茶雅馬茶道教室 ~MIHO企画~

茶と文化そして美
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今だから・・・

2009年11月08日 | Weblog
炉を清掃しながらふと三年前を思い出しました。
この貞恭庵を開けて数ヶ月間、庭を見て戴きたく普通に毛氈をひいて庭に向かって座って戴きお茶とお菓子を出していました。
お客様のお一人が、「どうぞ炉開きの時期になりましたら釜を掛けて下さい。」そう話された方がいらっしゃいました。
理解できるけれども複雑でした。
その当時の茶室は空気が重たかったので、風通しの為に障子戸をはずし空気の入れ替えが目的ではじめました。
そして茶室を観て戴きたかったので道具は飾らず床と庭に景色つくりをしてゆっくりとして頂きたい、そう考えていました。
なぜならこの茶室はずっと寂しくご主人様の霊廟近くにいて守ってきた茶室です。その間雨嵐ほか色々なことがあってさぞかし大変だったと思います。でも頑張ってぼろぼろになりながらも建っていた・・・。
そして現代の位置に移築されてもまた雨戸を閉ざされ寂しく佇んでいた・・・。

建物が元気になるのは時間がかかりそうでした。
ですからお点前や道具は二の次で、まずは茶室に元気を!が最初でした。

漸く茶室の空気も落ち着いてきたこの頃ですが、ちょっとまぁいいかと思ったりして開けていないとすぐ畳や壁や水周りが悲鳴を上げているのがわかります。
丈夫に出来ている茶室とは違って天気に左右されがちな茶室です。
よくいえばデリケート?さびしやがりや?かしら?
だから長く大事に守って活きたいんです。

茶室にスポットをあてて、のんびりゆっくり楽しいひとときをこの茶室だからこそご提供したい!それが大事と考えていたいのです。

お茶はどこでも点てられます。お釜があったり、茶筌があったり水があったり茶碗があったり・・・。
へちかんのように野でもどこでも、そこにお茶を差し上げたい、またお茶を飲みたいという気持ちがあったら心から点てられます。
茶室はそこに行かなければ入れない建物で味わえない空気です。その場、その時しか出くわさないものです。
なくなってしまったら終わりなんです・・・。

「釜を掛けて下さいね!」その一言は「茶室としての景色を作ってみてください」ということかと思って釜をかけるきっかけになりました。
良い景色になったと思います。
今では開炉だ大変だ!になってしまっていますが・・・。
みなさんに育てて頂いておりますが、茶室あってのことです。
いつまでも茶室と共生していけたらと考えています。

ちょっと懐かしく思いだしました。