現在、東京恵比寿の写真美術館でジョルジュ・ビゴー展が開催されています。(8月23日まで)
ジョルジュ・ビゴー(1860-1927)は明治時代の外国の風刺画家として有名ですが、
今回の展覧会では、当時日本で出版された画集だけでなく、来日する前のフランスでの挿絵の仕事や
帰国後の仕事なども含めて、はじめて彼の全生涯を明らかにしています。
この展覧会では会場で「カフェ・トーク」というのが行われ、
8月7日(金)夜は、日仏文化交流の研究家で実業家(←クリック)でもあるクリスチャン・ポラック氏のお話でした。
今年の1月に銀座のシャネル・ネクサスホールで開催された
「交差する眼差し クリスチャン・ポラックコレクション」(←クリック)を見ていたので
早速申し込み、行ってきました。
ポラック氏は30年ちかく前にそれまで消息のわからなかったジョルジュ・ビゴーの遺族をパリで探し出し、
彼の遺品を発見しています。
ビゴーの子孫を探し出す経緯や、パリの曾孫にお会いしたときの話など、
そして、その時見つけられた日本滞在中のスケッチブックの絵や手紙などを
スライドを使って一点一点解説してくださいます。
それにより、ビゴーが旅行のつもりで来たのにどうして長く日本に滞在してしまったのか、
どういう思いで日本の風物をたくさん描き、彼の視点はどこにあったのか、
この批判精神はどこからでてくるのか、など
たいへん興味深い話を、同じフランス人の感性で解き明かしてくださいました。
スケッチブックの絵は300点もあり、どれも自分の住んでいた東京の町の様子や日本人の様子など
身の回りにある日常の風物を描いています。
それはまた、月日が記入されていたことにより、彼の日記のかわりにもなり、
来日して日々興味を持っていった過程がポラック氏の解説により、とてもよくわかりました。
1時間ほどベルギービールを飲みながらお話を聞かせていただき、
次は展示物を見ながら、写真美術館学芸員の三井さんから
古写真とビゴーの絵の関連性についての解説を聞きました。
このカフェ・トークで、原三溪市民研究会の主催者であるSさんとお会いしたので驚きました。
横浜美術館の学芸員でいらして、版画が専門であるSさんがいらっしゃるのは当たり前で、
私が来ていたほうが驚きだったかもしれません。
クリスチャン・ポラック氏や彼の本の翻訳を手がけているⅠさんをご紹介いだだき、
なんとも幸福な2時間となりました。
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