう事件です。死体の手に握られたちぎられたトランプのスペードの6の意味するところは何なのか、手がかりなのか否かが最後まで議論の中心になります。

題名はサヴィヤー博士を頼って来ていたシャム双生児の子どもたちからとられています。

エラリイ・クイーンはここで随分とトランプの手がかりに振り回され、間違った「犯人はお前だ」を複数回繰り返すことになります。この巻では作者からの「読者への挑戦」はなく、代わりに(?)迫りくる山火事の中、事件が解決したとしても彼らが生還できるのかどうか分からないスリルが楽しめるようになっています。

 

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